ここのところ、だいぶ寒くなってきましたね。
先日のことですが、仕事から帰る途中に夜空を見上げると、オリオン座が南天高くに浮かんでおりました。つい此間おとめ座に変わったと思っていたのに、いつの間にか季節を3つ跨いでいたようです。
オリオン座と言えば、個人的に思い出すのが藤井フミヤの「Another Orion」です。
氏の2枚目のオリジナルシングルで、前作の「TRUE LOVE」に続いて大ヒットしました。幼い頃の私はこの歌が一番好きで何度も聞いていたのですが、知らないという方は公式動画が公開されておりますので是非聞いてみて下さい。今の時代でも名曲だと思います。
ところで、シャドーハウスにも「星」という言葉が頻繁に登場しますね。特に、第62話「夜の空」や第105話の「約束の星空」で描かれた夜空のシーンを覚えている方も多いと存じます。
しかし、シャドーハウスにおいて“星”という単語が一番用いられているのは「星つき」で間違いないでしょう。
こどもたちのリーダーの胸に輝く勲章。
「星つき」という称号の意味合いは時代によって異なるとはいえ、彼ら彼女らはこどもたちにとって憧れの存在であることは共通しています。サラやパトリックも、初期の頃はそのことを口にしていました。
その「星つき」という単語が初めて登場したのは第17話でした。今回は、当時の扉絵をご紹介したいと思います。

やや画像が荒いのはご容赦下さい。
平成31年1月31日に発売されたヤングジャンプの煽り文には、バービーのものと思しき「この『星』こそが お影様を輝かせるのだ」という台詞が載っていました。今更語るまでもないですが、まさにこれまでのバービーの行動を表すのに相応しい言葉です。
しかし、そんな風に主人のために駆けてきたバービーには誰にも言えない葛藤がありました。
今回のエピソードでは彼女の「顔」の下に隠されてきた「本心」が、遂に読者だけでなくケイト達の目の前に晒されることとなります。
先日のことですが、仕事から帰る途中に夜空を見上げると、オリオン座が南天高くに浮かんでおりました。つい此間おとめ座に変わったと思っていたのに、いつの間にか季節を3つ跨いでいたようです。
オリオン座と言えば、個人的に思い出すのが藤井フミヤの「Another Orion」です。
氏の2枚目のオリジナルシングルで、前作の「TRUE LOVE」に続いて大ヒットしました。幼い頃の私はこの歌が一番好きで何度も聞いていたのですが、知らないという方は公式動画が公開されておりますので是非聞いてみて下さい。今の時代でも名曲だと思います。
ところで、シャドーハウスにも「星」という言葉が頻繁に登場しますね。特に、第62話「夜の空」や第105話の「約束の星空」で描かれた夜空のシーンを覚えている方も多いと存じます。
しかし、シャドーハウスにおいて“星”という単語が一番用いられているのは「星つき」で間違いないでしょう。
こどもたちのリーダーの胸に輝く勲章。
「星つき」という称号の意味合いは時代によって異なるとはいえ、彼ら彼女らはこどもたちにとって憧れの存在であることは共通しています。サラやパトリックも、初期の頃はそのことを口にしていました。
その「星つき」という単語が初めて登場したのは第17話でした。今回は、当時の扉絵をご紹介したいと思います。

やや画像が荒いのはご容赦下さい。
平成31年1月31日に発売されたヤングジャンプの煽り文には、バービーのものと思しき「この『星』こそが お影様を輝かせるのだ」という台詞が載っていました。今更語るまでもないですが、まさにこれまでのバービーの行動を表すのに相応しい言葉です。
しかし、そんな風に主人のために駆けてきたバービーには誰にも言えない葛藤がありました。
今回のエピソードでは彼女の「顔」の下に隠されてきた「本心」が、遂に読者だけでなくケイト達の目の前に晒されることとなります。
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前回、余計な一言でバーバラの心の傷に触れてしまったケイト。
あともう少しでバーバラを説得できそうだったのに、少し勇み足過ぎてしまったようですね。
そういえば、ケイトは第61話や第101話の時も自分の考えを述べようとするがあまりに、パトリックと口論になっていました。ケイトも第115話で「感情的だし…本当に嫌になるわ」と自省の弁を漏らしているものの、やはり生来の性格を変えるのは難しいもので、此度も似たような失敗をしてしまいました。
(最初に仲間にしたのが、「そこがいいな!」と断言できるジョンで本当に良かった……!)
しかし、そんな時に助けてくれるのはケイトの相棒、そして我らが主人公のエミリコです。
第61話ではエミリコのことを思い出し、そして第101話ではエミリコの「仲間がいるっていいですね!!」という発言で窮地を脱することができたケイト。
今回も、『ポートレイトを自発的に脱ぐ』というエミリコならではの天真爛漫な行動が事態の打破に大きく作用しました。
既にこの時点で、あくまでバービーを従者として「追い出してください」と命じるバーバラと、これまでの暮らしの中で同等のパートナーとしてエミリコと関係を築いてきたケイトとの差が見て取れましょう。ならばあとは流れに任せるのみです。
(ええっと、エミリコの行動にケイトが驚いているのはちょっと置いておきましょう(汗))
さて、この時のバービーは俯いて何やら考え込んでいますね。
そしてエミリコがポートレイトを脱いだ直後のバービーは、目を見開いています。
私はこの二つのコマを見た時、第52話で「クリストファーだったら…何か違ったのでしょうか」とバーバラが零した場面と、第82話で「もう仲間を失うのは…絶対に嫌です!!」とエミリコが確言した場面と、第134話で「パトリック様を強く見せようとしていたんです」とリッキーが打ち明けた場面を思い出しました。
バービーの瞳が強調されたこの三つのシーンは、いずれも彼女の心が大きく動いた場面です。
ということは、此度のバービーの心も大きく揺らいでいたことは想像に難しくありません。ついに彼女は、エミリコに追従してポートレイトを脱ぎ、そして胸ぐらを掴み激高するに至りました。
ここから、サブタイトルに描かれたバービーの「本心」が語られることとなるのです。
この時、バービーはまずエミリコへの不満を吐き散らしていますね。
第7話で初登場した際に彼女はエミリコを睨みつけていましたが、このシーンに関してバービーの過去が明らかになるにつれて『同族嫌悪では?』『自分の過去を思い出して苛立っていた』『悩みのないエミリコが気に食わない』といった推測がSNS等で多く見受けられました。
私も薄々そう感じてはいましたが、エミリコ本人を目の前にしてバービー自身からそれが告げられるとは予想外でした。第56話でオリバー2号を扱うエミリコに、バービーは「またあいつは…どれだけ私をイラつかせる気だ」とぼやいていましたが、ずっとエミリコのことをそんな風に見ていたのでしょう。バービーにとって、エミリコという存在は非常に目障りだったに違いありません。
ただ、例えこどもたちのリーダーからぞんざいに扱われようが、それでも屈しないのがエミリコです。
第17話では、ミアが蹴られたのを目の前で見ていたにもかかわらず、それでも果敢にバービーに抗議して「深夜の見回り」を命じさせました。結果的にラムへの冤罪は晴れました。
第84話では、今度は自身が蹴られたにもかかわらず、それでも立ち上がってバービーから「それまでに班をまとめあげろ!」と譲歩を勝ち取りました。結果的にエミリコはベルの心を開かせることに成功しました。
バービーもそのことを思い出していたことでしょう。
実際にバービーの脳裏には、挫けずにいつも立ち上がるエミリコの姿がありました。
ですが、見方を変えるとバービーにとって「エミリコ」とは、『あったかも知れない自分の姿』と言い換えることもできます。バービーも「まるで昔の私のようだ」と言っていますので、彼女にもその自覚があったに違いありません。
しかし、悲しいかな今現在のバービーは何もかもがうまくいっていません。感情を殺し表情を隠し身を粉にして働けども、周りの心は離れていく一方です。それに額に残った傷さえも治る気配は見えません。
なのに、目の前にいる「お花畑」はかつての自分と同じようにふるまっているのに、お披露目に合格し、仲間を得て、班長にまで上り詰めます。しかも「お花畑」の主人は自分の主人から信頼まで勝ち取っています。
それを見続けてきたバービーの心中はいかなるものだったか。
それこそが、あの第137話の「がらくた」だったのかもしれません。
また、それ以上にバービーには認めたくない事実がありました。
エミリコはバービーの過去に似ているだけではなく、星つきになって以降のバーバラとバービーの価値観を脅かす行動ばかりとってきたからです。
特に、第84話でエミリコが「絶対に嫌です!!」と言い放った一連の台詞は、棟の秩序を乱したこどもたちを「処分」してきたバーバラとバービーにとって、これまでの行いを全否定するものでした。そんな「余計なこと」など決して認めるわけにはいきません。
しかし、そうやって目を背けてきた「エミリコ」という眩しい存在は、揺るぎなき成果をもたらしてきました。さしずめ、星よりも輝く太陽のような少女。それがエミリコなのです。
「自分がこれまでしてきたことが間違っていると認めてしまうことになる」
バービーに付きまとっていた、意地ともいえるこの思い。この譲れない一点さえも覆されてしまったら、果たして自分の存在意義はどこにあるのかと苦悩していたことでしょう。
ですが言葉を重ねていくにつれて、エミリコへと向けていた言葉の刃は段々とバービー自身に矛先を変えていきます。
やがて、バービーは従者としての力不足と額に残った「癒えない傷」を切々と語り、自身を「がらくた」だと吐露し、最後に「…くそ腹が立つ」という言葉を自分に投げつけました。彼女の口癖は、もしかしたら今の今までずっと自分自身に向けられていたのかも知れません。
滔々と語られたバービーの「本心」。
それを前にして、煤を出して膝をつくバーバラの姿がまた痛々しいです。
バーバラが顔を覆っているのは、さながら自身のことも従者のこともあえて見ないよう目を背けてきたのを表しているかのようです。
しかし、そうやって避けてきた苦痛はいつの間にか支えられないくらいに高く積み上げられ、崩れるのは時間の問題でした。“星つき”のリーダーという肩書はバーバラにとってそれほどの重圧だったのです。結局、いつかはこうなる運命だったのかも知れません。
こどもたちの棟のリーダーの偽らざる「本心」
バーバラも、とうとう己の間違いを認めざるを得ませんでした。
激白ともいえる長い時間は、こうして終わりを告げます。
ケイトもエミリコも黙って聞くほかありませんでした
ただ、ここで少しだけ私の考えを述べさせてください。
此度のエピソードにおいて、バーバラもバービーも今までの自分達が間違いだったと認めています。
確かにその通りでしょう。
最近の風紀班結成やギルバードの星つき襲撃未遂、サラの裏切り行為など、これらの出来事は“星つき”の求心力がないが故に発生したものでした。それほどに人望を集めることができなかった責は当然バーバラとバービーにあります。
しかし、だからといって星つきになってからのバーバラとバービーの努力が全て無駄だったとは思いません。
なぜならバーバラは「本心」を打ち明けてもなお、リーダーとしての矜持を持っているからです。
普通、ここまで自信を無くしたならば、最後に出てくる台詞は『星つきを辞める』『あとは任せました』といった類の筈です。
ですが、バーバラの口から出てきた言葉は「まだ手を差し伸べて貰えますか?」というケイトへのお願いでした。
これは、決して人任せにはしないでリーダーとして自分の責任を全うする、というバーバラ本人の逞しさなのではないでしょうか?
少なくとも私は、「今乗り越えなければもう後はありません」と語ったバーバラの姿に、彼女に残っていた不屈の精神を感じ取りました。
そして、そのリーダーとしての責任感の起源は、バーバラが星つきのリーダーに就任したことがきっかけだと思います。
一般的には、リーダーに相応しい人物が組織を引っ張っていくという事例が多いですが、その逆もまた然り。役職やそれに伴う責任や期待を担うことで、それに相応しい適性を得ることだってあるのです。
まさにバーバラは後者と言えましょう。
必ずしも褒められたリーダーではありませんでしたが、それでも不器用ながらもこどもたちを代表して苦悩しながら棟を導いてきました。
それがあるからこそ、曲がりなりにもリーダーとして認められていたのだと思います。
でなければ、ベンジャミン組もスザンナ組もオリバー組も、バーバラとバービーに付いて行く筈がありません。
同時に、その過程においてバービーの果たしてきた役割も大きいです。
本人は「がらくた」と自嘲していますが、本当にがらくたであればすぐに致命的な失敗を犯し、処分されてもおかしくありません。いくらトマスの温情があったとしても、棟の最年長になるまでに生き残ってきたのは相応の能力があったからでしょう。陰謀渦巻くシャドーハウスという館は、一人の実力者の加護のみで生きていけるほど甘くはないと思います。
だとすれば、バービーの存在もバーバラを支えるに足るものだったと考えた方が自然です。
それこそエミリコとバービーが似た性格というのであれば、エミリコがケイトのために献身しているように、バービーにもエミリコに似た献身精神があっても何らおかしくありません。その自己犠牲が、本人の性格とは真反対の「強い『顔』」だったのではないでしょうか?
そうして育まれたリーダーとしての自覚が、最後の“星つき”の勲章への誓いに繋がったのでしょう。
遂にバーバラは、第77話で「まだつけられません」と言い切っていた勲章を手に取りました。胸を張って立つバーバラの姿は実に堂々としたものです。
とうとう第17話の扉絵で語られていた、「星」が主人を輝かせる瞬間がここに訪れました。
悲願を叶えたバービーの姿は描かれていませんが、この時のバービーの「顔」を是非とも見てみたいものです。
さて、ここまでバーバラとバービーのみに注目して記事を書いてきましたが、バーバラの復活だけで済まないのが「シャドーハウス」という作品です。
一見穏やかなラストに見えますが、その星の輝きの下では犠牲になってきたシャドーがおり、命を落とした「生き人形」がいます。直接的にも間接的にも、バーバラとバービーは多くの業を背負ってしまっているのです。
それだけではなく、クリストファーが自害したことをバーバラもバービーもまだ知りません。
第77話で勲章を付けられない理由を「クリストファーのようになるまでは」と言っていたバーバラは、今回のラストでもクリストファーに語り掛けるように勲章に誓っていました。
となれば、もしもクリストファーがこの世にいないとなれば再び絶望する可能性は高いでしょう。
こういう言い方はしたくないですが、これから先バーバラとバービーが心折れる展開はいくつも予想される状況なのです。
正直、真実を知ったバーバラとバービーがそれに耐えられる未来が見えません。むしろ、これまで倒れてきたこどもたちからすれば、彼女達が救われることなど許されないでしょう。
第128話・129話のサラとは違い、此度のバーバラはケイトが差し伸べた「救いの手」を取り、そして立ち上がりました。
「私はみんなを助けたいの!」と言っていたケイト。
「星つきと仲良し作戦」が成功した今、ようやく第77話でバーバラの心を塞いでいた重い扉を開けることができました。
しかしそれでもなお、あの日から降り続く雨はまだ止む気配はありません。
前回、余計な一言でバーバラの心の傷に触れてしまったケイト。
あともう少しでバーバラを説得できそうだったのに、少し勇み足過ぎてしまったようですね。
そういえば、ケイトは第61話や第101話の時も自分の考えを述べようとするがあまりに、パトリックと口論になっていました。ケイトも第115話で「感情的だし…本当に嫌になるわ」と自省の弁を漏らしているものの、やはり生来の性格を変えるのは難しいもので、此度も似たような失敗をしてしまいました。
(最初に仲間にしたのが、「そこがいいな!」と断言できるジョンで本当に良かった……!)
しかし、そんな時に助けてくれるのはケイトの相棒、そして我らが主人公のエミリコです。
第61話ではエミリコのことを思い出し、そして第101話ではエミリコの「仲間がいるっていいですね!!」という発言で窮地を脱することができたケイト。
今回も、『ポートレイトを自発的に脱ぐ』というエミリコならではの天真爛漫な行動が事態の打破に大きく作用しました。
既にこの時点で、あくまでバービーを従者として「追い出してください」と命じるバーバラと、これまでの暮らしの中で同等のパートナーとしてエミリコと関係を築いてきたケイトとの差が見て取れましょう。ならばあとは流れに任せるのみです。
(ええっと、エミリコの行動にケイトが驚いているのはちょっと置いておきましょう(汗))
さて、この時のバービーは俯いて何やら考え込んでいますね。
そしてエミリコがポートレイトを脱いだ直後のバービーは、目を見開いています。
私はこの二つのコマを見た時、第52話で「クリストファーだったら…何か違ったのでしょうか」とバーバラが零した場面と、第82話で「もう仲間を失うのは…絶対に嫌です!!」とエミリコが確言した場面と、第134話で「パトリック様を強く見せようとしていたんです」とリッキーが打ち明けた場面を思い出しました。
バービーの瞳が強調されたこの三つのシーンは、いずれも彼女の心が大きく動いた場面です。
ということは、此度のバービーの心も大きく揺らいでいたことは想像に難しくありません。ついに彼女は、エミリコに追従してポートレイトを脱ぎ、そして胸ぐらを掴み激高するに至りました。
ここから、サブタイトルに描かれたバービーの「本心」が語られることとなるのです。
この時、バービーはまずエミリコへの不満を吐き散らしていますね。
第7話で初登場した際に彼女はエミリコを睨みつけていましたが、このシーンに関してバービーの過去が明らかになるにつれて『同族嫌悪では?』『自分の過去を思い出して苛立っていた』『悩みのないエミリコが気に食わない』といった推測がSNS等で多く見受けられました。
私も薄々そう感じてはいましたが、エミリコ本人を目の前にしてバービー自身からそれが告げられるとは予想外でした。第56話でオリバー2号を扱うエミリコに、バービーは「またあいつは…どれだけ私をイラつかせる気だ」とぼやいていましたが、ずっとエミリコのことをそんな風に見ていたのでしょう。バービーにとって、エミリコという存在は非常に目障りだったに違いありません。
ただ、例えこどもたちのリーダーからぞんざいに扱われようが、それでも屈しないのがエミリコです。
第17話では、ミアが蹴られたのを目の前で見ていたにもかかわらず、それでも果敢にバービーに抗議して「深夜の見回り」を命じさせました。結果的にラムへの冤罪は晴れました。
第84話では、今度は自身が蹴られたにもかかわらず、それでも立ち上がってバービーから「それまでに班をまとめあげろ!」と譲歩を勝ち取りました。結果的にエミリコはベルの心を開かせることに成功しました。
バービーもそのことを思い出していたことでしょう。
実際にバービーの脳裏には、挫けずにいつも立ち上がるエミリコの姿がありました。
ですが、見方を変えるとバービーにとって「エミリコ」とは、『あったかも知れない自分の姿』と言い換えることもできます。バービーも「まるで昔の私のようだ」と言っていますので、彼女にもその自覚があったに違いありません。
しかし、悲しいかな今現在のバービーは何もかもがうまくいっていません。感情を殺し表情を隠し身を粉にして働けども、周りの心は離れていく一方です。それに額に残った傷さえも治る気配は見えません。
なのに、目の前にいる「お花畑」はかつての自分と同じようにふるまっているのに、お披露目に合格し、仲間を得て、班長にまで上り詰めます。しかも「お花畑」の主人は自分の主人から信頼まで勝ち取っています。
それを見続けてきたバービーの心中はいかなるものだったか。
それこそが、あの第137話の「がらくた」だったのかもしれません。
また、それ以上にバービーには認めたくない事実がありました。
エミリコはバービーの過去に似ているだけではなく、星つきになって以降のバーバラとバービーの価値観を脅かす行動ばかりとってきたからです。
特に、第84話でエミリコが「絶対に嫌です!!」と言い放った一連の台詞は、棟の秩序を乱したこどもたちを「処分」してきたバーバラとバービーにとって、これまでの行いを全否定するものでした。そんな「余計なこと」など決して認めるわけにはいきません。
しかし、そうやって目を背けてきた「エミリコ」という眩しい存在は、揺るぎなき成果をもたらしてきました。さしずめ、星よりも輝く太陽のような少女。それがエミリコなのです。
「自分がこれまでしてきたことが間違っていると認めてしまうことになる」
バービーに付きまとっていた、意地ともいえるこの思い。この譲れない一点さえも覆されてしまったら、果たして自分の存在意義はどこにあるのかと苦悩していたことでしょう。
ですが言葉を重ねていくにつれて、エミリコへと向けていた言葉の刃は段々とバービー自身に矛先を変えていきます。
やがて、バービーは従者としての力不足と額に残った「癒えない傷」を切々と語り、自身を「がらくた」だと吐露し、最後に「…くそ腹が立つ」という言葉を自分に投げつけました。彼女の口癖は、もしかしたら今の今までずっと自分自身に向けられていたのかも知れません。
滔々と語られたバービーの「本心」。
それを前にして、煤を出して膝をつくバーバラの姿がまた痛々しいです。
バーバラが顔を覆っているのは、さながら自身のことも従者のこともあえて見ないよう目を背けてきたのを表しているかのようです。
しかし、そうやって避けてきた苦痛はいつの間にか支えられないくらいに高く積み上げられ、崩れるのは時間の問題でした。“星つき”のリーダーという肩書はバーバラにとってそれほどの重圧だったのです。結局、いつかはこうなる運命だったのかも知れません。
こどもたちの棟のリーダーの偽らざる「本心」
バーバラも、とうとう己の間違いを認めざるを得ませんでした。
激白ともいえる長い時間は、こうして終わりを告げます。
ケイトもエミリコも黙って聞くほかありませんでした
ただ、ここで少しだけ私の考えを述べさせてください。
此度のエピソードにおいて、バーバラもバービーも今までの自分達が間違いだったと認めています。
確かにその通りでしょう。
最近の風紀班結成やギルバードの星つき襲撃未遂、サラの裏切り行為など、これらの出来事は“星つき”の求心力がないが故に発生したものでした。それほどに人望を集めることができなかった責は当然バーバラとバービーにあります。
しかし、だからといって星つきになってからのバーバラとバービーの努力が全て無駄だったとは思いません。
なぜならバーバラは「本心」を打ち明けてもなお、リーダーとしての矜持を持っているからです。
普通、ここまで自信を無くしたならば、最後に出てくる台詞は『星つきを辞める』『あとは任せました』といった類の筈です。
ですが、バーバラの口から出てきた言葉は「まだ手を差し伸べて貰えますか?」というケイトへのお願いでした。
これは、決して人任せにはしないでリーダーとして自分の責任を全うする、というバーバラ本人の逞しさなのではないでしょうか?
少なくとも私は、「今乗り越えなければもう後はありません」と語ったバーバラの姿に、彼女に残っていた不屈の精神を感じ取りました。
そして、そのリーダーとしての責任感の起源は、バーバラが星つきのリーダーに就任したことがきっかけだと思います。
一般的には、リーダーに相応しい人物が組織を引っ張っていくという事例が多いですが、その逆もまた然り。役職やそれに伴う責任や期待を担うことで、それに相応しい適性を得ることだってあるのです。
まさにバーバラは後者と言えましょう。
必ずしも褒められたリーダーではありませんでしたが、それでも不器用ながらもこどもたちを代表して苦悩しながら棟を導いてきました。
それがあるからこそ、曲がりなりにもリーダーとして認められていたのだと思います。
でなければ、ベンジャミン組もスザンナ組もオリバー組も、バーバラとバービーに付いて行く筈がありません。
同時に、その過程においてバービーの果たしてきた役割も大きいです。
本人は「がらくた」と自嘲していますが、本当にがらくたであればすぐに致命的な失敗を犯し、処分されてもおかしくありません。いくらトマスの温情があったとしても、棟の最年長になるまでに生き残ってきたのは相応の能力があったからでしょう。陰謀渦巻くシャドーハウスという館は、一人の実力者の加護のみで生きていけるほど甘くはないと思います。
だとすれば、バービーの存在もバーバラを支えるに足るものだったと考えた方が自然です。
それこそエミリコとバービーが似た性格というのであれば、エミリコがケイトのために献身しているように、バービーにもエミリコに似た献身精神があっても何らおかしくありません。その自己犠牲が、本人の性格とは真反対の「強い『顔』」だったのではないでしょうか?
そうして育まれたリーダーとしての自覚が、最後の“星つき”の勲章への誓いに繋がったのでしょう。
遂にバーバラは、第77話で「まだつけられません」と言い切っていた勲章を手に取りました。胸を張って立つバーバラの姿は実に堂々としたものです。
とうとう第17話の扉絵で語られていた、「星」が主人を輝かせる瞬間がここに訪れました。
悲願を叶えたバービーの姿は描かれていませんが、この時のバービーの「顔」を是非とも見てみたいものです。
さて、ここまでバーバラとバービーのみに注目して記事を書いてきましたが、バーバラの復活だけで済まないのが「シャドーハウス」という作品です。
一見穏やかなラストに見えますが、その星の輝きの下では犠牲になってきたシャドーがおり、命を落とした「生き人形」がいます。直接的にも間接的にも、バーバラとバービーは多くの業を背負ってしまっているのです。
それだけではなく、クリストファーが自害したことをバーバラもバービーもまだ知りません。
第77話で勲章を付けられない理由を「クリストファーのようになるまでは」と言っていたバーバラは、今回のラストでもクリストファーに語り掛けるように勲章に誓っていました。
となれば、もしもクリストファーがこの世にいないとなれば再び絶望する可能性は高いでしょう。
こういう言い方はしたくないですが、これから先バーバラとバービーが心折れる展開はいくつも予想される状況なのです。
正直、真実を知ったバーバラとバービーがそれに耐えられる未来が見えません。むしろ、これまで倒れてきたこどもたちからすれば、彼女達が救われることなど許されないでしょう。
第128話・129話のサラとは違い、此度のバーバラはケイトが差し伸べた「救いの手」を取り、そして立ち上がりました。
「私はみんなを助けたいの!」と言っていたケイト。
「星つきと仲良し作戦」が成功した今、ようやく第77話でバーバラの心を塞いでいた重い扉を開けることができました。
しかしそれでもなお、あの日から降り続く雨はまだ止む気配はありません。
