来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

感想

第161話 気高き心【感想】

日本における貴族の発祥は4世紀といわれています。

大和朝廷の成立とともに皇族・豪族を中心として形成されたそうです。その後、平安時代初期にそれらの氏族を始祖とする藤原氏・橘氏・平氏・源氏といった一族が誕生し、歴代の政権に関与していきます。以降近代に至るまで、これらの貴族は政治や経済・文化に大きな影響力を持ちました。

さて、こうした貴族がなぜ大きな権力を持ったかといいますと、政治力・経済力もさることながら、長く続いてきた系譜だったことも理由に挙げられます。

古墳時代の豪族は日本神話に出自が由来します。神話に登場する神々の末裔として、有史以来天照大御神や天皇に仕えてきたことを根拠に支配層としての正当性を誇示したのです。著名な一族だと、物部氏や大伴氏といった教科書でも馴染みのある名があります。そうして長い歴史の中で有力な一族(=貴族)は上流階級として実権を握ってきました。


こうした貴族誕生の流れは、実は欧州でも同じです。

現在の欧州貴族が形成されたのは中世ですが、その源流は古代ローマ時代に遡ります。ローマの建国神話に登場する初代王・ロームルスが創設した元老院の議員(パトリキ)がそのまま力を持ち、代々支配層として影響力を持ったのが起源だそうです。神話を起源とする統治者の側近=貴族、と捉えると日本も欧州も同じですね。


ただ、古代以降の欧州貴族の成立は我が国とは異なります。

ローマが共和制へ移行すると被支配層だった平民階級が力を付け、やがて元老院議員になる者も出てきました。そうした王政ローマから代々続いてきた家系とは違う実力者は、新貴族(ノビレス)と呼ばれます。こうして現在目にするNOBLESSE(貴族、ノブレス)という言葉が生まれました。もっとも平民といえども元老院議員になるには有力な家系との縁故関係が必要でしたので、こうした一族も世襲制に近いものだったのは致し方ないところでしょうか。


しかし、歴史的に大きな貢献をしてきた一族でも、現代においてはそれだけで特権を持つことは理解されません。ましてや怠惰な生活やスキャンダルに見舞われようなら社会が許さないのが一般的な通念です。

貴族は社会に貢献し模範として振舞うべき、とする「ノブレス・オブリージュ」という言葉は19世紀のフランスが発祥ですが、現在は大きな力を持つ家系や企業・資本家の社会的責任を意味する概念として用いられています。力を持つ者がその立場を維持するには道徳的な行動も求められるのです。


さて、シャドーハウスも貴族を標榜する一族の物語ですが、その実態は既に第1話の1ページ目で明かされています。貴族そのものではなく「貴族のまねごとをしている者たち」、それがシャドー家なのです。

ですから厳密に言えばシャドー家は貴族ではありません。貴族のような支配者、とでも言えば良いでしょうか。とにかく正当性を持たない「貴族」なのです。


但し、それでも前述の新貴族(ノビレス)の話ではないですが、代々続く血筋でなくとも貴族になることは可能です。また、たとえ貴族でなくとも、貴族のような行動と心がけを持つことは誰にも咎められるものではありません。

今回のエピソードでは、そんな崇高な精神を持った主従が描かれました。

奇しくも読者から「パトリキ」と呼称されるあのソウルメイトです。続きを読む

第160話 マーガレット【感想】

只今、桜前線が絶賛北上中ですね!

今年のサクラの開花は例年よりもずっと早く、関東地方では3月半ばには満開になっておりました。しかもその後の空模様が芳しくなかったせいか、結構長く咲いていましたね。なんだか少し得した気分でした。

今現在は東北地方に入ったところでしょうか。東北地方も関東と同じく、桜の開花は例年よりも早いようです。有名な弘前公園だと、今月の10日頃に咲くと予測されていました。

実は私、毎年東北に行っておりますので、今は桜の状態を見極めながら旅行の日程を立てているところです。今年はどんな景色が待っているのだろうと、今から楽しみで仕方ありません。


さて、花と言いますとシャドーハウスには花に関係したキャラクターが非常に多いです。

代表的なのは、バラ・ガーベラ・アザミですね。これはケイト・ルイーズ・サラのシンボルです。これ以外にも、ベンジャミン・オリバー(≒オリーブ)もそうです。彼らの名前も植物から取られています。


また、実物のお花ももちろん出てきます。

最も読者の中で取り上げられるのは、ラッパスイセンでしょうか。あの花は、パトリックとエミリコの関係性の象徴として作品内外で話題になることが多いです。その花言葉を調べてみて悶絶した方も多いかと思います。


そして、今回のエピソード。

此度のお話には、花の名を持つ少女が描かれました。

本話の主役はマーガレットです。
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第158話 緊急事態【感想】

第126話の感想記事でも申し上げましたが、「緊急事態」という言葉を聞いて私が思い出すのは「ギリギリアウト」です。

「ギリギリアウト」といえばソウマトウ先生の代表作ですね。初のオリジナルコミックスかつ、先生の作品としては最も長く連載された名作でもあります。皆様はもうお読みになったでしょうか?

本作品はややセンシティブでデリケートな表現があるものの、ギャグや青春描写がいい塩梅で織り交ぜられていて、作風からすると意外なほど品のある作品です。まだ読んでいないという方は騙されたと思って読んでみて下さい。非常に高品質な恋愛漫画ですので後悔はしない筈です。(一番好きなエピソードはラスト2話目の第38話です。見開きページが切なくて切なくて……)


ところがです。

先日暫くぶりにギリギリアウトを読み返していたのですが、あった筈の「緊急事態」という単語が見つからなかったんですよね。「緊急事態」に「エマージェンシー」というルビが振ってあったのを覚えているので流石に見間違いというわけではないと思いたいですが、一体どのエピソードで見たんだっけな……。(「ミッション」という単語は見つかりましたが)


なお、最近になってなぜギリギリアウトを読み直しているのかと言いますと、実は嬉しい出来事があったからなんですよね。これに関しては完全に自慢話になりますが、後日ブログにてお知らせできればと思っております。


さて、話題がズレてきたので話を戻しましょう。

ケイトから重役を託されたパトリックとリッキー。

「ソウルメイト」である彼らに、思いがけない事態が静かに迫ってきました。続きを読む

第149話 ルイス【感想】

いつもでしたら、本題に入る前に近況報告や関連雑学を長々と語っていますが、今回は早々に本題に入りたいと思います。

理由を言いますと、前記事の「2期Blu-ray&DVD発売記念イベント 現地レポート」を書きあげたところでほとんど気力が尽きてしまったからです。

イベントの熱が冷めないうちにと、徹夜で翌日の明け方まで書き続けていたのがいけなかったようです。

その日に題材を決めて一日で記事を上げるのは久々だったので大分疲れました。恐らく一晩で書き上げたのは一期アニメ4話でのローブ様の件以来かも知れません。

しかしながら、前記事は本ブログにしては結構評価頂けているのでそれが救いであります。


さて、しかし。

そんな理由などなくても、今回のエピソードにつまらない前段は必要なかったと言えるでしょう。

それだけ衝撃的な展開が第149話では繰り広げられたからです。

第150話を目前にして、遂にあの“影の主役”が姿を見せました。続きを読む

第113話を踏まえて1巻を読み返してみる④【第4~12話】

さて、第113話を踏まえた単行本1巻の振り返り。

タイトルを見て、はしょり過ぎだろと思った方も多いかと思いますが許して下さい。全部一記事づつ書いていたら何か月かかるか分からないものでして……。

ただ、ここまでぎゅっとまとめたので、幸い第114話更新の前に書き上げることができました。

今回は第4話~12話までを一気に振り返りたいと思います続きを読む
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