今回は第111話以来のゾロ目回、かつ公開日が単行本20巻の発売日と重なったとあってカラー扉でした。

ということで、こちらのヤングジャンプ編集部公式ツイッターをご覧下さい。

元気ないっぱいなエミリコのダブルピース!!ケイトも控えめなピースで、二人合わせてトリプルピースです!!!

最近のエピソードでは快活なエミリコがやや影を潜めていますので、扉絵と言えども元気そうなエミリコを見られて嬉しかったです。叶うことなら、ほんの少しでいいのでケイトとエミリコのささやかな部屋でのシーンを見てみたいなあなんて思いました。(現状厳しそう)

ところで、エミリコのピースってどこかで見たよなあと思い返したら、同じく「2」にまつわる出来事で描かれていました。

単行本2巻発売当時のソウマトウ先生のイラストです。

今思うと、単行本2巻と20巻の発売日にエミリコが同じようにピースしてるとは面白い偶然ですね。

222話の公開日に単行本20巻が発売され、エミリコが2巻以来のピースをしているだなんて「2」の渋滞です。ピースがいくつあっても足りないんじゃないかと心配になってきました。

余談ですが、日本語で「ピース」と呼ばれるこのポーズは元々「Vサイン」という勝利を表すハンドサインでした。それが1960年代のベトナム戦争の反戦運動を経て、平和を願うサインとして世界中に広がったとのことです。現在では「勝利」「平和」のどちらの意味も含むようになっています。


さて、そうすると本編でも平和なエピソードといきたいところですが、そうは簡単にいきません。

今回のサブタイトルは「平和ボケ」

「ピース」尽くしだった第222話の扉絵を皮肉るような副題です。否が応にも悪い予感しかしません。


そして、実際に「平和」とは程遠いこどもたちの棟の姿が描かれました。

悪辣な扇動者によってこどもたちの棟に危機が訪れようとしています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



前回まで描かれてきたケイトとジョゼフの会話劇から一転、今回の終盤は急展開を迎えました。

こどもたちの棟が、アンソニーの号令を受けて臨戦態勢に入ったからです。


大広間に集められたこどもたち、過激な演説でこどもたちの危機感を煽るアンソニー、その横でさもこどもたちの棟に迫る危機を知らせに来たという風に立つルイス……


アンソニーの弁によれば、大人はクリストファーやこどもたちを処分しようとしていることから、それを防ぐために“精鋭部隊”と呼ばれるグループが動き、既に「栄光の廊下」を封鎖したそうです。それに伴い、こどもたちに以下の命令を下しました。


・すす管の供給停止
・武器の収集
・勲章上位者の前線への配置


“勲章上位者”とは、第206話で描かれた「勲章」を多く授与されている者のことでしょう。クリストファー直々に授けるこの「勲章」は、特別班及び、危険な活動やすす能力が高いものが与えられやすいとエヴリンは言っていました。

つまり、こどもたちの中でも有能な者が前線へと赴くことになったわけです。

加えて、第206話当時エヴリンはこうも言っています。

「趣味の時間はすす能力による戦闘訓練や生き人形の修練に割かれ」

これから分かることは、上記の「武器の収集」とは、生き人形もこれから始まる戦闘に駆り出されるという意図を含んだ命令だということでしょう。

しかも、「栄光の廊下」の封鎖や、武器の収集・勲章上位者の前線配置だけならば、大人たちに対するこどもたちの棟の防衛とも捉えることができますが、アンソニーはすす管の供給停止をも命じています。これは大人たちの棟のライフラインの断絶を意味します。

そして最後に述べられた、「正義を執行しよう」という台詞。

この台詞は、リーダーとして認知されているクリストファーを背に、アンソニーがこどもたちを前にして言い放った言葉です。

こどもたちの棟に住まう、シャドー・生き人形すべてを総動員した号令。これは明らかに武力を用いた戦闘行為の準備です。

とうとう、「こどもたちを戦力としか見ていない」「このままでは被害が増える一方」という第207話でのケイトの懸念が現実になろうとしてしまっています。

大人とこどもたちの全面衝突の危機にケイトはどう対処しようとしているのか。

その手腕がいま、試されようとしています。


・
・
・
・
・

と、長々と書きましたが、本誌をお読みの方はここまで書いたことが正確でないことがお分かりかと思います。

なぜなら、そもそも今回の終盤で描かれたのは「大人」と「こどもたち(アンソニー)」の衝突危機でないからです。

いや、「大人」と「こどもたち(アンソニー)」の戦いが目前であることは間違いないのですが、正確に言うと「大人」「星つき」と「こどもたち(アンソニー)」の戦いと言ったところでしょうか。

いやいや、そもそも「大人」と「星つき」は共闘しているわけではないので、もっと正確に書くと「大人」VS「こどもたち(アンソニー)」および、「星つき」VS「こどもたち(アンソニー)」でしょうかね。


んんんんん~~~~~、ちょっとややこしいですなあ…………

これ、本編を読めばもっとすんなりと分かるんですが、アンソニーがケイトを含む「星つき」を敵に回したからこんな複雑な状況になっているんですよね。


因みに、なぜアンソニーがケイトを敵に回したかと言いますと、端的に言えば第219話でルイスがこどもたちの棟の管理者権限を剝奪されて拘束されたからです。

ただ、ルイスが「人を操る」すす能力で顔の見えない人形を操り逃亡してしまったため、ジョゼフとケイトが繋がっていることがアンソニーに知れてしまったわけです。

結果、ケイトとジョゼフの結託をアンソニーは疑ったのでしょうね。そこから先手を打つためにこどもたちの棟を総動員して戦闘準備へと動いたのです。


まあ、こうやって書くと危機管理としては完璧です。流石アンソニーです。

おまけに「栄光の廊下」を封鎖するだけではなく、わざわざ廊下にある甲冑を破壊して「星つきはこどもたちに非ず」なんてメッセージまでケイト達に送っています。

アンソニー的には、ケイト率いる「星つき」を、こどもではなく「大人」と定義することで「こどもたちの棟」VS「大人(星つき含む)」という構図にしようとしていると思われます。

アンソニーは第200話のラストで「これはミラーハウスの家督争い」「ケイト姉さん」「ジョゼフ爺さん」「そして僕」なんて言っていましたが、これから始まる戦闘でケイトとジョゼフを亡き者にして、さらには一気に大人達にもダメージを負わせようと考えているのは容易に想像できます。

そのための準備が、今回の終盤で描かれたのかなと思いました。


しかししかし。

それでも疑問なのが、そもそも「大人」と戦うためにこどもたちの棟で色々画策していたのに、ケイトがジョセフと繋がっている可能性があるというだけで大胆に動き過ぎなんじゃないかなという感想がまず浮かびました。

星つきだけをターゲットにするならともかく、大人たちをも敵に回す「すす管の供給停止」までやってしまうのは悪手ではないかと思うんですよね。一気に敵を増やすのは得策でないと感じます。

しかも、正体が判明していない「精鋭部隊」を動かし、勲章上位者を前線に立たす準備をしているなど、さながらこれが最終決戦とまで言えそうな動員をしているのも不可思議に思います。

計算高いアンソニーの行動にしては突飛な気がしてならないのです。

もっとも、それもアンソニーにとって織り込み済みで、ケイトとジョゼフを「裏切り者」として重鎮(または偉大なるおじい様)に引き渡す算段までつけているとかなら話は別ですが、そこまで工作できているのであれば、むしろこうまで急な動きを見せるのは不自然な気もします。考えれば考えるほど彼の考えていることが分からなくなってきました。


ただ、過去話を見ていると、アンソニーがこうした激烈な反応をした理由が推測できると思われるヒントがありました。

それは第208話で、ケイトがエヴリンを味方に引き入れた直後に語った台詞です。


「アンソニーは焦っているんじゃないかしら?」


続いて、「力づくで大人たちの棟を壊そうとしている」「彼の持っている情報が頭打ちである証拠」と言っています。

アンソニーは全てにおいてケイトよりも先回りしていると思いがちですが、ひょっとしたらケイトのこの推測は当たっていたのかも知れません。

さらにケイトは同ページにてこうも言っています。

「ジョセフの弱みを握るべき」
「そうすればアンソニーより先にミラーハウスを取り戻すことができるはず」

ジョゼフに関しては弱みを握るどころか、仲間にすることにも成功しています。そこから今回のアンソニーの行動を見てみると、アンソニーは焦っているというケイトの推測は信憑性を増してはきませんでしょうか?

ここからアンソニーに隙ができるのも時間の問題かも知れません。


しかし、アンソニーはかなりの危険人物です。

シャドーハウスはおろか、すす島を自分の所有物と見做す危険思想を持っています。

そんな男が窮地に陥ったとあれば何をしでかすか分かったものではないでしょう。今わの際に大惨禍をもたらすことだってあり得ます。

こどもたちの棟に迫る危機。

今はただ、無用な犠牲が出ないことを祈るばかりです。