単行本第4巻が発売されたということで、扉絵はカラーのエミリコですね。

腰に手を当て、ドヤ顔で仁王立ちする姿。見事に4巻表紙のケイトと対になっています。

床が綺麗になっているということは、床に散らばった紙片はエミリコが掃除したのでしょう。
4巻表紙のケイトは問題行動を起こしていました。その主人に累が及ばないよう、証拠隠滅のためにきちんと掃除するエミリコは従者の鏡です。

その真実は、椅子の裏の袋の中にグッと入れてポーイッ、です。
(語彙力の喪失)

さて、題名は『大掃除』ですが、もちろんこの扉絵のことではなく本編のことを示しています。

前回のラストで、精悍な顔つきと素晴らしいポーズを決めたエミリコ。

今回のお話では大活躍を見せました。


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物語は、前回終盤に登場した「オリバー2号」の説明図から始まります。


右下の「\オリバー2号/」という文字といい、簡略化されたオリーともう一人の生き人形といい、どことなく昭和のSF漫画を彷彿とさせる絵です。
ソウマトウ先生って、時々こういった遊び心のある小ネタをチラッと入れてきますよね。ですが、スタイリッシュさが求められる現代的な絵柄より、無骨な巨大機械には少し古臭いこの演出の方が合っていると思います。

左下には、第49話のスザンナに引き続いてエミリコからの好感度が載っています。恐らくオリバーに対する好感度でしょう。傍には目を輝かせてオリバー2号を見つめるエミリコがいます。

スザンナが煤珈琲を飲ませた時に隣にいたのは、オリバーでした。
それを考えるとスザンナと同じく星4つが妥当かと思うのですが……。

なんと評価は『星5つ』でした!満点です!!

いやはやなんとも驚きです。流石エミリコといったところでしょうか。
なんというか、人の悪いところは一切見ずに良いところばかりを見ているんでしょうね。私も見習いたいものです。

特に今回は、巨大機械が登場したことも大きかった気がします。登場した時からエミリコは興味津々でした。ケイトもすす取りの間の計器類を見て格好いいと言っていましたが、このペアにはこんな共通点があったんですね。

重機や戦車、軍艦を見たらきっと喜ぶことでしょう。ケイトの「やりたいこと」が終わったら、是非とも横須賀や呉の軍港クルーズや、京浜工業地帯や鹿島工業地域の工場見学に連れて行ってあげたいものです。

『三笠』を見て「格好良いわ」とはしゃぐケイト……。うん、良いですね!!


…さて、私の趣味が駄々洩れてしまったので話を戻します。

今回のお話はかなり大掛かりなアクションが展開されましたので、なかなか文字で表現するのは難しいです。見所はたくさんあるのですが、それが故に全部取り上げるとキリがありません。

そこで、設定や今後に繋がりそうな部分を中心に書いていくことにします。

まずオリバー2号ですが、構造を見ると掃除機と大きく違う点が一つあります。
それは、途中で粉砕機(ミル)があることです。
単にこびりつきや煤を吸い込むと亡霊になりかねないため、この一工夫が重要なのだと思います。
さすが学者タイプのシャドー、抜け目がないです。

一通りオリーの説明が終わると、本番兼試運転でなすがままにされたナンシーに代わって、エミリコが筒先員としてスタンバイしました。
(※筒先員…消防用語でホースの先の筒を持つ人)

それにツッコむスージー。気持ちは痛いほど分かります。

しかしそんな前評判を覆すのがエミリコという少女です。
やや不格好ではありますが、エミリコは果敢に亡霊に立ち向かいます。

小さい身体ながらも、器用にオリバー2号のホースを操るエミリコ。
その姿を見て、オリーもショーンもナンシーも感嘆です。

そしてそのチャンスを見逃さずに、自慢の筋肉で亡霊を粉砕するベン。
ショーンも加勢したことで徐々に亡霊は小さくなっていきました。

それを見た生き人形の士気はうなぎ上りです。エミリコを中心にして、一気呵成と言わんばかりに攻め立てます。この調子でいけば消滅まで時間の問題でしょう。

ところが、またもやお約束とばかりにオリバー2号に異常が発生します。
何やら小難しいことを喚くオリー。要するに、故障です。

オリバー2号の脇で、冷静に批評する二人の会話がいい味を出しています。
右側の生き人形は、冒頭の説明図で「人力で押すよ!」と言っていた少年です。

ですがそんな分析よりも、心配なのはエミリコです。暴れるホースが向かった先は、大広間の天井に近い壁でした。

彼女の名を叫ぶショーンの祈りが通じたのか、あられもない格好でぶら下がるエミリコ。
ケイトが見たらさぞかし煤が出ることでしょう。でもあの体勢、かなり危ないですね。実際にやってみると分かりますが、まず5分と持たない筈です。

勝利まであと少しのところで一転、秘密兵器が使用不能になりました。
それどころか、新たな戦闘能力を獲得した亡霊が生き人形を襲います。

またもや相次いで犠牲になる生き人形達…。

そう、いつだって戦闘の締めは地上戦です。
しかしこの場には、白兵戦を指揮できる人物などいよう筈もありませんでした。

ただ一人を除いては……。


そんな絶体絶命のピンチに駆けつけたのは、あの生き人形のリーダー・バービーでした。

シチュエーションが違うからか、それとも彼女の裏の顔を知ったからなのかは分かりませんが、第14話の時と違って頼もしさが桁違いです。首に付けた星が輝いて見えます。

亡霊の動きを一目で判断し、次々と指示を出すバービー。鬼軍曹なんかではありません、正真正銘のリーダーです。

そしてそこにタイミングよく到着する、あの憎っくき生き人形・ダグ。
如何にも仕事してますといった表情がイライラを増幅させます。

しかしこの時バービーがイライラを向けていたのは、ダグではなくエミリコでした。
エミリコにとっては最悪のタイミングでのバービー到着です。

それと小さいコマですが、水の用意を指示するバービーの後ろにいる、ベンジャミンとスザンナの会話も見逃せません。

シャドーである二人が合流したということは、緊急事態の最後の最後にはシャドーが対応するケースもあるということが分かりました。
そしてバービーは、バーバラのこともあってかスザンナやベンジャミンと直接話す機会があることも伺えます。今後バーバラのいない場所で、バービーがシャドーと会話するシーンが描かれるかも知れませんね。


そんなこんなで態勢を立て直す生き人形陣営。
それに負けずと、エミリコは叫びました。

その内容は、まさかのリミッター解除の要請。

また同じことの繰り返しにならないかとナンシーは慌てふためきますが、オリバー2号の威力を確かめたいオリーには願ってもない依頼でした。

レバーを引くオリー。
そしてそのタイミングで足を離すエミリコ。

エミリコの落ちた先には、亡霊の頭がありました。

そこにエミリコはホースの先をねじ込むように飛び込むと、あっという間に亡霊を吸い込んでいきました。

エミリコの大ファインプレーです。
その光景に、信じられないという風な顔で見つめるバービー。
隣にいる生き人形達もガッツポーズです。
(前のコマで亡霊の脇にいる黒髪ツインテールの少女は、第53話でオリーから煤を注入されていた少女です。)

やがて亡霊は小さいこびりつきに四散し、ようやく制圧のめどが立ちました。
これで安心でしょう。

そのせいもあって、次のページでは互いに意識するルウとリッキー、オリーとエミリコが喜び合っているのを引き剥がすナンシーとショーンという、なんとも貴重なシーンが繰り広げられました。

その後もベル姉妹を助けに行くエミリコとショーンが描かれたり、突如オリバー2号から出てくるオリバーオリジナル(オリバー本人)など、微笑ましい光景が展開します。

まだローズマリーやミアが無事かどうか心配ですが、とりあえずのところは生き人形達の勝利です。

あとは負傷者たちの治療と後片付け、そしてスザンナから提案された『すす管』の確認等が済めば一件落着です。

やや気まずそうではありますが、エミリコにこびりつきから助けて貰ったベル姉妹も今回ばかりは嫌みはナシです。
素直にしてれば可愛いのに勿体ないですね。


しかし、この時紅潮していた双子の顔が予兆だったのかは分かりませんが、直後に信じられない出来事が起こります。

何よりも大事な偉大なるおじい様の『珈琲』。
第53話のケイトの推測では、大量生産ができない貴重なものだという推測がありました。
だからこそスージーは、亡霊が出てパニックになりながらもその保護を双子に託したのです。


ですがそのベル姉妹は会話も終わっていないというのに、衝撃的な行動に出ました。


無造作に掴まれた、珈琲入りの瓶。
おもむろに天上に掲げられるや否や、息を合わせて二人は床に振り下ろしました。

大広間に響く破砕音と、飛び散るガラス片。
そして床に広がる黒い液体…。

ショックを受ける生き人形達とは裏腹に、双子の表情は全く分かりません。
一体何が起こっているというのでしょうか。

誰かの命令でしょうか?
それとも操られているのでしょうか?
はたまた、彼女たち自身の意志なのでしょうか?


ようやく騒動が落ち着いたと思いきや、事態はまた混迷へと動き出しました。

もし今回の騒ぎが何らかの意図をもって仕掛けられたものだとしたら、まさしく『変』と呼ぶべき事態です。それこそ、この双子の行動をうまく収めたとしても、次の混乱が待ち受けていることは間違いないでしょう。

ローズマリーへの襲撃から始まったこの事件はまさかの方向へと動きだしました。
偶然でないとしたら、犯人とその目的は一体なんだというのでしょうか。


一息もつけないまま、まだまだ敵の見えない闘いは続いていきます。