今月の上旬、約半年ぶりに東京ディズニーランドの“スプラッシュ・マウンテン”が営業を再開したそうです。

園内一番人気のアトラクションですので、ディズニーランドを訪れたことがある方は、ほとんどが乗ったことがあるのではないでしょうか?

一応説明させて頂くと、8人乗りの丸太を模したボートに乗り、ディズニー映画『南部の唄』という童話の世界を水路に沿って体験していくアトラクションです。
なぜこのアトラクションが一番人気かと言いますと、園内で一番の絶叫マシーンだからです。
基本的には童話調の牧歌的な世界観なのに、なぜか途中4か所に急流があり、最大のものは落差16mを時速60㎞で下っていきます。
落ちる先は茨の隙間だったり、水しぶきでびしょびしょになったりと、乗客を楽しませる仕掛けが結構あり、平成4年の稼働以来ずっと不動の地位を築いています。

さて、ここまでの話はほとんど本編とは関係がありません。
ただ、最終ページを見た時私が連想したのは、水や茨というキーワードが重なるこのアトラクションでした。
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前回繰り広げられた怒涛の展開。
一連の救出劇を終えて、ケイトは改めて周囲を見渡します。

檻の直下に置かれた荷車とその中身、そして根元から刈り取られた茨……

まさかと思いつつ、ここまでの事態を想定していただろうエミリコをしみじみと見つめました。

ところが、そのエミリコの額から流れ落ちる一筋の血が…!?

ここでのエミリコの急変はコミカルです。
ついさっきまで王子様のようだったのに、ケイトに慰められながら荷車で泣く姿は、乳母車に乗って母親にあやされる赤ん坊のようです。

不幸中の幸いか、高い場所に檻があったおかげで、ケイトは周囲の地形を熟知していました。
近くを流れる小川まで行き、エミリコの治療をします。

エミリコの手当てをするケイト、思ったよりも軽傷だったようで胸をなでおろします。エミリコもニコニコです。
ケイトと共にいられる嬉しさが滲み出ています。

「まだ合格できますね!」

顔に傷がついていなかったことで、元気を取り戻したエミリコ。
そう語る彼女は、無邪気そのものです。


ところが、すす時計を見上げたケイトは、そっと俯きました。

ケイト達がいる位置は、地図の左上。
対して、ゴールは左下です。

ほぼ庭園迷路の端から端までの距離を移動するには、少なくない時間が必要です。
しかし、ずっと檻の中からすす時計を注視していたケイトは、残ったすすの量を見てすべてを察してしまいました。

優しくハンカチで、エミリコの顔や足をぬぐうケイト。
壊さないように、傷つけないように、優しくエミリコの身体に触れていきます。

エミリコの身体に付いている汚れは、ケイトを救いたいとこれまで駆け抜けてきた、主人に対する忠誠の証でした。
それを慈しむように、ケイトは丁寧に丁寧に拭いていきます。


そのケイトの様子に、さすがのエミリコも悪い予感を感じたようです。

恐る恐る、ケイトに尋ねようとするエミリコ。
無言でかぶりを振る主人を見て、無邪気な彼女もとうとう察しました。

タイムアウトです。

非情にも、あれだけの試練を潜り抜けてきたというのに、それをクリアするだけの時間が残されていなかったのです。

残り時間、10分。
3階の重鎮達は、さっきまでケイト達を見ていたというのに、今では部屋の地図を向いて何やら考え事です。最大の見どころが残念な結果に終わって、落ち着きを取り戻したかのようにも見えます。

その彼らの態度には、この館を支配する異常な気風がこれでもかというくらい表れています。

新人達のひたむきな姿を、娯楽と称する重鎮達。
しかし、彼らが本当に目にしなければいけないのは、その後のケイト達の姿ではないでしょうか。


河原に座る生き人形を、そっと後ろから抱きしめるシャドー。
そのシャドーが思い返しているのは、これまた生き人形に頭を下げた、一人のシャドーの姿でした。

生き人形が生き人形らしくいられたのを、満足だと、幸せだと、思い残すことはないとそのシャドーは語ります。そして生き人形は、そっと主人にその身を委ねます。
おおよそ、館の中では見られない光景でしょう。

しかし、その彼女達の姿こそが、これからの “シャドーハウス” という館に残された『可能性』なのではないでしょうか?

にも拘らず、もう役目は終わったとばかりに重鎮達は無関心です。
あと少しでこの娯楽も終わる、とでも考えているのでしょう。

今際のきわに覚悟を決めた気高い少女達と、これからも怠惰に生きていく大人達の、冷酷かつ残酷な現実がそこにはありました。


しかし、そんな中でもケイト達を注視する存在がいました。

エドワードです。

試験官である彼にとって、無事に他の組がゴールしたのであれば、残された仕事はケイト&エミリコの脱落だけです。
今度こそ、計算通りに全てが終わると、安堵しています。
残された時間も可能性もないとばかりに、ゴールの扉を閉めていきました。

これで今後は安泰だと、すっかり油断しています。
出世は確実だと考えてでもいるのでしょう。自身の身の保証がなされたことで、心が満たされています。

しかしそんな彼に、異議を申し立てる少女が現れました。
まだ時間が残っていると口を挟んだのです。

それは、バービーのお影様でした。

格下からの指摘に、声を荒げるエドワード。
せっかく自身に酔っていたというのに、気分を台無しにされて不愉快だったのでしょう。
お前らは黙っていればいいとばかりの態度です。

それに対し、あっさり引き下がるものの、何か含みがありそうなバービーの主人。バービーと違い案外公正なのでしょうか?それとも、何かを知っているのでしょうか?

もしかしたら、バービーから『あの“お花畑”は一筋縄ではいかない』と聞いていたのかも知れません。
ならば、エドワードに向けられたささやかな警告だったとも考えられます。

そんなただ者じゃないペアを相手にしているとはつゆ知らず、キメ顔で扉を閉めるエドワード。
これでフィナーレだ!、といった表情です。
良い表情をしていますね。
しかし間もなく、この余裕な表情は完全に粉砕されることになります。

突如3階から飛び出してきたすすバト。
エリー(アイリーン)からの急報でした。

急いで庭園を確認しろという伝言。
文面から、尋常ならざる事態が起きたことが伺えます。

その彼女の伝言に、焦るエドワード。
歪む階段の描写に、エドワードのうろたえぶりが表れています。

計算通りだった筈の一連の “お披露目” 。
しかし彼は、一つの不確定要素を見逃していました。

いや、見逃してはいたのではなく、甘く見ていたのでしょう。
その軽んじていた違和感が、重く事実としてのしかかってきました。

覗いた双眼鏡の先には、微笑む二人の少女。
そして、猛スピードで庭園を進む彼女達が乗っているのは、あの荷車。

なんとケイトとエミリコは、水路を利用してショートカットを図ったのです!

水流を動力にして、エミリコの持っている棒で緩急をつけ、ケイトの煤を舵にしながら、庭園を爆進する二人。

まさに、この二人にしか見つけられなかった『解』です。

エドワードの目論見は、余裕そうな表情と共にあっという間に崩れ去りました。

追い詰められたエドワード。

さて、これでもケイトとエミリコを締め出すつもりでしょうか?
それとも、これさえも計算通りだったと強弁するつもりでしょうか?

与えられた困難な試練を、見事ケイトとエミリコは乗り越えました。

取れない筈のボールを投げつけたのに、いつの間にかエドワードの手中に戻ってきたボール。
ケイトとエミリコが出した『正解』に、果たして試験官三人組と重鎮達はどのような『見解』を示すのでしょうか?

シャドーと生き人形にとって、人生最大の儀、“お披露目”。
いよいよそのフィナーレが、目前です!!