話題が逸れるのですが、昨日秋葉原の中央通りを歩いておりましたら、ソフマップのシャドーハウスの広告(ジャンプ作品の広告)がなくなっていました。

キャプチャ
以前まであったシャドーハウスのイラスト↑

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昨日の同じ場所(エスカレーター入口の右にありました)↑

単行本が発売される度に「街中でケイトとエミリコの姿が見られるのはここだけ!」と紹介してきたのですが、9巻の秋葉原レポートでは紹介できなくなってしまいました。残念です。

ちなみにこの広告で用いられたのは、第3話の扉絵です。

連載時は「胡乱の日々に、おいでませー」と書かれていました。ニコニコ静画でもまだ見ることができますので、是非ともご覧頂きたい名扉絵の一つです。


さて、今回も前記事の続きです。

第113話を踏まえて第3話を振り返りましょう!
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単行本1巻が発売されていた当時の感想はこちらです。↓
第3話 説明書

第1話と2話の振り返りでは各シーンを抜き出しましたが、第3話ではエピソード全体を眺めながら書いていきます。

なぜかと言いますと、この第3話は読めば読むほど味わいの出る回だからです。私個人の見解としては、シャドーハウスで1位、2位を争うほど好きなお話だったりします。(もう一つは第35話)

ただ、ここでどんなに私が「素晴らしい!」「名エピソードだ!」と言っても伝わらないと思いますので、これよりどんなお話だったのか、そして第113話を踏まえるとどんな見方ができるのかを書いていきましょう。

それではどうぞ!


<第3話>

当時のあらすじ記事でも述べましたが、このお話は「ケイトが寝る」「エミリコの部屋の様子」「ケイトが起きる」「エミリコが掃除を始める」という至ってシンプルなストーリーです。云わば、巷でよく言われていた『作品の展開が遅い』と指摘されたエピソードの一つといえましょう。

現代の漫画作品ですと、大抵は第3話くらいから物語が動き始めるらしいので、その意味ではこのお話も特筆する必要はないと思われがちです。

しかし、私はこのエピソードこそが、ケイトとエミリコの絆が決定的になったストーリーだと思っています。

そのキーとなるのはケイトの「煤」です。


ケイトはこの日、いつもより早い時間に寝たことが台詞から伺えます。「今日はもう寝るわ」と言っていることからそう受け取るのが自然でしょう。

しかしそうすると、なぜケイトが早い時間に寝たのかが気になります。少なくとも万全の状態ではないと考えられるからです。身体が疲れているのか、何か悩み事があって早く休むことにしたのではないでしょうか?

ところが翌朝、早く寝て休んでいたケイトのベッドは、大量の煤で汚れていました。

ケイトは第1話でこう言っています。

「『すす』はね 怒ったり…良くない感情のときに出るの」

ということは、ケイトは一晩中「良くない感情」でいたことが想像できます。理由があって不安でいた可能性が高いのです。

しかしその直後、ケイトの感情は分かりやすい程に変化します。

「私お掃除大好きです! お役に立ちます!!」

エミリコがこう言って、眩しい位の笑顔をケイトに向けたからです。

ケイトの表情がぱっと明るくなりました。ケイトから不安がなくなったことは、煤の出具合からして明白です。

こうして二人の新しい一日が始まりました。


第3話では、上記のようにケイトの内面や二人の絆を読み取ることができます。しかしその様子は明確には描かれていないんですよね。

ではなぜ、こんな風にキャラクターの様子を汲み取ることができるのかと言えば、それは第1話と2話があったからこそです。それぞれのエピソードの設定を踏まえることで、第3話がケイトとエミリコの絆の物語であることが確かに描かれているのです。

このように、はっきりと明示されていない、しかし確実に二人の関係を表現している第3話は、今振り返ってみても傑作だと思います。だからこそ、私はこの第3話が大好きなのです。


そして、ここからが本番です。第113話を踏まえて第3話を読んでみましょう。

まず第1話・2話では、ケイトはエミリコが洗脳から解けつつあると察しているものの、まだ慎重な様子が描写がされています。

例えば、「ケイト・シャドー」と名乗ったり「エネルギー補給」という言い回しを使うなど、ボロを出さない工夫をしています。

しかし同時に、エミリコを気遣うような描写も増えてきました。

つまり当時のケイトは、エミリコとどう接すればいいか距離を測っていたと考えられるのです。


それを鑑みると、第3話でケイトが早く寝たのは、これからエミリコとどう過ごしていこうか考えていたからだと考えられます。そして、いつもより多くの煤が出ていたのは、一晩中悩んでいたからなのではないでしょうか?

ケイトを悩ませたのは、寝る前にエミリコが放った「朝まで会えなくて寂しいです」という発言も理由の一つだったかも知れません。サーカス小屋で会った時の、「また会いたいです」というエミリコの台詞が脳裏によぎった可能性はなくはないからです。

ケイトが、ミラーハウスを取り戻すための第一歩をいつ踏み出そうか迷っていた。

それがあの日の夜と考えると、当時の描写が腑に落ちる気がします。


そして、ケイトの迷いが消える決定的なシーンが翌朝描かれました。

まぶしさ満点のエミリコの笑顔です。

ここでケイトは、とうとう吹っ切れたのではないでしょうか?

記憶は取り戻していないけれども、エミリコが戻ってきた。
何よりも、素敵な笑顔が戻ってきた。

だからこそ、ラストページでケイトの表情も輝いたのだと思います。


第4話以降は、エミリコに字を教えてあげたり、窓に挟まれたエミリコを助けたり、すす取りの間に入ったりと、ケイトから歩み寄るような描写が増えています。

それもこれも、第3話の葛藤を通じてケイトがエミリコを信じはじめたと捉えれば、納得の展開です。


もちろん、ここまで述べてきたことは私の考えすぎで、実際はそんなことはないのかも知れません。

ただ、それでも第3話を読む度に、こんなストーリーがあったって良いじゃないかとも思うのです。

だからこそ、第3話は屈指の名エピソードだと確信しています。