地図とは普通、目的地までの最短距離を示す案内図です。
その目的のために有用な情報が多く含まれていればいるほど、地図としての価値は上がっていきます。
ではそれに当てはまらない地図とは何でしょうか?
正解は迷路です。
目的地まで向かう難易度が上がれば上がるほど、その価値を増大させる不思議な地図です。
この迷路のくだりは、昔読んだ物理の本(宇宙とか反世界だとかが書いてあるような本)からの受け売りですが、読んだ当時はなるほど言い得て妙だなと思いました。
確かに、迷路とは"人を迷わせる路(みち)"なのですから、当然といえば当然です。
では、更にこの迷路の価値を高めるにはどうしたら良いでしょうか。
より迷いやすくするための方法とは何か、ということです。
この答えこそが、今回のお話で取り上げられた"不完全な地図"です。
案内図として本来は欠かせないはずの、"情報"の一部が意図的に取り去られた地図。
第29話では、それに翻弄される生き人形達の姿がありました。
その目的のために有用な情報が多く含まれていればいるほど、地図としての価値は上がっていきます。
ではそれに当てはまらない地図とは何でしょうか?
正解は迷路です。
目的地まで向かう難易度が上がれば上がるほど、その価値を増大させる不思議な地図です。
この迷路のくだりは、昔読んだ物理の本(宇宙とか反世界だとかが書いてあるような本)からの受け売りですが、読んだ当時はなるほど言い得て妙だなと思いました。
確かに、迷路とは"人を迷わせる路(みち)"なのですから、当然といえば当然です。
では、更にこの迷路の価値を高めるにはどうしたら良いでしょうか。
より迷いやすくするための方法とは何か、ということです。
この答えこそが、今回のお話で取り上げられた"不完全な地図"です。
案内図として本来は欠かせないはずの、"情報"の一部が意図的に取り去られた地図。
第29話では、それに翻弄される生き人形達の姿がありました。
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突然前触れもなく、第28話で姿を現した “上位のシャドー” 達。
今回は既に、扉絵からその優雅な姿を見せています。
上には現在の状況を示した地図。そして下半分は、真ん中に衝立があり、その右側にお影様達が座っています。
今回のお話では、更に二人のシャドーが登場しました。
一人は、扉絵の左下で外を見ている“ジェラルド”というシャドーです。
前回登場したシャドー達に比べると、若いシャドーのようです。
“お披露目”の様子を観察しながら、テーブルに置かれた地図の上にある新人達の駒を動かしています。
これはケイトと同じ、煤を操る力によるものでしょう。
3~4m程離れていても、その能力は発揮されています。
続いて、“アイリーン”と呼ばれる、若い女性のシャドー。
こちらもジェラルドと同じく、“お披露目”を観戦するシャドーの補佐役のようです。
ただ、こちらはただ煤を操るだけではありません。
“ミセス・コルセット”(青いドレスを着たシャドー)がエドワードに伝言を送りたいと命ずると、なんと口から煤を吐き、黒い伝書鳩を窓から庭園へ放ちました。
口から煤を吐く動作もそうですが、それよりも煤で伝書鳩を形作り、それをまるで生きている鳥の様に動かすとは、とても高度な技術です。
以前ミアが、"お披露目"ではシャドー家にとって有用な素材かどうかを見る、と授業の際に言っていました。あの言葉は、こういった技術を保有しているかどうかを審査する、という意味だったのかも知れません。
本来であれば不気味でしかない、「すすバト」を作るアイリーンのシーン。
それが不思議と美しく見えるのは、アイリーンの所作やシルエットに負うところが大きいと思います。
果たしてケイトは、上位のシャドーの評価に耐えうる技術を彼らに見せることができるのか、少し心配です。
それにしても、彼らシャドーの"お披露目"に対する姿勢は、審査というよりはスポーツ観戦に近いものを感じます。
新人達にとっては、一世一代の試練である“お披露目”。
ところが彼らにとっては、娯楽・遊戯でしかないようです。
それどころか、新人達が落第するのを心待ちにしている者までいます。
"パーマネント男爵"(襞襟をつけたシャドー)などは、"落ちる"という言葉に反応し、慌てて双眼鏡で窓の外を覗いています。
その視線の先には、‟お披露目”ではなく、 落とし穴に落ちたショーンの姿がありました。
それを見てがっかりしている様子から、あまり趣味の良くない人物であることが伝わってきます。
シャドーハウスという異界。
我々が普段気に掛けている、社会通念上の倫理・道徳は通用しない世界とみて間違いはないでしょう。
かつてローマ人がコロッセオで決闘の観戦を楽しんでいたように、ここでは新人達の“お披露目”が、彼らの心を満たす一つの気晴らしになっています。
そのことを分かっているからこそ、エドワードはお影様を楽しませるべく、こんな凝った庭園を作り、そして “不完全な地図” を渡したに違いありません。
その “不完全な地図” にいざなわれ、また一人の生き人形がその罠に捕らえられました。
前回リッキーと合流した、ルウです。
巨大な鋏を振るい、迷いなく先へと突き進むルウ。
余計なことを考えない彼女らしい姿ではありますが、それが仇になりました。
生け垣を突き破ったその先には、目もくらむような擁壁。
恐らくツタやアイビーに阻まれて良く見えなかったのでしょう、ルウは足を踏み外してしまいました。
いきなり視界から消えたルウに、さすがのリッキーも焦っています。
同じ生き人形ですから、20m程落下したらどうなるかは容易に想像できたのでしょう。
いくら競争相手がいなくなったとはいえ、自身にだって同じような災難が降りかからないとは限りませんから、色々これからの行く末を案じたのだと思います。
生け垣を突き破る危険性を認識したリッキーは、形見となった鋏を引き上げようと鋏を抜き取りました。
すると瞬間、生け垣からリッキーを襲う人影が…!
と思ったら、ルウでした。
なんと、ツタに捕まって難を逃れたようです。よくもあの一瞬で、うまく対応したものです。
巨大な鋏を振りかざすだけあって、実はかなりの力持ちなのかも知れません。
ですが、ルウにとってはそれよりも気にしなければいけないことがありました。
それは、顔に傷がついていないかどうかです。
ツタから這い上がるや否やリッキーを押し倒し、顔がくっつかんばかりに近づき、それをリッキーに確かめさせようとしました。
いきなり美少女に押し倒されて照れたのかは分かりませんが、近すぎて見えないからといって、とりあえず体勢を立て直すリッキー。
赤面している様子からして、かなり動揺しているみたいです。
ところがそんなリッキーに対し、そんなことは全く気にすることはない風なルウがまた可笑しいです。
洗浄の間でエミリコが、ミアに注意されるまで男女別になっていることに気が付いていませんでしたが、生き人形でも男女の差異を気にする者とそうではない者がいるようです。
二次性徴直前の、少年少女の心の動きが良く再現された描写です。
さて、無事に顔に傷はつけずに済んだルウでしたが、太ももに怪我を負ってしまいました。
それを見たリッキー。なんと、彼らしからぬ行動に出ます。
ルウを座らせると、彼女の怪我の治療をしてあげたのです。
血が出ているのが不快だとリッキーは言いましたが、それだけではないと思います。ただ、だからと言って、単純にルウを気に掛けたと捉えるのもまた早計・浅慮でしょう。
リッキーの心中を推し量るならば、単にルウの怪我を心配したのではなく、同じように主人を想う生き人形として、彼女の立場に敬意を表したのだと思います。
実際に、直後のリッキーの台詞は主人のパトリックを案ずるものでした。
周りの生き人形達を見下すことが多いリッキーですが、主人(パトリック)を想う心は本物のようです。
その表情は、彼がこれまで見せたことのない真摯なものでした。
場面は変わり、真っ暗闇の中、不安で取り乱す一人のシャドー。
リッキーの主人・パトリックがそこにいました。
残念ながら、リッキーの心配は杞憂ではなかったのです。
ダンスでパトリック組の踊りを見ていたケイトは、リッキーがパトリックをリードしていると評していましたが、どうやら普段の生活でもそうであったようです。
リッキーがいないと、どうしたらいいか分からない。
そう泣き咽ぶ彼の姿は、いつもの自信に満ち溢れた姿とかなり落差があります。パトリックにとって、リッキーの存在はかなり大きかったようです。
暗い場所で身を震わせて泣く彼の姿に、同情を禁じえません。
ところが、絶望を思わせる暗闇に、不意に光が差し込みました。
優しく名を尋ね、身を案ずる言葉を掛け、そして相手を励ますような明るい声……。
こんなことができる存在は、作中に一人しかいません。
パトリックに差し伸べられた救いの手は、果たして誰なのか。
かなりの確率で予想はついていますが、それが分かった時のパトリックの反応を楽しみに、次回を待ちたいと思います。
そして、“すすバト”によってエドワードにもたらされた伝言は、更に庭園迷路の試験を二点・三転とさせるでしょう。
そのシャドー達の『悪意』を、新人達がどう乗り越えていくのかも見所として注目していきたいです。
突然前触れもなく、第28話で姿を現した “上位のシャドー” 達。
今回は既に、扉絵からその優雅な姿を見せています。
上には現在の状況を示した地図。そして下半分は、真ん中に衝立があり、その右側にお影様達が座っています。
今回のお話では、更に二人のシャドーが登場しました。
一人は、扉絵の左下で外を見ている“ジェラルド”というシャドーです。
前回登場したシャドー達に比べると、若いシャドーのようです。
“お披露目”の様子を観察しながら、テーブルに置かれた地図の上にある新人達の駒を動かしています。
これはケイトと同じ、煤を操る力によるものでしょう。
3~4m程離れていても、その能力は発揮されています。
続いて、“アイリーン”と呼ばれる、若い女性のシャドー。
こちらもジェラルドと同じく、“お披露目”を観戦するシャドーの補佐役のようです。
ただ、こちらはただ煤を操るだけではありません。
“ミセス・コルセット”(青いドレスを着たシャドー)がエドワードに伝言を送りたいと命ずると、なんと口から煤を吐き、黒い伝書鳩を窓から庭園へ放ちました。
口から煤を吐く動作もそうですが、それよりも煤で伝書鳩を形作り、それをまるで生きている鳥の様に動かすとは、とても高度な技術です。
以前ミアが、"お披露目"ではシャドー家にとって有用な素材かどうかを見る、と授業の際に言っていました。あの言葉は、こういった技術を保有しているかどうかを審査する、という意味だったのかも知れません。
本来であれば不気味でしかない、「すすバト」を作るアイリーンのシーン。
それが不思議と美しく見えるのは、アイリーンの所作やシルエットに負うところが大きいと思います。
果たしてケイトは、上位のシャドーの評価に耐えうる技術を彼らに見せることができるのか、少し心配です。
それにしても、彼らシャドーの"お披露目"に対する姿勢は、審査というよりはスポーツ観戦に近いものを感じます。
新人達にとっては、一世一代の試練である“お披露目”。
ところが彼らにとっては、娯楽・遊戯でしかないようです。
それどころか、新人達が落第するのを心待ちにしている者までいます。
"パーマネント男爵"(襞襟をつけたシャドー)などは、"落ちる"という言葉に反応し、慌てて双眼鏡で窓の外を覗いています。
その視線の先には、‟お披露目”ではなく、 落とし穴に落ちたショーンの姿がありました。
それを見てがっかりしている様子から、あまり趣味の良くない人物であることが伝わってきます。
シャドーハウスという異界。
我々が普段気に掛けている、社会通念上の倫理・道徳は通用しない世界とみて間違いはないでしょう。
かつてローマ人がコロッセオで決闘の観戦を楽しんでいたように、ここでは新人達の“お披露目”が、彼らの心を満たす一つの気晴らしになっています。
そのことを分かっているからこそ、エドワードはお影様を楽しませるべく、こんな凝った庭園を作り、そして “不完全な地図” を渡したに違いありません。
その “不完全な地図” にいざなわれ、また一人の生き人形がその罠に捕らえられました。
前回リッキーと合流した、ルウです。
巨大な鋏を振るい、迷いなく先へと突き進むルウ。
余計なことを考えない彼女らしい姿ではありますが、それが仇になりました。
生け垣を突き破ったその先には、目もくらむような擁壁。
恐らくツタやアイビーに阻まれて良く見えなかったのでしょう、ルウは足を踏み外してしまいました。
いきなり視界から消えたルウに、さすがのリッキーも焦っています。
同じ生き人形ですから、20m程落下したらどうなるかは容易に想像できたのでしょう。
いくら競争相手がいなくなったとはいえ、自身にだって同じような災難が降りかからないとは限りませんから、色々これからの行く末を案じたのだと思います。
生け垣を突き破る危険性を認識したリッキーは、形見となった鋏を引き上げようと鋏を抜き取りました。
すると瞬間、生け垣からリッキーを襲う人影が…!
と思ったら、ルウでした。
なんと、ツタに捕まって難を逃れたようです。よくもあの一瞬で、うまく対応したものです。
巨大な鋏を振りかざすだけあって、実はかなりの力持ちなのかも知れません。
ですが、ルウにとってはそれよりも気にしなければいけないことがありました。
それは、顔に傷がついていないかどうかです。
ツタから這い上がるや否やリッキーを押し倒し、顔がくっつかんばかりに近づき、それをリッキーに確かめさせようとしました。
いきなり美少女に押し倒されて照れたのかは分かりませんが、近すぎて見えないからといって、とりあえず体勢を立て直すリッキー。
赤面している様子からして、かなり動揺しているみたいです。
ところがそんなリッキーに対し、そんなことは全く気にすることはない風なルウがまた可笑しいです。
洗浄の間でエミリコが、ミアに注意されるまで男女別になっていることに気が付いていませんでしたが、生き人形でも男女の差異を気にする者とそうではない者がいるようです。
二次性徴直前の、少年少女の心の動きが良く再現された描写です。
さて、無事に顔に傷はつけずに済んだルウでしたが、太ももに怪我を負ってしまいました。
それを見たリッキー。なんと、彼らしからぬ行動に出ます。
ルウを座らせると、彼女の怪我の治療をしてあげたのです。
血が出ているのが不快だとリッキーは言いましたが、それだけではないと思います。ただ、だからと言って、単純にルウを気に掛けたと捉えるのもまた早計・浅慮でしょう。
リッキーの心中を推し量るならば、単にルウの怪我を心配したのではなく、同じように主人を想う生き人形として、彼女の立場に敬意を表したのだと思います。
実際に、直後のリッキーの台詞は主人のパトリックを案ずるものでした。
周りの生き人形達を見下すことが多いリッキーですが、主人(パトリック)を想う心は本物のようです。
その表情は、彼がこれまで見せたことのない真摯なものでした。
場面は変わり、真っ暗闇の中、不安で取り乱す一人のシャドー。
リッキーの主人・パトリックがそこにいました。
残念ながら、リッキーの心配は杞憂ではなかったのです。
ダンスでパトリック組の踊りを見ていたケイトは、リッキーがパトリックをリードしていると評していましたが、どうやら普段の生活でもそうであったようです。
リッキーがいないと、どうしたらいいか分からない。
そう泣き咽ぶ彼の姿は、いつもの自信に満ち溢れた姿とかなり落差があります。パトリックにとって、リッキーの存在はかなり大きかったようです。
暗い場所で身を震わせて泣く彼の姿に、同情を禁じえません。
ところが、絶望を思わせる暗闇に、不意に光が差し込みました。
優しく名を尋ね、身を案ずる言葉を掛け、そして相手を励ますような明るい声……。
こんなことができる存在は、作中に一人しかいません。
パトリックに差し伸べられた救いの手は、果たして誰なのか。
かなりの確率で予想はついていますが、それが分かった時のパトリックの反応を楽しみに、次回を待ちたいと思います。
そして、“すすバト”によってエドワードにもたらされた伝言は、更に庭園迷路の試験を二点・三転とさせるでしょう。
そのシャドー達の『悪意』を、新人達がどう乗り越えていくのかも見所として注目していきたいです。
