組織には必ず、肩書が存在します。
いわば役割と責任の分担です。

それがない集団はただの個々の集合体でしかありません。
統一された目的があるならば集団の存在は一定の力を保持しますが、系統立てられた組織に比べればその差は歴然としています。

統率力、機動力、即応性、修復力、多様性、情報伝達……

どれか一つは勝ることはあれど、総合力はシステム化された組織に及びません。だからこそ、世の中の組織は大抵ピラミッド型の権力構造を採っているのです。

翻ってシャドーハウスはどうでしょうか。

恐らく、“偉大なるおじい様”が頂点にいるのは間違いなさそうです。
何といっても『王』であり、『創造主様』ですからね。
歴史上の専制国家もびっくりな、超中央集権体制が布かれていることでしょう。

しかし考えてみると、その下の地位はどうなっているのか疑問です。

第36話のエドワードの台詞や過去のお話から、一応は大体の推測が可能です。
しかし詳細を見ていくと、僅かながら矛盾点が見えてくるのも事実です。

今回は少し、これまでに開示された情報を整理していきたいと思います。
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以前にも、「“試験官”という地位」という記事で、“星つき”と“試験官”という二つの役割について考察しました。

この時は、第25話でのエドワードの余裕のない様子と、パトリックとサラの“星つき”に対する憧れを分析した結果、実は『星付き>試験官』という力関係なのではないかと結論付けました。

パトリックとサラは“星つき”を『偉大なるおじい様』の側近と捉えており、それならば“試験官”であるエドワードよりも高い地位ではないかと思ったからです。

しかし第36話を読んでみると、そうとも言い切れないことが分かりました。

エドワードはエリーとの会話の中で、自分達は“おじい様と共にある棟”の二階に住んでいて、重鎮は三階にいると語っています。
また、それ以外にも一階が存在しているようです。

ここで注目すべきは、3階に住むという重鎮は、顔を出していないという発言です。

第7話で、バービーは主人のシャドーと渡り廊下を歩いていました。
エミリコが手を振るものの主人の方は全く気付いていませんでしたが、髪飾りや容姿から、ほぼ間違いなくバービーのお影様でしょう。

ということは、顔を出さない三階の重鎮達よりも、低い位だということです。
つまり、1階か2階、または“おじい様とともにある棟”にそもそも住んでいないと推測できます。

これが果たして、サラやパトリックが言う “おじい様に愛されるシャドー” でしょうか?
到底そうは思えません。

よくて、ケイトやサラといったシャドーの取りまとめ役でしかない気がします。バービーが生き人形達のリーダーであるのと同じ、ということです。

そうすると、やはりサラとパトリックは思い違いをしているのでしょうか?
それとも、偽の情報を吹き込まれているのでしょうか?
または、部屋に置いてある本にでたらめが書かれているのか……

まさか、そんな出世争いのライバルを潰すような真似をする存在がいるとは思えません。そもそも“お披露目”前のシャドー同士の接触はないわけですから、ほぼ不可能です。大体、不自由な生活をする彼らにそんな嘘をついてどうしようというのでしょうか。
あまり意味があるとは思えません。

ところが、ここまで思案したところでふと気付いたことがありました。

出世といえば、ヒラから経営者側(社長など)への1本の線で繋がっていると考えがちです。
しかし、そんなに世の中は単純ではありません。

その代表的な例が、官公庁です。
いわゆる国家一種試験をパスしたキャリアは、本庁内の出世街道を突き進んでいきます。
対して、それ以外で入庁した職員の場合は、本庁に残っても途中で栄達への道は閉ざされますし、出世しても大抵は出先機関での管理職が関の山です。

つまり同じ出世といっても、ルートもゴールも違う別のコースがあるわけです。

これをシャドーハウスに当てはめてみましょう。

もしかしたら、

①“おじい様とともにある棟”へと進む出世街道(エリートシャドー)
②“星つき”を頂点とする、エミリコ達が住む棟での出世争い(一般シャドー)

この二つのコースがあるのではないでしょうか。

ようするに、重鎮達はエリート街道を辿ってきたシャドーで、バービーはそこから外れたということです。
(若しくは彼女は軍曹気質なので、上からの命令で生き人形のリーダーに指名されたとも考えられます。)

これなら重鎮たちに比べて地位は低いものの、“偉大なるおじい様”からみれば重要な役割であることには変わりありません。
仕事の性質上、2階の住人よりも気に掛けて貰っているかも知れません。

更に言えば、サラやパトリックは“星つき”を目指しているのに対し、ジョンは重鎮たちの椅子を狙っているとも推測ができます。もしかしたらケイトがエミリコに“星つき”の話をしていないのも、そもそも“星つき”なぞ眼中になかったからとも考えられます。

以上が、現在までに考えうるシャドーハウスの権力構造です。


ただ、エドワード達や重鎮が大人であることと、バービーやもう一人の“星つき”の少年を見る限りですと、こんな複雑な事情ではないとも思えてきますね。

単純に、少年期は“星つき”が出世の限界で、成長したら“おじい様と共にある棟”に移り新たな権力争いが始まる、と考えた方がシンプルな気がします。

そっかあ、成長したケイト嬢とエミリコかぁ……
見るのが楽しみなような、今の姿が名残惜しいような、複雑な気分です。

しかし聡明なケイト(ジョン談)です、まさかの飛び級で一気に重鎮の仲間入りも期待できるのではないでしょうか!?
今の姿のままエリート街道を爆進するには、この一手しかないでしょう。
ついでに片腕として“シャドーハウスの王”を目指すジョンを起用すれば、ジョンにとっては悪くない(むしろご褒美)話だと思います。

今回は少しとっちらかってしまいましたが、貴族のまねごとをしている者達の権力争いはこんなではないかな、という考察でした。