城やお屋敷といった建物は、一般的に言って外部からの脅威に対する防御策が備わっています。

ここでいう"脅威"とは、外敵や侵入者だけではなく、例えば風雨といった気象や自然環境、あるいは疫病などもこの範疇に入るかと思います。

基本的に居住建造物というものは、外部環境からの厄災を防ぎ、中にいる者が快適に過ごす。
大小の違いはあれど、これが 目的の一つといえるでしょう。

一言で言えば、外からの異物を追い払うか排除する。
これに尽きます。

では、それが内側に向けられたとしたらどうでしょうか。
これの典型的な例は刑務所ですね。
刑務所の場合は、社会あるいは社会活動を守るため、収容者を社会に出さないように監視しています。

先ほどの例とは逆ですね。
社会側の人間としては、逃げた収容者側が社会というスペースに入ってきた侵入者、ということになります。

さて、つい小難しいことを長々と書いてしまいましたが、一応シャドーハウス第19話の紹介です。

なにゆえ脅威だとか侵入者だとか不穏な話をしたかと言いますと、今回のお話ではシャドーハウスの秘密の一面、いや一端がとうとう顔を見せたからです。
なお、ここでいう"シャドーハウス"とは作品の題名ではなく、劇中でエミリコ達が住む屋敷のことです。

前回のラストで現れた怪しげな人影に、亡霊かと慌てふためく三人。
しかしショーンはそれを亡霊ではないと見抜きます。

では何者か。
それはシャドー家、つまり"お影様"でした。

普段生き人形が、主人として仕えている側の存在ですね。

ただその風貌はあまりに奇妙です。
前回の記事で私は、シルエットから"顔のない人形"のようだと推測しましたが、まさかこんな格好したシャドー家側の人物とは思いもしませんでした。
だって手の形とか、いかにも怪物的な描かれ方をしていましたしね。
というか、シャドー家なら顔は見えないのだからわざわざ全身を覆うような格好する必要がないと思います。

ちなみに公式側ではこの人物を"ローブシャドー"と呼んでいるようです。
なので、私ももし言及する際にはこの名で呼ぶようにしたいと思います。

さて、そんな怪しい姿が突然出現したら誰でも驚きます。
実際、ラムははぐれてしまいました。

なのでもはや亡霊探しは中止です。
ローブシャドーは夜中に出歩いているのは秘密らしく、エミリコとショーンに口外しないという約束をすると、特に危害を加えるといったこともなく、二人のラム探しに同行することになりました。

道中はぐれたラムの回想シーンや、ショーンのコミカルな描写もありましたが、今回の紹介では長くなるので省きます。


今回のお話で一番注目したいのは、ラストの3ページです。


ラムを探すために、とうとう玄関へとつながる廊下へ足を踏み入れた二人。

ここは扉を開けて侵入すること自体が禁止だと指摘するショーン。
ラムを探したい一念のエミリコ。

ローブシャドーによる、彼女たちの行動を黙認するかのような発言もあって、二人は奥へと進んでいきます。



その刹那。


エミリコの顔を、矢がかすめました。

ショーンのとっさの機転で、髪のリボンが千切れただけで済んだエミリコ。

しかし脇を見てみると、見事に壁に刺さった矢。
その数、11本。

白黒だとより分かりやすいですが、反対側のカーテンには13か所穴が開いているのが見えますので、実際に放たれた矢はそれ以上かもしれません。
しかもエミリコの頭の位置から膝くらいまでまんべんなく刺さっています。
ショーンに引っ張られてもなお、顔をかすめる軌道だったということは、警告・威嚇のためでは決してありません。

ショーンの言う通り、掟を破った生き人形は即処分、という意味です。

これまで、作中では何度も不穏の片鱗を覗かせたシャドーハウスという館。
幾度となく不気味な描写があり、これからの物語の行方に、不吉な予感を感じさせてはいました。

その館が、とうとうエミリコ達に牙を向いたのです。

そしてその罠を知っていたかの如く、不敵な笑みを浮かべていそうなローブシャドー…


この仕掛けは外敵から館を守るためではありません。
ましてや、来客のない館なのですから。

かといって、生き人形たちが悪意を持って、凶行を目的に屋敷の外へ出ていくとも考え難いです。

ならばその目的は何か。

ただただ、この館を支配する存在が、生き人形達を生きたまま外に出すよりは即処分した方が良いと判断している。
そういった意図があるとしか、今のところ考えられません。

今回放たれた矢は、これまでの和やかな日々が夢だったといわんばかりに鋭く、そして深く物語に突き刺さりました。