先日、エッセイストのまついなつき氏がご逝去されたというニュースがありました。
恥ずかしながら私が氏のことを知ったのは昨年末の、それもシャドーハウスの話題絡みのことでした。
その時は高名な漫画家の方も応援してくれているのだと勇気づけられましたが、それから僅か1か月後の訃報に、ただただ驚いております。
心よりご冥福をお祈り致します。
私が今回、まついなつき氏について記事を綴ろうとしたきっかけは、調べれば調べるほど多方面でご活躍され、そして多くの方に影響を与えていたことに感銘を覚えたからです。
記憶を辿ってみると、私も断片的ではありましたが、実はまついなつき氏のことを知っていました。
過去に「笑う出産」というヒットした漫画があったこと、病気で長らく療養している女性漫画家がいるということ。
そして、シャドーハウスを応援している著名な方がいらっしゃるということ…。
しかしそれらが同一人物だったと知ったのは、つい先日のことでした。
つくづく自身の浅学さを身に染みて感じているところです。
そこで少しだけではありますが、このたび氏の書籍を幾つか読んでみました。
続きからでは、その紹介と読後の所感を書いていきたいと思います。
恥ずかしながら私が氏のことを知ったのは昨年末の、それもシャドーハウスの話題絡みのことでした。
その時は高名な漫画家の方も応援してくれているのだと勇気づけられましたが、それから僅か1か月後の訃報に、ただただ驚いております。
心よりご冥福をお祈り致します。
私が今回、まついなつき氏について記事を綴ろうとしたきっかけは、調べれば調べるほど多方面でご活躍され、そして多くの方に影響を与えていたことに感銘を覚えたからです。
記憶を辿ってみると、私も断片的ではありましたが、実はまついなつき氏のことを知っていました。
過去に「笑う出産」というヒットした漫画があったこと、病気で長らく療養している女性漫画家がいるということ。
そして、シャドーハウスを応援している著名な方がいらっしゃるということ…。
しかしそれらが同一人物だったと知ったのは、つい先日のことでした。
つくづく自身の浅学さを身に染みて感じているところです。
そこで少しだけではありますが、このたび氏の書籍を幾つか読んでみました。
続きからでは、その紹介と読後の所感を書いていきたいと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回紹介するまついなつき氏の書籍は3冊です。
いずれも近年に発行または新訂版が発売されたものですので、比較的容易に手に入るのではと思います。
(電子書籍でも入手可能です。)
しあわせ占星術(新版)

エッセイストとしてだけではなく、占い師としても活躍していたまついなつき氏。初版の執筆時は修行中だったのことでタイトルに「初めてでもわかりやすい」と書かれていますが、その題名通り占星術の入門書として分かりやすく解説されています。
私は占いにこれまで疎かったのですが、それでも楽しく読めました。
『占い』というとどことなくうさん臭さを感じることが多いですが、本書を読んでみてそうではないことが少し理解できました。占星術がただのあてずっぽうではなく、遥かに奥深い世界であることを押しつけがましくなく教えてくれる本です。
ムーンチャイルド占星術

こちらも占いの本ですが、どちらかといえば子育てや教育本に近いものを感じます。
内容は子供たちを星座や惑星に当てはめて、どう接したり見守ったりしていけばいいのかをアドバイスしています。通常の教育分野の書籍が科学・史実を基にしているのに対し、まついなつき氏は占星術からアプローチを試みているのがユニークです。
案外、子供だけではなく大人同士のコミュニケーションにも応用できるのではないかと思いました。
まさかわたしがPTA!?

こちらはまついなつき氏の十八番(?)、子育て関係の漫画エッセイです。
実際に氏が経験したPTA活動について描かれています。
昨今PTAについては、改革が必要とかなくしてしまえといった怨嗟の声が全国から聞こえてきます。それに対し、そんな大ごとではなく肩ひじを張ることもないさ、と語り掛けてくれる作品です。
ただそれだけではなく、PTA活動が創設当初の役割を失っているにもかかわらず活動内容が変化していない・先人の理解が追いついていないということに対してもサラっと述べています。
お子さんが就学する親だけではなく、先生方や行政職員など教育関係者にもぜひ一読をお奨めしたい良作です。
簡単ではありますが、以上がまついなつき氏の著書を読んでの感想となります。本当はもっと書きたかったのですが、とりあえず手に入り易いこの3冊で紹介を終えたいと思います。
ところで、本来は氏の代表作『笑う出産』についても書くべきでしょうが、残念ながら入手できなかったため今回は触れていません。いつか縁があれば読んでみたいと思っています。
ただ、この『笑う出産』について此度感じたことがあります。
実はここ1週間私は、既に絶版になっている『笑う出産』を読みたいと都内の古本屋を巡っていました。本当に何店舗回ったか分かりませんが、その間まついなつき氏について調べていくうちに気付いたことがありました。
それは、氏が本を愛していたのと同じように、読者もまついなつき氏の著書を大事にしているのではないかということです。
まついなつき氏はシャドーハウスについてツイッターでコメントした際に、こうも述べていました。
「因みにAmazonでは2000円越え。ポリシーにより定価以上の値付け品には手は出さず。」
インターネットの発展により暮らしは便利になり、手に入れたいものが簡単に手に入る時代になりました。しかしその反面、その弊害により存続さえ危ぶまれる事態に直面する分野もまたあります。
特に書店がその最たる例でしょう。通販サイトの普及により実店舗が次々に閉店し、ハードの高性能化により紙書籍の売り上げが大幅に減ったというニュースはもう珍しくありません。
それが進歩の過程における必要な犠牲なのか、それとも近い将来に断罪されるべき過失なのかは不明です。しかし危惧すべきなのは、違法な手段によって作品がライターの手を離れてしまい、受け取るべき対価を得られていないケースが頻発していることです。
こういうことを書くと「それは古本屋だって一緒ではないか」という反論もあるわけですが、それは少し違います。
古本屋は転売屋としての業態が目につきやすいですが、同時に貴重な古書・文献を保護してきたという側面もあります。また古本屋を開業するには『古物商許可』が必要であり、それによって本に精通するプロを生み出すという役割がありました。
しかしインターネットにおける素人による転売にはそういったプロを生み出すという可能性はまずゼロです。それどころか、先程述べたように書店が閉店することによって、書店員が行き場を失い『本に精通するプロ』が消えていく光景が今まさに進行中です。
『本に精通するプロ』がいなくなるということは、文化の伝達者を喪失することと同義です。
こう考えると、現在ネット上で繰り広げられている違法サイトの乱立は弊害が大きく、それが防ぎきれていない以上インターネットにおける書籍の取引にはまだ慎重であるべきでしょう。
長年漫画家として出版業界を見てきたからこそ、まついなつき氏はポリシーとまで言い切って先のような発言をされたのだと思います。
さて、それに対してまついなつき氏の読者が出した答えはどうだったのか。
それは私が『笑う出産』を手に入れられなかったという事実に集約されています。
思えば「笑う出産」が出版されたのは平成6年、四半世紀以上も前です。
あの頃は今と違ってインターネットはまだまだ発展途上でした。
しかしその反面、当時のお母さん方が抱える悩みは現在と全く同じであったように思います。
核家族化や地域との交流の希薄化によって母親が孤立し、子育ての壁に阻まれるというニュースはよく見聞きします。それこそインターネット上ではそういった問題に悩む声が毎日のように書きこまれています。ある意味、インターネットはそういった母親(現代では父親も)の不安を吐露する場として育児に貢献しているといえるでしょう。
翻って、『笑う出産』の出版当時はどうだったでしょうか。
それについては、まついなつき氏の訃報に接した多くの方々のコメントが雄弁に語っています。
私はそれらを読んで、SNSがなかった時代に多くの女性が『笑う出産』に励まされながら、尊い仕事に明け暮れていた光景が目に浮かびました。
今もなお訃報を知った方々のコメントが増え続けています。
‟その人達にとって『笑う出産』は、大変な日々を送ってきた戦友だったのではないか”
本屋を回りながら私はそう思い始めていました。しまいには、本屋に入る度に「頼むから置いていないでくれ」とまで願う有様でした。
結果、どこを探しても『笑う出産』は見つかりませんでした。
きっとこれからも、同じ時代を生きた女性たちの手元にあり続けるのかも知れません。
シャドーハウスについてツイッターで呟いた次の日、まついなつき氏は意味深げな発言をされています。
‟なにも残さず死にたいなあ。私のことを覚えている人がみんな死んでしまったら、それでもう私の欠片も残らないような生き方したい。そしてほとんどの人はそうして生きているわけだ。そうなんだ。何か作品とか記録とか残すのは特殊な生き方なんだと思う。山羊座の新月はこんな感じでしょ。”
(まついなつき氏のツイッターより引用)
占星術に詳しくないので『山羊座の新月』が何を示すのかは分かりませんが、これがまついなつき氏の人生観だったのかなと思います。
多くの著作がある作家にも関わらずこういった言葉を残すことが出来るのは驚異です。占星術では、山羊座は他人や社会のために働く傾向が強いとのことですが、そんな日の呟きだからこそ一層『個』に執着のないように見えます。
まさしく明鏡止水といえましょう。
ただこんなことを言っては大変失礼かと思いますが、それでもまついなつき氏は多くのものを残したと思います。著作だけではなく、人もそうです。
先程述べたように、『笑う出産』を筆頭に氏は多くの作品があります。その読者に与えた影響は多大ですが、著作の性質上それは直接の読者だけではなく、次世代の命を救ったとも言えます。
そう考えると、氏の思いとは裏腹にこれからも連綿と続く『命のリレー』の中で、まついなつき氏の影響は残り続けるのではないでしょうか。
そしてそれは今後を生きる彼女達の子供(もう子供といえる年齢ではありませんが)や、これからも人生に思い悩む多くの方々を救い続けることでしょう。
本を愛し、そして読者にも愛されたまついなつき氏。
氏はかけがえのない財産を多くの女性に与えていた。
私はそう確信しています。
改めてまついなつき氏の多くの功績に思いを馳せ、ご冥福をお祈り申し上げます。
(その他この1週間で感じたこと)
以下は古本屋を回っている際に見かけた原宿駅と御茶ノ水橋の都電レール跡です。
御茶ノ水橋のレール跡は今週、そして原宿駅舎は今年中に解体撤去されます。
形あるものはいつかは滅するとはいえ、寂しさを感じることが多かった1週間でした。
<大正の名建築・原宿駅舎>

<工事中に偶然発見された旧都電レール跡>

今回紹介するまついなつき氏の書籍は3冊です。
いずれも近年に発行または新訂版が発売されたものですので、比較的容易に手に入るのではと思います。
(電子書籍でも入手可能です。)
しあわせ占星術(新版)

エッセイストとしてだけではなく、占い師としても活躍していたまついなつき氏。初版の執筆時は修行中だったのことでタイトルに「初めてでもわかりやすい」と書かれていますが、その題名通り占星術の入門書として分かりやすく解説されています。
私は占いにこれまで疎かったのですが、それでも楽しく読めました。
『占い』というとどことなくうさん臭さを感じることが多いですが、本書を読んでみてそうではないことが少し理解できました。占星術がただのあてずっぽうではなく、遥かに奥深い世界であることを押しつけがましくなく教えてくれる本です。
ムーンチャイルド占星術

こちらも占いの本ですが、どちらかといえば子育てや教育本に近いものを感じます。
内容は子供たちを星座や惑星に当てはめて、どう接したり見守ったりしていけばいいのかをアドバイスしています。通常の教育分野の書籍が科学・史実を基にしているのに対し、まついなつき氏は占星術からアプローチを試みているのがユニークです。
案外、子供だけではなく大人同士のコミュニケーションにも応用できるのではないかと思いました。
まさかわたしがPTA!?

こちらはまついなつき氏の十八番(?)、子育て関係の漫画エッセイです。
実際に氏が経験したPTA活動について描かれています。
昨今PTAについては、改革が必要とかなくしてしまえといった怨嗟の声が全国から聞こえてきます。それに対し、そんな大ごとではなく肩ひじを張ることもないさ、と語り掛けてくれる作品です。
ただそれだけではなく、PTA活動が創設当初の役割を失っているにもかかわらず活動内容が変化していない・先人の理解が追いついていないということに対してもサラっと述べています。
お子さんが就学する親だけではなく、先生方や行政職員など教育関係者にもぜひ一読をお奨めしたい良作です。
簡単ではありますが、以上がまついなつき氏の著書を読んでの感想となります。本当はもっと書きたかったのですが、とりあえず手に入り易いこの3冊で紹介を終えたいと思います。
ところで、本来は氏の代表作『笑う出産』についても書くべきでしょうが、残念ながら入手できなかったため今回は触れていません。いつか縁があれば読んでみたいと思っています。
ただ、この『笑う出産』について此度感じたことがあります。
実はここ1週間私は、既に絶版になっている『笑う出産』を読みたいと都内の古本屋を巡っていました。本当に何店舗回ったか分かりませんが、その間まついなつき氏について調べていくうちに気付いたことがありました。
それは、氏が本を愛していたのと同じように、読者もまついなつき氏の著書を大事にしているのではないかということです。
まついなつき氏はシャドーハウスについてツイッターでコメントした際に、こうも述べていました。
「因みにAmazonでは2000円越え。ポリシーにより定価以上の値付け品には手は出さず。」
インターネットの発展により暮らしは便利になり、手に入れたいものが簡単に手に入る時代になりました。しかしその反面、その弊害により存続さえ危ぶまれる事態に直面する分野もまたあります。
特に書店がその最たる例でしょう。通販サイトの普及により実店舗が次々に閉店し、ハードの高性能化により紙書籍の売り上げが大幅に減ったというニュースはもう珍しくありません。
それが進歩の過程における必要な犠牲なのか、それとも近い将来に断罪されるべき過失なのかは不明です。しかし危惧すべきなのは、違法な手段によって作品がライターの手を離れてしまい、受け取るべき対価を得られていないケースが頻発していることです。
こういうことを書くと「それは古本屋だって一緒ではないか」という反論もあるわけですが、それは少し違います。
古本屋は転売屋としての業態が目につきやすいですが、同時に貴重な古書・文献を保護してきたという側面もあります。また古本屋を開業するには『古物商許可』が必要であり、それによって本に精通するプロを生み出すという役割がありました。
しかしインターネットにおける素人による転売にはそういったプロを生み出すという可能性はまずゼロです。それどころか、先程述べたように書店が閉店することによって、書店員が行き場を失い『本に精通するプロ』が消えていく光景が今まさに進行中です。
『本に精通するプロ』がいなくなるということは、文化の伝達者を喪失することと同義です。
こう考えると、現在ネット上で繰り広げられている違法サイトの乱立は弊害が大きく、それが防ぎきれていない以上インターネットにおける書籍の取引にはまだ慎重であるべきでしょう。
長年漫画家として出版業界を見てきたからこそ、まついなつき氏はポリシーとまで言い切って先のような発言をされたのだと思います。
さて、それに対してまついなつき氏の読者が出した答えはどうだったのか。
それは私が『笑う出産』を手に入れられなかったという事実に集約されています。
思えば「笑う出産」が出版されたのは平成6年、四半世紀以上も前です。
あの頃は今と違ってインターネットはまだまだ発展途上でした。
しかしその反面、当時のお母さん方が抱える悩みは現在と全く同じであったように思います。
核家族化や地域との交流の希薄化によって母親が孤立し、子育ての壁に阻まれるというニュースはよく見聞きします。それこそインターネット上ではそういった問題に悩む声が毎日のように書きこまれています。ある意味、インターネットはそういった母親(現代では父親も)の不安を吐露する場として育児に貢献しているといえるでしょう。
翻って、『笑う出産』の出版当時はどうだったでしょうか。
それについては、まついなつき氏の訃報に接した多くの方々のコメントが雄弁に語っています。
私はそれらを読んで、SNSがなかった時代に多くの女性が『笑う出産』に励まされながら、尊い仕事に明け暮れていた光景が目に浮かびました。
今もなお訃報を知った方々のコメントが増え続けています。
‟その人達にとって『笑う出産』は、大変な日々を送ってきた戦友だったのではないか”
本屋を回りながら私はそう思い始めていました。しまいには、本屋に入る度に「頼むから置いていないでくれ」とまで願う有様でした。
結果、どこを探しても『笑う出産』は見つかりませんでした。
きっとこれからも、同じ時代を生きた女性たちの手元にあり続けるのかも知れません。
シャドーハウスについてツイッターで呟いた次の日、まついなつき氏は意味深げな発言をされています。
‟なにも残さず死にたいなあ。私のことを覚えている人がみんな死んでしまったら、それでもう私の欠片も残らないような生き方したい。そしてほとんどの人はそうして生きているわけだ。そうなんだ。何か作品とか記録とか残すのは特殊な生き方なんだと思う。山羊座の新月はこんな感じでしょ。”
(まついなつき氏のツイッターより引用)
占星術に詳しくないので『山羊座の新月』が何を示すのかは分かりませんが、これがまついなつき氏の人生観だったのかなと思います。
多くの著作がある作家にも関わらずこういった言葉を残すことが出来るのは驚異です。占星術では、山羊座は他人や社会のために働く傾向が強いとのことですが、そんな日の呟きだからこそ一層『個』に執着のないように見えます。
まさしく明鏡止水といえましょう。
ただこんなことを言っては大変失礼かと思いますが、それでもまついなつき氏は多くのものを残したと思います。著作だけではなく、人もそうです。
先程述べたように、『笑う出産』を筆頭に氏は多くの作品があります。その読者に与えた影響は多大ですが、著作の性質上それは直接の読者だけではなく、次世代の命を救ったとも言えます。
そう考えると、氏の思いとは裏腹にこれからも連綿と続く『命のリレー』の中で、まついなつき氏の影響は残り続けるのではないでしょうか。
そしてそれは今後を生きる彼女達の子供(もう子供といえる年齢ではありませんが)や、これからも人生に思い悩む多くの方々を救い続けることでしょう。
本を愛し、そして読者にも愛されたまついなつき氏。
氏はかけがえのない財産を多くの女性に与えていた。
私はそう確信しています。
改めてまついなつき氏の多くの功績に思いを馳せ、ご冥福をお祈り申し上げます。
(その他この1週間で感じたこと)
以下は古本屋を回っている際に見かけた原宿駅と御茶ノ水橋の都電レール跡です。
御茶ノ水橋のレール跡は今週、そして原宿駅舎は今年中に解体撤去されます。
形あるものはいつかは滅するとはいえ、寂しさを感じることが多かった1週間でした。
<大正の名建築・原宿駅舎>

<工事中に偶然発見された旧都電レール跡>

