今回目を引くのは、扉絵でクールな視線をこちらに向けるルウとリッキーです。

2巻表紙のタイトルもそうですが、今話の作品名は初めて銀色で書かれており、それが更に冷たい印象を増幅させています。

絵柄も2巻表紙に少し寄せた感じになっていますね。
か細い輪郭と淡い色使いが、摩訶不思議なこの作品を象徴しているかのようです。


ただそんな怪しげな雰囲気から始まる第28話ですが、終始エミリコは笑顔です。

特に、最終ページで蝶を眺めながら微笑む姿はとても愛らしく、ポストカードにしたい位です。
(そういえば、初めてシャドーと生き人形以外の生物が登場しましたね。)

ところが、物語の展開はそんなエミリコの表情とは裏腹にかなり大きく動きました。

ストーリ上の展開というよりは、大きい謎明かしが行われたというべきでしょうか。
そして謎明かしが行われたと同時に、新しい謎がまた増えました。

物語が新たな展開を迎えるごとに謎が謎を呼ぶ構成は、シャドーハウスの真骨頂です。
ですが今回開示された情報は、恐らく連載以来最大級と言っても過言ではありません。

お話のあらすじと感想については、ネタバレを含みますので続きからでお願い致します。
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"お披露目"は、やはり"お披露目"でした。

これに最初に気付いたのは囚われの身となったケイトです。

ケイトのお話の前に、エミリコ&ラムの温室での花摘みやオレンジのつまみ食い・高台から庭園を見下ろす描写があるのですが、これについてはほのぼのストーリーですので今回は割愛します。

さて、久しぶりに登場したケイト。
その様子は禍々しいです。

鳥籠のような場所に閉じ込められ、その周りには無数のいばら。
指一本触れることも叶わない、そんな光景です。
反面、高潔で美しいケイトですので、こんな光景でさえ思わず似合っているのではと錯覚しそうになります。

ただ、忘れてはならないのが今は試験中だということです。

いばらの中心で上品に佇むケイトに、見とれている場合ではありません。

ケイトも、あの煤を操る能力でどうにかならないかとあれこれ思考を廻らせます。

ところがそんなケイト嬢に惚れ惚れしたのか分かりませんが、ここで大胆発言を繰り出すシャドーが登場します。

前話で箱の中からの脱出に成功したジョンです。

ケイトの前に姿を見せるや否や、なんと突然のプロポーズ!!

ですが即ケイトに却下されます。
瞬殺です。

薔薇と高貴な少女、という組み合わせ。
ギリシャ神話に出てくる‟ローダンテ”の物語を連想してしまいますが、求婚した男があえなく振られる展開までそっくりです。

しかしそれにもめげず、『俺はビッグになる男だぜ?』と粘るジョン。

正確には"シャドーハウスの王"になる、という表現でしたが、いやはや何とも驚きです。

以前ローズマリーが話していた"偉大なるおじい様"の呼称から考えると、おじい様こそがシャドーハウスに君臨する"王"の筈です。
だとするなら、もしかしてジョンはその玉座を狙っているのでしょうか?

いやいや、普通に考えれば無謀この上ありません。

ケイトもそんなジョンに呆れたのか、はたまた汚れた服で女の子に言い寄ったジョンに嫌気がさしたのか、心の中で『こいつ馬鹿かしら』と呟きます。

…ケイト。どうせ相手は手を出せないんだから、声に出しちゃって良いんじゃないかな?

ですが、気品あるケイト嬢です。もちろんそんなことは言いません。
その代わり、ケイトはジョンの別の言葉に食いつきます。

それは、ジョンが独力で脱出に成功したという部分です。

ところが、あまりに酷すぎるジョンの語彙力不足。
そのせいで、自覚がないままジョンも煤を操っている、と若干ケイトは誤解してしまいます。
(独り言の時は普通に、『煤を沢山出したら圧力で箱が破裂した』と言っていたのにジョンはどうしたのでしょうか?)

ところが、他者と話したことで、ケイトはあることに気が付きます。

ジョンが去り際にケイトを見て言った、「まるで見世物だな」という台詞。
偵察しているかのように、庭園の上を飛ぶ “黒い鳥”。
そして今ここで行われているのは、‟お披露目”……

ここから導き出される答えは、この試験は誰かに見られているということです。



果たして『視線』の正体は、館の中にありました。

これまで登場したシャドーとは違い、遥かに年上と見受けられるお影様達。

彼達の言動から考えて、エドワードが言っていた“上位のシャドー”とは、この4人(または5人)のお影様のこととみて間違いはなさそうです。

その容姿は、現代社会の我々が想像する欧州貴族そのものです。

右上から時計回りに、蝶のアクセサリーで身を飾らせる『蝶々夫人』、
片眼鏡を付けた壮年の男『モノクル卿』、
特徴的な髪型の『パーマネント男爵』、
ティアラとくびれたウエストが目印『ミセス・コルセット』

この4人が今回の“お披露目”の審査員なのかは分かりませんが、少なくとも何らかの影響力はあると考えられます。
(※この4人の名前は、勝手に管理人が名付けたものです。)

あとこれは私の深読みしすぎかもしれませんが、この4人が描かれているページの上の方にカーテンのような花柄の布がありますが、この裾から白い足のようなものが二つ出ているのが分かるでしょうか?

モノクル卿の足を見るからに、二つ飛び出している白い足のようなものは、靴のつま先に似ています。

こうやって見るとまるで、窓の方を向いて巨大なケープを羽織った人物が座っているように見えないでしょうか?

だとしたらこの人物こそが、“偉大なるおじい様”なのでしょうか?
新たなる謎が増えました。

謎と言えば、彼達の会話の内容も気になることばかりです。

煤の量が多いジョンが評価されたり、“お披露目”が娯楽だったり、散々な評価のエドワードだったり…

でも何よりも気掛かりなのが、ケイトの救出の難易度が高いという指摘です。
そしてどこで聞いたのか、ここでもエミリコは「お花畑」と呼ばれ、評価はかなり低い状態です。

このまま無事にケイトは脱出できるのでしょうか。
そしてこの低評価をエミリコは覆すことができるのでしょうか。

蝶を眺めるエミリコの笑顔が、これから先もずっと続くことを願って已みません。