何と言いますか、若干ネタバレになってしまいますが、ケイトの境遇と合っていて「ケイトはこんな苦しい思いをしてきたのか」と感情移入してしまいどうしようもなかったです。
先週はずっと侍女さんとケイトのことを考える度に、二人の辛さを想像して落ち込んでいました。(土曜日に西武ライオンズの栗山選手が2000本安打打った後ツイッターではしゃいでたじゃん、というツッコミは勘弁して下さい)
さて、ところで第108話についてですが、ケイトの行動について賛否両論となっていた箇所がありましたね。
それはラストページの、彼女の回想の台詞についてです。
ただこの時のケイトの行動は、彼女の視点から考えると決して理解できない行為ではないと私は考えました。
今回の記事では、その理由について書いていきたいと思います。
ではネタバレ要素を含みますので、続きからどうぞ。
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第108話で物議をかもしたケイトの行動。
それは、最終ページの「祖母には何も告げず家を去った」という部分です。
既に読み終えた方はご存知でしょうが、ここで「祖母」と呼ばれているキャサリンの侍女は、ケイトのことを本当に大切に育てていました。
それこそ前記事でも書きましたが、ミラーハウスでモーフ襲撃という悪夢を体験したにも拘らず、身体の治らないケイトを案じて島へと戻ることを検討するくらい、ケイトのことを本当の孫のように想っています。
ところが、そんな侍女を置いてケイトは旅立ちました。
自分が異形の存在だと知ったことで、ケイトは自身が何者であるかを探しに行きたいと思ったからです。
こうしてケイトは、たった一人で旅に出ました。
このケイトの行動については、前述したように多くの方が様々な感想を持ったようです。
SNSを見ていますと、そのほとんどが『ケイトの考えは理解できるが残された侍女が可哀想』という意見でした。
確かに、そう見えます。
侍女はこの時、恐らく80歳以上でしょう。それを考えるとケイトと二度と会えないことだってあり得ます。ならば、面と向かって別れを告げるくらいはしても良かったのではないでしょうか。
もしくは、せめて書き置きです。
ケイトからしてみれば侍女を巻き込みたくなかったということでしょうし、思慮深いケイトのことですからそう考えてもおかしくはありません。
ただ、その気遣いが逆に侍女の心に負担を掛けている可能性は高そうですよね。
なにせ、侍女からすれば大切な人から託された大切な「孫」が突然いなくなってしまったわけですから気の毒というほかありません。優しかったキャサリンの血を引くケイトが何故、と思い悩んでもおかしくはないでしょう。
主人の遺言を胸にケイトを育ててきた侍女が、何物にも代えがたい存在を失ったその失望はいかばかりか。やっぱり、ケイトはせめて書き置きくらいはしていった方が良かったのではないかと感じます。
さて、そんな風に侍女に何も言い残さずに消えたケイト。
確かに薄情です。私も最初はそう思いました。
しかし、何度か読み返して時系列を整理してみると少し違う見方が浮かんできました。
もしかしたら、ケイトはある決意を胸に旅立ったと考えられるからです。
その決意とは何か。
それは、『絶対に家に帰ってくる。』という意志です。
一見ケイトは、何もかもを捨てて家を出てきた風に見えます。実際に、自分にとっての希望は「ミラーハウス」しかないと語っています。侍女とは永久の別れだったと解釈して良いかも知れません。
ただ時系列で見ると、ケイトはここまで長旅になるとは想定していなかったんじゃないかと思うんですよね。
ケイトが旅立ってからどのくらいの時間を経てエミリコに会ったのか不明ですが、第105話の様子を見るとそこまで時間は経っていないように感じます。
そもそも侍女がキャサリンとミラーハウスから逃げたときだって、馬車や小舟を使ったとはいえ一日で侍女の祖母の家に到着しています。そう考えると、ケイトがどうやって島へ渡ったのかという疑問は置いたとしても、1年も2年も経っていないように私は思います。
まあ、ケイトが断片的にシャドーハウスの知識を持ち合わせていたことから、旅立ってから大分時間を潰していたか、或いは誰かと接触していた可能性もあるわけですから何とも言えませんけどね。
ですが、ケイトになり切ってミラーハウスへの旅を考えると、やっぱり当初は何か月も掛かると想定していなかったと考える方が自然な気がします。
ケイトからすれば、ちょっとミラーハウスへと行ってみて、もしも自分の正体が判明したら一旦侍女の家に戻ろう、とかそんな感じで旅に出たのではないでしょうか?
私がこう考えたのは、時系列だけではなく第47話でのエミリコの会話もあります。
ケイトはエミリコを洗脳から解いた後、彼女に人間だと告げ、その後こう言っていました。
「エミリコには帰るべき家があるのよ」
読者からすればちょっと辛い台詞ですね。サーカスにいたエミリコには、今のところ「帰るべき家」はなさそうです。今後エミリコの出生の秘密が描かれれば別ですが、現況を見ればその公算が強いです。
ただこの台詞を言ったケイトの心中を考えると、ケイト自身「帰るべき家」があるからこそ出てきた言葉ではないかなと思います。
それこそ、想定外の事態(今まで描かれてきた、尋常じゃないくらい複雑なシャドーハウスのシステム)によって、自分の正体だとかミラーハウスだとか言っている場合じゃなくなったケイトの心境の反映かも知れません。
『まったく、とっととミラーハウスで私の身体について聞いたらお婆様のところに戻る予定だったのに!』みたいな……。
いや、もっと想像(妄想)膨らませるとしたら、ケイトはエミリコに「帰るべき家」がないことを知っていた上で、先程の台詞を言ったかもしれません。
例えば、一緒に侍女の家に帰って三人で暮らすとか。
(=ケイト&エミリコカップリングのエンディング)
これなら「エミリコにも帰るべき家があるの」という台詞が、また違った読み味になりますね。ひょっとしたら、ケイトが直後に「元々の記憶は取り戻せないみたいね…」と思案していたのは、「帰るべき家」という言葉に違和感を示さなかったエミリコについて、少し探っていたからとも邪推してしまいます。
次の回で、ケイトと侍女の別れに涙するエミリコに対して
ケイト「え、家に帰らないなんて私言ってないわよ?」
みたいに返すケイトがいるかも……。
さて、では長くなりましたのでまとめましょう。
私の考えとしましては、ケイトは侍女の家に戻る気があるからこそ、何も言わずに“ミラーハウス”へと向かったのだと思います。
そしてケイトが第48話で言っていたエミリコの「帰るべき家」とは、ケイトがかつて住んでいた崖の上の家なのではないでしょうか?
こう見てみると、ジョンがケイトを評して放った「こうと決めたら話を聞かないで突っ走るところかな?」(そこがいいな!)は、案外大正解だったりするかも知れませんね。
