子供が“婚約”だなんて言い出したら、それはただのおままごとです。

本人達は真剣かも知れませんが、大人から見れば微笑ましいことこの上ないです。

高校生くらいだったら「ちょっとよく考えようか」と口を挟みたくなりますが、まあ若気の至りと捉えて大袈裟にしないのが肝要です。そういう場合は最初から騒ぎ立てないで暫く静観するのが吉です。大人ならば青少年が道を誤らないよう、かつ成長のために見守る辛抱強さも持ちたいものですね。


ところが、シャドーハウスのこどもたちの棟では“婚約”が制度として確立されています。

それは婚姻の申請制度のことです。

この詳細は第66話で描かれました。
パトリックが図書室でサラと鉢合わせし、温室でマーガレットと会った時のエピソードです。


第66話は、お披露目以降のエピソードの中で5本の指に入るほど反響の大きい回でした。
あまりのパトリックの純情に、外国の方でも絶句する人がいたほどです。

しかしラストの衝撃で忘れそうになりますが、あの回のサブタイトルは「婚姻について」でした。壊れるほどのパトリックの純情な感情がテーマではありません。(古いネタだなあ…)


この「婚姻の申請制度」について詳しく説明してくれたのはサラです。
鼻につくような話し方ではありますが、ケイトと接している時と同様、聞いてもいないのに的確な情報をパトリック達にもたらしました。


しかしこの制度。

凄く意味深な描かれ方をされているのに、未だにその詳細は明らかになっておりません。

そこで今回の記事では、シャドーハウスにおける「婚姻」とは何かを振り返っていきたいと思います。

では第86話までのネタバレを含みますので、続きよりお願い致します。


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ちょっとくどいのですが、最初に「婚姻」と「婚約」の違いについて説明していきます。


まず「婚姻」についてですが、これは「結婚」と同義です。男女の(というと昨今はお叱りを受けるかも知れませんが)合意により夫婦関係となることを指します。

それに対し、「婚約」とは結婚(=婚姻)関係を結ぶことを事前に確約する約束のことです。
“確約”と書いた通り、婚約には法的拘力が生じる場合があります。


シャドーハウスにおいて、初めて「婚約」という言葉が現れたのは第28話です。お披露目中にジョンがケイトに求婚したシーンです。あの頃は読んでいて「シャドーって結婚とかするの!?」と驚いたものでした。

それ以降、第32話・第48話・第59話でもジョンの婚約について触れられています。

最初はケイトとジョンだけのやり取りだったのに、お披露目の途中でショーンとエミリコとラムに知られてしまい、その後不注意で班員たちの前で暴露した結果、最終的にこどもたちの棟に広まってしまうとは面白いですね。

ケイトとしてはたまったものではありませんが、傍から見る分には面白いです。第59話で噂話をしていた2対の少女達も同じような心情だったことでしょう。ドロシーは館には娯楽が少ないと言っていましたが、少年少女にとって恋愛話は格好のゴシップネタです。きっと、瞬く間にこどもたちの棟中で騒ぎになったことでしょう。

第60話では、そういったことに興味なさそうなアンナまでケイトとジョンの噂を知っていました。


ところが、ここでオリバーに話が知られたことでジョンは目を付けられることとなります。

その様子については第66話で描かれました。星つきに呼び出されて叱責を食らったのです。

どうやらケイトに求婚したことを吹聴していたのを咎められたようです。ウィリアムは「そんなことで」と言っていましたが、星つきはエドワードの指示でケイトの監視をしていたので、それも含めての呼び出しだったのかも知れません。


因みに第66話ではこれまでと違い、一貫して「婚約」という単語は使われていません。婚約に近い言葉としては「婚姻の申請制度」という言い回しが用いられています。

なぜこんな言い回しになったのかは分かりませんが、恐らくソウマトウ先生の意図だと思います。今後ストーリーを進めていく上で、より正確な表現として「婚姻の申請制度」という言葉を充てたのでしょう。

第67話でも「婚約」という言葉は使われておりません。「婚約者」に当たる言葉も「婚姻の相手」となっています。

ただサラは、こどもたちの棟にいる間は婚姻を「『申請すること』だけ」しかできないと語っています。ならば、シャドーハウスにおけるこどもの“婚姻の申請”は、現実世界での「婚約」と同じとみて間違いはないでしょう。

よって、当ブログでは今後「婚姻の申請制度」=「婚約」という解釈で話を進めていきます。


さて、ここまで作中での婚姻に関わるエピソードを挙げていきましたが、その具体例はまだ一つもありません。
ジョンのケイトへの求婚だって非正式なものです。それどころかジョンが勝手に言っているだけですので、そもそも婚約とは程遠い状態です。(頑張れショーン!)


大人達も、現在のところ婚姻関係と思しき人物はいません。

これまで登場した大人は、

・3階の重鎮(ジョゼフ・ソフィ・ドロシー・ライアン)
・試験官3人組(エドワード・アイリーン・ジェラルド)
・トマス
※偉大なるおじい様は除外

上記の8名しかいませんが、いずれもカップルには見えません。

辛うじて第1話の1ページ目に登場する男女(2コマ目のテーブルに座っているシャドー)がそれに該当しそうですが、詳細不明ですので考察不能です。


となると、なぜこんな制度があるのか良く分かりませんね。


そもそも「貴族のまねごと」をする一族なのだから婚姻もその一環である、と考えた方が簡単かもしれませんが、それだとなぜこの制度が維持されてきたのか意味不明です。

生き人形は余計なことは考えてはいけない、とはいいますが一体化した大人にその掟は関係がないのですから、尚更無意味な制度を残置する理由が見当たりません。


…ちょっと記事が長くなってしまいましたね。

当記事は一旦終わりにして、次の記事では「婚姻の申請制度」がパートナー同士の関係を公認するという以外の役割がある、という方向からこのシステムについて考えていきたいと思います。