来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

パンちゃん

第31話 失敗

今回の見所はなんといっても、コロコロ変わるエミリコの表情ではないでしょうか。

パンちゃんを心配して首を傾ける仕草は愛らしく、オブジェから泥水が出て驚く表情は可笑しく、顔の汚れたショーンを見てショックを受ける泣き顔は、勘違いも相まってユーモラスです。

他にも、動物と生き人形の推理が見当違いと気付いた場面や、オレンジを膝に乗せてラムとショーンを待っている時の笑顔、ベンチの推理が外れた時の驚愕の顔や、ラムの謝罪を遮って訝し気にショーンにツッコむシーン、『亡霊が出た!』と騒ぐ顔や、木登りをしている時の元気な顔など、挙げればきりがありません。
ラストで上を見上げながら(読者から見るとこちらを見ながら)ケイトについて尋ねるシーンは、不思議と美人さんに見えます。

またエミリコだけではなく、ベンチで身を寄せ合って三人で景色を眺めている場面は、三人の仲の良さが良く現れていて、読んでいるこちらも思わずくすりとさせられます。
この格好のまま記念写真を撮りたい位ですね。
“お披露目”の記録係がもし居るのなら、ぜひ立候補したいところです。

あ、でも明るい写真ばっか撮ってライアンに怒られるのは嫌だなあ。
「オマエ、こんな面白くない写真ばっか撮ってくんじゃねえよ!(怒)」とか絶対言いそう…。

それはともかくとして、今回はやや骨休め的な感じのお話でしたが、これまたかなり気になる引きで終わっています。
しかも来週は休載。

ですが落胆することはありません。
シャドーハウスが待ち遠しい日々が続きますが、その分掲載時の喜びは2倍にも3倍にもなります。

次回のお話を楽しむためにも、これまでのストーリーを読み込んで期待を膨らませていきましょう!

ということでまずは今回第31話のおさらいです。
ネタバレを含むため、いつも通り続きからでお願い致します。
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第15話 動く人形

題名を見て、エミリコ達のお話かと思っていたら、どうやら違いました。

今回の主役はエミリコのお友達、パンちゃんです。

 

なんと堂々の扉絵デビューです。

ちなみに、連載時は年明け最初のお話ということで、鏡餅に似たパンちゃんを起用したと公式発表されていました。

 

15話は前回の“亡霊”騒動から暫くしたところから始まります。


朝の呼び鈴が鳴るたびにあの騒動を思い出すエミリコ。
以前であれば朝になると飛び起きていたのですが、よほどショックだったのでしょう。
浮かない顔をしているのは、授業の中断が残念だからという理由だけではなさそうです。

なお、この時エミリコは髪を束ねた寝間着姿ですが、この格好が複数コマで描写されるのは第3話以来ですね。寝る時もシャドー家の顔として気を付けないと、朝は寝ぐせやらなんやらで大変な目に遭うのはご承知の通りと思います。

さて、起きてからパンちゃんに笑顔で挨拶をするエミリコ。
とても大切なのでしょう、仕事の時も一緒です。

ところがこの日の掃除中、エミリコはケイトから注意されてしまいます。
(そういえば久々にケイトが登場しましたね)

理由はケイトが大切にしているあのぬいぐるみ。
それが勝手に動いていたとケイトは言いました。

するとエミリコはパンちゃんが朝動いていたのを思い出し、ケイトのぬいぐるみも勝手に動いたと喜びます。
が、突然そんなことを言われたケイトはエミリコがごまかそうとしていると誤解して声を荒げます。
とその時、ロケットのようにポケットから飛び出すパンちゃん。
さすが鳥のぬいぐるみなだけあります。

これにはケイトもびっくりです。
そんな力があることを自覚していなかったケイトは信じられないといったふうです。

いわゆる“偉大なるおじい様”の力が介在する生き人形はともかくとして、自らがぬいぐるみを動かせるはずがないと語るケイト。
それに対しエミリコは、「では、ケイト様に偉大な力があるのではないですか」と、聞く人によってはおじい様に失礼だと叱られそうな台詞とともに、再度パンちゃんを動かせようとケイトを催促します。

確かにケイト様の念により微動するパンちゃん。
やはりケイトが何らかの要因で関わっているようです。

ただ、いろいろ試す中で動かせる人形と動かせないものがあることに二人は気付きます。
動かせる人形に共通すること…。

エミリコは、動かせる人形は自身が手を入れたもので中身がケイトのすすであることに思い当たりました。
これには驚いた様子のケイト。まるで表情が見えるかの如く衝撃を受けています。
だって普通、そんなもの綿の代わりにしないですものね。

大切なものには大切なものを入れたかった、と説明するエミリコ。
どうやらケイトはお気に召さなかったようでそっぽを向いてしまいます。

また失敗してしまったかと焦るエミリコ。
そっけないケイト嬢。

が、やらかしてしまったかのように見えて、実はケイトからすすが出ていないんですよね。
これはいつぞやと同じ、意地悪で怒ったふりをしているケイト様です。
ただの照れ隠しですね。

もうこの頃になると、鍛え上げられた読者でならば、ケイトの表情までもが見えるようになってきています。
かくいう私もその一人です。

なんだかんだで、ケイトを慕うエミリコのことが、ケイトも愛おしいのだろうなと感じるほのぼのストーリーでした。

第10話 落ちない汚れ

“天真爛漫、純真、前向き…”

これがエミリコの魅力です。


ただ、それと引き換えに、


“おっちょこちょい、天然、不器用…”

という側面もあります。

 

そんなエミリコが失敗を乗り越え、新たな一面を見せたのが今回のお話です。

 

本を探しているケイトに、これではないかと机に置いてある本を渡そうとするエミリコ。

ところがその拍子に、花瓶を倒し本が濡れそうになってしまいます。

慌てて傍らにあったぬいぐるみを犠牲に間一髪で本が濡れるのを切り抜け、エミリコは一安心。

が、何とか本を守ったかに見えたエミリコにケイトは激怒します。

 

その犠牲にしたぬいぐるみはケイトのお気に入り、大切なものでした。

これまで一度もエミリコの失敗を怒鳴りつけることのなかったケイトのことですから、よほど大事なものだったのでしょう。

エミリコの弁明を聞くことなくお風呂に入ってしまいます。

 

さすがに今回は大失敗をしてしまったと落ち込むエミリコ。

そんなエミリコに今度は落ちない汚れが立ち塞がります。

 

部屋に戻って掃除のマニュアルを見ようにも文字の読めないエミリコ。

寝坊してケイトとお勉強できなかったあの日のことが悔やまれます。

 

ところが、しょげるエミリコにある文面が目に留まります。

それは生き人形の掟についてのお約束…

 

エミリコは気を持ち直すと、なんと濡れてしまったぬいぐるみをきれいに直してしまいました。

 

こんな特技があったのかと読んでいる読者もびっくり。

ケイトも元通りになったぬいぐるみを見て感心しきり。

 

なんと、先程怒鳴った非礼をエミリコに詫びました。

自身が至らなかったと思えば素直に非を認め、相手が過ちの責任を果たしたのであればそれをきちんと受け入れる…

 

もはや貴族の真似事ではなく、貴族そのものと言って差し支えありませんね。

まるで連綿と受け継がれてきた名門貴族の血を引いているかのようです。

エミリコがケイトの鏡ならば、ケイトは貴族の鏡と呼んでも過言ではないでしょう。

 

こう書くと、何をそんなに大袈裟な、と思う方もいるかと思いますが、何かと人は身分が高くなるにつれてこんな簡単なことができなくなるのが相場です。いや、身分の高い低いに拘らず、大多数の人間の本質とも言えます

 

それをこうやって自然と態度に出すことのできるケイトは、既に立派なフロイライン(ドイツ語で令嬢の意)の一員です。

 

さて、ついついケイトへの賛辞を書き連ねてしまいましたが、逆に言えばケイトにこんな振る舞いをさせたエミリコも十分凄いことをやってのけたと思います。

 

というか今回の話の要点はそれでしょう。

しかも別の布で自分のぬいぐるみまで作っていますし。(なぜか分からないけど鳥を模したデザイン、名前は“パンちゃん”)

更に、ケイトの怒りが静まったのと連動するかのように、落ちなかった汚れがバッサリ落ちました。
相変わらず謎の多いすすです。

 

それまで大きな挫折という失敗のなかったエミリコですが、今回のお話で大きく成長した様子がはっきりと描写されました。

 

節目となった第10話は、受け身がちだったエミリコが初めて己を前面に出した、ターニングポイントとして欠かせないエピソードです。

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