今回のお話も、既刊の単行本を手放せないストーリーでしたね。

シャドーハウスは過去のちょっとしたエピソードが後々大きく関わってくるので、何度読んでも見飽きません。それでいて自然に進行していくのですから凄いですよね。本当にこの作品をリアルタイムで読むことができて幸せです。

さて、今回は第57話で爆誕した名探偵ケイトの捜査が始まりました。

次々と捜査線上に現れる、第二次亡霊騒動の容疑者たち。

しかしその捜査の過程で、彼女達は事件が残した深い傷跡を目の当たりにします。


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前回のラストで啖呵を切ったケイト。

しかしそれに対するバーバラの答えは、至極冷静なものでした。

星つきに対する“暴言”を聞かなかったことにするばかりか、ケイトに事件の犯人を調べろと命じ、更に解決の暁には高評価を与えると明言したのです。

捜査における特別な権限までは認めませんでしたが、ケイトにとっては大きなチャンスです。
部屋に戻った後、エミリコは星つきに近づくことができるとニコニコです。
お盆を持って首を傾けながら微笑むエミリコが可愛いですね。喫茶店の店員にこんな可愛い娘がいたら大繁盛でしょう。看板娘間違いなしです。

しかしそれとは逆に、ケイトはまだ緊張が解けていませんでした。それを察して、部屋から出ていくエミリコ。彼女の主人を気遣う気持ちに心温まります。


エミリコが部屋から出ていくと、ケイトはベッドの上で思考を巡らせました。

思わずかっとなってしまった、と後悔するケイト。
あの星つきへの啖呵は意図しないものだったようです。案外激情家な面がケイトにはあるようですね。それをエミリコに見せまいとするケイトは立派な主人だと思います。
互いに気遣い合う姿に、良いコンビであることを再認識しました。


ケイトが考えていたことは、事件の容疑者とその目的です。


ベル班員、星つき志望者、ローブシャドー、年長者、バーバラ、イザベルとミラベル……。


もはやハウスの中の全員が容疑者候補です。疑い出すとキリがないと、ケイトはベッドから起き上がりました。

ここのケイトの思案の中で面白いのが、ジョンが真っ先に候補から外されていることです。
流石安定のジョンです。良くも悪くもケイトの評価は一貫しています。

それと少し気になったのは、ダグが星つきを狙っているという新情報ですね。
はっきりと作中で説明はされていませんが、第53話の喜びの会で音頭を取っていたことをエミリコから聞いたのでしょう。それに加えて、先日の亡霊騒動についてこんな話をエミリコから聞いたのかも知れません。

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エミリコ「ダグっていう生き人形がいるんですが、酷いんですよ!
     避ければいいのにミアを盾にしたんです。それでミアは
     すす病になったんですよ!」
ケイト 「そうだったのね。エミリコは大丈夫だったの?」
エミリコ「はい。危なかった時はショーンが助けてくれました!」
ケイト 「(ジョンがまた面倒くさいことになりそうだわ)」
エミリコ「ケイト様!なんで煤が出てるんですか!?」
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おおかた、こんな会話をしたのではないでしょうか。お披露目でケイトは、他人を蹴落とそうとするパトリックを警戒していました。それと同じく、ダグとその主人を警戒対象にしたと考えられます。


しかし、容疑者となる人物を一通り挙げてみたものの手詰まりになりました。

ひとまず犯人探しを脇に置いて、ケイトはエミリコの『考えないノート』をおさらいしようと思い立ちました。何事も整理が必要です。

ところが、この時ケイトはあることに気が付きました。

エミリコが深夜の見廻りで使った、館の地図。
あれに何か手掛かりがあるのではないかと考えたのです。


ハッとしてエミリコを呼ぶケイト。
瞬時に隠し扉から登場するエミリコ。

マッハで参上するエミリコに、珍しくノリの良いツッコミをするケイトが見られました。


ケイトは早速地図を確認すると、ほっと安心しました。

全然すすが消え落ちていないのです。

そのことを問われると、エミリコはアイロンで煤を固着して落ちないようにしたと答えました。
流石エミリコです、この機転の良さは彼女ならではでしょう。
同時に、煤は高温処理によって安定化させることが可能だと判明しました。

もしかしたら、今後これを利用して危機を回避する手段になるかも知れませんね。


ただ、一つ残念だったのはローブシャドーによって書き加えられた部分が判別できなくなってしまったことです。
そのことについて触れると、二人とも肩を落としました。

しかし、それなら簡単な方法があります。
なぜならこの地図はミアが書いたものだからです。ミアに聞けば、きっと何か気づいてくれることでしょう。

ケイトの提案で、二人はお見舞いに行くことにしました。
(シャドーハウスにも『お見舞い』という概念があるようです。)


向かった先は、所狭しとベッドが並べられた病棟です。

エヴリンとイヴに、刑事の如く患者に聞きたいことがあると申し出るケイト。
得意の話術と大胆さで、しれっと潜入することに成功しました。

相変わらず良い根性をしています。
本当に探偵向きの性格ですね。


しかしエミリコはそうはいきません。

恐る恐る、ミアのベッドに近づくエミリコ。

ところが、その瞬間!
すす病のミアがエミリコに襲いかかります!!


……はい、よく見てみればわかりますが、これは可愛い茶目っ気ミアちゃんのドッキリ作戦です。

目をつぶってしまったエミリコはすっかり騙されてしまっています。全然ケイトの目になっていませんね。

でもミアはすぐにエミリコを抱き寄せると、頬を寄せてじゃれ始めました。

笑顔の二人と、ちょっと離れてそれを見つめるケイト。
みんな可愛いです。

ここ最近はサラと一緒にいるか洗脳された状態が続いていたので、久々に自然体のミアが見られて嬉しかったです。


また、少し畏まりながらケイトと話すミアも新鮮で可愛らしいです。

学校で家とは違う顔を見せる子供や、バイト先で普段とは雰囲気の違う恋人の仕事風景を見ているような、そんな気分にさせられました。


さて、ミアの証言により、ローブシャドーは嘘をついていた可能性が出てきました。
僅かではありますが、捜査は前進です。
星つきへの道も前進でしょうか。

しかし、残念ながらそれによってあったことが帳消しになることは決してありません。


先程、ミアの自然体を久々に見たと書きましたが、最後に彼女が明るく過ごしていたのは第20話の終盤のことでした。

まさに、ミアがエミリコの地図について気付いたあの場面です。

前回の亡霊事件を見事解決したエミリコと、無邪気に戯れていたミア。


しかし、足りないものがあります。

あの時、喜び合う二人を温かく見つめていた班長。
他でもない、優しい笑顔のローズマリーです。

ぼんくら呼ばわりされてもエミリコのことを気に掛け、時には自身を犠牲にしていた心優しき存在。

その彼女は、エミリコとミアの微笑ましいやり取りの側にはいませんでした。


突如病棟にこだました悲鳴。

駆け付けたケイトとエミリコが目にしたのは、すっかり変わり果てたローズマリーの姿でした。

あまりにもむごい姿に絶句する二人。エミリコは目に涙を浮かべています。

ケイトは第47話でシャドーハウスを「牢獄」と表現していましたが、およそ治療とは言い難いローズマリーへの処置は非人道的なものでしかありません。

そして真白い病棟とは対照的な『すす管』では、時を同じくしてベル姉妹がいつ果てることもない過酷な強制労働を課されていました。


ケイトは一層、自分の使命に決意を新たにしたことでしょう。

これ以上の犠牲は出させないと固く誓ったに違いありません。


ただ、少しだけ心配なことがあります。

ケイトがミアへのお見舞いを提案した際、エミリコがケイトを無言で見つめていたシーンがありました。

ソウマトウ先生の事前告知でも画像が載せられていましたが、私はこのエミリコの表情を見た時、えも知れぬ不安な気持ちになりました。

これまで、常に表情を表に出していたエミリコ。
しかしあの場面は、彼女がこれまで一度も見せたことのない、何か含みのある表情でした。

そしてその瞳が何を映し何を示しているのか、それを隠すかのような真顔のエミリコには違和感しか感じられません。


序盤にエミリコがケイトを気遣うシーンを見て彼女の成長に思いを馳せた一方、エミリコの中で何かが少しずつ変わっていっているのかも知れないという、不吉な予感がしてきました。
そして、もしかしたらその微妙な変化が、ケイトに本当の想いを伝えるのを躊躇させたのかも知れません。


こどもたちの棟に大きな傷跡を残した亡霊事件。

盤石と思われたケイトとエミリコの関係にも、何か影響を及ぼしたのではないかと気が気ではありません。