今号の週刊ヤングジャンプは、なんとシャドーハウスが巻頭カラーです!

前回の巻頭カラーは2020年10月でしたから、二年振りということですね。

因みにその前だと2018年9月の連載開始時まで遡りますので、ほぼ二年おきにシャドーハウスが巻頭カラーを飾っていることになります。

こうなると2024年の秋が楽しみですね。

シャドーハウスが四度目の巻頭カラーを担うのか、はたまたソウマトウ先生の次回作が華々しくスタートするのか……。

思わずそんなことを考えてしまいました。


ただ、此度の巻頭カラーは過去二度とは違う点がありました。

それは一回目の「連載スタート」や二回目の「アニメ化決定」といった、目玉となる新情報がなかったからです。

一応200万部突破記念と銘打っていますが、それについては既に12巻の帯に書いてあります。しかし、かと言って150話という節目を以ても、巻頭カラーの理由としては些かインパクトに欠けます。それなら第50話や第100回で巻頭カラーを飾っていてもよさそうなものです。(どちらも中間カラーだったものの、巻頭カラーは逃しています。)


すると、答えは一つです。


“名実ともにシャドーハウスが週刊ヤングジャンプの看板作品になった”


そういうことでしょう。でなければ、シャドーハウスが2023年一月号という重要な号の巻頭に登場した理由は説明できません。

長寿漫画のキングダムやメディアミックス作品のウマ娘シンデレラグレイを例外とすれば、二期までアニメ化されたシャドーハウスだって他の話題作に引けを取りません。

未だ漫画としての栄誉に恵まれないシャドーハウスですが、いつかタイトルを獲得した暁にはその勲章を肴に祝杯を上げたいものです。


さて、勲章といえばシャドーハウスで真っ先に思いつくのは“星つきの勲章”ですね。

語るまでもない、こどもたちの棟の指導者の証です。これまでもこの勲章を巡って様々なエピソードが語られてきました。


“星つきの勲章”を付ける者・見る者・狙う者……


今話においても、三者三様のこどもたちの思惑が描かれることとなります。
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冒頭で語り損ねましたが、本エピソードの扉絵はベンジャミン組・スザンナ組・オリバー組のカラー扉でした。

このイラストをよく見ると、床が黒と白のパッチワーク柄ですね。

ということは、第95話の同期組シャドー、第96話の同期組生き人形(withシャーリー)、第147話のバーバラ組と同じということになります。もしかしたら、彼ら彼女らは同じ場所に立っているのかも知れませんね。

実際にツイッターでは、この4つの扉絵を並べて写真撮影した方もいらっしゃいます。本ブログで画像をご紹介できないのが惜しいですが、眺めてみると壮観です!

同期組と星つきが揃っているということは、上記で紹介した主従は全てケイト達から影響を受けたグループ、と言い換えることもできます。

今後もケイトの仲間が増えたら、もしかしたらその主従は、同じ模様の床に立っている扉絵で登場するかも知れません。王道少年漫画のように、今後も徐々に仲間が増えていくと嬉しいですね。(いずれドラゴンボールの背表紙みたいになったら面白いだろうなあ…)(エドワード陣営が描かれる日が来たらどうしよう)


さて、ところで今話の内容に移りますが、今回の注目は何と言っても「バーバラの決意」でしょう。

サブタイトルにも「決意」とあるように、本エピソードのバーバラはこどもたちの前で自らの過去を悔い、反省の弁を述べ、そして今後は棟の改革が必要であると明言し、協力を要請しました。

過去の行いに伴う過ちを「全ては私の力不足のせいです」と語ったということは、自らの失敗を認めたということです。

これは読者が考えるよりも遥かに覚悟がいる表明だったことでしょう。第57話でバーバラは「“星つき”でなくなるということは命の保証もありません」と語っていましたが、仮にここで失脚でもしようものなら、その時点で命運は尽きてしまうことを意味します。

そのリスクを背負ってバーバラは、全こどもたちの前で棟の、星つきの、そしてなによりも自分自身の変革を訴えたのです。

集会の直前にバーバラは「もう私を強く見せないで大丈夫です」とバービーに語り掛けていますが、その言葉の通り嘘偽りのない姿を彼女はさらけ出しました。バーバラの覚悟が見て取れようというものです。


しかし難しいのは、バーバラが幾ら信じて欲しいと語りかけたところで、過去の所業は消えないことです。

バーバラは演説の中で「横暴な振る舞い」「秘密主義」を謝罪していますが、その直前にギルバートの反乱未遂を大人に報告しないと述べています。

先程紹介した第57話でも、第二次亡霊事件をエドワードに報告しないという選択を採っていましたが、ここだけみれば「大人に報告しない」という行為は隠蔽そのものです。私もこどもたちと同じ立場であれば、結局星つきは何も変わっていないと疑問を呈したでしょう。ケイトとエミリコもこどもたちの不満を感じ取ったのか、煤を出し不安な表情で成り行きを見つめるばかりです。


さらに状況を悪くしたのが、エヴリンの加勢です。

バーバラに助け舟を出すかのように「彼も反省しています」「私はバーバラを支持します」と訴えますが、それはバーバラが述べた表明を強く後押ししたと同時に、関わりのないこどもたちに有力者同士が庇い合っているという印象を植え付けました。

これがもし、事件の犯人がギルバートではなく普通のこどもだったなら、星つきが犯人に償うチャンスを与えたとあればバーバラの演説も説得力が増したはずです。しかしそうはうまくいきませんでした。


そして期を逃さんばかりに口を開いたのが、サラです。

ここ最近は登場しては可哀想な役回りばかりでしたが、今回は実に生き生きしています。こんなサラを見るのは久しぶりです。

しかも以前であれば、マリーローズがベンジャミンに胸倉掴まれているのを見ただけで弱気になっていたのに、今回は星つきに正面きって「おかしいんじゃない?」と告げ、有力者のエヴリンに「後ろめたいだけじゃないの?」と痛い所を突き、遂にはこどもたちにバーバラの過去の行為と此度の声明の是非を問いました。これにはバーバラもエヴリンも反論できずにただ黙るしかありません。

しかもサラの反論はこれだけに留まらず、睨み付けるバービーを見た瞬間に「暴力を振るうんでしょ?」とすかさず指摘し、挑発にのって胸倉掴んだベンジャミンを皆に見せつけて「何も変わってないじゃなーい」と被害者アピールです。

もっとも、サラの発言には一理ありますし、言われた星つきからしても彼女の指摘は妥当です。中々すんなりいかない大広間の反応を見たバーバラから、大量の煤が噴出するのも時間の問題でした。


ただ、ここでギリギリ踏み止まったのは、バーバラの「決意」によるものでしょう。

いつもであればベンジャミンが威圧しバービーがハンドベルを鳴らして鎮めるところですが、この時のバーバラが選んだのは、こどもたちへの語り掛けでした。

努めて冷静に、改めて過去の反省を述べ、心入れ替えた星つきを見て欲しいと訴えたのです。

危うくもバーバラの変化を感じ取ったこどもたちは、その姿を見ると静かになりました。

やがてこのまま集会は解散となったのでしょう。

集会が終わった後、屋外にてケイトとバーバラは落ち合い、バーバラがエミリコにお願いしたいことがあると告げ、エミリコの驚いた表情で第150話は幕を閉じました。


さて、私が第150話を読んで感じたのは、こどもたちの棟に「自由」の萌芽が芽生えつつあるという事実でした。

これまでのこどもたちの棟の体制は、専制政或いは独裁制と呼ぶべき統治体制でした。しかも、時には暴力が伴う恐怖政治的な在り方が公然と行われていました。

ところが、第150話の集会ではバーバラだけではなくエヴリンやサラも発言するなど、今までには見られなかった光景が描かれました。しかもサラに至っては星つきを批判しています。

こうした自由な発言が許される空気が醸成されたということは、こどもたちの棟が「専制政」「独裁制」から脱却しつつあるのを示しています。ケイトとエミリコの「珈琲豆すり替え」と「星つきと仲良し作戦」によって、物理的にも意識的にも洗脳が解けつつあるのです。

バーバラが全てのこどもたちの前で話をすると言った時ケイトは驚いていましたが、バーバラの選択は間違っていませんでした。これまでの過ちは決して許されないであろうことは事実ですが、こどもたちの棟の空気を一変させた勇気ある決断だったと私は思います。


此度のバーバラの行動の中で最も特筆されるのは、サラの暴言ともいえる「“星つき”の勲章なんてつけたって全然似合ってないわよ!」という発言に対し、バーバラが「…時間を下さい」と言い、暴力ではなく言葉で対話をしたところでしょう。

安易な結論をだすのではなく、暴力で相手を封じ込めるでもなく、敢えて耐え忍び正しい姿勢を見せるという、時間も精神力も必要な道を彼女は選んだのです。

この一点に、私はバーバラの強い「決意」を感じさせられました。


そんなバーバラは、かつてのクリストファーのように生き人形の個性を認め、ラストでエミリコの名を呼んで頼みごとをしました。

変化を遂げる兆しを、確実に見せるこどもたちの棟。

その「改革」の始まりがいよいよスタートしそうです。