“天真爛漫、純真、前向き…”

これがエミリコの魅力です。


ただ、それと引き換えに、


“おっちょこちょい、天然、不器用…”

という側面もあります。

 

そんなエミリコが失敗を乗り越え、新たな一面を見せたのが今回のお話です。

 

本を探しているケイトに、これではないかと机に置いてある本を渡そうとするエミリコ。

ところがその拍子に、花瓶を倒し本が濡れそうになってしまいます。

慌てて傍らにあったぬいぐるみを犠牲に間一髪で本が濡れるのを切り抜け、エミリコは一安心。

が、何とか本を守ったかに見えたエミリコにケイトは激怒します。

 

その犠牲にしたぬいぐるみはケイトのお気に入り、大切なものでした。

これまで一度もエミリコの失敗を怒鳴りつけることのなかったケイトのことですから、よほど大事なものだったのでしょう。

エミリコの弁明を聞くことなくお風呂に入ってしまいます。

 

さすがに今回は大失敗をしてしまったと落ち込むエミリコ。

そんなエミリコに今度は落ちない汚れが立ち塞がります。

 

部屋に戻って掃除のマニュアルを見ようにも文字の読めないエミリコ。

寝坊してケイトとお勉強できなかったあの日のことが悔やまれます。

 

ところが、しょげるエミリコにある文面が目に留まります。

それは生き人形の掟についてのお約束…

 

エミリコは気を持ち直すと、なんと濡れてしまったぬいぐるみをきれいに直してしまいました。

 

こんな特技があったのかと読んでいる読者もびっくり。

ケイトも元通りになったぬいぐるみを見て感心しきり。

 

なんと、先程怒鳴った非礼をエミリコに詫びました。

自身が至らなかったと思えば素直に非を認め、相手が過ちの責任を果たしたのであればそれをきちんと受け入れる…

 

もはや貴族の真似事ではなく、貴族そのものと言って差し支えありませんね。

まるで連綿と受け継がれてきた名門貴族の血を引いているかのようです。

エミリコがケイトの鏡ならば、ケイトは貴族の鏡と呼んでも過言ではないでしょう。

 

こう書くと、何をそんなに大袈裟な、と思う方もいるかと思いますが、何かと人は身分が高くなるにつれてこんな簡単なことができなくなるのが相場です。いや、身分の高い低いに拘らず、大多数の人間の本質とも言えます

 

それをこうやって自然と態度に出すことのできるケイトは、既に立派なフロイライン(ドイツ語で令嬢の意)の一員です。

 

さて、ついついケイトへの賛辞を書き連ねてしまいましたが、逆に言えばケイトにこんな振る舞いをさせたエミリコも十分凄いことをやってのけたと思います。

 

というか今回の話の要点はそれでしょう。

しかも別の布で自分のぬいぐるみまで作っていますし。(なぜか分からないけど鳥を模したデザイン、名前は“パンちゃん”)

更に、ケイトの怒りが静まったのと連動するかのように、落ちなかった汚れがバッサリ落ちました。
相変わらず謎の多いすすです。

 

それまで大きな挫折という失敗のなかったエミリコですが、今回のお話で大きく成長した様子がはっきりと描写されました。

 

節目となった第10話は、受け身がちだったエミリコが初めて己を前面に出した、ターニングポイントとして欠かせないエピソードです。