本年初のヤングジャンプは合併号でした。

そのため、1月13日の更新がないことに面食らった方も結構いらっしゃったかと思います。

かくいう私もその一人でして、第119話の翌週に更新がないことに気が付いたのは、1月12日の夜になってからでした。

それもあってか、1月13日未明のツイッターではシャドーハウスの更新がないことを嘆くツイートで溢れておりました。当時のシャドーハウス関連のタイムランを例えるなら、さながらすす珈琲の供給が途絶えたこどもたちの棟といったところです。やっぱり皆様、続きが気になるのは同じのようですね。


ただ、それによって一つの偶然が生まれました。

今回の第120話は「1月20日」に公開されることになったからです。


これまでもシャドーハウスには色々な現実世界とのクロスオーバーがありましたが、またもや不思議な偶然の一致を見せました。

なんだかここまでくると、すべてソウマトウ先生の策略なんじゃないかとも思えてきますね。(なわけないか)

ひょっとすると年末の1か月の休載は、120話を1月20日に合わせるためだった……?(だから違うって)


まあそんな与太話は置いておきまして、今話の紹介といきましょう。

トマスの突然の宣言によって、衝撃の走ったこどもたちの棟。

しかしその様子は、不気味な静けさが支配していました。
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こどもたちの棟に来るや否や、タブーを犯しすす能力を披露したトマス。

葡萄を高く掲げると、「持たざる者は淘汰される」とこどもたちに言い残し、意気揚々とセダンチェアに乗って去っていきました。

星つき達はただそれを見送るのみです。

しかし、トマスに物申すことはできないものの、バーバラはこどもたちの棟の代表です。

すぐさまセダンチェアの行く先に足を向けると、こどもたちに「日常に戻りなさい」と命じ、彼女たちもその場を後にしました。

残されたのは、救護班を筆頭とする他のこどもたちだけです。


そんな中、ケイト達より一つ上の世代の二人があることを呟きました。第59話で、第二次亡霊事件で活躍したエミリコのことを褒めてくれたあの二人です。

彼らは、当時ケイトから「“珈琲”の蓄積が少なくて」と評されていましたが、その期待通り「こどもたちの中に…」「すす能力が使える者がいるってことだよな…?」というまっとうな疑問を投げかけました。

それを皆が聞いていたのか、こどもたちの間に沈黙と緊張が走ります。


ケイト・ルイーズ・ジョン・パトリックの同期組、
ダグラス率いる第1班、
エリートと推測される救護班、
非常事態を冷静に観察する研究班、
目下スパイ活動中のサラ、
怪訝な表情を浮かべるマーガレット、
新班長が束ねる第9班、
その他、個性様々なこどもたち……。


およそこの時間は一瞬のことだったでしょう。しかし当事者にとっては、それでも長い沈黙だったと思います。読んでいるこちらにも、棟の緊張感が伝わってきました。


しかしその静寂を破ったのは、第59話の時と同じように二対の班長でした。

「余計なことは言うな」というシンプルな一言で彼らの発言を制します。発言の主も、あの時と同じようにやってしまったという顔を浮かべました。

ようやく、バーバラの指示通りこどもたちは日常生活を始めました。


ただ星つきの指示とはいえ、もちろん日常に戻れるわけがありません。トマスの大暴露によってこどもたちの棟は以前と違ってしまったからです。

実際に、先ほど疑問を口にした二対は、ジョンにすす能力を知っているんだなと尋ねました。トマスのすす能力を見て素直に反応していたからです。主人のやらかしに振り回されるショーンは大変ですね。
(その点、即座に空気を読んですす能力の有無を曖昧にするウィリアム組とヘンリー組は世渡り上手です)


予想外の出来事があったこの日、夜になるとケイトとエミリコは今後について話し始めました。
とりあえずは、現状の整理です。

ところで、何だかこういった感じで二人が話し合うのを見るのは久々な気がしますね。回想編が長く続きましたので余計にそんな風に思います。

ただ回想編の前と違うのは、割とケイトとエミリコが突っ込んだ話をしている点でしょうか。これまでケイトは慎重に話を進めるきらいがありましたが、エミリコが全てを思い出したからには秘密は無しといった雰囲気を感じます。

今までも良いコンビでしたが、更に良き仲になったように見受けられます。


さて、ここでケイトが注目したのは、大人が一枚岩でないことと「すす能力」そのものについてです。

ケイトは一連の出来事を分析し、トマスがスタンドプレーに出たことを見破りました。そしてエドワードとの敵対関係を利用できないかと思案します。

弱い立場のケイトとしては、館を弱体化させるには最適の方策でしょう。いわゆる「漁夫の利」を得ようというのです。


ただそれは同時に、大人のすす能力を考慮せねばならないことを意味します。ここを見誤ると、おじい様と共にある棟の力関係を正しく認識できないからです。

しかし直前に目にしたトマスのすす能力を思い出し、ケイトはその威力に恐ろしさを吐露します。

確かに、あんな殺傷能力の高い技を見せられてはやむを得ないでしょう。銃並みのすす能力なのだから当たり前です。トマスのあのすす能力の披露は、幸か不幸か“反乱分子”に対する示威行為になっていました。


そんな主人に対し、エミリコは別の観点から疑問を抱きます。
すす能力がない場合は大人になれないのではないか、と尋ねたのです。

ケイトはそれを聞くと、これまでの「すす能力」に関する館のルールを振り返り、改めてすす能力について考え始めました。

そもそも「すす能力」にはどんな役割があるのか?

この根本的な問題が今まで抜け落ちていたからです。

ここでケイトは、一体化とすす能力は不可分一体という説を述べます。すす能力に長けた人材を欲しているというスザンナの話を鑑みると、こう考えるのが適当だからです。


ただ、私個人としては「すす能力」には他にも意味があるのではないかと考えています。それならすす能力を秘密にする必要がないからです。しかしそれについては長くなりますので、別記事について書いていきたいと思います。


さて、表面上は皆が普通通りに過ごしているこどもたちの棟ですが、先ほども述べた通りそれが長続きするはずがありません。

ケイトが「こどもたちの棟」という不穏な予感を感じている中、星つきとトマスは険悪な雰囲気ですし、翌日には、前日疑問を口にした二対がジョンにすす能力をせがんできていたからです。

ケイトが懸念していたように、こどもたちの棟には格差ができ始めてしまいました。


そしてその影響を同期の中で一番受けてしまったのは、パトリックです。

得意げなジョンを尻目に踵を返すパトリック。
何やら不穏な雰囲気が立ち込めています。

ただ、この件に関しては致し方ありません。
同期の中ですす能力が開花していないのは、パトリックだけだからです。

義を重んじ、繊細で貴族らしい姿を追い求めるのが彼の魅力ですが、努力では解決できない問題に直面して意気消沈です。

これまでも、恐らく同期への負い目や自身のもどかしさを感じていたのでしょう。

「唯一の救い」の温室で、唯一頼りにするリッキーを相手に暫し愚痴をこぼします。こちらの組も回想編を終えてより対等なコンビになった風に感じますが、第97話を見るまでもなく、お互い心の支えとなっているパトリックとリッキーの関係もまた良きものですね。


しかし、あの時は暖かい日差しの中で温室を後にした二人ですが、今回のラストでは正反対の光景が彼らを襲いました。

誰とも分からない大量の煤。

それがあっという間に、信頼関係で結ばれた二人を切り裂いたのです。


温室を訪れる人物と言えばマーガレットが思い浮かびますが、彼女のすす量は多くないはずです。それとも、これが隠された彼女の能力なのでしょうか。

または、すす量が多いといわれるサラやダグラスによる襲撃でしょうか。

或いは、マーガレットの同期で煤能力を持つピーターも怪しいといえば怪しいですし、「薔薇の集い」でパトリックの交渉相手として挙げられたバーバラも煤の持ち主の候補と言えるでしょう。


ただ、一つ言えることがあります。


「持たざる者は淘汰される」


冒頭にこう宣言したトマス。

このトマスの言葉が現実味を帯びて、こどもたちの棟を支配し始めてしまったのかも知れません。