見返りを求めずに誰かのために尽くすことは、なかなか難しいものです。
ましてやそれが、自身に関係のない他人のためなら尚更です。

世の中には無償の奉仕というものもあるにはありますが、その場合も奉仕者自身の立場が確立されていなければほぼ成り立ちえません。

夏目漱石は小説『三四郎』で、
「人間はね、自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいものだ。」
と書いていますが、裏を返せば、人は自身の心身に余裕がなければ親切もままならないということをよく表しています。

身を削る献身とはそもそも、生物としては『余計な』行動とも考えられます。
ならば漱石の言葉は、百年前、いやそれ以上前から変わらない人間の本質なのかも知れません。


今回のお話は、そんな当たり前のことが当たり前ではない、しかし誰もが心のどこかで願っている理想像が描かれていました。
もしもこれを明治の文豪が目にしたなら、果たしてどのような感想を抱いたでしょうか。
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