世の中には、人が決して足を踏み入れてはならない場所があります。
理由は様々ですが、最も分かりやすいのは物理的な危険性がある場合です。
例えば、気象条件が厳しい極地や人に危害を加える動植物が生育しているケースは良く見聞きします。
2014年にデング熱が確認された東京都の代々木公園では、70年ぶりの国内感染という事態もあって1か月以上閉鎖されました。
また、政治的・軍事的に立ち入りが禁止されている場所もあります。
散発的に戦闘が行われる紛争地帯や、機密を漏らさないよう関係者以外の立ち入りを禁止している軍事基地のような場所です。この例で著名なケースは、アメリカ・ネバダ州のエリア51だと思います。
長年フィクションや都市伝説の格好の材料となってきた空軍基地ですが、秘密基地だとかUFOの研究をしているとか真偽の分からない噂が乱立しており、オカルトマニアにとって外せない話題の一つです。
ただ、日本において最も身近な「人が決して足を踏み入れてはならない場所」とは、宗教を理由としたものではないでしょうか?
特に神道において、神が宿るとされた山や磐座は触れてはならないものとされてきました。科学の発展した21世紀に何を大袈裟な、と思われるかもしれませんが、こういった例は数多くあります。

写真は千葉県市川市の通称「八幡の藪知らず」です。恐らく我が国で一番有名な「禁足地」である当地は、市街地の真ん中にあるにも関わらず、数百年に及ぶ神隠しの伝承により、今もなお手付かずの森となっています。
私も行ったことがあるのですが、街中の、それも先を見通すことのできる広さの林でなぜ神隠し伝説が生まれたのか疑問に思いました。
しかし逆に言えば、そんな場所なのに現代でも畏怖されているからこそ、屈指の「禁足地」として君臨していると言えましょう。
神道繋がりで言えば、伊勢神宮の式年遷宮で執り行われる「木本祭」は最重要の秘儀とされ、関係者以外は参加できないだけでなく森への立ち入りも厳禁とされます。心御柱を伐り出すこの儀式は人目につかないよう真夜中に行われますが、そこで何が行われているのかは謎のままです。
もっとも、その「謎」こそが神宮に対する畏敬や神秘性を生み出したことは否定できません。神道最高の聖地なだけあります。
さて、冒頭からなぜこんな小難しい話から入ったのかと言いますと、第110話ではまさに「禁足地」を思わせる「決まり」がケイトの行く手を阻んだからです。
しかしその「決まり」に対するケイトの行動は、これまたケイトらしいものでした。
理由は様々ですが、最も分かりやすいのは物理的な危険性がある場合です。
例えば、気象条件が厳しい極地や人に危害を加える動植物が生育しているケースは良く見聞きします。
2014年にデング熱が確認された東京都の代々木公園では、70年ぶりの国内感染という事態もあって1か月以上閉鎖されました。
また、政治的・軍事的に立ち入りが禁止されている場所もあります。
散発的に戦闘が行われる紛争地帯や、機密を漏らさないよう関係者以外の立ち入りを禁止している軍事基地のような場所です。この例で著名なケースは、アメリカ・ネバダ州のエリア51だと思います。
長年フィクションや都市伝説の格好の材料となってきた空軍基地ですが、秘密基地だとかUFOの研究をしているとか真偽の分からない噂が乱立しており、オカルトマニアにとって外せない話題の一つです。
ただ、日本において最も身近な「人が決して足を踏み入れてはならない場所」とは、宗教を理由としたものではないでしょうか?
特に神道において、神が宿るとされた山や磐座は触れてはならないものとされてきました。科学の発展した21世紀に何を大袈裟な、と思われるかもしれませんが、こういった例は数多くあります。

写真は千葉県市川市の通称「八幡の藪知らず」です。恐らく我が国で一番有名な「禁足地」である当地は、市街地の真ん中にあるにも関わらず、数百年に及ぶ神隠しの伝承により、今もなお手付かずの森となっています。
私も行ったことがあるのですが、街中の、それも先を見通すことのできる広さの林でなぜ神隠し伝説が生まれたのか疑問に思いました。
しかし逆に言えば、そんな場所なのに現代でも畏怖されているからこそ、屈指の「禁足地」として君臨していると言えましょう。
神道繋がりで言えば、伊勢神宮の式年遷宮で執り行われる「木本祭」は最重要の秘儀とされ、関係者以外は参加できないだけでなく森への立ち入りも厳禁とされます。心御柱を伐り出すこの儀式は人目につかないよう真夜中に行われますが、そこで何が行われているのかは謎のままです。
もっとも、その「謎」こそが神宮に対する畏敬や神秘性を生み出したことは否定できません。神道最高の聖地なだけあります。
さて、冒頭からなぜこんな小難しい話から入ったのかと言いますと、第110話ではまさに「禁足地」を思わせる「決まり」がケイトの行く手を阻んだからです。
しかしその「決まり」に対するケイトの行動は、これまたケイトらしいものでした。
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前回、まさかの事実を知ったケイト。
「ミラーハウス」が「シャドーハウス」になってしまったというのですから、さぞかし愕然としたことでしょう。
しかし、それにめげる彼女ではありませんでした。事件の後に何があったのか、それを知るためにシャドーハウスへと行く覚悟を決めます。
ところが、道の途中で鞄を投げ出すと、疲れたと言って座り込んでしまいました。
それもそのはず、汽車ならすぐに着くと教えられたミラーサイドは、なんと最寄駅から徒歩で2時間以上かかる場所にあったのです。
これには意志の固いケイトも音を上げました。ついでに、体力が落ちている自身を嘆きます。
どうやらケイトの体力のなさは、“シャドー化”(って言ったらケイトに怒られそう)してから引きこもっていたのが原因だったそうです。
これまでしばしばケイトの体力のなさが描かれておりましたが、その度にケイトには何か持病でもあるのではないかと恐々としていましたので、案外シンプルな理由でホッとしました。
昔は野山を駆け巡って遊んでいたというので、その頃はエミリコ並みに体力があったのでしょう。もしすべてが解決したら、ルウと一緒にベンジャミン式トレーニングをして欲しいですね。
(このままだと同期の女性陣がどんどん男前になってしまう……。)
さて、冗談は置いておいて、本題に戻りましょう。
ケイトは休憩しながら地図を広げます。汽車から降りた時に貰ったパンフレットです。そこにはミラーサイドの地図と概要が載っていました。
地図を見ると、乗ってきた汽車の駅はミラーサイドのほぼ対岸です。湖を約半周弱と言ったところでしょうか。それが大人の足で2時間ということは、湖は相当大きそうです。湖の大きさについてはちょうど同じくらいの大きさの湖が国内にありますので、別記事にて検証したいと思います。
説明文によれば、ミラーサイドの主な産業は衣服の製造で観光や移住向きではないとのことです。衣服の製造は、第103話でラムが進路を希望していたドレス工房のことでしょう。シャドー家への献上品ということで、ショーンも「ミラーサイドで館と最も繋がりのある仕事」と言っていました。
ただ、わざわざこんな風に書くということは、穿った見方をすれば外から来た人間を近づけさせないためではないかとも思えます。冒頭の話ではないですが、シャドー家にとって外の世界と接触するための前線(=重要な拠点)なのではないでしょうか?
しかし、この時のケイトはそんなこと知る由もありません。すす炭の煙がなく、湖の美しさだけが救いだとボヤキながらミラーサイドへと歩き出しました。
暫くすると、ミラーサイドの入口が見えてきました。看板には「湖の美しい村ミラーサイド」と書いてあります。ようやく到着しました。ケイトはよろめきながら開いたゲートを通り過ぎます。
そして馬車の轍ができた道を進んでいくと、森が開けました。先の方では子供たちが遊んでいます。どうやら集落が近づいてきたようです。輪になって夢中で遊ぶ子供を避けるようにケイトは道を外れました。
ところがその時、一人の少年がケイトを引き止めました。それ以上先に行ってはいけないというのです。何のことか分からないケイトに、少年はある物を指さして説明し始めました。
少年が言うには、森の縁に打たれた「黒い杭」よりも先は入ってはいけないとのことです。ケイトが顔を上げると、森を囲うかのように杭が点々と打たれていました。
それを見てケイトは、こんな目印では何の意味が分からないと零します。外部から来た人間には、これでは何が何だか分かりっこありません。そもそも気が付かないこともあり得るでしょう。
なおも疑問を口にするケイトに対し、今度は女の子が説明してくれました。
女の子の説明によれば、森の中はシャドー家の私有地だから立入禁止だそうです。おまけに、森には人の姿に化けて顔をはぎ取る妖精がいることから、誰も森には足を踏み入れないとのことです。
ケイトは一瞬モーフのことを連想しますが、侍女から聞いたモーフの話と違うことに違和感を覚えました。
ただ、この話はエミリコが団長から聞いた「妖精」の話と似ています。ケイトは徐々にミラーサイドの禁忌へと近づいていました。
一通り説明し終わると、沈黙するケイトに女の子は「森に入らなければ大丈夫」と語り掛けます。
同じことを繰り返し言う子供たちにケイトは、村の外に出たいと思わないか尋ねますが、それでも子供たちは「決まり」だからと何の疑問もないようです。その表情は、これまで見てきたすす島の住人達と同じ、朗らかな表情でした。
何とも腑に落ちないといった感じでその場を去ったケイトですが、暫くしてケイトは、その理由に気付くことになります。
道を歩くケイトに、今度はいかにも田舎風の男性が声を掛けました。観光客の少ないミラーサイドでケイトは目立っていたのでしょう。観光なんて珍しいと尋ねます。
しかし男性は、返答を聞く前に「サーカスが来ているからか」と合点しました。どうやらミラーサイドでサーカスが行われるようです。この「サーカス」とは間違いなくエミリコがいたサーカスのことでしょう。二人のエンカウントまであと少し、見ているこちらもドキドキしてきました。
しかし、まずはこの男性をどうにかやり過ごさねばなりません。サーカスの話題をこれ幸いとばかりに、ケイトもそれに乗じて「そうよ」と返しました。
そして同時に、シャドーハウスへ行きたいと語ります。情報を得るならここがチャンスです。無駄足にならないよう「見学」という言い回しでケイトは尋ねました。
ところが男性はあっけなく無理だと言います。領主様なんだから会えるはずがないと笑います。
続けて、シャドーハウスは崖を上がった高地にあること、館での生活のこと、すす炭や献上品のこと、“選別会”のことなど、なんでも答えてくれました。
ここでケイトは、ようやく子供達とのやり取りで腑に落ちなかった理由に気が付きます。
村人たちは親切で優しいのに、極端に思考が閉鎖的だったのです。
言い換えれば「思考停止状態」です。
「決まり」だからといってそれ以上は考えない、疑問も持たない。そのくせ外部から来たものを歓迎すると言っている…。
物事を深く考えるケイトにとって、それは考えられないことでした。
ただ、それは逆に相手に隙があることにもなります。
ケイトは男性とのやり取りの後、すす列車に乗り込んで館への潜入を企て始めました。
潜入するにはどうしたらいいか。ケイトは辺りを見回して思案します。
選別会の建物は駅の近くにありますが、流石に建物には入れそうもありません。
しかし駅のホームは簡素な作りで、ケイトが紛れることは困難です。
おまけに、ホームの周りにはあの「黒い杭」が打たれています。これは村人たちが列車やシャドー家の人間に近づかないための工夫でしょう。実際に第46話では、村人たちがホームの端の方でドロシーとライアンを出迎えている様子が描かれています。
となれば、ホームから汽車に乗り込むことは不可能です。
そうすると汽車を使わずにシャドーハウスへ行くしかありませんが、歩いて行くには地形は急峻です。ましてや体力のないケイトには難儀です。
ケイトは打つ手ないまま、辺りは暗くなってしまいました。
ところが、そこで引き下がらないのがケイトです。
山を下り、海を越え、汽車に乗り、何里も歩いてここまで来たのです。とすれば、やれるだけのことはすべきです。
一瞬迷いながらも、入ってはならないとされた「黒い杭」を越え、ケイトは森の奥へと進みました。
ただそうは言っても、モーフの襲撃には気を付けねばなりません。村人たちが思考停止しているからといって、噂が荒唐無稽とは言い切れないからです。もしもミラー家を滅ぼしたモーフが森の中にいるとすればどうなるのか…。ケイトは周りを警戒しながら森の中を歩きます。
その時、誰かの声に気付きケイトは身を潜めました。ケイトの脇を人影が通り過ぎます。
入ってはいけない森の中なのに、なぜ人がいるのか。普通の村人なら森へは入らない筈です。ケイトは訝しがりながらも、真相を突き止めようと追跡を開始しました。
まずは重い鞄を捨て(まあエミリコと会った時に持っているのであとで回収したでしょうが)、帽子を脱ぎ、そしてツルを体に巻き付けていざ出発です。ケイトは人影の向かった方へと駆け出しました。
中々にやんちゃです。これこそが、野山を駆けまわっていたというケイトの姿でしょうか。第59話でスカートの裾を持ちながら、ジョンの後ろを歩いていた姿からは想像もできません。こんな姿を見せたらジョンが歓喜すること間違いなしです!
(そういえば最近ジョンもエミリコも全然見てないなあ…。)
ただ、ケイトにとってそんなことは関係ありません。そもそも第59話と現在では緊迫感が違います。秘密基地の探索と、怪物(モーフ)が出るかも知れない森の追跡劇と比べないで欲しいところでしょう。
実際に現場では、意味不明のやり取りが交わされていました。
暗闇には二人の人間がいます。どちらも中年男性でしょうか?
片方は地面に開けられた穴の中へと何かを押し込み、もう一人はそれを見ています。
しかしこれだけでは何をしているのか皆目不明です。ケイトも何をしているのかとドキドキしながら見ています。
ところが、立っている人物から既視感のある台詞が放たれました。
「外部から来る者を受け入れることも大切だよ」
この言葉は、ショーン達が通っていた学校の校長が言っていた台詞と同じです。それどころか、その後に続く台詞も一言一句同じです。
ちなみに、私はヤングジャンプのweb版をPCで読んでいるのですが、第103話の6ページ目と今話の14ページを交互に見ていたら面白い発見をしました。
「外部から~」と「シャドーハウスの素晴らしさは~」という台詞の吹き出しがほぼ同じ位置にあるのです。ということは、今話の顔の隠されている謎の人物は、第103話で描かれているあの校長先生かも知れませんね。
読者からすれば、あの校長が何故?という気分です。
ケイトも、閉鎖的な村人が何故?といった気分でしょう。
しかしその疑問は解けないまま、二人はどこかへと行ってしまいました。残されたのは不思議な蓋の付いた容器だけです。
ケイトは果敢にもその容器に近づくと、蓋を開けて中を見ました。
読者がページを捲るのと同時に、あの生物が姿を現しました。
ぼんやりとした暗い容器の底に集められた「モーフ」
大小さまざまな8匹がそこにはいました。
思いがけない中身にケイトは勢いよく蓋を閉め、座り込みます。
侍女から聞かされていたモーフがなぜ、村人に捕らえられて閉じ込められているのか。
いや、それよりも人間の敵であるモーフを村人が捕まえてどうしようというのでしょうか?
ケイトはここにきて、この村の異常さを確信しました。
一体この村は何をしようとしているのか。
その謎は、ケイトの煤が夜空へと吸い込まれていくかのように、未だ森の暗闇に隠されています。
前回、まさかの事実を知ったケイト。
「ミラーハウス」が「シャドーハウス」になってしまったというのですから、さぞかし愕然としたことでしょう。
しかし、それにめげる彼女ではありませんでした。事件の後に何があったのか、それを知るためにシャドーハウスへと行く覚悟を決めます。
ところが、道の途中で鞄を投げ出すと、疲れたと言って座り込んでしまいました。
それもそのはず、汽車ならすぐに着くと教えられたミラーサイドは、なんと最寄駅から徒歩で2時間以上かかる場所にあったのです。
これには意志の固いケイトも音を上げました。ついでに、体力が落ちている自身を嘆きます。
どうやらケイトの体力のなさは、“シャドー化”(って言ったらケイトに怒られそう)してから引きこもっていたのが原因だったそうです。
これまでしばしばケイトの体力のなさが描かれておりましたが、その度にケイトには何か持病でもあるのではないかと恐々としていましたので、案外シンプルな理由でホッとしました。
昔は野山を駆け巡って遊んでいたというので、その頃はエミリコ並みに体力があったのでしょう。もしすべてが解決したら、ルウと一緒にベンジャミン式トレーニングをして欲しいですね。
(このままだと同期の女性陣がどんどん男前になってしまう……。)
さて、冗談は置いておいて、本題に戻りましょう。
ケイトは休憩しながら地図を広げます。汽車から降りた時に貰ったパンフレットです。そこにはミラーサイドの地図と概要が載っていました。
地図を見ると、乗ってきた汽車の駅はミラーサイドのほぼ対岸です。湖を約半周弱と言ったところでしょうか。それが大人の足で2時間ということは、湖は相当大きそうです。湖の大きさについてはちょうど同じくらいの大きさの湖が国内にありますので、別記事にて検証したいと思います。
説明文によれば、ミラーサイドの主な産業は衣服の製造で観光や移住向きではないとのことです。衣服の製造は、第103話でラムが進路を希望していたドレス工房のことでしょう。シャドー家への献上品ということで、ショーンも「ミラーサイドで館と最も繋がりのある仕事」と言っていました。
ただ、わざわざこんな風に書くということは、穿った見方をすれば外から来た人間を近づけさせないためではないかとも思えます。冒頭の話ではないですが、シャドー家にとって外の世界と接触するための前線(=重要な拠点)なのではないでしょうか?
しかし、この時のケイトはそんなこと知る由もありません。すす炭の煙がなく、湖の美しさだけが救いだとボヤキながらミラーサイドへと歩き出しました。
暫くすると、ミラーサイドの入口が見えてきました。看板には「湖の美しい村ミラーサイド」と書いてあります。ようやく到着しました。ケイトはよろめきながら開いたゲートを通り過ぎます。
そして馬車の轍ができた道を進んでいくと、森が開けました。先の方では子供たちが遊んでいます。どうやら集落が近づいてきたようです。輪になって夢中で遊ぶ子供を避けるようにケイトは道を外れました。
ところがその時、一人の少年がケイトを引き止めました。それ以上先に行ってはいけないというのです。何のことか分からないケイトに、少年はある物を指さして説明し始めました。
少年が言うには、森の縁に打たれた「黒い杭」よりも先は入ってはいけないとのことです。ケイトが顔を上げると、森を囲うかのように杭が点々と打たれていました。
それを見てケイトは、こんな目印では何の意味が分からないと零します。外部から来た人間には、これでは何が何だか分かりっこありません。そもそも気が付かないこともあり得るでしょう。
なおも疑問を口にするケイトに対し、今度は女の子が説明してくれました。
女の子の説明によれば、森の中はシャドー家の私有地だから立入禁止だそうです。おまけに、森には人の姿に化けて顔をはぎ取る妖精がいることから、誰も森には足を踏み入れないとのことです。
ケイトは一瞬モーフのことを連想しますが、侍女から聞いたモーフの話と違うことに違和感を覚えました。
ただ、この話はエミリコが団長から聞いた「妖精」の話と似ています。ケイトは徐々にミラーサイドの禁忌へと近づいていました。
一通り説明し終わると、沈黙するケイトに女の子は「森に入らなければ大丈夫」と語り掛けます。
同じことを繰り返し言う子供たちにケイトは、村の外に出たいと思わないか尋ねますが、それでも子供たちは「決まり」だからと何の疑問もないようです。その表情は、これまで見てきたすす島の住人達と同じ、朗らかな表情でした。
何とも腑に落ちないといった感じでその場を去ったケイトですが、暫くしてケイトは、その理由に気付くことになります。
道を歩くケイトに、今度はいかにも田舎風の男性が声を掛けました。観光客の少ないミラーサイドでケイトは目立っていたのでしょう。観光なんて珍しいと尋ねます。
しかし男性は、返答を聞く前に「サーカスが来ているからか」と合点しました。どうやらミラーサイドでサーカスが行われるようです。この「サーカス」とは間違いなくエミリコがいたサーカスのことでしょう。二人のエンカウントまであと少し、見ているこちらもドキドキしてきました。
しかし、まずはこの男性をどうにかやり過ごさねばなりません。サーカスの話題をこれ幸いとばかりに、ケイトもそれに乗じて「そうよ」と返しました。
そして同時に、シャドーハウスへ行きたいと語ります。情報を得るならここがチャンスです。無駄足にならないよう「見学」という言い回しでケイトは尋ねました。
ところが男性はあっけなく無理だと言います。領主様なんだから会えるはずがないと笑います。
続けて、シャドーハウスは崖を上がった高地にあること、館での生活のこと、すす炭や献上品のこと、“選別会”のことなど、なんでも答えてくれました。
ここでケイトは、ようやく子供達とのやり取りで腑に落ちなかった理由に気が付きます。
村人たちは親切で優しいのに、極端に思考が閉鎖的だったのです。
言い換えれば「思考停止状態」です。
「決まり」だからといってそれ以上は考えない、疑問も持たない。そのくせ外部から来たものを歓迎すると言っている…。
物事を深く考えるケイトにとって、それは考えられないことでした。
ただ、それは逆に相手に隙があることにもなります。
ケイトは男性とのやり取りの後、すす列車に乗り込んで館への潜入を企て始めました。
潜入するにはどうしたらいいか。ケイトは辺りを見回して思案します。
選別会の建物は駅の近くにありますが、流石に建物には入れそうもありません。
しかし駅のホームは簡素な作りで、ケイトが紛れることは困難です。
おまけに、ホームの周りにはあの「黒い杭」が打たれています。これは村人たちが列車やシャドー家の人間に近づかないための工夫でしょう。実際に第46話では、村人たちがホームの端の方でドロシーとライアンを出迎えている様子が描かれています。
となれば、ホームから汽車に乗り込むことは不可能です。
そうすると汽車を使わずにシャドーハウスへ行くしかありませんが、歩いて行くには地形は急峻です。ましてや体力のないケイトには難儀です。
ケイトは打つ手ないまま、辺りは暗くなってしまいました。
ところが、そこで引き下がらないのがケイトです。
山を下り、海を越え、汽車に乗り、何里も歩いてここまで来たのです。とすれば、やれるだけのことはすべきです。
一瞬迷いながらも、入ってはならないとされた「黒い杭」を越え、ケイトは森の奥へと進みました。
ただそうは言っても、モーフの襲撃には気を付けねばなりません。村人たちが思考停止しているからといって、噂が荒唐無稽とは言い切れないからです。もしもミラー家を滅ぼしたモーフが森の中にいるとすればどうなるのか…。ケイトは周りを警戒しながら森の中を歩きます。
その時、誰かの声に気付きケイトは身を潜めました。ケイトの脇を人影が通り過ぎます。
入ってはいけない森の中なのに、なぜ人がいるのか。普通の村人なら森へは入らない筈です。ケイトは訝しがりながらも、真相を突き止めようと追跡を開始しました。
まずは重い鞄を捨て(まあエミリコと会った時に持っているのであとで回収したでしょうが)、帽子を脱ぎ、そしてツルを体に巻き付けていざ出発です。ケイトは人影の向かった方へと駆け出しました。
中々にやんちゃです。これこそが、野山を駆けまわっていたというケイトの姿でしょうか。第59話でスカートの裾を持ちながら、ジョンの後ろを歩いていた姿からは想像もできません。こんな姿を見せたらジョンが歓喜すること間違いなしです!
(そういえば最近ジョンもエミリコも全然見てないなあ…。)
ただ、ケイトにとってそんなことは関係ありません。そもそも第59話と現在では緊迫感が違います。秘密基地の探索と、怪物(モーフ)が出るかも知れない森の追跡劇と比べないで欲しいところでしょう。
実際に現場では、意味不明のやり取りが交わされていました。
暗闇には二人の人間がいます。どちらも中年男性でしょうか?
片方は地面に開けられた穴の中へと何かを押し込み、もう一人はそれを見ています。
しかしこれだけでは何をしているのか皆目不明です。ケイトも何をしているのかとドキドキしながら見ています。
ところが、立っている人物から既視感のある台詞が放たれました。
「外部から来る者を受け入れることも大切だよ」
この言葉は、ショーン達が通っていた学校の校長が言っていた台詞と同じです。それどころか、その後に続く台詞も一言一句同じです。
ちなみに、私はヤングジャンプのweb版をPCで読んでいるのですが、第103話の6ページ目と今話の14ページを交互に見ていたら面白い発見をしました。
「外部から~」と「シャドーハウスの素晴らしさは~」という台詞の吹き出しがほぼ同じ位置にあるのです。ということは、今話の顔の隠されている謎の人物は、第103話で描かれているあの校長先生かも知れませんね。
読者からすれば、あの校長が何故?という気分です。
ケイトも、閉鎖的な村人が何故?といった気分でしょう。
しかしその疑問は解けないまま、二人はどこかへと行ってしまいました。残されたのは不思議な蓋の付いた容器だけです。
ケイトは果敢にもその容器に近づくと、蓋を開けて中を見ました。
読者がページを捲るのと同時に、あの生物が姿を現しました。
ぼんやりとした暗い容器の底に集められた「モーフ」
大小さまざまな8匹がそこにはいました。
思いがけない中身にケイトは勢いよく蓋を閉め、座り込みます。
侍女から聞かされていたモーフがなぜ、村人に捕らえられて閉じ込められているのか。
いや、それよりも人間の敵であるモーフを村人が捕まえてどうしようというのでしょうか?
ケイトはここにきて、この村の異常さを確信しました。
一体この村は何をしようとしているのか。
その謎は、ケイトの煤が夜空へと吸い込まれていくかのように、未だ森の暗闇に隠されています。

とはいえサーカスの公演を許すのは「外の人間を受け入れることも必要」という考えでしょうけど、シャドーハウスの許しがあるのか村を治める人物の独断なのか。
サーカスを受け入れた結果がケイトとエミリコ反逆者の潜入につながったんですよね。
誰かの独断により綻びが生まれるのはエドワードの失態に似ていますね。
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