メインキャラクター達を差し置いて、サブタイトルに新顔シャドーの名がお目見えしました。

かつてダグラスが所属していた班の班長・キングです。

これまでサブタイトルに名前が採用されたキャラクターは数名いますが、どの回も傑作と評判の高いエピソードばかりです。記憶に新しいところだと第149話のルイス、第160話のマーガレットが挙げられましょうか。シャドーハウスにおいて、キャラ名副題回に外れはありません!


そんな名だたるキャラたちに早速肩を並べたキング。第167話の初登場から僅か5話での大抜擢です。第1話の「ケイトとエミリコ」を除けば、初登場が第116話、サブタイトル回が第149話のルイスが最短でしたから恐るべき早さですね。

フィンを除くと、キングより後に登場したのは第169話のオスカー・ロロル・ダニー・マチルダの4人だけです。彼らが残り2話でサブタイトルに抜擢されるとは思えないので、今後新キャラクターが現れない限りキングのこの記録は当分破られないでしょう。なんとも珍しい記録が生まれました。


しかし、あくまでこれは作品の外の話であって作中とは関係ありません。キングが活躍するかどうかはソウマトウ先生の胸三寸、そしてキング自身の頑張りにかかっているのですから。

その結果については、お読みになった方はもうご存じでしょう。

彼の人となりがよく分かる回ではありましたが、残念ながら「活躍」と呼べる働きはできませんでした。


サブタイトル回。


栄光が約束されたエピソードの活躍を手にしたのは、文字通り「星」を胸に付けた三対のスターです。

ケイトとエヴリン、そしてダグラスが素晴らしいチームワークを見せました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ケイトとエヴリンとダグラスが活躍したと書きましたが、ラムも忘れてはいけませんね。もちろん彼女もケイトの頼もしい仲間です。

明確に描写されていないものの、ダグラスがキングの気を引き、エヴリンが動きを食い止め、ケイトが隙を見て指示を出したことで、無事「検問」を抜けたと思われます。「顔の見えない人形」ならではの大仕事、お見事でした。


ところで今回のエピソードとは関係ないですが、そういえばラムってずば抜けた記憶力や、時間経過を正確に把握する能力がありましたよね。お披露目編ではその能力が発揮されていました。

ここのところシャーリーの隠密行動や「顔の見えない人形」としての役割が強調されているラムですが、彼女の持っている力は並大抵のものではありません。いつかここぞという場面でその能力を遺憾なく発揮し、ラムが敵陣営に一泡吹かせる展開も見てみたいなあと思いました。


さて、話を戻しましょう。

キングに勇気振り絞って声を掛けたダグラス。

過去のトラウマを思えば、よくぞここでキングに声を掛けたと褒めたいです。結果的にラムの「密輸」はこれで成功したわけですからね。ナイスタイミングでした。

そして注目したいのは、ダグラスはケイトが見抜いた通り、仲間を売るような男ではないということもここから読み取れます。普通のこどもならケイトを裏切り大人に媚びへつらうのが得策なのに、ダグラスは己の信念を貫いたのですから。

ケイトは第167話でダグラスに対し、「必要だから星つきになってもらった」「それだけよ」とそっけなく理由を述べていました。また、第165話でもダグラスを味方にするメリットについて「エドワードに信頼されている」「こどもたちの中で認められている」「体裁を保てる」「敵の動向も探れる」とオリバーと語っています。

しかし今思うと、そうしたダグラスの立場や能力だけではなく、仲間を大切に思うという性格もケイトは重視していたのかなと思いました。土壇場で裏切られたらたまったものではないですからね。

第167話で「それだけよ」とケイトが呟いた際、エミリコは微笑みを浮かべていました。あの微笑みは、ダグラスが「仲間を大切に思い合っている」ことについて、ケイトが高く評価していたことを知っていたからなのかも知れません。


ただ、そうは言ってもダグラスの前に立つ男は「大人」です。こどもが太刀打ちできる相手ではありません。ましてや、苦手意識のある人物では対峙する前から趨勢は決しています。余裕綽々なキングの態度が何とも腹ただしいです。しゃくしゃくするのは洋梨だけにして欲しいです。

ですが、そこはチームプレー。ナイフを突きつけるキングからダグラスを救ったのは、前回散々口喧嘩をしたエヴリンでした。

シャドーに干渉するという「第三の能力」

可憐な少女とは不釣り合いな、あの禍々しい能力がキングに向けられたのです。

しかも、すす能力が強いとされる大人に通用するのかという心配をよそに、ダグラスに切って掛かろうとするキングの動きを完璧に封じ、危機が去るや否やすぐに能力を解除し、知らぬ存ぜぬを装う胆力。

さらにはキングを見竦めて、いいから早く作業させろ(※)と迫りました。

う~ん、全くなんという少女でしょうか!なんという度胸でしょうか!

(※作中では「深刻な遅れが生じています」というやんわりとした言い方でしたが、シンプルな台詞な分、エヴリンの迫力がより伝わってきますね。あとイヴの表情凄く格好良い。美人の恐い顔は本当に恐い……)

いやはや、ケイト嬢といいルイーズ嬢といいこの館の女性陣は男前ばかりです。ソフィとアイリーンとケイトを同じ部屋に入れたら迫力あるだろうなあと以前想像したことがあるのですが、エヴリンもそれに劣りませんね。

それに比べて男子陣はいささか直情というか単純というか純粋というか……。

ある意味、10代前半の男女の描写として妙にリアリティがあるなとも感じました。


それにしても、エヴリンの能力は考えれば考えるほど規格外です。ケイトがイザベルミラベルを転がしたり、イザベルミラベルがダグラス班の生き人形達を操っていたこともありましたが、そうした類とは全く違う能力です。まだまだ未知数の能力といっても過言ではないでしょう。

しかも、キングのしょぼいすす能力(byダグラス)が悪目立ちしているので気付きにくいですが、一体化した「大人」にもエヴリンのすす能力が通用することが今回のエピソードから読み取れます。

偉大なるおじい様のすす珈琲でさえ、生き人形にしか効かないことは第46話(だい46わ)でライアンが明言しています。物理系にせよ精神系にせよシャドーにすす能力は効かないのです。

分類的には物理系に近いので、言ってしまえばケイトがイザベルミラベルを転ばした時のように、シャドーの体の外側か内側に干渉するかの違いでしかないと考えることもできます。

ですがそれでもエヴリンの能力が他の追従を許さないことに変わりはないでしょう。

エヴリンがもしもこの能力を悪用してたら、と考えるとゾッとしますね。本当に彼女が救護班で、そして現状ケイトの味方で良かったと思いました。(完全な味方にはできていませんが)


ところで、キングに対してケイトとエヴリンとダグラスが反抗したことで判明した、見逃せない点が一つありました。

それは「すす能力しょぼいまま」(byダグラス)でもキングが「一体化」に成功し「大人」になることができたという事実です。

ケイトは第120話にて、すす能力について「一体化するにはすす能力が必要なんだわ…!」と結論付けていました。

実際問題、シャドーハウスにおいてすす能力を持っているこどもは「優秀」と見做されていますし、「大人」に近づいていると捉えられています。一体化にはすす能力が必要というケイトの推測はほぼ事実とみて間違いはないでしょう。

ですが以前に投稿した「館がすす能力者を欲しているワケ」という記事でも述べましたが、単にすす能力を持っているだけでいいのならば、「修練の間」ですす能力を鍛える必要はないと思います。物理系とか精神系とかそんな分類も必要ないでしょう。

よって上記記事では、館がすす能力者を欲しているのは「一体化」以外にも別の理由があると考えました。(詳細については記事をご覧下さい)

その観点から見てみると、エヴリンやダグラスにすら歯が立たないキングが「大人」になれたということは、「一体化」にすす能力の強弱は関係ないということでしょう。

「一体化」の成功だけではなく、何か別の理由があって館はこどもたちにすす能力を鍛えさせている。

その可能性が高くなったことを一先ずここに記しておきます。


それにしても、前話の感想記事ではエヴリンの掘り下げがあって欲しいと語りましたが、まさか直後にこんなに濃いエピソードが拝めるとは思いもしませんでした。しかもエヴリンがダグラスのために行動を起こしたのは、ダグラスが大切にしている髪型を守りたいという理由からです。

無能力者狩り事件の時はエリザベスとロレッタから「冷たくも見える」「ドライ」と評されていたエヴリンですが、実は情に厚い面もあることが分かり感無量です。これからもまだまだ魅力的な姿を見せてくれることでしょう。これからのエヴリンの登場がさらに楽しみになりました。

また、こんなエヴリンの知られざる一面を引き出したのは他ならぬダグラスです。

彼は前話で「大切な気持ちを仲間と共有する位いいだろ」と言っていましたが、さり気なく込められた「仲間」という言葉とギルバートに関する話を聞いたことで、エヴリンの心が動いたのではないでしょうか。その結果、今回のエヴリンの行動に繋がったと私は解釈しています。新星つき体制の4対のやり取りには今後も大期待ですね。


しかし、暫くそれはお預けになりそうです。

名残惜しいですがメインイベントの『新・お披露目』がもうすぐ始まろうとしているからです。

ケイトがお披露目の間の隠し扉を閉じる寸前、お披露目の間の正面扉が開かれました。エドワードの後をついて新人五対がそれぞれ入場します。

既視感のあるこの光景は、第22話でケイト達がお披露目の間に入った時と似た角度からの視点でした。

あの時、もしかしたらバーバラも似た光景を見たのかも知れないなあと、そんな過去のエピソードをふと思い出すラストでした。