「クラシックの悔しさは ここで晴らした天才の一撃!」

フジテレビ・立本信吾アナウンサーのこんな実況が響いたのは2022年の競馬中継、天皇賞秋での出来事でした。

キタサンブラックの仔として期待されながらも大舞台での惜敗が続き、満を持して最強馬決定戦に臨んだイクイノックスが栄光を掴んだのです。

ということで、競馬に詳しくない方もいらっしゃると思いますので、もし興味ありましたらこちらのレース動画をどうぞ。



イクイノックスは昨年末に惜しまれつつ引退しましたが、上記の天皇賞秋から引退レースとなったジャパンカップまでなんと6連勝という驚異的な成績でターフを去ります。その「伝説」と呼ぶべき競争生活は、連勝記録の始まりである2022年の天皇賞秋で称された「天才」そのものだったと言えるでしょう。果たして彼が今後どんな仔を生み出すのか、まだ先のことですが楽しみにしています。


さて、「天才」という語句ですが、誰を指すのかについては人それぞれ違うかと存じます。

例を挙げるなら、メジャーリーガーの大谷翔平選手やイチロー、将棋の藤井八冠と羽生九段、競馬の武豊騎手といった一線級の競技者がそう称されています。

また、時代を遡れば小説家の三島由紀夫や政治家の田中角栄元総理も入るかも知れませんね。さらに歴史上の人物を含めれば古今東西折々の傑物が名を連ねるでしょう。


そんな中で、私が天才だと思うのはこちらの作者です。

明日の神話

画像が小さくてすみませんが、ご存じの方ならぱっと見て分かるでしょう。もしかしたら昨年のシャドーハウス原画展に行った際に見てきたという方もいらっしゃるかも知れません。

答えは、岡本太郎です。この「明日の神話」という大作は渋谷駅のコンコースに展示されています。

因みに上の写真は、2020年4月に渋谷で予定があった時に「こんなに人がいない渋谷は今後ないだろうから寄っていくか」と思い立ってコロナ禍の中撮影したものです。

前代未聞の事態の中、もしも今の世に岡本太郎がいたとしたらどんな切り口で世を見つめ、そして表現したのだろうかと思い耽ったのが懐かしいです。

余談ですが、ソウマトウ先生のギリギリアウトでは主人公(ソラ)の父親が「爆発だー!」と言いながらイリュージョンを披露したりするのですが、恐らくモデルは岡本太郎ではないかと想像しています(笑) いつか機会があれば先生に事の真相をお聞きしたいなあ……。


ところで、実を言いますとシャドーハウスにも「天才」と称されるキャラクターがいます。

スポーツ選手でも芸術家でも政治家でもない、ごく一般の物静かな少女。

そんな慎ましやかな彼女が持っているのは、「空間」と「時間」を正確に把握するという、通常では考えられない頭脳です。

それでは本題に入りましょう。

今話ではエミリコの良き友達・ラムが遺憾なく能力を発揮しました。
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前話で「作戦続行」となったルイーズとルウの救出作戦。

今回のエピソードでは早速ラムが活躍を見せていますね。

というか率直に言ってラム、超重要な戦力じゃないですか!?


以前ケイトが立てた作戦だと、ラムの役割は「顔の見えない人形」という立場を活かした立場だった気がします。なのに、なんと大人たちの棟の地図を作る役目を担うとは驚きです。

しかもその手法が、

・ダグラスの歩幅を把握する。
・オスカーのすす能力で、エドワードの部屋に赴くダグラスと交信。
・以上を基に歩く方向と歩数から方角と距離を特定。
・エドワードの部屋までの地図を完成させる。

という常人には想像もできないやり方でした。現実世界にラムがいたらスパイになれるんじゃないかというくらい凄い能力です。

オスカーはラムを見て「天才だっ!」と叫んでいますが誇張でも何でもありません。彼の「天才」が正しく使われているのを初めて見ました。全く以ってその通りです。


それにしてもラムを見ている新人達の様子は実に微笑ましいですね。

本来であればラムは「顔の見えない人形」、たとえお披露目に受かっていても「生き人形」でしかないわけですが、シャドーという立場であるにもかかわらず新人達は皆がラムを高く評価しています。

これはもちろん、彼ら彼女らが洗脳から解けているからこそでしょう。

特にマチルダは「友達になろ♪」と手を取っていますが、こんなことシャドーハウスという館ではまず見られなかった光景です。ごくごく普通の一コマではあるものの、シャドーハウス解放後のシャドーと「生き人形」の理想的な世界なのではないかと想像してしまい、つい目頭が熱くなってしまいました。


ただこういった明るい場面が描かれれば描かれるほど、どんでん返しが待っているのがシャドーハウスという作品です。これまでの例に漏れなく、此度もそんなシーンが描かれました。


ダグラスの再洗脳です。


エドワードから「外部からの侵入者がいる」と明かされたダグラス。

それがエミリコキャンディであると聞かされたとあれば、第89話ですす珈琲を飲んだばかりのダグからダグラスが影響を受けるのは必至です。

結果、ダグラスはこれまでのケイトや新人達の行動に不信を抱き、オスカーの通信機を握りつぶしました。

「作戦続行」だったはずがあっという間に作戦行動中止の危機。否、それ以上にケイト達の企みが白日の下に晒される危険性さえ高まります。よりによって、前回のエピソードで作戦中止をアドバイスしたダグラスによって危機が訪れるとは何とも皮肉なものです。流石のケイトも色を失っています。


ただここで良いなあと思うのが、それを打破するのがキャンディという事実です。

ケイトはこれまでこどもたちを結集させようとし、そして仲間を得てきましたが、そうすることによってこんな状況でも乗り越えられるようになったことが実にシンプルに描かれています。

ともすればキャンディの姉御肌な部分に目がいってしまい、彼女のような参謀がいればいいじゃないかと思いがちではありますが、しかしここは「共同戦線」

誰かが欠ければ誰かが補う。

そうした助け合いが今後も続いていくのではないかという希望を残し、ラストはすす兵が強行突入しました。

これから始まる救出作戦は、ダグラスの離反、トマスの復活という予想外の波乱が怒涛の如く押し寄せてきましたが、その中でラムのみならず多くのキャラクターがどう動いていくのか楽しみに待ちたいと思います。


さて、ちょっと仕事がおしてしまい今回の記事は短めになってしまいましたが、最後に少しだけ考察というよりこれからの予想を立ててみます。

今回の作戦はマチルダの「すす兵さん」の稼働時間が肝になるわけですが、実は彼らがタイムリミットになっても代替手段はなくはないんですよね。


それは第185話で一度とりやめになった、シャーリーに合鍵を運んで貰う作戦です。


まあそうするとシャーリーは足が遅いので「顔の見えない人形」に乗ってもらうしかないわけですが、そこはラムにもう一回頑張ってくれという無茶ぶりしかないよなあ……

ただ、今寝ているロロルのすす能力でエドワードを足止めできるかも知れませんし、彼女の「シャドーに干渉する能力」を用いればひょっとしたら時間稼ぎも可能なのではないでしょうか?


第95話では、ラムの手紙の中にこんな記述があります。


「2階以上は恐ろしくて探索できませんが」


“天才”ラムでさえ恐れる「おじい様と共にある棟」の2階以上。

そこへの潜入がいよいよ始まると思うと、一読者なのに私も何だか緊張してきました。