来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

2024年11月

第207話 一堂に会して【感想】

先週発売のヤングジャンプは大きな注目を集めました。

大ヒット作【推しの子】が最終回を迎えたからです。

【推しの子】と言えば、昨年のアニメ化では社会現象級の旋風を巻き起こしていました。

特にyoasobi氏の手掛けた「アイドル」はアニメに関心のない層にも浸透し、CMなどで耳にすることも多かったです。アニメの大成功により、【推しの子】は一躍日本を代表する連載漫画へと駆け上がっていきました。


ただ、正確に言うと【推しの子】は連載当初から注目の的でした。

人気漫画家の赤坂アカ先生と横槍メンゴ先生がタッグを組むという話題性、これまでになかった物語設定、多くの魅力的なキャラクター達、そしてサスペンスやラブストーリーを織り交ぜたエピソード……

こういった多くの要素を含んだ【推しの子】は瞬く間に多くの読者を惹きつけ、2021年の「次にくるマンガ大賞」ではグランプリを獲得しています。

【推しの子】は「容姿やコネクションを生まれた時から持ち合わせていたら」「この芸能界(セカイ)へのチケットが初めからその手にあったなら」というナレーションから物語が始まりますが、大人気作家同士のタッグと世界的出版社の手によって生まれた【推しの子】は、まさしく誕生と同時に大ヒットが約束されていたと言っても過言ではなかったでしょう。

一つの作品をここまで大きなコンテンツへと育て上げた作者のお二人、そして多くの関係者の並大抵ならぬ努力に思い馳せ、まずは無事にフィナーレを迎えたことに安堵するとともに、お疲れ様でしたという言葉をお送りしたいと思います。


ところで、【推しの子】が連載を開始したのは2020年春ですが、実は掲載号のヤングジャンプ本誌持ってます!

ということで自慢ですが写真をどうぞ!
推しの子

巻頭カラーで輝くルビーとアイ。

もうこれだけでオーラが漂っていますね。こんなにも光が放たれた作品がヒットしないわけがありません。改めて読み返してみて、当時感じたワクワク感が思い出されました。


さて、なぜ私がこの本誌を購入していたかと言いますと、【推しの子】が大ヒットするということが分かっていたからではありません。理由はシャドーハウスの第62話が掲載されていたからです。

煽り文を見たことない方もいらっしゃると思いますので、どうぞこちらもご覧下さい。
62話

察しの方もおいででしょう。第62話と言えばエミリコとショーンの『屋根上デート回』です。あの煌めく見開きページの夜空を見て、これは本誌を買わねば後悔すると感じて購入しました。

それが今になってブログのネタになっているのですから何がどう転がるか分かりませんね。まあ、最近は巻頭カラーとかでない限り中々本誌買えてないですが。部屋掃除しなきゃ……


思い返せばこの頃のケイトは味方が少なく、パトリックやルイーズでさえまだ攻略できていませんでした。それこそ前話の第61話で「同期の絆」がやっと生まれたばかりです。お披露目から間もないケイトの前には険しい道が続いていました。

しかし。

ネタバレになりますので詳しく触れませんが、それが今話では様変わりしました。

第61話でようやく同期の心が開き、第62話でエミリコとショーンがたった二人で希望を胸に決意固めた時には想像もできなかった「絆」が、まさに今、ケイトを頼もしく囲んでいるのです。その中心に凛と佇む姿は「麗しの薔薇」そのものです。遂に、遂にここまで来ました。


ですが、覚えている方も多いでしょう。

煌めく夜空にときめいた第62話のラストが、漆黒の暗闇だったことを。

それは当時の救護班班長・スザンナの姿でした。一対で深夜のこどもたちの棟を歩く彼女達の姿は、それまでのエピソードを忘れてしまうくらい不気味なものでした。


そして今回。

希望に満ち溢れたエピソードを不穏な空気で締めくくったのは、またしても救護班長でした。

エヴリンの冷たい声が秘密基地に響きます。



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第206話 葛藤【感想】

先々週、日本漫画史が大きく動きました。

今年度の文化勲章受章者に、ちばてつや氏が漫画家として初めて選ばれたのです。

漫画文化は昭和から平成にかけて発展を遂げてきましたが、かつては「漫画害悪論」とでも呼ぶべき偏見によって、芸術として認められない時期も多くありました。

それ故、娯楽として評価された後でさえも「文化」「芸術」とみなされず、市民権を得た今もなお、他の芸術分野と比較して軽く扱われるケースもしばしば見受けられます。

しかしながら、これまでの長い歴史の中で、表現技術を確立し大きな評価を受けた漫画家は数多くいました。


昭和の漫画家達に大きな影響を与えた田河水泡、漫画の神様・手塚治虫、「天才」藤子・F・不二雄、漫画の帝王・石ノ森章太郎、ギャグ漫画の王様・赤塚不二夫、アシスタント制度の先駆者・さいとうたかを、永遠のヒーローの生みの親・やなせたかし、妖怪と人間の架け橋・水木しげる、世界のレジェンド・鳥山明…………


このほかにも、社会や世界に大きく貢献した漫画家はいくらでもいます。しかしこれらの巨匠が、文化人にとって最大の栄誉である「文化勲章」を与えられることはありませんでした。我が国の文化の発展に大きく寄与したのは間違いないというのに、その功績が認められるまでに多大な時間を要したのです。

それだけに、此度のニュースは格別でした。

ちばてつや氏は文化勲章受賞について「全ての漫画家たちの創作活動に対してご評価をいただいたのだと、とても嬉しく、誇らしく思います」とコメントされていましたが、それは単なる謙遜ではなく、漫画という娯楽を「文化」と呼ばれる水準まで押し上げたこれまでの漫画家の姿を見てきたからこそでしょう。改めて、此度の出来事が画期的だったと感じますね。


さて、というわけで、ちばてつや氏の代表作「あしたのジョー」のモデルになった山谷に行ってまいりました!

泪橋

あしたのジョー

恥ずかしながら「あしたのジョー」を読んだことがないのですが、そんな私でも主人公の名前や、ジョーが真っ白に燃え尽きたシーンくらいは知っています。むしろ日本人のほとんどが知っていると言っても過言ではないでしょう。

南千住からほど近い山谷は、現在では綺麗に整備され普通の下町といった風情ですが、それでも所々に古い簡易宿泊所や銭湯などが見受けられました。「ドヤ街」と言われていた頃の名残は僅かでも、「泪橋」の交差点やジョーの像がこれからも、高度経済成長期という時代を語り継いでいくのだろうと思いました。


ところで「あしたのジョー」といえばボクシング漫画ですが、シャドーハウスにもパンチを得意技とするシャドーがいます。

言わずもがな、ジョンのことです。

彼が通称(?)「ジョンパンチ」を披露したことは何回もありますが、第51話ではすす能力ではなくただの殴り合いをするなど、実に個性的なシャドーです。そういえば当時のニコニコ静画では「あしたのジョン」なんていうコメントもありました。拳で語る熱き漢、それこそがジョンです。


今回のエピソードでは、暫く見せ場の少なかったジョンが元気な姿を見せてくれました。

しかし、こどもたちの棟に復帰したジョンが目にしたのは、「勲章」によって正気を失いつつあるこどもたちの姿でした。



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