今回はほぼ1年ぶりの『星つき回』でしたね。
今年最初のシャドーハウスは第52話でしたが、あの時の扉絵は星つきが勢揃いしており、さながら年始の挨拶のようでした。
あれから一年、何だかあっという間の気分です。30話以上も話が進んだとは信じられない気持ちです。
さて。
翻って第85話の扉絵ですが、今回は2ページ目以降に描かれています。
第82話のあらすじ記事でこういった構成は珍しいと書いたばかりなのに、早速事例が増えてしまいました。これからはこういった形で扉絵が描かれることが多くなるのかも知れません。
ただ何よりも目を引くのが、今回の扉絵は星つきの生き人形だけしかいないことです。それも4人全員があの珈琲を飲んでおり、もちろん瞳は濁ったままです。
星つきについては最近よく掘り下げられていたため親近感を抱くことも多かったですが、こうしてみると彼らは館にどっぷりと浸かっているのが良く分かりますね。
今回のお話は、失われた“特別な珈琲”について懊悩する4組の姿が描かれていました。
今年最初のシャドーハウスは第52話でしたが、あの時の扉絵は星つきが勢揃いしており、さながら年始の挨拶のようでした。
あれから一年、何だかあっという間の気分です。30話以上も話が進んだとは信じられない気持ちです。
さて。
翻って第85話の扉絵ですが、今回は2ページ目以降に描かれています。
第82話のあらすじ記事でこういった構成は珍しいと書いたばかりなのに、早速事例が増えてしまいました。これからはこういった形で扉絵が描かれることが多くなるのかも知れません。
ただ何よりも目を引くのが、今回の扉絵は星つきの生き人形だけしかいないことです。それも4人全員があの珈琲を飲んでおり、もちろん瞳は濁ったままです。
星つきについては最近よく掘り下げられていたため親近感を抱くことも多かったですが、こうしてみると彼らは館にどっぷりと浸かっているのが良く分かりますね。
今回のお話は、失われた“特別な珈琲”について懊悩する4組の姿が描かれていました。
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冒頭は、一心不乱に珈琲を飲むスージーです。
張り詰めた表情で必死に珈琲を啜り、カップをソーサーに叩きつける……。
精神的に不安定な様子がはっきりと表れています。
かつて主人のスザンナはすす珈琲を「飲めば不安もなくなる」と言っていましたが、もしかしたら不安感から逃れたいがあまりに珈琲を流し込んでいるのかも知れません。
今回はその『不安感』を基軸として物語が進んでいきます。
まず一組目は、オリバーとオリーです。
彼らは生き人形一人一人に珈琲を分配するのが役割ですが、どうやら研究室にも珈琲を焙煎する器具があるようです。ひょっとしたら研究班として様々な器具を扱う事情から、二人はすす珈琲を与える仕事を任されたのかも知れませんね。(それに研究者って医者みたいに『先生』って呼ばれそうですし、オリーが注射器持っててもあまり違和感がない。)
ところがドリップされた珈琲を堪能するオリバーと違い、オリーは“特別な珈琲”とはやはり違うと指摘します。オリー曰く「高揚感は感じられません」とのことです。
それを聞いてオリバーは首を捻りますが、それもそのはずです。
第46話で明かされていましたが、シャドーにすす珈琲は「効かねぇっつーの!」(byライアン)だからです。
しかしオリバーからすす珈琲の効能は生き人形にしか効かないと聞くと、オリーは恍惚とした表情で偉大なるおじい様に感謝しました。
館のシステム上、唯一偉大なるおじい様から“生き人形”へと与えられるもの。
あの長い正式名称と併せて、こういったことも偉大なるおじい様の神秘性を高めているのかも知れません。
しかしそんなことは知る由もないオリバーとオリーは、一瞬真実に近づくもののすぐに否定してしまいました。
それは生き人形の正体のことです。
オリーは自分自身を分析して、ここまで精巧に人間そっくりに作られているとは不思議だと語りました。(“人間”については恐らく本で見聞きしたのでしょう。ジョンも“人間”の存在は知っていたので、多分部屋の本棚にはそういった知識を得られる文献があるのかも知れません)
ですがそれを主人のオリバーは咎めます。
なぜなら、偉大なるおじい様に疑問を持つことは厳禁だからです。生き人形はシャドー家に対して忠誠以外の心を持ってはいけないのです。
そんな余計なことは考えちゃいけないと、オリーは頭を叩き、オリバーは研究に没頭しようと図面を広げました。
ただオリバーも、オリーが難しい立場であることは理解しているようです。
生き人形は「余計なことは考えてはいけない」にもかかわらず、研究班の仕事は試行錯誤することが肝要だからです。研究者としての宿命と言えるでしょう。
しかし、だからこそオリバーは「クリストファーに救われたから」研究班として貢献しようと、オリーとグータッチを交わしました。
「シャドーと“生き人形”が一緒に考える」ことでより良く偉大なるおじい様の助けになると信じているからです。傍から見ると実に最高のコンビですね。
しかし一つ懸念があります。
それは、かつてのクリストファーとマリーローズも同じ考えを持っていたことです。
オリバーはすす珈琲が洗脳作用を持っている事に気が付いていませんが、現状生き人形がもっと頭を使えば館への貢献につながると考えているオリバーの思考は、第77話のクリストファーとマリーローズとほぼ一緒です。
おまけにオリーはこの直後、首を抑えながら本当に疲れたと苦い顔をしています。
ローズマリーも第二次亡霊事件の直前に疲れているような描写がありましたが、真実に近づくことでオリバーとオリーに危険が迫らないかと気が気ではありません。
ところが二人は自分達が真相の一歩手前まで来ていることには気が付かないまま、無邪気に研究の続きを始めました。その研究とは、ジェレマイアが以前ジョンに教えてくれた「すすエネルギー」の研究です。
う~ん、やはり危ない感じがしますね。大人に目を付けられないよう願うばかりです。
所変わって、栄光の廊下の前に立つ1対が登場します。
ベンジャミンとベンです。
修繕中の作業が見えないよう、目隠しが張られた“栄光の廊下”。
それだけではなく、顔の見えない人形が番兵の如く立っています。
恐らく、老朽化によって壊れたという説明に疑問を抱かせないためでしょう。
マリーローズ達による廊下の破壊はとても“老朽化”とは言えないほどの規模でした。それを事情の知らないこどもたちの目に触れないよう、布で覆ったのだと思います。
それは事情を知るベンジャミンとて同じようです。
ただただ白い布を見つめるばかりです。
ところが暫くすると、何か察したようにその場から立ち去りました。
向かう先はバーバラの部屋です。
バーバラの部屋の扉をノックするベンジャミン。
部屋に入ると開口一番、バーバラに報告しました。
「栄光の廊下から修繕の音が止んだ」
即ちそれは、栄光の廊下が直ったことを意味します。
そしてその先に待つのは大人の視察です。
ベンジャミンはエドワードが来ると発言していることから、彼らの認識ではこどもたちの棟に来るのはエドワードで確定のようです。
ケイト達の前で“特別な生き人形”と名乗っていたエドワードがどうやって怪しまれずに来訪するのか疑問ですが、その程度のことは織り込み済みでしょう。
してやられることの多いエドワードですが、ここはどういう手段に出るのかお手並み拝見です。
バーバラの簡潔な返答の後、続いてベンジャミンは先日の「喜びの会」について力不足だったと語り掛けました。
ケイトの推測通り、ベンジャミンのすす能力によって体裁が取り繕われた「喜びの会」。
しかしベンジャミンは、ここのところ何かと騒々しいこどもたちの棟の様子を見て、力が及ばなかったと感じたようです。
実際に最近起きたことだけでも、
・ダグラスとイザベル・ミラベルの諍い
・多くなったサラの口答え
・なぜか星つきの居住棟に出入りするルイーズ
・班長会議でのエミリコの反抗
といった出来事が発生しています。
ベンジャミンはここでは語っていませんが、ひょっとしたらジョンの行動(軽率な婚約発言や研究班との接触)も念頭に置いているかも知れませんね。
とにかく色々な問題が頻出しています。
これらについては大人から指摘されそうだと、ベンジャミンはバーバラに懸念を伝えました。
すす珈琲を摂取していないことで変化が生じているというベンジャミンの指摘に、バーバラは煤を出して思い悩みます。
そもそも大人がこどもたちの棟に来ること自体があり得ないことです。
なのに、なぜよりによってこのタイミングで来るのかとエドワードの考えを測りかねています。
おまけにエドワードは星つきからの報告を無視してマリーローズを“お呼ばれ”しました。
これではバーバラの言う通り星つきを軽視していると言わざるを得ません。その結果があの“栄光の廊下”の身投げに繋がったわけですから、バーバラとしては承服し兼ねる行動の連続です。
バーバラから出る煤を見たせいなのか分かりませんが、珈琲瓶の破壊について口外禁止を呼び掛けてくると言って、ベンジャミンは部屋から出ようとしました。
主従共に拳を握り締める姿は頼もしい限りです。
ただベンジャミンがバーバラの部屋に来た理由は、すす能力の洗脳が甘かったことを懸念したり、珈琲瓶の破壊について注意しに行くことを宣言しに来たわけでもありませんでした。
部屋を出ていく間際。
本当にベンジャミンが伝えたかった言葉がここで描かれました。
―――悩みすぎるなよ
きっとこの一言だけのために、ベンジャミンはバーバラの部屋を訪れたのだと思います。
あのやせっぽちだったベンジャミンとベンが現在の姿になるまでに、一体どんなことがあったのか想像は尽きません。ですがそのきっかけや過程にバーバラとバービーが深く関わっているのは間違いないでしょう。
「強くなければ守ることはできない」
そう語るベンジャミンの過去に、更に興味が湧いてきました。
ベンジャミンが退出した後、バーバラは椅子にもたれかかって思案しました。
煤が少なくなったのでベンジャミンの一言が効いたのかと思ったのも束の間。
バーバラから出た名前はクリストファーでした。
これまでバーバラはクリストファーを、そしてクリストファーの作ったこどもたちの棟を目指して頑張ってきました。しかしこうまでなってしまったらもうお手上げです。
柔軟な思考を持つケイトが羨ましくなったのか、バーバラはケイトの成果を挙げながら「しかし“珈琲”のことまではさすがに相談出来ません」と零しました。
ここまでくるとほぼ完全にケイトを信用しきっていると思われます。
慕っていたマリーローズを失った今、バーバラはその代わりとしてケイトを求めているのかも知れません。ひょっとしたらそれもあって相談役として抜擢したとも考えられます。とにかくケイトにとって状勢は好転しつつあります。
しかしバービーはそれについて思うところがあるのか、ケイトについていくつか疑念を挙げました。
「策士過ぎる」という遠慮がちな表現ですが、“生き人形”のシャドーに対する発言としてはかなり踏み込んだ内容です。
それに対し、バーバラは肯定も発言もせずに「難しい」と返しました。
バーバラの方はそれほどケイトを警戒していないようです。
ただ警戒していないというよりは、この時のバーバラの意識は別のところに向けられていたと言った方が正しいかも知れません。
バーバラは決心したかのように立ち上がると、とある一対の部屋を訪れました。
バーバラがせめて守りたいと決意した星つきのメンバー。
その4対の中で特に危機に直面しているのはスザンナとスージーです。
実際にこの時の二人は、珈琲瓶を割ってしまった責任の重大さに身を震わせ、それが発覚したらどうしようかと怯えていました。
冒頭のスージーはその恐怖から逃れようとして、珈琲を飲んでいたのです。
ですがこれはただの珈琲です。不安が消える筈もありません。
頭を抱えるスザンナの隣で、スージーはうつろな瞳で座るほかありませんでした。
バーバラはそんな二人の前に姿を現せると、そっと肩に手を置きました。
「貴女だけに責任を押し付けるようなことはしません」
台詞を見る限りですと、バーバラは腹をくくったかのように見えます。
なぜなら、珈琲瓶の件を徹底的に隠蔽、あるいは全力で責任を回避するのであれば、問題ないから安心せよと語り掛ける筈だからです。
しかしこの時のバーバラの台詞からはそう取れません。
むしろ、バーバラも一緒にその罪を背負おうとしているのではないかと思います。
第62話のラストで、バービーはバーバラに対して「こどもたちの棟のことを常に考えご尽力しています」と返しました。それはバーバラがこれまで何よりも求めていた、星つきとしての理想像です。
しかしバーバラは今回、自身の限界を悟り一つの決意を固めます。
「今の『星つき』だけは守りたい」
これまで経験したことのない危機を迎えた星つきの4対。
彼女達は大人の視察をどう乗り越えるのでしょうか。
はたまた、乗り越えるのではなく真正面から大人と対峙することも十分考えられます。
しかしいずれにせよ、その“闘い”の中で彼女達の関係性がより掘り下げられることは間違いないでしょう。
バーバラを中心とした星つき体制。
謎に包まれた彼女達の結束力の秘密はその過程で明かされるのかも知れません。
冒頭は、一心不乱に珈琲を飲むスージーです。
張り詰めた表情で必死に珈琲を啜り、カップをソーサーに叩きつける……。
精神的に不安定な様子がはっきりと表れています。
かつて主人のスザンナはすす珈琲を「飲めば不安もなくなる」と言っていましたが、もしかしたら不安感から逃れたいがあまりに珈琲を流し込んでいるのかも知れません。
今回はその『不安感』を基軸として物語が進んでいきます。
まず一組目は、オリバーとオリーです。
彼らは生き人形一人一人に珈琲を分配するのが役割ですが、どうやら研究室にも珈琲を焙煎する器具があるようです。ひょっとしたら研究班として様々な器具を扱う事情から、二人はすす珈琲を与える仕事を任されたのかも知れませんね。(それに研究者って医者みたいに『先生』って呼ばれそうですし、オリーが注射器持っててもあまり違和感がない。)
ところがドリップされた珈琲を堪能するオリバーと違い、オリーは“特別な珈琲”とはやはり違うと指摘します。オリー曰く「高揚感は感じられません」とのことです。
それを聞いてオリバーは首を捻りますが、それもそのはずです。
第46話で明かされていましたが、シャドーにすす珈琲は「効かねぇっつーの!」(byライアン)だからです。
しかしオリバーからすす珈琲の効能は生き人形にしか効かないと聞くと、オリーは恍惚とした表情で偉大なるおじい様に感謝しました。
館のシステム上、唯一偉大なるおじい様から“生き人形”へと与えられるもの。
あの長い正式名称と併せて、こういったことも偉大なるおじい様の神秘性を高めているのかも知れません。
しかしそんなことは知る由もないオリバーとオリーは、一瞬真実に近づくもののすぐに否定してしまいました。
それは生き人形の正体のことです。
オリーは自分自身を分析して、ここまで精巧に人間そっくりに作られているとは不思議だと語りました。(“人間”については恐らく本で見聞きしたのでしょう。ジョンも“人間”の存在は知っていたので、多分部屋の本棚にはそういった知識を得られる文献があるのかも知れません)
ですがそれを主人のオリバーは咎めます。
なぜなら、偉大なるおじい様に疑問を持つことは厳禁だからです。生き人形はシャドー家に対して忠誠以外の心を持ってはいけないのです。
そんな余計なことは考えちゃいけないと、オリーは頭を叩き、オリバーは研究に没頭しようと図面を広げました。
ただオリバーも、オリーが難しい立場であることは理解しているようです。
生き人形は「余計なことは考えてはいけない」にもかかわらず、研究班の仕事は試行錯誤することが肝要だからです。研究者としての宿命と言えるでしょう。
しかし、だからこそオリバーは「クリストファーに救われたから」研究班として貢献しようと、オリーとグータッチを交わしました。
「シャドーと“生き人形”が一緒に考える」ことでより良く偉大なるおじい様の助けになると信じているからです。傍から見ると実に最高のコンビですね。
しかし一つ懸念があります。
それは、かつてのクリストファーとマリーローズも同じ考えを持っていたことです。
オリバーはすす珈琲が洗脳作用を持っている事に気が付いていませんが、現状生き人形がもっと頭を使えば館への貢献につながると考えているオリバーの思考は、第77話のクリストファーとマリーローズとほぼ一緒です。
おまけにオリーはこの直後、首を抑えながら本当に疲れたと苦い顔をしています。
ローズマリーも第二次亡霊事件の直前に疲れているような描写がありましたが、真実に近づくことでオリバーとオリーに危険が迫らないかと気が気ではありません。
ところが二人は自分達が真相の一歩手前まで来ていることには気が付かないまま、無邪気に研究の続きを始めました。その研究とは、ジェレマイアが以前ジョンに教えてくれた「すすエネルギー」の研究です。
う~ん、やはり危ない感じがしますね。大人に目を付けられないよう願うばかりです。
所変わって、栄光の廊下の前に立つ1対が登場します。
ベンジャミンとベンです。
修繕中の作業が見えないよう、目隠しが張られた“栄光の廊下”。
それだけではなく、顔の見えない人形が番兵の如く立っています。
恐らく、老朽化によって壊れたという説明に疑問を抱かせないためでしょう。
マリーローズ達による廊下の破壊はとても“老朽化”とは言えないほどの規模でした。それを事情の知らないこどもたちの目に触れないよう、布で覆ったのだと思います。
それは事情を知るベンジャミンとて同じようです。
ただただ白い布を見つめるばかりです。
ところが暫くすると、何か察したようにその場から立ち去りました。
向かう先はバーバラの部屋です。
バーバラの部屋の扉をノックするベンジャミン。
部屋に入ると開口一番、バーバラに報告しました。
「栄光の廊下から修繕の音が止んだ」
即ちそれは、栄光の廊下が直ったことを意味します。
そしてその先に待つのは大人の視察です。
ベンジャミンはエドワードが来ると発言していることから、彼らの認識ではこどもたちの棟に来るのはエドワードで確定のようです。
ケイト達の前で“特別な生き人形”と名乗っていたエドワードがどうやって怪しまれずに来訪するのか疑問ですが、その程度のことは織り込み済みでしょう。
してやられることの多いエドワードですが、ここはどういう手段に出るのかお手並み拝見です。
バーバラの簡潔な返答の後、続いてベンジャミンは先日の「喜びの会」について力不足だったと語り掛けました。
ケイトの推測通り、ベンジャミンのすす能力によって体裁が取り繕われた「喜びの会」。
しかしベンジャミンは、ここのところ何かと騒々しいこどもたちの棟の様子を見て、力が及ばなかったと感じたようです。
実際に最近起きたことだけでも、
・ダグラスとイザベル・ミラベルの諍い
・多くなったサラの口答え
・なぜか星つきの居住棟に出入りするルイーズ
・班長会議でのエミリコの反抗
といった出来事が発生しています。
ベンジャミンはここでは語っていませんが、ひょっとしたらジョンの行動(軽率な婚約発言や研究班との接触)も念頭に置いているかも知れませんね。
とにかく色々な問題が頻出しています。
これらについては大人から指摘されそうだと、ベンジャミンはバーバラに懸念を伝えました。
すす珈琲を摂取していないことで変化が生じているというベンジャミンの指摘に、バーバラは煤を出して思い悩みます。
そもそも大人がこどもたちの棟に来ること自体があり得ないことです。
なのに、なぜよりによってこのタイミングで来るのかとエドワードの考えを測りかねています。
おまけにエドワードは星つきからの報告を無視してマリーローズを“お呼ばれ”しました。
これではバーバラの言う通り星つきを軽視していると言わざるを得ません。その結果があの“栄光の廊下”の身投げに繋がったわけですから、バーバラとしては承服し兼ねる行動の連続です。
バーバラから出る煤を見たせいなのか分かりませんが、珈琲瓶の破壊について口外禁止を呼び掛けてくると言って、ベンジャミンは部屋から出ようとしました。
主従共に拳を握り締める姿は頼もしい限りです。
ただベンジャミンがバーバラの部屋に来た理由は、すす能力の洗脳が甘かったことを懸念したり、珈琲瓶の破壊について注意しに行くことを宣言しに来たわけでもありませんでした。
部屋を出ていく間際。
本当にベンジャミンが伝えたかった言葉がここで描かれました。
―――悩みすぎるなよ
きっとこの一言だけのために、ベンジャミンはバーバラの部屋を訪れたのだと思います。
あのやせっぽちだったベンジャミンとベンが現在の姿になるまでに、一体どんなことがあったのか想像は尽きません。ですがそのきっかけや過程にバーバラとバービーが深く関わっているのは間違いないでしょう。
「強くなければ守ることはできない」
そう語るベンジャミンの過去に、更に興味が湧いてきました。
ベンジャミンが退出した後、バーバラは椅子にもたれかかって思案しました。
煤が少なくなったのでベンジャミンの一言が効いたのかと思ったのも束の間。
バーバラから出た名前はクリストファーでした。
これまでバーバラはクリストファーを、そしてクリストファーの作ったこどもたちの棟を目指して頑張ってきました。しかしこうまでなってしまったらもうお手上げです。
柔軟な思考を持つケイトが羨ましくなったのか、バーバラはケイトの成果を挙げながら「しかし“珈琲”のことまではさすがに相談出来ません」と零しました。
ここまでくるとほぼ完全にケイトを信用しきっていると思われます。
慕っていたマリーローズを失った今、バーバラはその代わりとしてケイトを求めているのかも知れません。ひょっとしたらそれもあって相談役として抜擢したとも考えられます。とにかくケイトにとって状勢は好転しつつあります。
しかしバービーはそれについて思うところがあるのか、ケイトについていくつか疑念を挙げました。
「策士過ぎる」という遠慮がちな表現ですが、“生き人形”のシャドーに対する発言としてはかなり踏み込んだ内容です。
それに対し、バーバラは肯定も発言もせずに「難しい」と返しました。
バーバラの方はそれほどケイトを警戒していないようです。
ただ警戒していないというよりは、この時のバーバラの意識は別のところに向けられていたと言った方が正しいかも知れません。
バーバラは決心したかのように立ち上がると、とある一対の部屋を訪れました。
バーバラがせめて守りたいと決意した星つきのメンバー。
その4対の中で特に危機に直面しているのはスザンナとスージーです。
実際にこの時の二人は、珈琲瓶を割ってしまった責任の重大さに身を震わせ、それが発覚したらどうしようかと怯えていました。
冒頭のスージーはその恐怖から逃れようとして、珈琲を飲んでいたのです。
ですがこれはただの珈琲です。不安が消える筈もありません。
頭を抱えるスザンナの隣で、スージーはうつろな瞳で座るほかありませんでした。
バーバラはそんな二人の前に姿を現せると、そっと肩に手を置きました。
「貴女だけに責任を押し付けるようなことはしません」
台詞を見る限りですと、バーバラは腹をくくったかのように見えます。
なぜなら、珈琲瓶の件を徹底的に隠蔽、あるいは全力で責任を回避するのであれば、問題ないから安心せよと語り掛ける筈だからです。
しかしこの時のバーバラの台詞からはそう取れません。
むしろ、バーバラも一緒にその罪を背負おうとしているのではないかと思います。
第62話のラストで、バービーはバーバラに対して「こどもたちの棟のことを常に考えご尽力しています」と返しました。それはバーバラがこれまで何よりも求めていた、星つきとしての理想像です。
しかしバーバラは今回、自身の限界を悟り一つの決意を固めます。
「今の『星つき』だけは守りたい」
これまで経験したことのない危機を迎えた星つきの4対。
彼女達は大人の視察をどう乗り越えるのでしょうか。
はたまた、乗り越えるのではなく真正面から大人と対峙することも十分考えられます。
しかしいずれにせよ、その“闘い”の中で彼女達の関係性がより掘り下げられることは間違いないでしょう。
バーバラを中心とした星つき体制。
謎に包まれた彼女達の結束力の秘密はその過程で明かされるのかも知れません。

オリーの疑問もそうですが、ケイトを疑うバービーも屋敷のしきたりに反する思考が見られます。
もしかしたらすでに子どもたちの棟は変わってきているのかもしれませんね。
バーバラの覚悟が何を意味するのかわかりませんが、子どもたちの棟に大人が来るという異例の事態をきっかけに大きな事件が起こるかもしれません。
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