一昔前の常識が現代の非常識になることはままあります。

例えば、プールに入った後に目を洗うことは眼球を傷つける可能性が高いため、最近では厳禁とされているそうです。

これを書くと年齢がバレそうですが、私が小学生の頃は学校のプールに洗眼水栓(目の間隔で蛇口が二つ付いた、上向きに固定された水栓)があって、授業後はこれで目を洗い流していました。

当時は疑いもしなかった行為が今では禁止されているとは不思議な感覚です。

ただ理由を調べてみると、水道水との浸透圧の違いや水流の勢いに問題があるらしいので疑問を挟む余地はなさそうですね。
昔は塩素を流すという説明に納得していましたが、案外尤もらしい理由さえあれば人はそれを信じてしまうのかも知れません。物事の判断とは難しいものです。

プールといえば、最近は暑い日が続くものの流行り病の影響で閉鎖しているところも多いそうです。
一時の混乱とはいえ夏の風物詩が消えてしまうのは寂しいものがありますが、来年の今頃にはこれまでと変わりない景色が見られることを願っています。


さて、久々の更新でシャドーハウスに関係のない話を長々とするのも難なので本題に入ります。

おじい様と共にある棟で衝撃的な出来事が起こる中、庭園で続くマリーローズの「最後の授業」。

窮地に追い込まれるケイトとジョンを救ったのは、エミリコの大好物でした。


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扉絵は踊るマリーローズとローズマリーです。
右下には彼女達の概要が書かれています。

第65話でも似たような形でベンジャミン組の紹介がされていましたが、こんな風に描かれるとトレーディングカードみたいですね。
こうなってくると、こどもたちの棟のメンバー50組分がどう描かれるのかも見てみたいものです。

もしも人気が沸騰したら、集英社にはカードゲームとして商品化して欲しいですね。すす能力の強さで競うカードバトルとか絶対受けると思いますし、キャラクターも豊富ですからかなり凝った設定も可能だと思います。

煤入り珈琲で相手の動きを封じたり、星つきは2倍の攻撃力だったり、ジョン限定でケイトからの手紙が回復アイテムになったり……。


さて、妄想はここまでにしておきましょう。

衝撃的な前回のラストから打って変わり、第72話では再びマリーローズとケイト達の攻防戦が描かれました。


石垣に身を潜めて息を整えたケイト。
マリーローズに敵わないことを悟り、救援を求めるため館の側へ行くことに決めます。

実力差があることを鑑みれば冷静な判断です。
洗脳の件もあることから第三者を巻き込みたくなかった、と悔しがるジョンですがこればかりは仕方ありません。二人は立ち上がり館へと足を向けました。


ところが、マリーローズは全てお見通しでした。

亡霊化していたこびりつきを分裂させたのでしょう。
ケイトとジョンは、大量のこびりつきに行く手を阻まれました。

おまけにケイトもジョンもこれまでの闘いで体力が消耗気味です。
煤量が多いのは良いことだけではなく、このようなデメリットがあるようです。二人とも突然の空腹に困惑しました。


それを知ってか知らずか、明日をも知れぬ運命だというのに嬉しそうなマリーローズ。大量のこびりつきを従え、ケイトとジョンの企みを阻止しようと一斉に指示を下しました。

煤煙でくすんだ夜空の下で凛然と立つ二人の姿は、至高の彫刻のように美しくかつ力強いです。流石こどもたちの棟の最年長者といったところでしょうか。
趨勢は決しました。


ところが、実はケイトも一つ手を打ってありました。
場面は再び大広間へと移ります。

大広間の床を転げまわりながら苦しむエミリコとショーン。
その様子は第55話でこびりつきに襲われた生き人形達と全く変わりません。典型的なすす病の症状です。
のたうち回る二人の姿は見ていて痛々しいです。

しかしそれもつかの間、次のコマで泣き顔を見せる二人の瞳はいつもと変わらないものでした。

情けない顔で涙にむせぶ二人。
なんとケイトは、エミリコとショーンがこびりつきに襲われたと同時に、目に煤を吸着させて瞳を濁していたのです。

敵を騙すにはまず味方から、とはよく言いますが、まさかマリーローズを欺くために読者が騙されるとは思いもしませんでした。
対こびりつき対策「口一杯の水大作戦」(ジョン命名)は見事成功です。
酒飲みのような手つきをジョンはどこで覚えたのか気になるところではありますが、それはさておき二人が無事で一安心です。

因みに当記事の冒頭でプールの洗眼器の話を持ち出したのは、この時エミリコ達が目に付いた煤を水で洗い流していたからです。コンタクトレンズをしているならともかく、裸眼に煤を入れるなんて想像しただけでかなり痛そうです。
充血するのもやむなしです。

水で顔を洗い流すと、やっとエミリコとショーンは落ち着きを取り戻しました。それと同時に、マリーローズ達に思いを馳せます。


今回の副題の「やさしさ」。
それは、密度の低いこびりつきを襲わせたマリーローズのことを指していました。

本来であれば、密度の高い危険なこびりつきだって生み出すことのできるマリーローズ。
にも拘らずエミリコ達が無事だったということは、危険性の低いこびりつきをマリーローズが意図的に生成したということです。

エミリコからワンテンポ遅れて、ショーンもその事実に気が付きました。

ケイトがこれからマリーローズ達をどうするのかについて、エミリコも聞かされていないのでしょう。
犯人として引き渡した後の処遇に心配顔です。

ショーンもそれについては分かりかねるようで、暫し沈黙すると自分の主人のことを考えようと語りかけました。


ただ、この『自分の主人のことだけを考える』という台詞
ショーンは第18話でも似た発言をしていますが、今回は少し意味合いが違います。

…いや、少しではないですね。
深夜の大広間という同じ時間・同じ場所で放たれた台詞ではありますが、ジョンの本性が晒された今となってはギャグにしか見えません。

ケイトと二人きりになった主人。
その危険性にショーンは目をカッと見開き、こう叫びました。


「張り切りすぎて力を使い果たすんじゃないか!?」


深夜の見回りの時はクール系キャラかと思っていましたが、ショーンも大分ジョンに染まってきましたね。目が充血していることもあって、本人は真面目でしょうがコミカルにしか見えません。
第67話でもそうでしたが、このままギャグ要員にならないか心配になってきました。

ただ、直後の「おかわりして頂くべきだったか…!」という台詞はショーンらしさが溢れていますね。

シャドーは元々モーフであったことを深く考えていないだけかもしれませんが、それでもショーンにとってジョンは大切な主人に変わりないことがこのシーンから見てとれます。

そしてそんなショーンに対し、ニカっと笑いかけるエミリコ。
こちらも実に良い表情です。
久々にエミリコらしい顔を見ることができました。


生き人形同士が深夜の見回りの時と同じようなやり取りをする中、奇しくも主人同士も似たやり取りをしていました。


突如ジョンに差し出された一つのパン。


これは、絶対役に立つからとエミリコが無理やりケイトに持たせたパンでした。

いきなりのケイトからの贈り物に、緊張で突拍子もない発言をするジョン。
慣れないやり取りのせいか、たどたどしく返すケイトの台詞も新鮮ですね。

いつもなら『違うわ!エミリコが持って行けといったから持ってきただけよ!!』と叫びそうなものですが、ジョンの「いつもポケットに入れてるのか!?」との問いに戸惑い気味です。

恐らく貴族、それも女性らしくない振る舞いを誤解されたくなかったからかも知れませんね。
そういえばお披露目の初期にケイトはエミリコに合わせて「転げまわりたいほどおいしい!」と声を張り上げていましたが、あの時もこんな気持ちだったに違いありません。
あの時も今回も、ケイトの本心は『私(ケイト)は食いしん坊じゃないわ…!』といったところでしょうか。
少し弱気なケイト嬢も可愛いです!!


そんな夫婦漫才のようなやり取りの後、黙々とパンを食べる二人。
深夜、それもマリーローズの授業中でなければピクニックのようです。

ほどなくしてパンを食べつくすとジョンは立ち上がり、宣言しました。


「次こそは仕留める…!」


それが目的じゃないだろう!とか、せっかく身を潜めたのに大声出してどうする!?とか、それだけでパワー全開なのか?などなど色々ツッコミどころ満載ですが、ようやくジョン本来の姿に戻りました。


果たして、マリーローズが操るこびりつきをどうケイトとジョンは潜り抜けるのでしょうか。

そして、ケイトが目指すこの闘いの終着点はどこにあるのでしょうか。

更に、マリーローズ達の運命を覆す手立てはもうないのでしょうか。


将来の“シャドーハウスの王”のお手並みを拝見致しましょう!!