お気づきの方もいるかも知れませんが、今話の構成はいつもと違っています。
何が違うのかといいますと、扉絵が2ページ目以降にあることです。
『扉』絵と言うくらいですから本来は1ページ目にあるのが普通です。ところが今回は3ページ目にあるんですよね。
副題が2ページ目以降に書かれているのは第38話・43話・44話がありますが、扉絵が1ページ目以外で描かれるのは第1話以来です。(第43話も扉絵っぽいと言えば扉絵みたいですが)
ところで、なぜ私がここで扉絵に注視したのか。
理由は簡単です。
ただ単に、ソウマトウ先生のツイッターで上げられた次回予告画像がとても可愛かったからです。(見ていない方はここよりどうぞ)
新生・エミリコ班のメンバーが並んだ絵。個性的な4人が横並びになっているのを見て本編を今か今かと待ち受けていたのですが、そうして読み始めたらある筈の扉絵がなかったので「おやっ?」と思ったんですよね。
ですが読み進めていくとちゃんとありました。そこで扉絵が2ページ目以降にあるのはいつ以来なんだろうと調べてみたら、上記のような結果だったわけです。まあ偶然の成果だったわけですね。
もし第82話を読んで、
『なんてことだ……!これは第1話以来、81話ぶりの希少な構成だ!!』
と瞬時に分かった方がいましたら、トップクラスのシャドーハウスマニアかと思います。ぜひ教えを請いたいです。
さてさて、それはともかくとして何度見ても可愛らしい扉絵ですね。
ツイッターでは彼女達の姿を見て「アイドルじゃん」と呟いている方がいましたが、まさにそんな感じです。私は前述の予告画像を見て『エミリコが持っているのは箒の柄だろうけど、これだとバトンみたい』と思っていました。
音楽隊にせよアイドルにせよ、こんな娘たちが集まったグループなら大ヒット間違いなしですよね。
もしも彼女達がブレイクしなかったとしたら、所属事務所のプロデュースが100%悪かったと断言します()
ただ残念なのが、本来ベルのところに立っている筈だったローズマリーがいないことでしょうか。
得意げに腰に手を当てたローズマリー見たかったなあ……。
それともう一つこの扉絵を見て思い出したのが、エミリコが初めて朝の大掃除に参加したエピソードです。第8話で“すす掃除の唄”(管理人が勝手につけた仮称)を朗らかに歌っていたローズマリー班ですが、思わず当時の雰囲気に似ているなあと感じました。
アニメであの歌にメロディーが付いていたら楽しいでしょうね。
さて、そろそろ本題に移りましょう。
前回の終盤で発足したエミリコ班。その船出は、前途多難なものでした。
何が違うのかといいますと、扉絵が2ページ目以降にあることです。
『扉』絵と言うくらいですから本来は1ページ目にあるのが普通です。ところが今回は3ページ目にあるんですよね。
副題が2ページ目以降に書かれているのは第38話・43話・44話がありますが、扉絵が1ページ目以外で描かれるのは第1話以来です。(第43話も扉絵っぽいと言えば扉絵みたいですが)
ところで、なぜ私がここで扉絵に注視したのか。
理由は簡単です。
ただ単に、ソウマトウ先生のツイッターで上げられた次回予告画像がとても可愛かったからです。(見ていない方はここよりどうぞ)
新生・エミリコ班のメンバーが並んだ絵。個性的な4人が横並びになっているのを見て本編を今か今かと待ち受けていたのですが、そうして読み始めたらある筈の扉絵がなかったので「おやっ?」と思ったんですよね。
ですが読み進めていくとちゃんとありました。そこで扉絵が2ページ目以降にあるのはいつ以来なんだろうと調べてみたら、上記のような結果だったわけです。まあ偶然の成果だったわけですね。
もし第82話を読んで、
『なんてことだ……!これは第1話以来、81話ぶりの希少な構成だ!!』
と瞬時に分かった方がいましたら、トップクラスのシャドーハウスマニアかと思います。ぜひ教えを請いたいです。
さてさて、それはともかくとして何度見ても可愛らしい扉絵ですね。
ツイッターでは彼女達の姿を見て「アイドルじゃん」と呟いている方がいましたが、まさにそんな感じです。私は前述の予告画像を見て『エミリコが持っているのは箒の柄だろうけど、これだとバトンみたい』と思っていました。
音楽隊にせよアイドルにせよ、こんな娘たちが集まったグループなら大ヒット間違いなしですよね。
もしも彼女達がブレイクしなかったとしたら、所属事務所のプロデュースが100%悪かったと断言します()
ただ残念なのが、本来ベルのところに立っている筈だったローズマリーがいないことでしょうか。
得意げに腰に手を当てたローズマリー見たかったなあ……。
それともう一つこの扉絵を見て思い出したのが、エミリコが初めて朝の大掃除に参加したエピソードです。第8話で“すす掃除の唄”(管理人が勝手につけた仮称)を朗らかに歌っていたローズマリー班ですが、思わず当時の雰囲気に似ているなあと感じました。
アニメであの歌にメロディーが付いていたら楽しいでしょうね。
さて、そろそろ本題に移りましょう。
前回の終盤で発足したエミリコ班。その船出は、前途多難なものでした。
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朝日差す掃除用具の間。
ルウが来るなり、腕を組んだままミアがぼやきます。
「またエミリコは遅刻ね」
班長就任初日だけではなく、連日の遅刻とあれば呆れるのも分かります。
前回ラストと違って、ミアの顔は憎悪や嫉妬ではなく諦観に近いものでした。
唯一、エミリコの班長就任が「早すぎた」と言っている点はまだ救いがあるでしょうか。
何が何でもエミリコの班長就任が気に食わないのではなく、エミリコの力量を心配しているともいえるからです。
しかしいずれにせよ、エミリコよりは自身の方が班長に相応しいとミアは内心思っていることでしょう。班ごと連帯責任を問われる事態にでもなったら困るわけですから、純粋にエミリコを心配しているわけでもないのが辛いところです。第13話の“授業”でも彼女達は掃除用具の間にいましたが、それとは180度雰囲気の違う様子に、見ているこちらも辛くなってきました。
そうこうしているうちに、大きな音を立てて一人の少女が現れました。
こどもたちの棟第10班班長、エミリコです。
息を切らせて部屋に入ってきたエミリコに怒鳴ろうとするミア。
しかしルウは、エミリコが遅刻したわけではなかったことに気が付くとすぐにそれを制しました。
実は、エミリコは朝一番に掃除用具の間に来て道具箱の整頓をしていたのです。
前日まで何も分かっていなかったエミリコが、急に班長らしい行動をしたことに驚愕するミア。
しかし人一倍観察力に優れるエミリコにはなんてことはありませんでした。
毎朝各班のスケジュールチェックをしていたローズマリーの姿を思い出し、さっそくエミリコは実践したのです。
この観察力の鋭さは、この日も姿を現さなかったベルにも遺憾なく発揮されることとなります。
これについては今話最大のクライマックスにて判明しますので、詳細は後ほど書いていきます。
さて、ようやく準備の整ったエミリコ班。
いざこぶしを突き上げて出動です。
そして、ここで冒頭に書いた扉絵が登場します。
サブタイトルと併せて、これから始動する新生第10班の活躍が楽しみになってきますね。左から背の順に並んだ4人がとても愛らしいです!
しかしその始まりは順風満帆とはいきませんでした。
なぜなら、前日に引き続いてベルが来ていないからです。
取り敢えずはエミリコが班長らしい行動をしていることについて、渋々ながら認めたミア。
しかしベルの欠席については流石に看過できず、エミリコに問いかけました。
このままではいずれ、班として全員責任を取らなければならないためです。
ところが、この日もベルの様子を見てきたエミリコは、ベルの復帰に慎重な姿勢を見せました。
まだ無理はさせられないと言うのです。
それに対しミアは、エミリコは事の重大性を理解しているのかと声を荒げました。
せっかく新体制になったのに、以前のような「ぼんくら扱い」になっては元も子もありません。
何よりも、掃除の分量は3人で終えるには多すぎます。
それを班長たるエミリコ自身の責任にも繋がることを踏まえ、一体どうするのかと再度問い詰めました。
しかしそれに対する答えは、ミアにとってあまりに予想外なものでした。
拳を握ってポーズを決めながら、「私がふたり分働きますから!!」と威勢よく宣言するエミリコ。
お姉ちゃん。ではなく、班長に任せなさいと言わんばかりの頼もしい姿です。
それを見てミアは絶句しました。
この愕然としたミアの胸中は様々かと思います。
あのベルに対してちゃんと気に掛けていること、そのために身を削って掃除の負担を厭わないこと、班長としての責任を問われかねないのに一切ベルを責めないこと……。
いずれにせよ、生き人形のルールに囚われないエミリコに驚愕したのでしょう。
ルウは二人分の掃除は無理だからとエミリコに手伝うと申し出ますが、洗脳が解けかかっているルウと館のルールに縛られるミアとの対照的な様子が、ここではありありと描写されていました。
しかしそんなエミリコとルウを見てもミアの考えは変わりませんでした。
なぜなら、ミアの中では既にベルは「壊れている」からです。
翌朝、ミアは班長会議に出るエミリコを待ち構えてこう言い放ちました。
「ベルの処分を申請するのよね?」
「もう限界よ」
「わかってるわよね…?」
冷たい視線をエミリコに突き刺し、そう言ってミアは去っていきました。
ミアの正論にエミリコは何も反論できないままです。
しかし黙ってミアを見送るエミリコの姿は、むしろ覚悟を決めたように見えます。
汗を流しながら言いたいことをグッとこらえるエミリコ。
その脳裏には、前日ベルの部屋へ人形と手紙を渡しに行った時の光景が思い出されていた筈です。
そんな難題を抱えながらエミリコは班長会議に出ました。
集まった班長の面々。
その中で一際身長の低い新班長のエミリコに、ミアの「班長は早すぎたのよ」という台詞が蘇ります。
ところが、バービーの詰問に答えるエミリコの志は誰よりも高いものでした。
オリーの「掃除はちゃんとできている」という指摘を却下し、エミリコに問いかけるバービー。
質問の内容は、もちろんベルの欠席についてです。
生き人形のルールに従わず掃除に参加しないベル。
この時点で既に危機的状況ですが、バービーにとって『大人の訪問』が近づいているというのにそれを問題視しないエミリコに不満が募っていました。
エミリコを認めていないことは個人的感情としつつも、バーバラに誰が班長に相応しく、そして誰を処分するのかその判断材料を提供しなければならないとして、試すかのようにバービーはエミリコの眼前で更に問いました。
「…なぜベルは出てこない?」
「もう壊れているのか?」
もちろんエミリコの答えは決まっています。
汗をかきながら、はっきりと「壊れていません!」と言い切りました。
その刹那、バービーの蹴りがエミリコの腹部を襲います。
第17話でショーンに阻止されたあのキックが、とうとうエミリコに炸裂しました。
それを冷徹に見るスージーとベン。
冷や汗を浮かべて眺めるオリー。
他の班長たちの様子は伺えませんが、恐らくは星つきと同じように3分の2は冷たい目で、3分の1は戸惑いの表情だったと思います。
唯一同じだったのは、誰一人エミリコに手を差し伸べようとする者がいなかったことだけです。
ですがこの時のエミリコには、颯爽と少女を助ける騎士の助けなど必要ありませんでした。
エミリコの固い意志は、バービーのバーバラとクリストファーへの想いさえ打ち砕くものだったからです。
こどもたちの棟の秩序を守らねばならぬと語るバービー。
それはバーバラへの忠誠心であり、そしてバーバラのクリストファーへの『誓い』でした。
それこそが二人をこれまで支えてきたのです。
しかしそれに対しエミリコが口にしたのは、ベルへの気遣いでした。
片方が「壊れた」ベル。
すす管清掃の過酷さにエミリコは思いを馳せて、震えながらバービーに反論しました。
この時エミリコの手が震えていたのは腹部の痛みだけではなかったことでしょう。生き人形の正体を知るエミリコにとって、ベルの片方が「壊れた」という事実は、非常に重たいものでした。その心の痛みさえもここでは耐えていたのだと思います。
ですがバービーにはその理屈は通用しません。
「そんなこと」は理由にならないと怒鳴ります。
しかしエミリコには、「そんなこと」と言える小さいことでは当然ありませんでした。
苦境に陥ったベルに直面する事態を代弁します。
「掃除…ちゃんとしているんです」
エミリコは前日、ベルの部屋を覗いた時に見た光景を見逃してはいませんでした。あの時のエミリコの目には、綺麗に掃除されていた部屋の中が写っていたのです。
それを根拠に、イザベルとミラベルという二人分の主人の掃除をしているベルの大変さを語るエミリコ。
ベルは自分の班の班員だと言いながら立ち上がると、これ以上仲間を失うのは絶対に嫌だとバービーを力強く見竦めました。
そのエミリコの姿に言葉を失うバービー。
果たして、彼女の胸にはどんな思いが去来していたのでしょうか。
もしかしたら、お披露目で落ちてしまうこどもたちを少しでも救おうとした、クリストファーの影をエミリコに見たのかも知れません。
この直前に放たれた「簡単に処分なんて言わないでください」というエミリコの台詞は、星つきになってからのバーバラとバービーに対する、強烈なアンチテーゼでした。
壮絶な論戦をする二人に向けられた班長達の冷たい視線。
それが生き人形のルールから逸脱したエミリコに向けられたものなのか、とうとう絶句してしまったリーダー・バービーに向けられたものかは分かりませんが、とにかく結論は出ました。
バービーは振りかぶった拳を下すと、大人の視察時までに班をまとめ上げろと厳命しました。
その指令に、威勢よく返事するエミリコ。
とうとうあのバービーから譲歩を勝ち取ることに成功しました。
その脇では、いつもと様子の違ったバービーに戸惑うオリーと、変わらずに冷静なベンがいます。
取り敢えずは一件落着です。
波乱を呼んだ班長会議ですが、バービーの号令によってようやく終わりを告げました。
これから生き人形は朝掃除です。本当に生き人形は大変ですね。
一大勝負を乗り越えたエミリコはというと、生き人形の部屋の廊下をよろめきながら歩いています。
さっきの毅然とした姿はどこへやら、と言いたいところですがあれほどのキックを食らった後です。ましてや女の子がお腹を蹴られるなど大変なことですし、幾ら丈夫とはいえエミリコにはもう少し自分を大事にしてほしいところではあります。
ですが、エミリコの他者を大切にする姿勢が館に光をもたらしているのもまた事実です。
この日もベルの部屋に手紙を置いて挨拶するエミリコですが、その成果がさっそく出ていました。
エミリコが部屋の前から去った後、封筒を取るベル。
そこには、封を破いて手紙を読むベルの姿がありました。
ポケットには前日にエミリコが渡したぬいぐるみがちゃんと入っています。
壁に貼り付けられている“生き人形の決まり事”に背を向けて、エミリコからの手紙を読みふけるベル。
きっとエミリコの献身はベルに届くに違いありません。
このあと始まる朝掃除に、ベルは出てくれるでしょうか。
エミリコから班長会議の結果を聞いたミアは、果たしてどんな反応をするでしょうか。
ひょっとしたら、慈愛に満ちた笑顔で『エミリコ、やったね』と喜んでくれるルウがいるかも知れません。
残念ながらローズマリーという仲間を失ってしまいましたが、エミリコならばこれからの第10班をまとめてくれるに決まっています。
作中でも扉絵のような平和な「エミリコ班」が見られるのも、そう遠くないのかも知れません。
朝日差す掃除用具の間。
ルウが来るなり、腕を組んだままミアがぼやきます。
「またエミリコは遅刻ね」
班長就任初日だけではなく、連日の遅刻とあれば呆れるのも分かります。
前回ラストと違って、ミアの顔は憎悪や嫉妬ではなく諦観に近いものでした。
唯一、エミリコの班長就任が「早すぎた」と言っている点はまだ救いがあるでしょうか。
何が何でもエミリコの班長就任が気に食わないのではなく、エミリコの力量を心配しているともいえるからです。
しかしいずれにせよ、エミリコよりは自身の方が班長に相応しいとミアは内心思っていることでしょう。班ごと連帯責任を問われる事態にでもなったら困るわけですから、純粋にエミリコを心配しているわけでもないのが辛いところです。第13話の“授業”でも彼女達は掃除用具の間にいましたが、それとは180度雰囲気の違う様子に、見ているこちらも辛くなってきました。
そうこうしているうちに、大きな音を立てて一人の少女が現れました。
こどもたちの棟第10班班長、エミリコです。
息を切らせて部屋に入ってきたエミリコに怒鳴ろうとするミア。
しかしルウは、エミリコが遅刻したわけではなかったことに気が付くとすぐにそれを制しました。
実は、エミリコは朝一番に掃除用具の間に来て道具箱の整頓をしていたのです。
前日まで何も分かっていなかったエミリコが、急に班長らしい行動をしたことに驚愕するミア。
しかし人一倍観察力に優れるエミリコにはなんてことはありませんでした。
毎朝各班のスケジュールチェックをしていたローズマリーの姿を思い出し、さっそくエミリコは実践したのです。
この観察力の鋭さは、この日も姿を現さなかったベルにも遺憾なく発揮されることとなります。
これについては今話最大のクライマックスにて判明しますので、詳細は後ほど書いていきます。
さて、ようやく準備の整ったエミリコ班。
いざこぶしを突き上げて出動です。
そして、ここで冒頭に書いた扉絵が登場します。
サブタイトルと併せて、これから始動する新生第10班の活躍が楽しみになってきますね。左から背の順に並んだ4人がとても愛らしいです!
しかしその始まりは順風満帆とはいきませんでした。
なぜなら、前日に引き続いてベルが来ていないからです。
取り敢えずはエミリコが班長らしい行動をしていることについて、渋々ながら認めたミア。
しかしベルの欠席については流石に看過できず、エミリコに問いかけました。
このままではいずれ、班として全員責任を取らなければならないためです。
ところが、この日もベルの様子を見てきたエミリコは、ベルの復帰に慎重な姿勢を見せました。
まだ無理はさせられないと言うのです。
それに対しミアは、エミリコは事の重大性を理解しているのかと声を荒げました。
せっかく新体制になったのに、以前のような「ぼんくら扱い」になっては元も子もありません。
何よりも、掃除の分量は3人で終えるには多すぎます。
それを班長たるエミリコ自身の責任にも繋がることを踏まえ、一体どうするのかと再度問い詰めました。
しかしそれに対する答えは、ミアにとってあまりに予想外なものでした。
拳を握ってポーズを決めながら、「私がふたり分働きますから!!」と威勢よく宣言するエミリコ。
お姉ちゃん。ではなく、班長に任せなさいと言わんばかりの頼もしい姿です。
それを見てミアは絶句しました。
この愕然としたミアの胸中は様々かと思います。
あのベルに対してちゃんと気に掛けていること、そのために身を削って掃除の負担を厭わないこと、班長としての責任を問われかねないのに一切ベルを責めないこと……。
いずれにせよ、生き人形のルールに囚われないエミリコに驚愕したのでしょう。
ルウは二人分の掃除は無理だからとエミリコに手伝うと申し出ますが、洗脳が解けかかっているルウと館のルールに縛られるミアとの対照的な様子が、ここではありありと描写されていました。
しかしそんなエミリコとルウを見てもミアの考えは変わりませんでした。
なぜなら、ミアの中では既にベルは「壊れている」からです。
翌朝、ミアは班長会議に出るエミリコを待ち構えてこう言い放ちました。
「ベルの処分を申請するのよね?」
「もう限界よ」
「わかってるわよね…?」
冷たい視線をエミリコに突き刺し、そう言ってミアは去っていきました。
ミアの正論にエミリコは何も反論できないままです。
しかし黙ってミアを見送るエミリコの姿は、むしろ覚悟を決めたように見えます。
汗を流しながら言いたいことをグッとこらえるエミリコ。
その脳裏には、前日ベルの部屋へ人形と手紙を渡しに行った時の光景が思い出されていた筈です。
そんな難題を抱えながらエミリコは班長会議に出ました。
集まった班長の面々。
その中で一際身長の低い新班長のエミリコに、ミアの「班長は早すぎたのよ」という台詞が蘇ります。
ところが、バービーの詰問に答えるエミリコの志は誰よりも高いものでした。
オリーの「掃除はちゃんとできている」という指摘を却下し、エミリコに問いかけるバービー。
質問の内容は、もちろんベルの欠席についてです。
生き人形のルールに従わず掃除に参加しないベル。
この時点で既に危機的状況ですが、バービーにとって『大人の訪問』が近づいているというのにそれを問題視しないエミリコに不満が募っていました。
エミリコを認めていないことは個人的感情としつつも、バーバラに誰が班長に相応しく、そして誰を処分するのかその判断材料を提供しなければならないとして、試すかのようにバービーはエミリコの眼前で更に問いました。
「…なぜベルは出てこない?」
「もう壊れているのか?」
もちろんエミリコの答えは決まっています。
汗をかきながら、はっきりと「壊れていません!」と言い切りました。
その刹那、バービーの蹴りがエミリコの腹部を襲います。
第17話でショーンに阻止されたあのキックが、とうとうエミリコに炸裂しました。
それを冷徹に見るスージーとベン。
冷や汗を浮かべて眺めるオリー。
他の班長たちの様子は伺えませんが、恐らくは星つきと同じように3分の2は冷たい目で、3分の1は戸惑いの表情だったと思います。
唯一同じだったのは、誰一人エミリコに手を差し伸べようとする者がいなかったことだけです。
ですがこの時のエミリコには、颯爽と少女を助ける騎士の助けなど必要ありませんでした。
エミリコの固い意志は、バービーのバーバラとクリストファーへの想いさえ打ち砕くものだったからです。
こどもたちの棟の秩序を守らねばならぬと語るバービー。
それはバーバラへの忠誠心であり、そしてバーバラのクリストファーへの『誓い』でした。
それこそが二人をこれまで支えてきたのです。
しかしそれに対しエミリコが口にしたのは、ベルへの気遣いでした。
片方が「壊れた」ベル。
すす管清掃の過酷さにエミリコは思いを馳せて、震えながらバービーに反論しました。
この時エミリコの手が震えていたのは腹部の痛みだけではなかったことでしょう。生き人形の正体を知るエミリコにとって、ベルの片方が「壊れた」という事実は、非常に重たいものでした。その心の痛みさえもここでは耐えていたのだと思います。
ですがバービーにはその理屈は通用しません。
「そんなこと」は理由にならないと怒鳴ります。
しかしエミリコには、「そんなこと」と言える小さいことでは当然ありませんでした。
苦境に陥ったベルに直面する事態を代弁します。
「掃除…ちゃんとしているんです」
エミリコは前日、ベルの部屋を覗いた時に見た光景を見逃してはいませんでした。あの時のエミリコの目には、綺麗に掃除されていた部屋の中が写っていたのです。
それを根拠に、イザベルとミラベルという二人分の主人の掃除をしているベルの大変さを語るエミリコ。
ベルは自分の班の班員だと言いながら立ち上がると、これ以上仲間を失うのは絶対に嫌だとバービーを力強く見竦めました。
そのエミリコの姿に言葉を失うバービー。
果たして、彼女の胸にはどんな思いが去来していたのでしょうか。
もしかしたら、お披露目で落ちてしまうこどもたちを少しでも救おうとした、クリストファーの影をエミリコに見たのかも知れません。
この直前に放たれた「簡単に処分なんて言わないでください」というエミリコの台詞は、星つきになってからのバーバラとバービーに対する、強烈なアンチテーゼでした。
壮絶な論戦をする二人に向けられた班長達の冷たい視線。
それが生き人形のルールから逸脱したエミリコに向けられたものなのか、とうとう絶句してしまったリーダー・バービーに向けられたものかは分かりませんが、とにかく結論は出ました。
バービーは振りかぶった拳を下すと、大人の視察時までに班をまとめ上げろと厳命しました。
その指令に、威勢よく返事するエミリコ。
とうとうあのバービーから譲歩を勝ち取ることに成功しました。
その脇では、いつもと様子の違ったバービーに戸惑うオリーと、変わらずに冷静なベンがいます。
取り敢えずは一件落着です。
波乱を呼んだ班長会議ですが、バービーの号令によってようやく終わりを告げました。
これから生き人形は朝掃除です。本当に生き人形は大変ですね。
一大勝負を乗り越えたエミリコはというと、生き人形の部屋の廊下をよろめきながら歩いています。
さっきの毅然とした姿はどこへやら、と言いたいところですがあれほどのキックを食らった後です。ましてや女の子がお腹を蹴られるなど大変なことですし、幾ら丈夫とはいえエミリコにはもう少し自分を大事にしてほしいところではあります。
ですが、エミリコの他者を大切にする姿勢が館に光をもたらしているのもまた事実です。
この日もベルの部屋に手紙を置いて挨拶するエミリコですが、その成果がさっそく出ていました。
エミリコが部屋の前から去った後、封筒を取るベル。
そこには、封を破いて手紙を読むベルの姿がありました。
ポケットには前日にエミリコが渡したぬいぐるみがちゃんと入っています。
壁に貼り付けられている“生き人形の決まり事”に背を向けて、エミリコからの手紙を読みふけるベル。
きっとエミリコの献身はベルに届くに違いありません。
このあと始まる朝掃除に、ベルは出てくれるでしょうか。
エミリコから班長会議の結果を聞いたミアは、果たしてどんな反応をするでしょうか。
ひょっとしたら、慈愛に満ちた笑顔で『エミリコ、やったね』と喜んでくれるルウがいるかも知れません。
残念ながらローズマリーという仲間を失ってしまいましたが、エミリコならばこれからの第10班をまとめてくれるに決まっています。
作中でも扉絵のような平和な「エミリコ班」が見られるのも、そう遠くないのかも知れません。

ベルはシャドーのベルを含めて処分される可能性が強いこと、おそらくベルたちは大人になる道を閉ざされたことをシャドーハウスの真実とともに伝えれば、仲間になる可能性はありますね。
もはや彼女達が生き延びる方法はそれしかないでしょうし。
バービーはエミリコの強い意志から何を見たのでしょうか。
自身の行いが憧れのクリストファーと目指した方向とは逆であることには本人も気づいていると思いますが、いつからか考えなくなっていたのかもしれませんね。
少しずつ話の展開も広がっているので、これからは他の班とも接触することが増えると思います。
味方になるか敵になるか。
アンソニーのプランではケイトが子どもたちをまとめるリーダーになるようですが、簡単なことではないでしょう。
アンソニーは協力するのかわからないし、協力するとしてもケイトたちには受け入れられない方法を提示してきそうです。
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