“マッドサイエンティスト”と聞いて私が最初に思い出すのは、「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターです。

初めて見たのは小説版だったのですが、常人では想像も及ばない彼の狂気に、幼い私はただただ困惑するばかりでした。(こんな本を子供の手の届くところに置いていた母よ……。)

羊たちの沈黙シリーズの本当の中身を私が理解するのはもっと後になってからです。様々な知識を得て、ようやく大人になってから楽しめるようになりました。血は争えないなあ…。


さて、古今東西様々な名作に登場する“マッドサイエンティスト”
例をあげればキリがありません。

羊たちの沈黙、フランケンシュタイン、博士の異常な愛情、ジギル博士とハイド氏……。

“マッドサイエンティスト”の定義とは何ぞやという話をし始めると長くなるので割愛しますが、一般的にはこういった作品が挙げられるのではないでしょうか?

…実在人物に関しては、まあ触れないでおきましょう。

時代によって評価が変わる場合もありますし、立ち位置によって見方が変わる人物なんてざらにいますからね。誰かにとっては“マッドサイエンティスト”に見えても、別の一方から見れば優秀な科学者だったりすることは珍しくありません。


ただ穿った見方をすれば、歴史に名が残っているということは“マッドサイエンティスト”と呼ばれている人物達は、確実に飛び抜けた頭脳を持っているということです。

普通の人であれば考えもつかない発想と行動があるからこそ、彼らは学問の最先端を駆け、新たな地平線を切り開いているのです。「天才と狂人は紙一重」と言いますが、優秀な科学者がマッドサイエンティストとは限らずとも、マッドサイエンティストが優秀な科学者なのは間違いありません。
(そもそもただの狂人だったら科学研究などできるわけないですし)


ところで、シャドーハウスにも科学者集団が描かれていますね。

“星つき班”の研究班です。

第60話でも描かれていましたが、彼らは皆良くも悪くも変人ぞろいでした。あのジョンでさえ突っ込みに回らざるを得なかった研究班の奇行を、よく覚えているという方も多いかと存じます。(第60話 研究班)

そしてその研究班を束ねる“星つき”のオリバー。
彼は決まり事よりも好奇心を優先する典型的な研究者のように見えました。


しかし、それが故に今回のエピソードを読んだ後、彼らが常識では推し量れない人物であることを改めて思い知らされました。

オリバーとオリーが見せた新たな一面は、ケイトでさえ予想不可な狂気でした。
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唐突な話題となりますが、2日にSPY×FAMILYのファンブックが発売されましたね。

SPY×FAMILYはジャンプ+で連載されているものの、次に来るマンガ大賞2019では「Web漫画部門でなくても大賞取れるほど面白い」と言われたほど人気で、少年ジャンプの看板作品となっています。

ちなみに、次に来るマンガ大賞2019はシャドーハウスもノミネートされていましたがランク圏外となっておりました。あの時は悔しかったなあ…。
(でも今クール放映中のSPY×FAMILYをClover Worksが手掛けると発表された際、「シャドーハウスの制作会社なら当たりだ!」といった感想がひしめいていたのを見て悔しさは消えました)


ところでこのSPY×FAMILY、実はシャドーハウスと少し関係があったりします。

なんと、SPY×FAMILYの遠藤達哉先生が「月華美刃」を執筆していた時期にソウマトウ先生が手伝っていたことがあるらしく、その関係で此度のファンブックでもソウマトウ先生がイラストを寄稿しているのです!

というわけで私も早速発売日に買ってきました。
ファンブック&特典

イラストの方はソウマトウ先生もツイッター等で公開してないので、見たい方はすみませんが買って下さい!アーニャとベッキーが可愛すぎるのでソウマトウ先生のイラスト目当てで買ってもお釣りがくるはずです!(私がそうでした)

まあ、深夜のテンションで結局漫画の方も全巻買ってしまったんですけどね。三作品同時に漫画追うの初めてなので大丈夫だろうか…
(シャドーハウス、ウマ娘シンデレラグレイ、SPY×FAMILY ←new!)

さて、衝動買いした上に先一昨日徹夜で読み終えたのですが、そこでもう一つシャドーハウスとの共通点を見つけました。

偶然か、主人公はスパイの任務を果たすため、娘のアーニャを政敵の息子と仲良くさせようという「ナカヨシ作戦」を遂行中なんですよね。

“仲良し”と言えば、ケイトとエミリコも「星つきと仲良し作戦」(ショーン命名)を絶賛遂行中です。こじつけですがこんなことがあるんだなあと思いました。


では、いつもより前置きが長くなりましたので本題に移りましょう。
今回のエピソードはケイト組とオリバー組がメインです。

ジョンがスザンナから、ルイーズがベンジャミンからすす能力の情報を引き出したことで、ケイトはある行動に出ました。

単身、オリバーの元に向かったのです。

すす能力を把握するのがスザンナで、それを書き留めるのがベンジャミン、そして書き留めた資料を保管しているのがオリバーとくれば、あとはケイトの仕事です。「星つきと仲良し作戦」を成功させるべく、スーパー生き人形のエミリコを連れて夜のウェストウイングを抜け出しました。


ところで、夜中に勝手な行動をしていいのかと少し心配になりますが、ケイト達に関しては全く問題ありません。なぜならオリバー公認だからです。

前回ラストでケイト達が部屋から抜け出す際に、バールのようなものがあったのを覚えているでしょうか?

あれは第60話でオリバーから渡された“遠方鍵伸ばし棒”です。61話の冒頭ではエミリコがドラえもんのような口調で掲げていました。密かに、アニメで篠原さんがどう演技してくれるのか注目しています。(二期はどこまでやるんだろう?)


それはともかくとして、オリバーとオリーは秘密基地で見せたエミリコの身体能力に興味津々でした。そしてもっと観察したいと、研究したいと内緒で鍵を渡してくれたのです。

それもあってか、なんだかケイトの足取りも軽い気がします。ケイト本人も機械好きな面をオリバーに気に入られていましたし自信があったのでしょう。

ジョン、ルイーズ、シャーリーが戦果を挙げているのですから、あとは大将のケイトがすす能力の資料をオリバーから貰えば作戦成功です。ケイトもそう感じているのか、もはや成功の成否より、他の研究班員がいないかを気にしています。


一対一(一対対一対?)であれば失敗はしない。


ケイトがそう信じていたことは想像に難しくありません。これまでの関係性を踏まえれば読んでいる方もそう考えていた方がほとんどだと思います。


しかし、結果的にケイトの目論見は失敗しました。
ケイトが機械好きなのを逆手に取られて、ポリグラフを装着させられてしまったからです。

洗脳が既に溶けているのを隠してケイトに接するオリバー。

最初は他愛もない質問だったのに、段々と空気が変わり、しまいには「人間であることを思い出したのか?」とエミリコに畳みかけます。

まるでサスペンスの教本のような構成ですね。一見穏やかそうに接しながら、真意を隠して相手を追い詰める姿は完全に“マッドサイエンティスト”のそれです。

亡霊探しや無能力者狩りの犯人を追いかけるケイトは怪しいと語るオリバーですが、生き人形の正体を既に見抜いている上に、洗脳が解けた組に狙いを定めて罠にかけるオリバーが一番怖いです!


と、ここまで書いて浮かぶのが、『オリバーとオリーはいつ洗脳が解けたのか?』という疑問です。

手掛かりとして、オリバーまたはオリーが登場した最近のエピソードは以下の三つです。

・第85話(オリバーとオリーが珈琲をドリップしていた回)
・第96話(喜びの会が失敗した回)
・第118話~120話と第129話(トマス視察)


第85話では、オリバーもオリーもまだ生き人形が人間であることに気付いていませんでした。ケイトが珈琲豆をすり替える前の出来事です。

次いで、珈琲豆すり替え後の96話でもオリーは通常通り星つきの仕事をこなしています。喜びの会でエミリコが「にがぁ~~っ!!」と叫び、リッキーがよろめきながら自分の名前を思い出した回です。

最後は、トマスが視察にやって来た時です。第118話~120話までと前回129話のエピソードがそれにあたります。


これらを子細に見ていくと、オリバーとオリーが洗脳から溶けたのはトマスの視察直後かなと私は考えています。

もっと言えば、今話でケイトとエミリコが研究棟を訪れる直前です。


順を追っていくと、まず冒頭のオリーの頭の怪我は、トマスが帰ったあとから無能力者狩りの間だと推測されます。

理由は、第121話でニコラスとジョージが無能力者狩りにあった現場にオリバーとオリーがいないからです。

バーバラとベンジャミンとスザンナがいるのになぜオリバーがいないのかと考えると、この時オリーが怪我していたからと考えるとしっくりくるんですよね。生き人形は顔に傷が付いてはいけないのに、星つきの生き人形が氷嚢被って表に出るわけにはいかないでしょう。

そして第97話のリッキーみたいに、頭を衝撃を受けたオリーが自分は人間なのではないかと薄々と気付き、無能力者狩りの犯人を炙り出すために作った「こびりつき型負の感情読み取り装置」によってオリバーに問い詰められ、その結果オリーは自分が人間であることを完全に思い出したのだと思います。

こういう装置を作ったとすれば身近な人物を実験対象にするでしょうし、そういう流れでオリーは洗脳解除された可能性はなくはないでしょう。

そもそも彼は第85話の時点で「これほど人間そっくりに作られているなんて」と“生き人形”という存在に疑問を持ちかけていましたし、二週間以上も珈琲を飲んでいなければ洗脳が解けるのも時間の問題だったはずです。

オリーよりも珈琲が蓄積しているスージーでさえ、ショーンの「お姉ちゃん」で涙流すほどですから、オリーが記憶を取り戻すのは何らおかしくありません。

以上のような出来事を辿って、オリバーとオリーは“生き人形=人間”という事実を確信し、そして本エピソードのような行動を起こした。

ということで、この件に関しては結論としたいと思います。


それにしても、そんなことがオリバーとオリーに起こっているなどとは、ケイトは微塵も疑わずにいたことでしょう。身体を拘束された上に檻にまで閉じ込められてしまいました。

これ、何気に物語始まって以来のピンチではないでしょうか?


ただ言いにくいですが、これまでのケイトの行動を考えると、既に最初から危うい雰囲気だった気がします。

お披露目でも、ジョンの洗脳解除でも、対マリーローズ戦でも、珈琲豆すり替えでも、ケイトはすんでのところで場を凌いで目的を達成してきました。

それだけではなく、過去には館の潜入に成功し、偽装してエミリコとペアになり、教師のシャドーを欺き、掟の抜け道をくぐって生き人形にオリジナルの名を付け、エミリコを取り戻すことに成功しました。


でもこれらって、全部リスクの高い賭けばかりなんですよね。今までケイトが直面してきた試練は、どれもこれも選択を一歩間違えれば致命的な失敗に直結する、そんな苦難の連続でした。

にも関わらず、今回のケイトは完全に気が緩んでしまっていた感があります。オリバーとオリーに主従ともども気に入られているのだから平気だと思っていたのでしょう。

奇しくも、それはバービーとの接触に失敗したリッキーと重なります。
彼もバービーに気に入られているからと行動したのが裏目に出ていました。

「友好的だと思って油断した!」

此度の危機は、ひとえにこの一言に尽きます。


第101話でケイトは、結果を急ぎ過ぎるがあまりに周りが見えなくなり、一人で決断してきたことを反省する弁を述べていました。

そして同期全員の洗脳を解くことができたのを、偶然ではなく仲間が助けてくれたからだと語っていました。


相手がオリバーとオリーですので、もしかしたらラストの不穏な様子とは裏腹に、次回は深刻な事態にならないかも知れません。

しかしそうはならなかった場合は、否が応でもケイトとエミリコ独力での脱出は難しいでしょう。

果たして“仲間”という存在が次回現れるかどうか。
それを期待して次回を待ちたいと思います。


……ちょっと頭よぎったんですが、助け舟出すのがアンソニーだったらやだなあ…。でもオリバーとオリーってクリストファーに助けられたと言っていましたし、一体化したクリストファー装ってアンソニーが出てきてもおかしくない気もします。

ドヤ顔で「やっぱり君には僕が必要だ!」とか言ってきたりして……。