来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

2019年02月

第19話 余計なこと

城やお屋敷といった建物は、一般的に言って外部からの脅威に対する防御策が備わっています。

ここでいう"脅威"とは、外敵や侵入者だけではなく、例えば風雨といった気象や自然環境、あるいは疫病などもこの範疇に入るかと思います。

基本的に居住建造物というものは、外部環境からの厄災を防ぎ、中にいる者が快適に過ごす。
大小の違いはあれど、これが 目的の一つといえるでしょう。

一言で言えば、外からの異物を追い払うか排除する。
これに尽きます。

では、それが内側に向けられたとしたらどうでしょうか。
これの典型的な例は刑務所ですね。
刑務所の場合は、社会あるいは社会活動を守るため、収容者を社会に出さないように監視しています。

先ほどの例とは逆ですね。
社会側の人間としては、逃げた収容者側が社会というスペースに入ってきた侵入者、ということになります。

さて、つい小難しいことを長々と書いてしまいましたが、一応シャドーハウス第19話の紹介です。

なにゆえ脅威だとか侵入者だとか不穏な話をしたかと言いますと、今回のお話ではシャドーハウスの秘密の一面、いや一端がとうとう顔を見せたからです。
なお、ここでいう"シャドーハウス"とは作品の題名ではなく、劇中でエミリコ達が住む屋敷のことです。

前回のラストで現れた怪しげな人影に、亡霊かと慌てふためく三人。
しかしショーンはそれを亡霊ではないと見抜きます。

では何者か。
それはシャドー家、つまり"お影様"でした。

普段生き人形が、主人として仕えている側の存在ですね。

ただその風貌はあまりに奇妙です。
前回の記事で私は、シルエットから"顔のない人形"のようだと推測しましたが、まさかこんな格好したシャドー家側の人物とは思いもしませんでした。
だって手の形とか、いかにも怪物的な描かれ方をしていましたしね。
というか、シャドー家なら顔は見えないのだからわざわざ全身を覆うような格好する必要がないと思います。

ちなみに公式側ではこの人物を"ローブシャドー"と呼んでいるようです。
なので、私ももし言及する際にはこの名で呼ぶようにしたいと思います。

さて、そんな怪しい姿が突然出現したら誰でも驚きます。
実際、ラムははぐれてしまいました。

なのでもはや亡霊探しは中止です。
ローブシャドーは夜中に出歩いているのは秘密らしく、エミリコとショーンに口外しないという約束をすると、特に危害を加えるといったこともなく、二人のラム探しに同行することになりました。

道中はぐれたラムの回想シーンや、ショーンのコミカルな描写もありましたが、今回の紹介では長くなるので省きます。


今回のお話で一番注目したいのは、ラストの3ページです。


ラムを探すために、とうとう玄関へとつながる廊下へ足を踏み入れた二人。

ここは扉を開けて侵入すること自体が禁止だと指摘するショーン。
ラムを探したい一念のエミリコ。

ローブシャドーによる、彼女たちの行動を黙認するかのような発言もあって、二人は奥へと進んでいきます。



その刹那。


エミリコの顔を、矢がかすめました。

ショーンのとっさの機転で、髪のリボンが千切れただけで済んだエミリコ。

しかし脇を見てみると、見事に壁に刺さった矢。
その数、11本。

白黒だとより分かりやすいですが、反対側のカーテンには13か所穴が開いているのが見えますので、実際に放たれた矢はそれ以上かもしれません。
しかもエミリコの頭の位置から膝くらいまでまんべんなく刺さっています。
ショーンに引っ張られてもなお、顔をかすめる軌道だったということは、警告・威嚇のためでは決してありません。

ショーンの言う通り、掟を破った生き人形は即処分、という意味です。

これまで、作中では何度も不穏の片鱗を覗かせたシャドーハウスという館。
幾度となく不気味な描写があり、これからの物語の行方に、不吉な予感を感じさせてはいました。

その館が、とうとうエミリコ達に牙を向いたのです。

そしてその罠を知っていたかの如く、不敵な笑みを浮かべていそうなローブシャドー…


この仕掛けは外敵から館を守るためではありません。
ましてや、来客のない館なのですから。

かといって、生き人形たちが悪意を持って、凶行を目的に屋敷の外へ出ていくとも考え難いです。

ならばその目的は何か。

ただただ、この館を支配する存在が、生き人形達を生きたまま外に出すよりは即処分した方が良いと判断している。
そういった意図があるとしか、今のところ考えられません。

今回放たれた矢は、これまでの和やかな日々が夢だったといわんばかりに鋭く、そして深く物語に突き刺さりました。

第18話 深夜の見廻りにて

さて、ようやくこの各話紹介も18話まで来ました。
これを書ききれば、残すは今週掲載された19話だけですので頑張っていこうと思います。

今回の扉絵は、暗い大広間に佇む二人の生き人形と、それに向かって歩く長い影が描かれています。
いかにも夜のお屋敷といったようで、怪しさを感じずにはいられません。

まあ正体を明かしてしまうと、前回のバービーの指令により集まった3人なのですけどね。

エミリコが最後に来たことにより、無事三人集合しました。

さあ、それではまずはみんなで元気に自己紹介!

…と言いたいところですが、輝くようなエミリコの笑顔に対し、二人の黒髪の生き人形は無言です。

ちなみに先に言っておきますと、今回のお話はほぼエミリコが喋っています。
本当にこれでもかというくらい一人で喋っています。

なので傍から見ると、独り言をずっと言い続ける変な生き人形に見えなくもないですが、ご安心下さい。彼女は平常運転です。

むしろ黒髪少年と黒髪少女がかなり寡黙なため、エミリコがおしゃべりさんのように見えてしまっているだけです。ここにミアを投入してみたら、かなりやかましいこと間違いありません。
本当に生き人形って、個性的です。

自己紹介を促すエミリコですが、黒髪少女のほうは緊張しているのか口をきいてくれません。
代わりに口を開いたのが黒髪少年、ショーンという名の生き人形です。

やっぱり一人称は「俺」なんですね。
大人しそうな見た目、というか実際冷静沈着なのでしょうけど、内面の方はもっとワイルドなのかも知れません。

とりあえず顔合わせは終わりましたので、いざ亡霊騒動の原因調査に出発です。

しかし、ここでエミリコは重要なことを忘れています。

それは、手掛かりが何もないこと。

なのでショーンは、新人の自分たちだけで解決できるのか疑問のようです。
そう、この子たちって新人なんですよね。

ルウなんかの例もありますので、
新人=お披露目前
というわけではなさそうですが、いずれにせよ経験不足は否めません。

そんな彼の懸念を、

・何かあるはず
・時間はたくさんある
・どうにかなる

と言い放ち、先導を始めるエミリコ。
彼女の“常に前向き”という性格が、いかんなく発揮されています。
さながら探検に行く子供みたいです。
いや、でもこれ、いやな予感しかしないような…

そんなこんなで意気揚々と進むエミリコですが、ショーンが置いてきぼりをくいます。
バービーに対して目が悪いと言っていましたが、あの時のは言い訳ではなくて、本当に目が悪いみたいです。普段はどうやってお勤めしてるんだろう?

なのでショーンを迎えに行くエミリコ。
ところが今度は、黒髪少女の方を置いてきぼりにしてしまいました。

結果、エミリコが両手で二人を引いて歩くという、珍妙なフォーメーションになってしまいました。
エミリコのランプは黒髪少女の持ってる箱に入れてもらったのかな?

兎にも角にも、これが此度の探検スタイルとなったようです。
二日目以降も真ん中エミリコ、脇にそれぞれ一人という並びで館の中を探検していきます。
三手に分かれればもっと探しやすそうなのに、何だかいろいろ残念な状況です。
これで本当に原因が見つかるのでしょうか。
ショーンはこの見廻りが主人の役に立つのか疑問のようで、探検スタイルとは裏腹に、既に心の足並みが乱れています。

二日目が終わり、三日目が終わり、四日目も終わり……

あのエミリコも、さすがにお疲れのようです。
可哀想に、目の下にくまができています。
連日満足に寝られていないのですから、当然といえば当然です。

そうして迎えた五日目、ショーンが大荷物をしょって現れました。
それを目にしたエミリコは役に立つものを持ってきたのかと期待します。

ショーンが持ってきたのは毛布です。
その毛布をエミリコの前で広げ、床に敷きました。

それを一体どうするのか…





と思ったら、いきなりの就寝宣言!

これには、なぜ!と絶叫するエミリコ。

ここのやりとり、勢いがよくて私は好きなのですが、それはそれとして原因捜索はどうするんだと問い質したくなります。

しかし、これには彼なりの理由がありました。

この深夜の見廻りによって日常の業務に支障をきたしている、と。

それを言われたエミリコも心当たりがあるようで、どうやら寝坊して失敗をしてしまったそうです。

今回の命令は、バービーが意地悪で主人と仲違いさせたいだけだと主張するショーン。
それだけでなく、そもそもやつれた顔では本来の顔としての務めもままならないだろう、といって毛布に転がり込んでしまいました。

そんなショーンにエミリコは、館の地図を広げて見せます。
なんとこれ、描いたのはミアです。
しかも上階に住んでいるのを利用して、窓から紐でつるしてエミリコとやり取りをしたようです。
この窓の形からすると、生き人形の部屋の窓から受け取ったのでしょう。
さすが優秀なだけあります。願わくば、今後その現場をバービーやその取り巻きに見つかりませんように……

けれども、彼は動きません。梃子でも明日まで寝るつもりなのでしょう。
まあ仕方ない気がします。

やむを得ず二人で調査に行こうとするエミリコ。

それをショーンは呼び止めます。

二人の毛布も用意したから寝たければ寝ろ、と。

なんだかんだで彼女達を気にしてくれていたのでしょうね。
エミリコも黒髪少女が眠たそうなのを見て、今晩はひとまず寝ることにしたようです。

大広間に川の字になって寝る三人。
もちろん真ん中はエミリコです。

夜の大広間に彼女の声だけが響き渡ります。

まるで修学旅行で気分が高揚している子供のようです。

途中、エミリコが毛布を持ってきてくれたことや先日助けてくれた出来事に感謝しますが、ショーンは照れ隠しなのか、自身がバービーにムカついただけだといって目も合わせません。

でも、そんなことはお見通しとばかりに優しく微笑むエミリコ。

やっぱりショーンは、なんだかんだで根はいい性格なんでしょうね。

ところがその時、黒髪の少女が嗚咽を漏らします。
二人の気遣いに耐え切れなくなったのか、そして申し訳なさからでしょうか。
それはすぐに号泣に代わりました。

曰く、見廻りなんかもうやめましょう、と。

自分のために二人を巻き込んでいるのが心苦しいのかも知れません。
今もこうして気を遣わせていることが申し訳ないのかも知れません。
そして迷惑をかけているという事実が情けないのかも知れません。

彼女が、自ら自分は要らない子なのだからと叫ぶまでに至った経緯と胸中を思うと、言葉が見つかりません。

今晩は寝ると決め込んでたショーンも、彼女のその姿を見て流石にやりきれない表情です。

しかし、誰もが同じようなまなざしを向けるであろうこの状況下、凡人の域を超えた反応を見せた存在がありました。

そう、我らが主人公、エミリコです。

十人中十人が、彼女をどう慮ろうと考えるであろう場面で、エミリコは黒髪の少女が喋ってくれたことに大喜びです。
そして今回の出来事は迷惑ではないこと、仲良くなるきっかけになって嬉しいこと、エミリコ自身も失敗作といわれたことがあることなどを、黒髪少女に語り掛けます。


これでやっと心開いたのか、自らの名前を「ラム」と答える黒髪少女。
それにエミリコは無邪気に「ラム!!」と返します。
この無垢な笑顔、ようやくいつものエミリコが見られた気がします。

二人のやり取りを間近で見ていたショーンも、かすかではありますが笑みを浮かべます。
やっぱり良いやつだな、ショーン。

紆余曲折を経て結束が固まったかに見えた三人でしたが、それを見ていたかのように、大広間の入り口に黒い影が現れました。
カーテンに手をかける指は怪物のようであり不気味です。
また、背丈もかなりあるようです。
シルエットからは、普段生き人形達がお世話になっている顔のない人形に似ている気もしますが、これだけでは何だか分かりません。

この正体不明の影が幸をもたらすのか厄をもたらすのか。
亡霊騒ぎの原因の解き明かしと共に、彼女たちに難題が降りかかる予感を秘めて、次号に続きます。

さて、これで前回まで各18話の紹介が終わりました。
ああ、ようやく19話を読めるぞ!楽しみです。

第17話 星付き

今回は題名・扉絵共に、あの生き人形達のリーダー・バービーがその勇姿を披露しています。

もっとも実態は、さながら"すす取り軍曹"といった方がしっくりくるかもしれませんね。

第17話は、その鬼教官に対し反旗を翻した配属されたての新人たちが、困難な任務を与えられるというストーリーです。
(※かなり恣意的に要約しています。)

さて、この日は久々の大掃除の日。
朝早く起きたエミリコは、早起きをして本を読むケイトと鉢合わせします。
聞くところによると 、そろそろお披露目が近いので勉強していたとのこと。
会話の内容から、やはりお披露目前のシャドー家は外に出てはいけないようですね。
以前窓から落ちたエミリコを助けに行ったのは、かなりリスキーな行動だったということが分かります。

ということは、です。
ケイトにとって本以外の知識を得る手段はエミリコからの情報ということになります。
すなわちそれは、諜報員としてケイトの目となり耳となり有用な情報を集めるということ…。

随分と重要な役割がここにきて出てきましたね。頑張れ、エミリコ。

ケイトも、お互い知らないことは教え合おうと提案する様子からして、本だけでは分からないことがあると気づいているようです。

表情は読み取れませんが、ケイトもエミリコを頼りにしているということでしょう。
ケイトの提案に返事をし、エミリコは大掃除に向かいました。

ところが大広間に出ると、前回とはうって変わって、生き人形達が一つの場所に集まっています。
描かれている各生き人形を見てみると、どうやら班ごとに集まっているようです。

何があったのか聞くエミリコに、
「星つきからありがたいご指導があるみたいよ」
と嫌そうに返事するミア。

皮肉たっぷりです。
前回の亡霊騒ぎの件絡みというのだから、当然愉快なご指導ではないことは明白です。
ただ、それを除外したとしても、表情から面倒だなという雰囲気を醸し出すミア。
まあその理由はこの後分かるわけですが…

ざわつく大広間に突如現れる屈強そうな生き人形。
彼が勢いよく踏み台を置くと、そこに上る生き人形が鈴を鳴らしました。

バービーの登場です。

話の内容はやはり、先日の亡霊騒ぎの件。
それについて聞き取りを行うようです。
先程の屈強そうな少年の生き人形は、書き取り係のようでペンとボードを持ってバービーの脇に控えています。マネージャーか何かなのかな?
生き人形も、生き人形の組織としてのそれぞれ役割があるのかもしれません。
(班行動しているんだから、それはそうか…)

さて、聞き取りとは言うものの、その光景はさながら尋問です。
ローズマリーの班の順番が来ると、こびりつきを一時的に逃してしまったこともあってか、かなりつらく当たるバービー。
ローズマリーに対し、相変わらずの“ぼんくら”呼ばわりで、ローズマリーもたじたじです。

そこに助け舟を出したミア。
バービーの質問(詰問?)に理路整然と答え、場合によっては自分たちの持ち場を確認しても良いと申し出ます。
面接だとしたら百点満点の答えです。

が、それが裏目に出ました。
バービーはミアの前にかつかつと歩き出すや否や、お腹に蹴りを入れます。
理由は、班長のローズマリーに聞いたのに勝手に答えたという理不尽なものでした。
しかもその上、“でしゃばり”呼ばわりまでする有様…。

多分理由はどうでもよくて、淡々と完璧な返答をしたミアが気に食わなかったのでしょうが、これまでのミアの言動を見る限り、今までも似たようなことがあったのかも知れません。
優秀なのが逆に、目を付けられる要因になっているのではないかと思えるほどです。

さすがのエミリコもこれに対し抗議します。
今まで彼女が見せたことのない表情をしていることからも、よほど腹に据えかねたのでしょう。
自身がバービーに目を付けられかねない状況ですが、歯を食いしばりバービーの方を向く姿から、既にそれは覚悟の上と見受けられます。

そんなエミリコに向かって歩を進めるバービー。

ところが意外なところから邪魔が入ります。

それは付近で掃除をしていた黒髪の生き人形の少年。
バービーの前をモップをかけながら通り過ぎます。
しかも怒るバービーに目が悪いからと言い訳をした上に、こちらもバービーに粛々と反論します。

これには暴力に出る口実が見い出せません。

が、今度は別の方向から横やりが入ります。
なんと、金髪オールバックの少年が黒髪の少年に近寄ったかと思うと、すかさずボディーブロー!

少年という容姿・カーディガンという服装から、まるで寄宿学校の生徒同士の喧嘩を見ているかのようです。

さすがにやり返そうとする黒髪の少年に対しては仲裁が入りましたが、これでは恐らく現場の空気は最悪でしょう。

そんな最悪と思える空気を、つんざくような音が切り裂きます。
ある班の生き人形の少女が荷物を落とした音でした。

今度はなんだ!、と叫ぶバービー。
私も同感です。
あまりに多くの出来事が起き過ぎて、あらすじを書くだけで疲れてきました。

ごめんなさいと謝る少女に、今度はバービーの矛先が向かいます。
どうやらこの黒髪の少女は以前にも何か失敗してしまったようで、もはや容疑者のような取り扱われ方です。
これに対しても抗議しようとするエミリコ。
すかさずミアが食い止めます。さすがに二回目はまずいですからね。

その代わりエミリコは、黒髪の少女と同じ班の生き人形に助けを求めます。

ところが、まったくつれない返事。
しかも黒髪の少女に自分たちの荷物を持たせていたようで、まるでその態度は、使用人のことを顧みない主人のようです。よくそんなんでお影様に仕えていられるな…
挙句の果てに、仕事ができないからと“失敗作”と吐き捨てます。

これには思うところがあったエミリコ、とうとうバービーに再び食って掛かります。

後ろには、あちゃーという仕草をするミアと、あらまあというふうなローズマリーの姿が。

今回のエミリコは、はっきり言ってかなり熱いです。
今まで彼女の小さい体のどこにその情熱があったのかと思うほど、仲間や力のないもののために理不尽に立ち向かいます。
その姿はさながら、ジャンプ漫画の主人公のよう。
いや、まさにエミリコはまっすぐな心を持ち優しき想いを皆に分け与える、理想的な主人公であることは疑いようがありません。

するとバービーは、エミリコと黒髪の少年・黒髪の少女にある指示を下します。

“次の大掃除までに亡霊騒ぎの原因を突き止めろ”

これによって、ようやくこの日の聞き取りが終わりました。

ちなみにこの時、黒髪の少年を殴った金髪オールバック少年だけはバービーから評価されていました。

一連の出来事が終わり、掃除を始める生き人形一同。
ミアは納得できないようで、ずっと文句を言っています。
しかしミアはエミリコに、バービーの主人はシャドー家の実力者だから注意するようにと忠告します。
そんな力関係があるのですね。
そう考えると黒髪少女の主人も、班の中では地位が下なのかも…。

ただ、ローズマリーはエミリコにそんなに心配することはないと優しく話しかけます。
その言葉は、不穏な出来事が続いた今回の話によって不安を抱いた読者にも向けられているかのように感じられます。
非常時には頼りない彼女のおっとりした性格も、こういう状況では非常にありがたいですね。

そんなローズマリーに心慰められたのか、エミリコは先程の黒髪少女に笑顔を向けます。
この日初めて見せる彼女の笑顔です。
黒いリボンをきりりと付けたエミリコには、うん笑顔がやっぱり似合っています。(昔某アイドルのヒット曲にこんな一節がありました。)

さて、これから1週間以内に亡霊騒動の原因を突き止めなければいけません。
早速その日の夜から調査に赴くエミリコ。

ところが、それは同時にケイトといる時間が削られるということです。
一緒に勉強したいというケイトの頼みは断らずを得ません。

そう、といって表面上は平静を装うケイト。
しかし、夜一人で勉強するケイトからはすすが出ています。

亡霊騒動の原因を突き止めなければならないと同時に、ケイトとのすれ違いという問題もエミリコは抱えなくてはならなくなってきました。

エミリコはこの試練にどう立ち向かうのか、見守らずにはいられません。

第16話 洗浄の間

とうとう19話の掲載号が発売されましたね。

かくいう私はまだ読んでおりません。
このブログでの各話紹介を昨日までに書き終えたかったのですが、残念ながら間に合いませんでした。
ですが、先入観を持つのも良くないと思いますので18話まで書き終えてから19話を読んでみようと思います。

いかんせんこの漫画は内容が濃いですからね。
しようがないと自分に言い聞かせながら残り3話、紹介していきたいと思います。


今回のお話はお風呂回です。

お風呂回といっても、近年のアニメにありがちなお色気要素は一切ないですけどね。私としてはシャドーハウスにそういった要素は求めていませんので、ホッとしました。

さて、洗浄の間については以前の大掃除の時に少しだけ触れられています。
真っ黒になったエミリコが現れる直前、上機嫌に踊るミアの発言から確認できます。

ミアはこの洗浄の間で身体を洗うのが好きなんでしょうね。
この日も先日の亡霊騒動の話もそこそこに、エミリコに今日は楽しい日だと陽気に廊下を進んでいきます。

生き人形の見た目や性格付けといった個性がどうやって生み出されているのか、またどう決定されているのかはまだ分かりませんが、恐らく“偉大なるおじい様”なる存在が大きく関わっている可能性があるのは疑いようがないでしょう。

それについての考察はまた後日、書いていこうと思います。

さて、ミアについては少し大人っぽく、かつ明るい優等生みたいな性格付けがなされているようです。しかもエミリコとの絡みを見る限りだと面倒見も良い。亡霊騒動の際の言動・行動を見ても、かなりしっかりとした生き人形のように見受けられます。

果たして入浴中、ミアは自身が生まれつき優秀だと語ります。
普通こんな発言をしたら鼻持ちならない野郎だと反感を買いそうですが、生き人形が作り物という前提があっての発言ですので、そこまで気になりません。
また、エミリコに生き人形のスタートラインはそれぞれ違うと前置きをした上での会話ですので、うまく彼女なりに気を使いながら会話しているようです。
これ一つとっても、頭が良いのが伝わってきます。

対してエミリコは、どちらかというと外見も性格も幼い印象がありますね。
洗浄の間に入る前も、男の子たちが並んでいる後ろに並ぼうとしてミアに止められていたり、人形でも男女別に分かれることに不思議がっています。

エミリコについては、彼女自身が自らを人形だと強く認識していることもありますが、内面はまだ思春期前の少女と考えられます。

ちなみに、エミリコが自身を人形と強く認識している描写として、今回のお話でも洗浄の間に初めて入った日のことに触れていますので、これも彼女の性格の特徴といえるかも知れません。
(ただ単にミアとの知識の差だけかもしれませんが)

さて、洗浄の間を進むとシャワールームで泡を流しますが、この時エミリコはミアの体に付いた痣を目にします。明るい空気で進む今回のお話の中でこの場面だけが特異ですので、いやがおうにも気になります。
もしかしてサラに虐められているのでは…、と勘繰りたくなるような不穏なシーンです。
(しかも外からは見えない位置に痣があることが、余計そう感じさせます。)

シャワーが終わるとまるでエステのような空間になり、そこでは顔のない人形によって生き人形達の身だしなみが整えられています。

そういえば生き人形って主人に仕えてはいるものの、実際の仕事はすす掃除と顔としての役割だけなんですよね。
調理炊事や洗濯などは顔のない人形の仕事です。
よくよく考えてみるとケイトが生き人形はただのメイドじゃないのと言っていましたが、確かに通常考えられるメイド像とは似て非なるものです。
日常業務のみに限れば掃除しかしないわけですし。
(エミリコはケイトの話し相手や裁縫といったこともできますけどね)

これもシャドーハウスという作品の世界観の特徴といえるかも知れません。

暫くすると、エミリコ達の後に洗浄の間に入ったルウが姿を現しました。
その隣には、元気そうなローズマリー‼
亡霊騒動の際にすす病に掛かってしまいましたが、大量に水を飲むという治療(?)の結果、大事には至らなかったようです。

これにはエミリコも嬉しそうです。
きっと、ずっと心配していたんでしょうね。
これでとりあえずは一安心です。
いや、本当に良かった…。

笑顔で終わるエミリコを、久しぶりに見ることができた気がします。

第15話 動く人形

題名を見て、エミリコ達のお話かと思っていたら、どうやら違いました。

今回の主役はエミリコのお友達、パンちゃんです。

 

なんと堂々の扉絵デビューです。

ちなみに、連載時は年明け最初のお話ということで、鏡餅に似たパンちゃんを起用したと公式発表されていました。

 

15話は前回の“亡霊”騒動から暫くしたところから始まります。


朝の呼び鈴が鳴るたびにあの騒動を思い出すエミリコ。
以前であれば朝になると飛び起きていたのですが、よほどショックだったのでしょう。
浮かない顔をしているのは、授業の中断が残念だからという理由だけではなさそうです。

なお、この時エミリコは髪を束ねた寝間着姿ですが、この格好が複数コマで描写されるのは第3話以来ですね。寝る時もシャドー家の顔として気を付けないと、朝は寝ぐせやらなんやらで大変な目に遭うのはご承知の通りと思います。

さて、起きてからパンちゃんに笑顔で挨拶をするエミリコ。
とても大切なのでしょう、仕事の時も一緒です。

ところがこの日の掃除中、エミリコはケイトから注意されてしまいます。
(そういえば久々にケイトが登場しましたね)

理由はケイトが大切にしているあのぬいぐるみ。
それが勝手に動いていたとケイトは言いました。

するとエミリコはパンちゃんが朝動いていたのを思い出し、ケイトのぬいぐるみも勝手に動いたと喜びます。
が、突然そんなことを言われたケイトはエミリコがごまかそうとしていると誤解して声を荒げます。
とその時、ロケットのようにポケットから飛び出すパンちゃん。
さすが鳥のぬいぐるみなだけあります。

これにはケイトもびっくりです。
そんな力があることを自覚していなかったケイトは信じられないといったふうです。

いわゆる“偉大なるおじい様”の力が介在する生き人形はともかくとして、自らがぬいぐるみを動かせるはずがないと語るケイト。
それに対しエミリコは、「では、ケイト様に偉大な力があるのではないですか」と、聞く人によってはおじい様に失礼だと叱られそうな台詞とともに、再度パンちゃんを動かせようとケイトを催促します。

確かにケイト様の念により微動するパンちゃん。
やはりケイトが何らかの要因で関わっているようです。

ただ、いろいろ試す中で動かせる人形と動かせないものがあることに二人は気付きます。
動かせる人形に共通すること…。

エミリコは、動かせる人形は自身が手を入れたもので中身がケイトのすすであることに思い当たりました。
これには驚いた様子のケイト。まるで表情が見えるかの如く衝撃を受けています。
だって普通、そんなもの綿の代わりにしないですものね。

大切なものには大切なものを入れたかった、と説明するエミリコ。
どうやらケイトはお気に召さなかったようでそっぽを向いてしまいます。

また失敗してしまったかと焦るエミリコ。
そっけないケイト嬢。

が、やらかしてしまったかのように見えて、実はケイトからすすが出ていないんですよね。
これはいつぞやと同じ、意地悪で怒ったふりをしているケイト様です。
ただの照れ隠しですね。

もうこの頃になると、鍛え上げられた読者でならば、ケイトの表情までもが見えるようになってきています。
かくいう私もその一人です。

なんだかんだで、ケイトを慕うエミリコのことが、ケイトも愛おしいのだろうなと感じるほのぼのストーリーでした。

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