シャドーハウスという館において、大人がこどもたちの前に姿を現すことはほぼありません。

例外は「お披露目」です。それを除けば、星つきがこどもたちの棟の管理人と接触しているくらいです。

ところがそんな中、星つきでも何でもないのに大人と接触しているこどもがいます。

サラです。

流石、期待を一身に受けるシャドーです!


……すいません、少し皮肉でしたね。

ネタバレになりますが、彼女は今現在大人の“手駒”でしかありません。第88話の「甘言」、そして第116話の「初めてのお遣い」では甘い口上に釣られているサラが描かれていました。残念ながら、サラは自身が思っているほど「優秀なシャドー」ではないのです。


しかしそんなサラですが、第127話ではこれまでのような高慢な態度と違い、ごく普通にケイトに接していました。それどころか、今までではありえないような表情さえ見せました。

つまり、彼女の中で大きな心境の変化があったのです。

そこで私は、サラはなぜこれまでの考えを改め、そしてケイトに接近し始めたのかを考えました。

本記事では第127話のラストに焦点を当て、あの時トマスとサラの間にどんな会話があったのかについて語っていきます

それでは127話のネタバレを含みますので、続きよりどうぞ。
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第127話について語る前に、シャドーハウスの勢力図について整理しましょう。

簡単に書くと、概ねこんな感じかと思われます。

●おじい様と共にある棟
<当主>
偉大なるおじい様
<3階>
ジョゼフ、ソフィ、ドロシー、ライアン
<2階>
エドワード派(アイリーン、ジェラルド)
トマス派(大半の大人)
<1階>
エドワード派のルイス以外不明

●こどもたちの棟
<星つき>
バーバラ他3対
<風紀班>
ダグラス班(エドワード派)
<ケイトの同期>
ケイト他3対
<その他>
サラ(エドワード派)

●顔の見えない人形
<ケイトの同期>
シャーリー&ラム
<?>
アンソニー


他にも細かく見ていくと色んな関係性がありますが、キリがないのでこの辺にしておきましょう。時間があれば、ちょっと図でも作って考察しようと思います。(時間があれば!)


それにしても、読者から見ても館内の勢力図は複雑ですね。その上、すす島の中にも大人が散らばっていて権力争いをしているというのですから頭が痛くなってきます。こんな状況で3階を目指そうと奮闘するエドワードって凄いですね。見直しました。

しかも、読者は言わば「神の視点」から物語を読んでいるので登場人物の動きを把握できますが、キャラクターたちはそうもいかないので大変です。こんな場所に自ら入りこんだケイトの根性も相当凄いです。改めてケイトの勇敢さに感嘆しました。


ただ、キャラクター達が全く状況を把握できていないかというとそうではありません。

完全ではないですが、ある程度考える思考さえ持ち合わせていれば、他の棟の状況を推測することは可能です。

実際に、第119話のバーバラ・ダグラス・ケイトは、トマスの突然の出現に疑問を抱き、大人の間で何らかのトラブルが生じているのではないかと感じていました。


ところがそんな異常事態の中、全く状況を呑み込めていないシャドーがいました。

サラです。

吞み込めていないというより、見当違いな受け止め方をしていました。

なんせ、トマスを前にして「年長者も指揮しているなんて流石エドワード様」なんて言っているからです。この時のサラは、完全にエドワードを妄信してしまっていました。



しかし、試しにこの時のサラの心境を想像し、そしてサラになりきって第119話を読んでみたのですが、そうすると不思議なことが起こりました。

なんと、私も第127話のラストと同じような行動に出てしまったのです!

なぜかと言いますと、全てのこどもたちの前ですす能力を披露したトマスの行動は、サラにとって一つの『裏切り』行為だったからです。


思い返せば、第89話でエドワードはサラに対して「大きな才能」「優秀さを買っている」と称賛し、すす能力の秘密を明かしていました。サラからすれば、無能力者にも関わらずエドワードがすす能力を披露してくれたのは、自分が優秀なシャドーだからこそだと理解していたことでしょう。

しかし、エドワードの代わりにこどもたちの棟に来たトマスは、すす能力者・無能力者の区別なくすす能力を全こどもたちの前で使用しました。

となれば、サラとしては納得できないでしょう。第89話でのエドワードの発言は何だったのかという話になります。

そこでサラは、セダンチェアに乗って引き上げるトマスにこう問いかけたのではないでしょうか?


『なぜ優秀でもない者にもすす能力を明かしたのですか?』
『エドワード様はなんと仰っているのですか?』


ただ、サラのこの疑問を聞いたトマスは、何が何やら分からなかったはずです。

というより、むしろトマスは自分の狙いが的確だったことにほくそ笑んだことでしょう。

『エドワードもすす能力者を増やそうとしている』

そんなことを考えていたのではないでしょうか?
(これに関しては、トマスの失脚に焦ったテイラーが、トマスにエドワードから聞いた話を教えた可能性もありそうですが)


となれば、頓珍漢な問いかけをしたサラを冷たくあしらったことは想像に難しくありません。

『なんだ、お前もエドワードの手下か?』
『無能力者はシャドーハウスに必要ない』

こう切り捨てたんじゃないかと思うんですよね。


で、ここから本題です。

先程のトマスの返答を聞いたサラは、すぐさまダグラスに相談したはずです。想定外のことが大人の間で起こっているのですからまずそうするでしょう。サラのことですから『エドワード様が危ない!』みたいなことを言ったとも考えられます。

ですが、それを聞いたダグラスからすれば正反対のことを考えたはずです。

『いや、危ないのは俺(ダグラス)たちのはずだろ?』、と。


すると、第120話以降のこどもたちの棟や、第127話のサラの行動に辻褄が合っていきます。

サラ目線で時系列に並べると、こんな風に私は推測しました。

①エドワードに付いていけば安泰と思いきや、大人の間でトラブルが発生している。
②トマスの行動によって無能力者のサラは処分される可能性が高くなった。
③エドワードの言うことを聞くよりも自分で行動した方が良いと判断したダグラスが「風紀班」を結成。
④そうするとダグラスとサラが組む必要はないので、必然的に二対の距離が離れる。
⑤ダグラスにすす能力を教えて貰うわけにはいかなくなり、結局サラがすす能力を教えて貰う相手は班員(ケイト)しかいなくなる。
⑥でも一向にすす能力が開花しない自分に失望。
⑦そんな自分に何故かケイトが手を差し伸べてくれた。
⑧結果、お風呂に入りながら「私が…間違っていたっていうの?」と自問し、トマスとの会話を思い出す。



最後の「間違っていた」というのは、エドワードを妄信していたサラ自身についてです。

これがサラから見た、現在の状況なのではないでしょうか?



ただ、一つ見落としている点があります。

それはルイスの動向です。

ルイスが何もしていないとすればこの推測は成り立ちますが、もしも彼が何か仕掛けていればまた違った展開もあり得るでしょう。

果たして渡り廊下でサラが問いかけた言葉は何だったのか。

もうすぐ更新される第128話が待ち遠しいです。