「ライアンの首」とはずいぶんと物騒なタイトルですね。

「首」といえば普通は頭部と胴部の間を指しますが、日本語で「人名」+「首」だとそうではありません。その場合、胴部から切り離された頭部を指すことが多いです。

つまりライアンの首とは、前回ラストで描かれたライアンの頭部のことです。

いやあ、気味が悪いですね。一体どんなストーリーが展開されることやら……。


ところで、過去の歴史においてそういった意味での「首」は、新約聖書のサロメやフランスにおけるギロチン(1977年まで公的に稼働)(!?)が有名ですが、我が国で最も有名なのはこちらの人物でしょうか。

将門首塚2

将門首塚1

坂東の風雲児・平将門です。大手町の首塚は様々な逸話に彩られ、現在では屈指の霊域として知られています。

平将門は平安時代の人物ですが、その名を知っている方も多いでしょう。また、首塚に纏わる出来事も有名です。

よって詳細はここでは述べませんが、東京大手町という日本最大のオフィス街に千年もの間鎮座しているという事実は、周囲の開発の歴史を思えば残っていることが奇跡です。近年の再開発で以前のような鬱蒼とした雰囲気は消え、今では写真のように小ぎれいな場所に変わりましたが、それでも私が訪れた時も参拝者が絶え間ありませんでした。

当時の将門が残した強烈な怨念、そしてその力にあやかろうとする人々の思いが垣間見られ、この先もずっと残っていくのだろうなと感じました。


因みに10年ほど前に訪れた時は、カエルのアクセサリーがそこら中に吊るされていました。

京都から坂東を目指して首を飛ばしてきた将門の力を借りようと、左遷されたビジネスマンが大手町に「帰る」に結び付けて、「蛙」の置物を奉納するようになったのがきっかけだとか。

これも時代の趨勢か、現在はお供え物が禁止されていることもあってそれらは撤去されてしまったようですが、その代わりカエルの石像が飾ってあります。

将門首塚カエル

並みならぬ執念で再起を目指した平将門。

首が空を飛ぶなど荒唐無稽な話ではありますが、それでもかつての英雄の姿に思い馳せ、数々の逸話を頼りに現代の大企業のビジネスマンが手を合わせる……。

そんなアンバランスさも、この場所が多くの人々を惹きつける理由なのかも知れませんね。


さて。

前置きが長くなりましたが、前回ラストのライアンもとてつもない執念を燃やしていました。


目を見開き、血走り、歯をむき出しにした悍ましい「首」


その「首」は果たして何処に帰ることになったのか。

続きより感想を書いていきたいと思います。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



いや~、ローズマリーをはじめとしてみんな無事で良かったです!!

前回終盤の惨状を目にした時は、マリーローズもローズマリーもバーバラもバービーも、そしてエドワード・アイリーン・ジェラルドも、ライアンとの戦闘に参戦した全員が全滅したと思いました。

しかもそれだけの犠牲がありながら、肝心のライアンは再び修復する生命力の強さも見せていたので余計に「ここまでしても勝てないのか……」とゾッとしました。


ところが、あれだけの頑強さを誇ったライアンの弱点は実にあっけなかったですね。


「すすは水に弱いんですよ」


ライアンの首を抱きながら、一見慈悲をも感じさせられるような格好でローズマリーが放ったのはこの一言でした。

その脇には花瓶を抱えたバービーが大量の水をライアンに注いでいます。

すっかり忘れていましたが、煤が水に弱いことは作中で何度も描写されていました。ライアンの強さを目の当たりにして完全に頭から抜けて降りていたのですが、そういえばそうだったなあと膝を打ちました。確かにこれではひとたまりもありますまい。

ローズマリーから頭を撫でられ花瓶から零れた薔薇を眺めながら絶命したと考えると、これまでの所業からしたらライアンは随分と贅沢な最期を迎えたなあと嫌味の一つも言いたくなりますが、本人の生き様とはかけ離れた死に様はそれはそれで惨めな気もします。

ライアンにとどめをさす前に「足手まといの生き人形に殺されるんです」とローズマリーは語り掛けていますが、これはせめてものローズマリーの復讐でしょうか。

改めて、肝の据わった少女だと感じさせられました。


それにしても、正直読み進めている間、いつローズマリーがこと切れるのかと気が気ではありませんでした。

前回の描写を見る限りではローズマリーの腹部の傷はかなり深そうでしたし、今回もライアンの首を抱いた時は「このまま捨て身でライアンの首を再起不能に追いやるのでは?」と悪い予感がしましたし、ホッとして駆け寄るマリーローズに「ここから先は運命に委ねましょう」と発言した時は「この次のページで息引き取らないよね?」とページを捲るのが怖かったり、仲間みんなでお掃除の歌を歌いだした時は「この歌を聞きながら眠るように永遠に目覚めないのでは」と恐れながら読んでいました。

ただ幸い傷は浅く、イヴの治療もありますのでもう安心でしょう。


今回のエピソードは、煤が水に弱いことが改めて示されたり、花瓶で強敵を倒すシーンがあったり、お掃除の歌を歌いながら生き人形が掃除をしたりと、懐かしさを感じるシーンが多かったです。

これらはかつてローズマリーが頻繁に登場していた、亡霊事件(13話あたりのエピソード。本ブログで第一次亡霊事件と呼んでいた頃)で描写されていた事象ですね。

そうしたシーンを眺めていると、いよいよシャドーハウスという物語が核心に迫ってきたのかとワクワクすると同時に寂しさをも感じますが、しかしまだ謎は残されています。


それは、シャドーがすす島から出られない理由をローズマリーが尋ねた際に、ライアンはそのことを知らなそうな返答をしたことです。

マリーローズがすす島から抜け出そうと、それどころか館から離れただけで原因不明の病に悩まされてきたという事実。

その秘密を重鎮であるライアンすら知らないというのは少し驚きでした。こうなると偉大なるおじい様はただの“傀儡”とは考えにくくなってきました。果たしてマリーローズが直面した謎の病の原因は何なのでしょうか?


その謎を解き明かすには、それこそ館の最大の謎を解明するしかないでしょう。

いよいよ、館の最奥部へと歩みを進めるケイト。

その道の先は掃除しても拭い切れないくらいの、深く黒い闇に包まれています。