歴史好きな方なら、「ミッドウェー海戦」という戦闘をご存知かと思います。
第二次大戦中に太平洋方面で生起した海戦です。

ミッドウェー島の攻略と敵空母の撃滅を目的とした日本海軍連合艦隊と、それを迎え撃つアメリカ海軍機動部隊との間で昭和17年(1942年)6月に発生しました。この時代を扱う戦争映画やドラマでは度々取り上げられます。

この海戦が有名な理由は、本海戦が戦争そのものの行方を左右したと言われているからです。

実際に、この闘いによって正規空母を4隻失った日本海軍は、終戦までその立て直しができませんでした。この敗戦が最期まで尾を引いていたのです。

もっとも当時の関係者がそう思っていたかと言えば話は別で、日本側は日本側でまだ戦力は相手よりは上だということで諦めていませんでしたし、米国側は米国側でこの勝利によって戦争が終わるとは全く感じていませんでした。むしろ真珠湾攻撃とミッドウェー海戦によって双方甚大な被害を受けてから、本格的な戦争がスタートしたと言えます。(というか、普通の国ならどちらかの海戦の時点で終戦してます)


さて、なぜこんなシャドーハウスに似つかわしくない話題を取り上げたのかと言いますと、無計画に事を進めると痛い目を見ますよ、ということを伝えたかったからです。

ミッドウェー海戦の敗北の原因については、重巡・利根の探索機を飛ばせなかったからだとか、開戦直前に命令が二転三転して現場が混乱したとか、様々な見解から分析が行われています。

ただ情報が出揃った現代から見てみますと、この海戦については現場での対応云々よりも、事前の準備不足が原因としか思えない理由がほとんどです。

例えば、真珠湾攻撃の際に日本軍は作戦の立案に1年・訓練に8か月、そして付随する兵器の開発や研究に余念がありませんでした。

ところがミッドウェー海戦時には、重なる快進撃によって慎重さを欠き、冒頭で述べた通り作戦目的さえ一つに絞られていませんでした。いわば出たとこ勝負です。

おまけに、真珠湾の際は準備に長期間を掛けたにも関わらず兵士にそれが明かされたのは僅か2週間前でした。対してミッドウェー海戦の時は、参加艦艇が停泊する軍港の民間人でさえ、次の攻略地がミッドウェー島だと知っていたといいます。

慢心と準備不足、これこそが海戦の行方を決定したと考えられるのです。


そういった観点から見てみたところ、第90話でのケイトの行動が心配になってきました。



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第90話のあらすじ紹介でも書きましたが、ケイトの『珈琲豆すり替え作戦』については、SNSでも懸念する声が多く聞かれました。

それもその筈で、ケイトと言えば慎重に物事を進めるタイプだったのに、何故か準備もないまま突発的に行動し始めたからです。
私も読んでいて、「ケイト嬢!?」と思ってしまいました。

もっともケイトの中では勝算があっての行動でしょうし、その辺りについては次のお話で明かされると期待しましょう。考えなしに行動して墓穴掘るケイトなんて見たくないですしね。


ただやはりケイトを信頼してみたところで、やはり心配だなあという思いは消えません。

振り返ってみると、スザンナとのすす能力合戦(第49話・50話の修練の間の件)や対マリーローズ戦(第70話~74話)では、ケイトは事前準備に余念がありませんでした。

では、それぞれについて以下で細かく見て行きましょう。


まずスザンナとのすす能力合戦です。

ケイトはジョンに手紙を渡す時、部屋にいる人物全ての死角になるよう、立ち位置を指示していました。ルイーズにさえ「こまかーいっ」と言われていたほどです。

また、万が一バレた時のために手紙にも細工をしていました。しかも表向きの手紙の内容は、スザンナを欺く&ジョンに煤を出させる、という非常に考えられていた文章です。

これによってジョンとショーンを味方にすることに成功しました。


次に対マリーローズ戦です。

ケイトは第68話でマリーローズに会う前に「準備が必要ね」と言っていたように、様々な準備をしていました。

エミリコ達がすす病にならないように口に水を含んでいたり、マリーローズ達を欺くため瞬時にエミリコ達の目にすす能力で煤を入れたり、といった事です。

また、庭園での橋のフェイクも事前に考えを練っていたからこその作戦です。


他にも、栄光の廊下でエドワードが辛酸を舐めた「引き渡しの同意書」もケイトがバーバラに進言したものですし(第77話と81話)、お披露目中もすす能力をひた隠しにするなど、ケイトの用心深さは至る所で見受けられました。


そうするとやっぱり、第90話でのケイトの行動は違和感を覚えます。

なんというか、これまで大した失敗がなかったことと、これ以上ないチャンスの到来に焦りすぎているんじゃないかと思えてきました。


思えば第11話でエミリコが窓から転落した時も、見つかったのがサラでなければ処分コースだったかも知れませんし、エミリコの洗脳を解くことができたのも「なんでも取っておく性格だから」というエミリコの日記がなければ不可能でした。

要するに、これまで割とギリギリのところで助かっていた部分もあるのです。


しかし成功の連続は、作戦を検討するという機会を逃すこととほぼ同義です。

なぜなら、失敗した作戦を反省することはあっても、成功した出来事を分析することはほとんどないからです。企業のマーケティングならともかく、ケイトに成功した案件から反省材料を抜き出して検討する余裕などないでしょう。

だとすると、どうしてもこれまでの成功が今回の「珈琲豆すり替え作戦」の失敗に繋がるんじゃないかという不安が……。


因みに私がここまで心配するのは、過去のケイトの動向だけではなく、現状の星つきの居住塔が無防備とは到底思えないことも理由です。

ケイトは、

・バーバラ→修練の間
・ベンジャミン→ルイーズと筋トレデート
・オリバー→ラボトリー

にいるので、あとはスザンナと顔の見えない人形だけ回避できればいける!と踏んでいますが、そもそもあれだけエドワードから圧力掛けられたスザンナが油断するとは思えません。

またSNSでも指摘が相次いでいますが、スザンナのすす能力の一つに「膜」(第52話)があります。星つき会議の前に部屋の前に張っていた煤の事です。

センサー替わりともいえるあのすすが保管庫の前にあったとすれば、スザンナが現場にいなくても侵入者の存在に気付くのは容易でしょう。というか1階をうろついていただけでルイーズは怒られたと言っているので、そもそも星つきの居住塔にすら入ることができないのではないでしょうか?

ひょっとして門前でケイトVSスザンナの第二ラウンドのゴングが鳴る……!?


しかもあわよくばスザンナを倒した(?)ところで、まだ越えなければならないハードルがあります。


ベンジャミンです。


あの筋肉自慢のナンバー2ですが、その外見に反して彼らのすす能力は“洗脳系”です。
それも効能は短時間であるものの、射程外でも効果がある厄介な能力です。

とすれば、ベンジャミンの射程範囲に侵入したエミリコを狙い撃ちにすることは十分可能です。


ルイーズが和気藹々と筋トレするその裏で、すす能力に倒れるエミリコ……


いや~、2話連続で倒れるエミリコなんて見たくないです!!

しかも今思えば、第90話冒頭でエミリコは原因不明の転倒をしています。

楽観的に見ればすす珈琲を飲んでいないことによる疲労と思われますが、そんなエミリコを伴ってケイトは「あと30分…」と叫びながら全力疾走していました。

いやいや、エミリコ大丈夫!?

読者から見ればサラのすす能力も懸念される状況で、エミリコと共に星つきの本拠地へと突入するのはあまりに無謀に思えてきます。

こうなったらいっそのこと、筋肉自慢には体力自慢をぶつけて、後ろにいたジョンにベンジャミンの相手をしてもらうほかないかも知れません。


ひょっとして、ジョンVSベンジャミンの第一ラウンドのゴングが鳴る……!?


まあ色々つらつらと書いてきましたが、ケイトの行動も現星つきの居住塔の現況も、あまりにもケイトにとって悲観な状況であることには変わりないかと思います。


個人的には、

“「珈琲豆すり替え作戦」を決行するものの失敗、ただし星つきにも発覚せず”

というのが、ケイトにとっても星つきの面々にとってもベターな結果だと思うのですが、如何でしょうか?


ローズマリーは第69話で「洗脳を解こうとしたばかりに失われた命もあります」と言っていましたが、ケイトが洗脳を解こうと珈琲豆をすり替えたことによって、もしかしたら失われる命があるかも知れません。

その時、エミリコが涙も枯れるほど悲しみに暮れることは間違いないでしょう。

あのローズマリーの台詞がケイト達に対する警告だとしたら、もしかしたらローブを抜いた瞬間からマリーローズの「最後の授業」は始まっていたのかも知れません。