私はこれまで、ソウマトウ先生自身が以前仰っていたように、シャドーハウスは一昨年の秋まで打ち切りの危機に追い込まれていたと思っていました。
そして、それに伴いこれまでと構成を変え、最低巻数の中で物語を締めくくることができるように準備していたと思っていました。


前者に関しては確かにその通りです。11月に名取さなさんの生放送によって話題になったものの、知名度という点では低空飛行を続けていました。それが一転したのは、12月12日に行われた第50話公開記念の一挙無料公開です。翌日の大反響を境にシャドーハウスは危機を脱しました。


しかし、先週公開された第95話とソウマトウ先生のツイートでは、後者に関して私の認識が間違っていたことが分かりました。

今回の記事では、第95話やそれに関連した出来事を拾いながら、連載中止の危機の中でソウマトウ先生がいかに“シャドーハウス”という作品を描き上げようとしていたのかについて書いていきたいと思います。

では続きよりどうぞ。
第95話のネタバレを含みますのでご注意下さい。

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第95話が公開された日の先生のツイートを見て、驚かなかった読者はいなかったのではないでしょうか。


そのツイートとは、第50話の扉絵にシャーリーが描かれていたことです(→今週の#シャドーハウス95話を読んだ方向けエイプリルフールじゃないやつ!)


なんとケイトとエミリコの傍には、あの時既にモーフシャーリーがいたのです!!

リプライ欄を見ますと、第50話の扉絵を見て当時から疑問に思っていた方もいたようです。凄い!

私はと言えば、過去記事「第50話 手紙」を読んで頂ければ分かるように全然気付いていませんでした。
冒頭で扉絵について延々と述べている上に、ステンドグラスにも言及しているにも関わらずこの有様です。いやー、これはやられました!!


もうこれだけでソウマトウ先生の凄まじさが分かるというものです。だってこの原稿を入稿した時点では、無料公開の反響なんて知る由もなかったんですからね。いやはや驚きです。この一点だけで、シャーリーの復活は既定路線だったことが分かります。やはり、ご都合主義なんて言葉はシャドーハウスとは縁遠いものですね。


さて、これだけでソウマトウ先生が先を見据えて執筆されていたことが十分に分かります。数ある伏線の中でもトップクラスです。第1話と第71話の“完成の箱”に匹敵する伏線です。

ソウマトウ先生は表紙や扉絵の場所について「作中にない」(→すごくわかりにくいこだわり)なんて仰っていたので、特段過去の扉絵を見返すなんてしていなかったのですが、こうなると他の扉絵も気になってきますね。ゴールデンウイークにでも再調査しなくては……。


しかし実を言いますと、シャーリーの復活についてもう一つ気になっていたことがありました。
それは、第43話の公開直後の先生のツイートです。


第43話はご存知の通り、お披露目のフィナーレとなったエピソードです。そして当時を知らない方でも容易に想像できるかと思いますが、このお話が公開された後の感想は、悲鳴・困惑・茫然の嵐でした。私も勢い余って、館を非難する感想を書いたほどです。

ところが、この様子を見ていたソウマトウ先生はこんなツイートをしていました。


「何と答えたらよいか悩むのでちょっと今回リプライは控えます。」



これを読んだ時、ん?と思いました。答えに悩むということは、読者の受け取り方と先生の認識にズレがあるかも知れないと思ったからです。

おまけに、読者が沈んでいるというのに直前のツイートでも、
「めちゃくちゃ嫌なところで来週休載です。」
と読者の心情を見透かしたようなコメントをされていました。この流れを見て、なぜソウマトウ先生はあまり深刻そうではないのだろうかと疑問が膨らみました。


そしてトドメの、第45話のライアンとエドワードの台詞です。

「派手に散って死ぬパターンは初めてだ」(ライアン)
「想定外の事態が起きたのでは…と推測しています」(エドワード)


ここまでくると、シャーリーとラムの身に何か予想外の事が起きたのではないか、と思わずにはいられません。

そして実際に第94話でラムが、第95話でシャーリーの生存が判明しました。
やはり、最新話の展開は当時から練られたものだったのです。流石の一言に尽きます。本編の中だけではなく、ツイートにもヒントを忍ばせるとは最高の演出ですね。いかに先生が作品を大切にしているかが分かるというものです。読者冥利に尽きます。


しかし上記の扉絵やツイートに関しては、本編とは関係ありません。これらの伏線が回収されずに連載が終了していたとしても、特段問題はないでしょう。これらの要素だけで、ソウマトウ先生が諦めていなかったという証拠にはならないかも知れません。


ところが、本編にもそれを感じさせる描写がありました。
最新話にて明かされた、第48話でケイトの部屋を駆けていた煤粒のことです。


私もあの煤については、星つきかクリストファーかローブシャドーか“1階”の住人かと、様々に想像巡らせていましたが、まさかまさかの正体でした。この正体を的中させた方はいないのでないでしょうか?

本当に敵じゃなくて良かったね、ケイト。


さて、この描写について特筆したいのは、第48話が公開されたタイミングです。


深夜の見回りでローブシャドーが初登場したのは平成31年の2月です。その正体は単行本6巻で明かされました。

また、先程お話した“完成の箱”が最初に描かれたのは第1話1ページ目です。同じく単行本6巻で真実が明かされました。


ソウマトウ先生が以前仰っていたように、作品が売れない中最低6巻は出版できるように掛け合っていたとすれば、これらの伏線を明かすための巻数を用意する意図があったということです。ストーリーを圧縮すれば、その後の展開も少し挟み込んで最終回を描き切ることは可能です。

もっとも、そもそもローブシャドーも“完成の箱”も物語の序盤で描かれたので、当時は打ち切りなど念頭に置いていなかったでしょうけどね。そう考えると、これらの伏線は連載を続けていく上で当時は必要な要素だったかと思います。


ところが、第48話の煤粒は違います。

このエピソードが公開されたのは、まさにソウマトウ先生がpixivFANBOXで苦境を明かした11月です。上記二点とは全く状況は異なります。この正体が明かされるのは恐らく単行本8巻でしょうから、下手したらこの伏線は回収されずに連載を終える危険がありました。


ではなぜ、第45話・46話と展開が急速に早まる中でこんなシーンが描かれたのか。

一つしか考えられません。


それは、ソウマトウ先生自身がシャドーハウスという作品が持つ魅力を信じ、絶対に諦めていなかったからです。
そして、ほんの少しのきっかけさえあれば絶対に広く受け入れられると信じていたからだと思います。


もちろん、実際にソウマトウ先生がどう考えていたかは不明です。一読者が詮索することではないでしょう。しかし、少なくともあの時点ではまだ、先生方はシャドーハウスを描き切ろうとしていたことは確かです。でなければ、わざわざ重要性の低い描写などしない筈です。その証拠は上記で述べた通りです。



いよいよ明日深夜、アニメシャドーハウスが放映されます。

アニメ化が発表されてからというもの、その影響力の大きさにはずっと驚かせられましたが、あっという間の半年間でした。なんだか不思議です。まだ実感がありません。

そして今、フランスをはじめとして世界中でシャドーハウスが読まれ始めています。

スペインや台湾、タイ。最近ではポーランドでも出版が計画されていると発表されました。英語圏でも出版されるのは時間の問題でしょう。


影響力というのは良い方にも悪い方にも作用するものです。

しかしシャドーハウスに限って言えば、良い方向にしか作用しないと私は信じています。
なぜなら、作者たるソウマトウ先生が誰よりもシャドーハウスを大切に思っているからです。その先生が監修しているのですから、アニメも海外進出も大丈夫に決まっています。


ですので、まだ始まってもいないですがここで宣言します。


アニメシャドーハウスは、絶対に成功します!!


そして“類似作品不在”のキャッチコピーの通り、類例のない作風は海外でも衝撃を与えることでしょう。

現代日本漫画の結晶がもたらす物語は、まだまだ始まったばかりです。