今、人気作の仲間入りをしつつあるシャドーハウスですが、一昨年までは鳴かず飛ばずの状態でした。
連載初期こそは大々的に書店でPRされたものの、作品の質とは裏腹に売上はほとんど伸びていなかったのです。巻を経るに従い購入特典を頒布する書店の撤退が相次ぎ、芳しくない情勢が長く続きました。当時、劇中ではエミリコ達がお披露目中でしたが、まさに作品自体も奮闘中だったのです。
しかし、そんな状況でもシャドーハウスは期待されていたようです。お披露目終盤の第41話・42話の掲載号では2週続けてカラー扉でした。これは単行本3巻の発売と連動したプロモーションです。
この時のカラー扉は編集部のツイッターでもあげられていましたので、本記事でも引用させて頂くこととします。こちらの画像です。

(週刊ヤングジャンプ編集部公式・@yung_jump・2019/9/19 00:38)
これは第41話の扉絵です。
黒い手がエミリコにまとわりつくこのイラストは奇妙で、ソウマトウ先生も「注文ガン無視」「ホラー風味」と呟いておられました。
ただ、不思議と恐くないのはケイトがエミリコの手をしっかりと握っているからでしょうか。エミリコのラピスラズリのような瞳にはケイトの姿が映っています。
(ラピスラズリのような…、という表現は以前ツイッターのフォロワーさんが仰っていたのを拝借しました)
ところでこの扉絵。
掲載された頃はどんな場面なのか不明でしたが、今話を読んでようやくその答えが見つかりました。
エミリコが眠りから目を覚ます瞬間を切り取ったかのような描写。
それは3か月後の作品の大ブレイクだけではなく、ケイトとエミリコの物語が始まった、本当のスタートを告げるシーンだったのかも知れません。
連載初期こそは大々的に書店でPRされたものの、作品の質とは裏腹に売上はほとんど伸びていなかったのです。巻を経るに従い購入特典を頒布する書店の撤退が相次ぎ、芳しくない情勢が長く続きました。当時、劇中ではエミリコ達がお披露目中でしたが、まさに作品自体も奮闘中だったのです。
しかし、そんな状況でもシャドーハウスは期待されていたようです。お披露目終盤の第41話・42話の掲載号では2週続けてカラー扉でした。これは単行本3巻の発売と連動したプロモーションです。
この時のカラー扉は編集部のツイッターでもあげられていましたので、本記事でも引用させて頂くこととします。こちらの画像です。

(週刊ヤングジャンプ編集部公式・@yung_jump・2019/9/19 00:38)
これは第41話の扉絵です。
黒い手がエミリコにまとわりつくこのイラストは奇妙で、ソウマトウ先生も「注文ガン無視」「ホラー風味」と呟いておられました。
ただ、不思議と恐くないのはケイトがエミリコの手をしっかりと握っているからでしょうか。エミリコのラピスラズリのような瞳にはケイトの姿が映っています。
(ラピスラズリのような…、という表現は以前ツイッターのフォロワーさんが仰っていたのを拝借しました)
ところでこの扉絵。
掲載された頃はどんな場面なのか不明でしたが、今話を読んでようやくその答えが見つかりました。
エミリコが眠りから目を覚ます瞬間を切り取ったかのような描写。
それは3か月後の作品の大ブレイクだけではなく、ケイトとエミリコの物語が始まった、本当のスタートを告げるシーンだったのかも知れません。
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洞窟の中を進む、ケイトを載せた檻。向かいから走ってきた列車と合流すると、二人の男は檻を貨物車へと積み替えます。
それが終わると、何やら合図を出しました。これより洞窟の外に向けて走り出すようです。ケイトは他のモーフ達と共にそれを眺めていました。
次に列車は、麓のミラーサイドへと走り出します。ホームに着くと、今度はこどもたちを乗せました。
先頭から、ショーン、ルウ、リッキー、ラム。そしてエミリコ。
きっとこの時、既に彼女達は珈琲を飲んだ後でしょう。順序正しく5人が列車へと乗り込むと、汽笛がけたたましく鳴りました。いよいよ館へと出発です。
崖沿いを走り、橋梁を上り、堅牢な門をくぐり、ようやく辿り着いた場所。
そこがシャドーハウスへでした。ケイトも列車が停車したのを感じ、館に着いたことを察します。とうとう、60年前の忌まわしい事件のあった現場に到着です。
ところが、ケイトを乗せた檻は開かれず、列車から降ろされるとそのまま運び出されました。
檻を押しているのは、我々にはなじみ深い“顔の見えない人形”です。どうやら、彼は檻を屋敷のどこかへと運ぶようです。
やがて顔の見えない人形は重々しい扉の前で止まると、檻を横付けしました。そして壁にあるハンドルを回し始めます。
壁にあるハンドルは扉の開閉装置のようで、扉が開くと今度は檻を開けました。モーフを棒で小突く様子を見るからに、檻から出て扉の中に入れということのようです。
枝を持ったモーフを先頭に、モーフと容器の中に混じっていたネズミが部屋へと入っていくと、扉は再び閉ざされました。部屋の中は暗くてほとんど明りがありません。
暗闇に目が慣れてくると、ケイトは部屋の中を歩き始めました。ちょっとした偵察です。
モーフ達が思い思いに立ったり座ったりしている中を、ウロチョロするケイト。
大部屋の中には台が置かれており、狭い通路には仕切りのある空間があります。また、通路を抜けると椅子とテーブルが置かれた小部屋がありました。
しかし何の目的があって、この部屋にモーフを入れたのか意味不明です。ついでにいうと、なぜケイトは黒い布を被ったままなのかも良く分かりませんが、それは置いておきましょう。
なぜなら、この後部屋に「人」がやって来たからです。
ふいに開いた、重い扉。しかし明かりが点くことはなく、部屋には顔を隠した3人の怪しげな人物が入ってきました。
顔の見えない人形です。
しかも彼らは、小脇にこどもを抱えています。そして各台に一人ずつ横たえられた瞬間、ケイトはあることに気が付きました。
その中に、サーカス小屋で出会った少女がいたからです。
サーカス小屋で出会った少女とは、エミリコに他なりません。
湖畔で出会い、サーカス小屋でひと時を過ごし、互いに大切なものを分け与えた者同士…。
そうとくれば、ケイトが驚かないはずがありません。何か尋常ではない事態があったに決まっています。
ところが、この時のケイトは別の人物達に気を取られました。
ソフィとジョゼフです。
第46話では、選別会にドロシーとライアンが出向いているシーンがありましたが、どうやら今回の選別会はソフィとジョゼフが「持ち回り」でミラーサイドへ行ったようです。
(ただ、アニメの描写だとエミリコの選別会にドロシーとライアンがいたので、単にソフィとジョゼフは館内でバトンタッチしただけかも知れません)
しかしケイトが注目したのは二人の「顔」です。
その容姿は、今現在のケイトと同じ真っ黒な姿でした。
自身と同じ存在がいたことに驚くケイト。
この二人に聞けば元に戻る方法が分かるのではないかと、ふらふらと近づいていきました。
ただ、ここは聡明なケイトです。焦ってはならないとすぐにストップしました。
一瞬ソフィが何かに気付いたようですが、彼女の注意はケイトの後ろにいたモーフに逸れたのでセーフです。小枝を持っているあのモーフがケイトを助けてくれました。(結果論だけども)
もっとも、この時かなり危険な状態だったことを、ケイトは大分後になってから知ることとなります。
ソフィとジョゼフが部屋を後にし、再び暗闇に包まれた大部屋。
全然何も見えません。しかも結構な時間が経ったのか、可哀想にケイトは、膝を抱えて空腹に苦しみます。ケイトからすれば、早くここから出たいといったところでしょう。
しかし暫くして室内に動きがありました。エミリコ達が起き上がったのです。エミリコも何が何だか分からないと言った様子で、ここはどこかと疑問を口にします。
ところが、ここからが本番でした。まさに、これから「生き人形」が作られる過程が描かれていきます。
エミリコ達が起きたのを見計らって、ソフィがまた現れました。彼女はエミリコ達に着替えるように言うと、食事の時間だから移動するようにと指示します。
すると、まるで催眠を掛けられたかのように5人は動き始めました。そろぞろとテーブルのあった部屋に向かい、食事を摂り始めます。
おまけに、モーフもそれについていき、同じように食事します。ケイトもそれを見よう見まねでつまみ食いしました。何とか空腹は満たされそうで一安心です。
ただ、普通の食事とは違う点がありました。
食後の「珈琲」、そしてソフィの怪しげな言葉です。
「あなたたちはシャドーハウスで作られた“生き人形”」
「シャドー家のお役に立つために存在している」
そういえば第95話でお披露目を失格した直後のラムは、煤入り珈琲を飲ませられて、似た文句を復唱させられていました。あの時の台詞では“生き人形”の部分が“顔の見えない人形”となっていました。
ということは、今行われているのは“生き人形”を作るための儀式に他なりません。この時間を経て、こどもたちは“生き人形”として洗脳されてしまうのです。第45話のラストシーンの続きと言えましょう。
しかしケイトにそれを知る由はありません。何の意味もないような、同じことを繰り返す日々にだんだんケイトはくたびれ、そして音を上げそうになります。
しまいには、自分の姿を曝け出せばソフィとジョゼフが何とかしてくれんじゃないかとまで思い詰めてしまいました。
ただ、今回もケイトはすんでのところで助かります。
ケイトがソフィに近づこうとした刹那、突然ソフィは部屋の明かりを点けるよう顔の見えない人形に命じました。
ソフィを避けるように端っこに寄るモーフ達の中に、ケイトもそれに混じってソフィを見ます。どうやらソフィは何か見つけたようです。
すると、ソフィは両手で何かをつまみ上げました。
右手にネズミ。
左手にもネズミ。
ただ、左手に握られたネズミは様相が異なっています。真っ黒だからです。ケイトも顔のないネズミを見て疑問顔です。
ところがその瞬間、ソフィは右手に持ったネズミを壁に叩きつけました。
更に、顔の見えない人形に他の生き物が入らないようにと注意すると、左手に持った顔のないネズミを丸飲みにします。
おおよそ貴族とは、それどころか人間とは思えないソフィの一連の所業。
それを見てケイトは震え上がりました。同時に、これまでの疑問が確信に変わります。
「乗っ取られたんだわ!」
母の暮らしていたミラーハウスは、無惨にも得体の知れない輩たちに奪われてしまったのです。
ケイトは俯き、一人で何とかしなければならないと身体を震わせました。
しかしそうしている間にも状況は刻一刻と変わっていきます。
ふと隣を見ると、いびつな人型の物体がケイトの脇に立っていました。
手元を見ると、枝を持っています。
その人型にソフィは気付くと、部屋の外へと連れ出しました。後ろには、ショーンを抱えた顔の見えない人形が続きます。
ここで、ケイトの頭脳がフル回転し始めました。
これまでの幾つものヒントを手掛かりに、この部屋で見てきたことを整理し、何が行われているのか、そしてどうすればこの部屋から出られるのか推理します。
やがて、この部屋ではモーフが連れて来られたこどもたちを模倣し、そしてペアごとに部屋の外に出ていくことにケイトは気が付きました。
ということは、ケイトも子供の中の誰かになりすませばいいわけです。
運良く、それにうってつけの人物が部屋の中に残されていました。
他のモーフを追い払い、ケイトが駆け寄ったとある台。そこには、ケイトと同じくらいの背丈の、そしてほぼ同じ髪の長さの少女が眠っていました。
エミリコです。
これから待ち受ける運命を知らず、眠り続ける一人の少女。
最後のページでは、彼女を見つめるケイトの姿が描かれていました。
果たしてケイトは、この時どんな思いでエミリコを見つめていたのでしょうか?
希望か、はたまた自分の闘いにエミリコを巻き込んでしまっていいのかという、良心の呵責か。
しかしこの一瞬の判断は、結果的に自分の名を取り戻すことに繋がりました
となれば、同時にこの瞬間は、今後長い時間をかけた、本当の自分を取り戻すための第一歩だったのかも知れません。
煽り文の通り、数奇な巡り合わせが少しずつ二人の運命を回し始めました。
洞窟の中を進む、ケイトを載せた檻。向かいから走ってきた列車と合流すると、二人の男は檻を貨物車へと積み替えます。
それが終わると、何やら合図を出しました。これより洞窟の外に向けて走り出すようです。ケイトは他のモーフ達と共にそれを眺めていました。
次に列車は、麓のミラーサイドへと走り出します。ホームに着くと、今度はこどもたちを乗せました。
先頭から、ショーン、ルウ、リッキー、ラム。そしてエミリコ。
きっとこの時、既に彼女達は珈琲を飲んだ後でしょう。順序正しく5人が列車へと乗り込むと、汽笛がけたたましく鳴りました。いよいよ館へと出発です。
崖沿いを走り、橋梁を上り、堅牢な門をくぐり、ようやく辿り着いた場所。
そこがシャドーハウスへでした。ケイトも列車が停車したのを感じ、館に着いたことを察します。とうとう、60年前の忌まわしい事件のあった現場に到着です。
ところが、ケイトを乗せた檻は開かれず、列車から降ろされるとそのまま運び出されました。
檻を押しているのは、我々にはなじみ深い“顔の見えない人形”です。どうやら、彼は檻を屋敷のどこかへと運ぶようです。
やがて顔の見えない人形は重々しい扉の前で止まると、檻を横付けしました。そして壁にあるハンドルを回し始めます。
壁にあるハンドルは扉の開閉装置のようで、扉が開くと今度は檻を開けました。モーフを棒で小突く様子を見るからに、檻から出て扉の中に入れということのようです。
枝を持ったモーフを先頭に、モーフと容器の中に混じっていたネズミが部屋へと入っていくと、扉は再び閉ざされました。部屋の中は暗くてほとんど明りがありません。
暗闇に目が慣れてくると、ケイトは部屋の中を歩き始めました。ちょっとした偵察です。
モーフ達が思い思いに立ったり座ったりしている中を、ウロチョロするケイト。
大部屋の中には台が置かれており、狭い通路には仕切りのある空間があります。また、通路を抜けると椅子とテーブルが置かれた小部屋がありました。
しかし何の目的があって、この部屋にモーフを入れたのか意味不明です。ついでにいうと、なぜケイトは黒い布を被ったままなのかも良く分かりませんが、それは置いておきましょう。
なぜなら、この後部屋に「人」がやって来たからです。
ふいに開いた、重い扉。しかし明かりが点くことはなく、部屋には顔を隠した3人の怪しげな人物が入ってきました。
顔の見えない人形です。
しかも彼らは、小脇にこどもを抱えています。そして各台に一人ずつ横たえられた瞬間、ケイトはあることに気が付きました。
その中に、サーカス小屋で出会った少女がいたからです。
サーカス小屋で出会った少女とは、エミリコに他なりません。
湖畔で出会い、サーカス小屋でひと時を過ごし、互いに大切なものを分け与えた者同士…。
そうとくれば、ケイトが驚かないはずがありません。何か尋常ではない事態があったに決まっています。
ところが、この時のケイトは別の人物達に気を取られました。
ソフィとジョゼフです。
第46話では、選別会にドロシーとライアンが出向いているシーンがありましたが、どうやら今回の選別会はソフィとジョゼフが「持ち回り」でミラーサイドへ行ったようです。
(ただ、アニメの描写だとエミリコの選別会にドロシーとライアンがいたので、単にソフィとジョゼフは館内でバトンタッチしただけかも知れません)
しかしケイトが注目したのは二人の「顔」です。
その容姿は、今現在のケイトと同じ真っ黒な姿でした。
自身と同じ存在がいたことに驚くケイト。
この二人に聞けば元に戻る方法が分かるのではないかと、ふらふらと近づいていきました。
ただ、ここは聡明なケイトです。焦ってはならないとすぐにストップしました。
一瞬ソフィが何かに気付いたようですが、彼女の注意はケイトの後ろにいたモーフに逸れたのでセーフです。小枝を持っているあのモーフがケイトを助けてくれました。(結果論だけども)
もっとも、この時かなり危険な状態だったことを、ケイトは大分後になってから知ることとなります。
ソフィとジョゼフが部屋を後にし、再び暗闇に包まれた大部屋。
全然何も見えません。しかも結構な時間が経ったのか、可哀想にケイトは、膝を抱えて空腹に苦しみます。ケイトからすれば、早くここから出たいといったところでしょう。
しかし暫くして室内に動きがありました。エミリコ達が起き上がったのです。エミリコも何が何だか分からないと言った様子で、ここはどこかと疑問を口にします。
ところが、ここからが本番でした。まさに、これから「生き人形」が作られる過程が描かれていきます。
エミリコ達が起きたのを見計らって、ソフィがまた現れました。彼女はエミリコ達に着替えるように言うと、食事の時間だから移動するようにと指示します。
すると、まるで催眠を掛けられたかのように5人は動き始めました。そろぞろとテーブルのあった部屋に向かい、食事を摂り始めます。
おまけに、モーフもそれについていき、同じように食事します。ケイトもそれを見よう見まねでつまみ食いしました。何とか空腹は満たされそうで一安心です。
ただ、普通の食事とは違う点がありました。
食後の「珈琲」、そしてソフィの怪しげな言葉です。
「あなたたちはシャドーハウスで作られた“生き人形”」
「シャドー家のお役に立つために存在している」
そういえば第95話でお披露目を失格した直後のラムは、煤入り珈琲を飲ませられて、似た文句を復唱させられていました。あの時の台詞では“生き人形”の部分が“顔の見えない人形”となっていました。
ということは、今行われているのは“生き人形”を作るための儀式に他なりません。この時間を経て、こどもたちは“生き人形”として洗脳されてしまうのです。第45話のラストシーンの続きと言えましょう。
しかしケイトにそれを知る由はありません。何の意味もないような、同じことを繰り返す日々にだんだんケイトはくたびれ、そして音を上げそうになります。
しまいには、自分の姿を曝け出せばソフィとジョゼフが何とかしてくれんじゃないかとまで思い詰めてしまいました。
ただ、今回もケイトはすんでのところで助かります。
ケイトがソフィに近づこうとした刹那、突然ソフィは部屋の明かりを点けるよう顔の見えない人形に命じました。
ソフィを避けるように端っこに寄るモーフ達の中に、ケイトもそれに混じってソフィを見ます。どうやらソフィは何か見つけたようです。
すると、ソフィは両手で何かをつまみ上げました。
右手にネズミ。
左手にもネズミ。
ただ、左手に握られたネズミは様相が異なっています。真っ黒だからです。ケイトも顔のないネズミを見て疑問顔です。
ところがその瞬間、ソフィは右手に持ったネズミを壁に叩きつけました。
更に、顔の見えない人形に他の生き物が入らないようにと注意すると、左手に持った顔のないネズミを丸飲みにします。
おおよそ貴族とは、それどころか人間とは思えないソフィの一連の所業。
それを見てケイトは震え上がりました。同時に、これまでの疑問が確信に変わります。
「乗っ取られたんだわ!」
母の暮らしていたミラーハウスは、無惨にも得体の知れない輩たちに奪われてしまったのです。
ケイトは俯き、一人で何とかしなければならないと身体を震わせました。
しかしそうしている間にも状況は刻一刻と変わっていきます。
ふと隣を見ると、いびつな人型の物体がケイトの脇に立っていました。
手元を見ると、枝を持っています。
その人型にソフィは気付くと、部屋の外へと連れ出しました。後ろには、ショーンを抱えた顔の見えない人形が続きます。
ここで、ケイトの頭脳がフル回転し始めました。
これまでの幾つものヒントを手掛かりに、この部屋で見てきたことを整理し、何が行われているのか、そしてどうすればこの部屋から出られるのか推理します。
やがて、この部屋ではモーフが連れて来られたこどもたちを模倣し、そしてペアごとに部屋の外に出ていくことにケイトは気が付きました。
ということは、ケイトも子供の中の誰かになりすませばいいわけです。
運良く、それにうってつけの人物が部屋の中に残されていました。
他のモーフを追い払い、ケイトが駆け寄ったとある台。そこには、ケイトと同じくらいの背丈の、そしてほぼ同じ髪の長さの少女が眠っていました。
エミリコです。
これから待ち受ける運命を知らず、眠り続ける一人の少女。
最後のページでは、彼女を見つめるケイトの姿が描かれていました。
果たしてケイトは、この時どんな思いでエミリコを見つめていたのでしょうか?
希望か、はたまた自分の闘いにエミリコを巻き込んでしまっていいのかという、良心の呵責か。
しかしこの一瞬の判断は、結果的に自分の名を取り戻すことに繋がりました
となれば、同時にこの瞬間は、今後長い時間をかけた、本当の自分を取り戻すための第一歩だったのかも知れません。
煽り文の通り、数奇な巡り合わせが少しずつ二人の運命を回し始めました。
