某海賊漫画を彷彿とさせる煽りで始まる、第32話。
ポーズを決めて中央に立つのは、ショーンの主人・ジョンです。
語彙力不足も相変わらずです。
ところが、断片的な台詞から意味を読み取って相槌を打つのは、ショーンではなくエミリコだったりします。思わず悔しさを口にするショーンを尻目に、ケイトの情報を引き出そうとするエミリコ。
今回のお話では、エミリコだけでなく他の登場人物の表情も見所となっています。
ポーズを決めて中央に立つのは、ショーンの主人・ジョンです。
語彙力不足も相変わらずです。
ところが、断片的な台詞から意味を読み取って相槌を打つのは、ショーンではなくエミリコだったりします。思わず悔しさを口にするショーンを尻目に、ケイトの情報を引き出そうとするエミリコ。
今回のお話では、エミリコだけでなく他の登場人物の表情も見所となっています。
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後出しじゃんけんになるのは承知ですが、オレンジ・地図・ランタンという組み合わせから、いずれ炙り出しの仕掛けが出てくるのは何となく予想してました。
やたらとエミリコがオレンジを食べる描写が多かったですし、膝に地図を乗せて皮を剥く様子も見受けられたからです。だからどうしたと言われたらそれまでなのですが、とにかく凝り性のエドワードのことですから、庭園だけでなく地図にも何か仕掛けを作っていてもおかしくはないと感じていました。
もっとも、まさか地図の細工があんなに沢山あるとは予想外でしたが…
ちなみに、この炙り出しの仕掛けが発覚したきっかけは、エミリコがジョンを慰めようとオレンジを剥いたからでした。
なぜジョンがそこまで落ち込んでいたのかというと、今さらになってあのケイトへのプロポーズを後悔しだしたからです。
後悔とは言っても、ケイトへのプロポーズ自体のことではありません。
緊張のあまり、いきなり婚約者になれだとかシャドーハウスの王になるとか口走ったことを後悔しているのです。
話の内容に驚くショーンに、それ以上は何も言うなと止めるジョン。
ショーンが言おうとしていた台詞の内容は、多分作品世界を知るうえで貴重な発言だったと思うのですが、残念ながら聞くことはできませんでした。
ショーンが驚いたのは、ジョンのプロポーズの相手がケイトだったからなのか、婚約するには早すぎるという意味なのか、それともシャドーに結婚という概念がそもそもないのか…
もしくは、シャドーハウスの王になるという宣言に驚いていたのかも知れませんが、この辺りに関しては暫くお預けとなりそうです。
その代わりと言ってはなんですが、ここからはジョンのケイトへの熱い想いが述べられています。
まずエミリコに対して、ケイトにはプロポーズの際に緊張していたとは言わないでくれと頼むジョン。
意中の異性に恥ずかしいところを知られたくないという胸中がありありと見えます。
半面、生き人形達にはケイトへの溢れんばかりの愛を滔々と語り出します。
いきなりエミリコに対し、ケイトの“顔”としては幼いと失礼な発言を繰り出しますが、そこからはもう、ケイトへの称賛が止まりません。
すすに魅力があり、顔であるエミリコからはケイトの心の美しさが見て取れ、その主人であるケイトはきっと、生き人形と同じくらい可愛らしい一面がある筈と力説します。
これをジョンは、「高貴さと愛くるしさの同居」とまとめていますが、まさにケイトを言い表すにこれ以上ない言葉だと思います。
もしジョンが、すすだるまを作るケイトや、すす取りの間で計器を見てはしゃぐケイトを見たならば、可愛さのあまり身悶えしてしまうこと必至でしょう。
きりっとしたエミリコを見て、良い表情だと眺めているジョンは、きっとエミリコを通してケイトに思いを馳せていたことでしょう。
完全にベタ惚れ状態ですね。
さて、ジョンからケイトの様子を聞いたエミリコは、いつもと打って変わってテキパキとショーンとラムに指示を出していきます。
彼女のこんな姿は見たことがありません。主人を助けるためにエンジン全開といった感じです。
ところが、次のページにはルーペで遊ぶ、いつものエミリコの姿がありました。
それを見て、そんな楽観的な姿もまた良いと思うジョン。
もうケイトに関係することなら何でもいいのか、と突っ込みたくなります。
ですが、ここで一つ地図の謎が解けました。
ショーンが見つけていた黒い点の下の小さい線です。
これは、線の本数で格付けの順位を表したものでした。
この記号から、各お影様の位置が判明します。
左下から時計回りに、
ルイーズ、シャーリー、ケイト、ジョン、パトリックです。
なんと! 私が以前推測したお影様の位置とは違いました。
痛恨のミスです。
てっきりルウとルイーズが最初に合流するという話が出ていたので、シャーリーの位置とルイーズの位置を逆にしていました。
確かに、ルイーズ&ルウ組が首位だったわけですから、ゴールに近い位置に居なければなりませんよね。
これは一本取られました。
ということは、現状ケイトとエミリコはもちろんのこと、シャーリーとラムの合流も目前です。
これについて、深夜の見廻り以来と思われる笑顔でラムに話しかけるショーン。久々にこんな表情のショーンを見た気がします。
ところが、ラムの顔はどこか沈んでいるように見えます。
こちらも久々に見た表情ですが、ショーンとはひどく対照的です。
一体何が彼女をそんな風にさせているのでしょうか。
いよいよ次は、地図の炙り出しの出番です。
オレンジをこぼした地図をランタンに近づけていたエミリコは、その表面におかしな焦げがあることに気が付きます。
オレンジをこぼした跡とは別の、不可解な書き込み。
ここで名探偵ショーンの勘が冴え渡ります。
ラムから新品同様の地図を受け取ってランタンで炙ってみたところ、これまで分からなかった経路の高低差が分かるようになりました。
それだけではありません。
ジョンの煤によって使用不可と思われたショーンの地図。
ところが一番下の小屋だけは全く汚れていませんでした。これはもしかしたら、ジョンの服を洗濯できる施設を示している可能性が出てきました。
あるいは、すす取りの間に似た設備かも知れませんね。
更に、ここで解き明かされたのは地図の謎だけではありません。
知られざるラムの能力も判明しました。
すす時計の分量と歩いた距離を記憶しており、残り時間が正確にわかること。
地図の内容を完璧に覚えていて、もはや地図がなくても踏破することが可能なこと。
まるで、庭園迷路のために授けられたかのような特技です。
地図が新品同様だったのは、いちいち地図を取り出す必要がなかったという何よりの証拠です。
ここにきて大きな活躍を見せ始めたラム。
引っ込み思案なので、ショーンに地図を渡す時もまるで片思いの相手にバレンタインチョコを渡すかのような挙動でしたが、彼女の力はしっかりとショーンとジョン、そしてエミリコに伝わっている筈です。
なお、ジョンの話によると、ケイトへと向かう道の手前の小屋は橋だったのですが、既に崩落しているため使えないようです。
となると通れる道は、地図の上側中央にある複雑な経路だけです。
一挙に地図の謎が解けたことで、これからの行動が定まりました。
それらの情報を総合して、ショーンは
①ケイトの場所
②シャーリーの場所
③すすで汚れなかった小屋
の順番で歩いていこうと提案します。
しかし、一見効率的に見えたこの提案は撤回されることになります。
異議を唱えたのは、エミリコでした。
先程ラムが計算した残り時間は、50分。
既に制限時間を折り返しています。
ケイトとシャーリーを救出した上でジョンの煤汚れを落としていたのでは、時間が掛かり過ぎると判断したのでしょう。
それに、目指すべき小屋に行ってもジョンの問題が解決する確証はありません。いち早くそれを確認することは、彼らにとって何よりの最優先課題です。
エミリコは、これまで辿ってきた道を戻るようショーンに告げました。
そのエミリコに対し、エミリコの助けになりたいと主張するショーン。
なんと純粋な少年でしょうか。
エミリコ、ラム、ショーン。
この三人は深夜の見廻りの時から、みんなお互い助け合ってここまで来ました。
その過程においてショーンが果たしてきた貢献度は、決して小さいものではありません。
にも関わらず、エミリコを助けたいと申し出ているのです。
おまけに、助けたいと述べる際にショーンは、「俺も」と最初に付けています。
これは、彼がエミリコにこれまで助けてきてもらったと感じているからに他なりません。
自らが他者を助けてきた事実よりも、エミリコに助けられてきたという感謝の念の方が強いということです。
しかしそれでもなお、エミリコの決心は揺るぎません。
なぜなら、彼女もまた同じ思いだからです。
人一倍他人を気遣い、一緒にいることを好むエミリコ。
蹴落とし合いである “お披露目” の最中だというのに、意図的にラムと合流し、ショーンを見つけて手を振るくらい社交的なのが彼女の魅力です。
そんなエミリコが一時的にせよ別離を決心したのですから一大事ですが、その理由はショーンやジョン、ラムに感謝するが故のものでした。
また、エミリコにはもう一つ理由がありました。
それは、以前パトリックに会った時に聞いたある言葉です。
あの時パトリックは、自身を助けるのはリッキーなのだからと言って、エミリコ達を先に行かせました。
生き人形を信頼するパトリックと、主人を案じているであろうリッキー。
彼らの関係を見て、エミリコは生き人形の役割について改めて気付いたのです。
ー生き人形は主人のお役に立つためにいるー
第3話で、繰り返しエミリコが発していた台詞です。
役割ではなく、それは“使命”と言った方が適切かも知れません。
パトリックはエミリコに心救われていただけではなく、知らないうちにエミリコに対し、重要な示唆を与えていたのですね。
‟情けは人の為ならず” という諺の典型と言って良いくらいの描写です。
ショーンはジョンのために行動して欲しいと語るエミリコの顔は、かつてないほど力強いです。
こんなエミリコの表情は、リッキーに名前のことで責められていた時に反論して以来でしょうか。
いえ、それよりももっと前、第10話の扉絵の方がそれに近いかもしれません。
以前の記事(第10話 落ちない汚れ)でも書きましたが、第10話はエミリコが自身の手で困難を乗り越えた、ターニングポイントとなるお話でした。
今回の第32話も同じです。
エミリコが、生き人形としてどう行動すべきかということを、少し距離を置いて考えることができるようになった。
そう捉えるとするならば、エミリコの精神的な成長を描いた場面と言えるでしょう。
主人に怒られて泣きべそをかく少女は、もうここにはいません。
今の彼女ならば、絶対にケイトを助け出すことができます。
ふと気付くと、いつの間にかジョンがショーンの肩に腕を乗せていました。
表情は見えない筈なのに、ショーンに『そうだろう?』と言いたげなジョンの姿が見えてくるようです。微笑み返すショーンの顔も、憂いが消えたすっきりとした表情です。
ここで見廻り三人組はしばし解散となりますが、これは今生の別れではありません。
またいつか、三人の微笑ましい姿が見られることでしょう。
その時こそはきっと、隣に彼らの主人も一緒にいる筈です。
そんな明るい未来を感じさせる場面を経て、最終ページにはいよいよあの謎のお影様が登場です。
ラムの主人、シャーリー。
彼女の瞳は一体、何を見ているのでしょうか。
後出しじゃんけんになるのは承知ですが、オレンジ・地図・ランタンという組み合わせから、いずれ炙り出しの仕掛けが出てくるのは何となく予想してました。
やたらとエミリコがオレンジを食べる描写が多かったですし、膝に地図を乗せて皮を剥く様子も見受けられたからです。だからどうしたと言われたらそれまでなのですが、とにかく凝り性のエドワードのことですから、庭園だけでなく地図にも何か仕掛けを作っていてもおかしくはないと感じていました。
もっとも、まさか地図の細工があんなに沢山あるとは予想外でしたが…
ちなみに、この炙り出しの仕掛けが発覚したきっかけは、エミリコがジョンを慰めようとオレンジを剥いたからでした。
なぜジョンがそこまで落ち込んでいたのかというと、今さらになってあのケイトへのプロポーズを後悔しだしたからです。
後悔とは言っても、ケイトへのプロポーズ自体のことではありません。
緊張のあまり、いきなり婚約者になれだとかシャドーハウスの王になるとか口走ったことを後悔しているのです。
話の内容に驚くショーンに、それ以上は何も言うなと止めるジョン。
ショーンが言おうとしていた台詞の内容は、多分作品世界を知るうえで貴重な発言だったと思うのですが、残念ながら聞くことはできませんでした。
ショーンが驚いたのは、ジョンのプロポーズの相手がケイトだったからなのか、婚約するには早すぎるという意味なのか、それともシャドーに結婚という概念がそもそもないのか…
もしくは、シャドーハウスの王になるという宣言に驚いていたのかも知れませんが、この辺りに関しては暫くお預けとなりそうです。
その代わりと言ってはなんですが、ここからはジョンのケイトへの熱い想いが述べられています。
まずエミリコに対して、ケイトにはプロポーズの際に緊張していたとは言わないでくれと頼むジョン。
意中の異性に恥ずかしいところを知られたくないという胸中がありありと見えます。
半面、生き人形達にはケイトへの溢れんばかりの愛を滔々と語り出します。
いきなりエミリコに対し、ケイトの“顔”としては幼いと失礼な発言を繰り出しますが、そこからはもう、ケイトへの称賛が止まりません。
すすに魅力があり、顔であるエミリコからはケイトの心の美しさが見て取れ、その主人であるケイトはきっと、生き人形と同じくらい可愛らしい一面がある筈と力説します。
これをジョンは、「高貴さと愛くるしさの同居」とまとめていますが、まさにケイトを言い表すにこれ以上ない言葉だと思います。
もしジョンが、すすだるまを作るケイトや、すす取りの間で計器を見てはしゃぐケイトを見たならば、可愛さのあまり身悶えしてしまうこと必至でしょう。
きりっとしたエミリコを見て、良い表情だと眺めているジョンは、きっとエミリコを通してケイトに思いを馳せていたことでしょう。
完全にベタ惚れ状態ですね。
さて、ジョンからケイトの様子を聞いたエミリコは、いつもと打って変わってテキパキとショーンとラムに指示を出していきます。
彼女のこんな姿は見たことがありません。主人を助けるためにエンジン全開といった感じです。
ところが、次のページにはルーペで遊ぶ、いつものエミリコの姿がありました。
それを見て、そんな楽観的な姿もまた良いと思うジョン。
もうケイトに関係することなら何でもいいのか、と突っ込みたくなります。
ですが、ここで一つ地図の謎が解けました。
ショーンが見つけていた黒い点の下の小さい線です。
これは、線の本数で格付けの順位を表したものでした。
この記号から、各お影様の位置が判明します。
左下から時計回りに、
ルイーズ、シャーリー、ケイト、ジョン、パトリックです。
なんと! 私が以前推測したお影様の位置とは違いました。
痛恨のミスです。
てっきりルウとルイーズが最初に合流するという話が出ていたので、シャーリーの位置とルイーズの位置を逆にしていました。
確かに、ルイーズ&ルウ組が首位だったわけですから、ゴールに近い位置に居なければなりませんよね。
これは一本取られました。
ということは、現状ケイトとエミリコはもちろんのこと、シャーリーとラムの合流も目前です。
これについて、深夜の見廻り以来と思われる笑顔でラムに話しかけるショーン。久々にこんな表情のショーンを見た気がします。
ところが、ラムの顔はどこか沈んでいるように見えます。
こちらも久々に見た表情ですが、ショーンとはひどく対照的です。
一体何が彼女をそんな風にさせているのでしょうか。
いよいよ次は、地図の炙り出しの出番です。
オレンジをこぼした地図をランタンに近づけていたエミリコは、その表面におかしな焦げがあることに気が付きます。
オレンジをこぼした跡とは別の、不可解な書き込み。
ここで名探偵ショーンの勘が冴え渡ります。
ラムから新品同様の地図を受け取ってランタンで炙ってみたところ、これまで分からなかった経路の高低差が分かるようになりました。
それだけではありません。
ジョンの煤によって使用不可と思われたショーンの地図。
ところが一番下の小屋だけは全く汚れていませんでした。これはもしかしたら、ジョンの服を洗濯できる施設を示している可能性が出てきました。
あるいは、すす取りの間に似た設備かも知れませんね。
更に、ここで解き明かされたのは地図の謎だけではありません。
知られざるラムの能力も判明しました。
すす時計の分量と歩いた距離を記憶しており、残り時間が正確にわかること。
地図の内容を完璧に覚えていて、もはや地図がなくても踏破することが可能なこと。
まるで、庭園迷路のために授けられたかのような特技です。
地図が新品同様だったのは、いちいち地図を取り出す必要がなかったという何よりの証拠です。
ここにきて大きな活躍を見せ始めたラム。
引っ込み思案なので、ショーンに地図を渡す時もまるで片思いの相手にバレンタインチョコを渡すかのような挙動でしたが、彼女の力はしっかりとショーンとジョン、そしてエミリコに伝わっている筈です。
なお、ジョンの話によると、ケイトへと向かう道の手前の小屋は橋だったのですが、既に崩落しているため使えないようです。
となると通れる道は、地図の上側中央にある複雑な経路だけです。
一挙に地図の謎が解けたことで、これからの行動が定まりました。
それらの情報を総合して、ショーンは
①ケイトの場所
②シャーリーの場所
③すすで汚れなかった小屋
の順番で歩いていこうと提案します。
しかし、一見効率的に見えたこの提案は撤回されることになります。
異議を唱えたのは、エミリコでした。
先程ラムが計算した残り時間は、50分。
既に制限時間を折り返しています。
ケイトとシャーリーを救出した上でジョンの煤汚れを落としていたのでは、時間が掛かり過ぎると判断したのでしょう。
それに、目指すべき小屋に行ってもジョンの問題が解決する確証はありません。いち早くそれを確認することは、彼らにとって何よりの最優先課題です。
エミリコは、これまで辿ってきた道を戻るようショーンに告げました。
そのエミリコに対し、エミリコの助けになりたいと主張するショーン。
なんと純粋な少年でしょうか。
エミリコ、ラム、ショーン。
この三人は深夜の見廻りの時から、みんなお互い助け合ってここまで来ました。
その過程においてショーンが果たしてきた貢献度は、決して小さいものではありません。
にも関わらず、エミリコを助けたいと申し出ているのです。
おまけに、助けたいと述べる際にショーンは、「俺も」と最初に付けています。
これは、彼がエミリコにこれまで助けてきてもらったと感じているからに他なりません。
自らが他者を助けてきた事実よりも、エミリコに助けられてきたという感謝の念の方が強いということです。
しかしそれでもなお、エミリコの決心は揺るぎません。
なぜなら、彼女もまた同じ思いだからです。
人一倍他人を気遣い、一緒にいることを好むエミリコ。
蹴落とし合いである “お披露目” の最中だというのに、意図的にラムと合流し、ショーンを見つけて手を振るくらい社交的なのが彼女の魅力です。
そんなエミリコが一時的にせよ別離を決心したのですから一大事ですが、その理由はショーンやジョン、ラムに感謝するが故のものでした。
また、エミリコにはもう一つ理由がありました。
それは、以前パトリックに会った時に聞いたある言葉です。
あの時パトリックは、自身を助けるのはリッキーなのだからと言って、エミリコ達を先に行かせました。
生き人形を信頼するパトリックと、主人を案じているであろうリッキー。
彼らの関係を見て、エミリコは生き人形の役割について改めて気付いたのです。
ー生き人形は主人のお役に立つためにいるー
第3話で、繰り返しエミリコが発していた台詞です。
役割ではなく、それは“使命”と言った方が適切かも知れません。
パトリックはエミリコに心救われていただけではなく、知らないうちにエミリコに対し、重要な示唆を与えていたのですね。
‟情けは人の為ならず” という諺の典型と言って良いくらいの描写です。
ショーンはジョンのために行動して欲しいと語るエミリコの顔は、かつてないほど力強いです。
こんなエミリコの表情は、リッキーに名前のことで責められていた時に反論して以来でしょうか。
いえ、それよりももっと前、第10話の扉絵の方がそれに近いかもしれません。
以前の記事(第10話 落ちない汚れ)でも書きましたが、第10話はエミリコが自身の手で困難を乗り越えた、ターニングポイントとなるお話でした。
今回の第32話も同じです。
エミリコが、生き人形としてどう行動すべきかということを、少し距離を置いて考えることができるようになった。
そう捉えるとするならば、エミリコの精神的な成長を描いた場面と言えるでしょう。
主人に怒られて泣きべそをかく少女は、もうここにはいません。
今の彼女ならば、絶対にケイトを助け出すことができます。
ふと気付くと、いつの間にかジョンがショーンの肩に腕を乗せていました。
表情は見えない筈なのに、ショーンに『そうだろう?』と言いたげなジョンの姿が見えてくるようです。微笑み返すショーンの顔も、憂いが消えたすっきりとした表情です。
ここで見廻り三人組はしばし解散となりますが、これは今生の別れではありません。
またいつか、三人の微笑ましい姿が見られることでしょう。
その時こそはきっと、隣に彼らの主人も一緒にいる筈です。
そんな明るい未来を感じさせる場面を経て、最終ページにはいよいよあの謎のお影様が登場です。
ラムの主人、シャーリー。
彼女の瞳は一体、何を見ているのでしょうか。
