「かりそめ」とはまたシャドーハウスらしいサブタイトルだな、と思っていたのですが、此度調べてみたらこの語句を誤解していたことに気が付きました。

「一時しのぎ」とか「その場しのぎ」といった意味の言葉だそうです。

てっきり、「仮の様子」だとか「表装の取り繕い」或いは「偽りの姿」といった意味だと思い込んでいたので、言葉自体は知っていたものの、これまで使う機会がなくて良かったです。恥ずかしながらまだまだ勉強しないといけないことがいっぱいです。


ところが、もっと調べてみると「かりそめ」は「仮様」(かりさま)という言葉が訛った語句らしいです。

そして「仮様」という言葉はそのまま「仮の姿」「仮の様子」といった意味を持っており、それが徐々に変化して「一時しのぎ」「その場しのぎ」という意味合いの語句になったとのことでした。(※諸説あります)


しかし、「かりそめ」はもっと広い意味を持っています。

「さして重要でないこと」「軽々しい」といった意味合いも持つそうです。


こうなるとシャドーハウスらしからぬ言葉ですね。

ケイトとエミリコが暮らすシャドーハウスでは、全ての人物たちの行動が重い意味を持ち、軽い気持ちでいようものなら厳しい現実が待ち構える。そんな場所です。

実際に、ケイトも頭に血が上って突っ走ることは何度もありましたが、それでも目先の利益だけを狙い行動することはありませんでした。それは「みんなを助けたい」という固い決意があったからでしょう。


ところが今回のお話では「みんなを助けたい」という自分の信念を守るため、ケイトは「一時しのぎ」の手段に手を染めてしまいます。

星つきとしての最初の仕事は、かくも残酷なものでした。
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第155話では、バーバラを中心に描かれていましたね。

前半はクリストファーがこどもたちの棟にいた頃の回想。
そして後半(終盤)は目の前に現れたクリストファーとの悲願の再会です。


でもクリストファーはクリストファーでも、瀕死の彼女の手を取ったのは「クリストファー(※アンソニー)」でした。


う~ん、確かにクリストファーの死亡を聞かされたショックで昏睡するバーバラを救うためには、この方法しかないでしょうね……

そもそもバーバラが不向きな性格を鼓舞してでも星つきを続けてきたのは、トマスからクリストファーも期待しているからと伝えられたためです。クリストファーという憧れの存在から寄せられる期待に応え、棟の秩序を守る責務を果たし、そして再会の時には褒めてくれることを信じてバーバラは頑張ってきたわけです。

なのに、その存在がこの世にいないとあればこの事態は当然といえます。

しかも今回、昏睡中のバーバラは過去のことを走馬燈のように思い出しているのですが、冷静に過去の自分を振り返ったことで、クリストファーへの恋心を自覚しています。

無意識だったとはいえ、恋するまで心寄せていた人物がいないと知らされたら失恋どころではありません。まったくエドワードはいらんことしたものですね。


もっとも、この事態を引き起こした原因がバーバラにないかといえば、ほんのちょっとだけはあります。

なぜかと言いますと、周りが悪いのはもちろんですが、そこに付け込まれる隙がありすぎたかなと思うからです。


まず問題がこじれたのが、クリストファーがまだこどもたちの棟にいた頃、マリーローズの提案で珈琲の洗脳を解いたのがマリーローズ組とクリストファー組しかいなかったことです。

マリーローズは当時、クリストファーとも相談した結果、バーバラには洗脳の件は荷が重いから話さないと言っていました。

もうこの時点で、マリーローズからもクリストファーからも頼りないと見做されてしまっているんですよね。

結果的にマリーローズは、アンソニーからクリストファーの自害を告白されても、それをバーバラに伝えることはできませんでした。


さらに、クリストファーがいなくなった後にはトマスに言いくるめられて「駒」になってしまっています。

第152話では自身の煤量が良いように使われていることに気付いている台詞があるものの、結局はトマスが権力を固めるための手駒となってしまっていました。これに関しては、トマスにクリストファーへの恋慕を見抜かれていたのが大きいと思います。

クリストファーへの傾倒がもう少し穏やかであれば、トマスも違う方策を考えたでしょうし、それこそバービーは普通の薬を渡されて、バーバラも星つきに就任せずに済んだ可能性もあります。


そして星つきになったものの、やはり生来の性格は変えられずプレッシャーから自分自身を常に追い込み、心労を蓄積させながらもクリストファーを心の支えにしたことで、憧れの人は心の中でどんどんと大きな存在へと膨れていき、遂にはエドワードの暴露で暴発してしまったのが今回の事態です。

今回、此度ピンチに立たされたバーバラを救うため、ケイトはアンソニーの手を借りて「クリストファーとの再会」を演出させられていますが、厳しい言い方をするとバーバラ自身の性格によって大人から付け込まれ、バービーやケイトなど親しい人たちを振り回してしまっている感が拭えません。

結論として、バーバラの心の弱さが自分の意図とは関係なしに悪い方向へとどんどんと進んでいったのが、今の現状かと思います。いやな結論が出ちゃったなあ……


ただ、ここで敢えてバーバラを弁護しますが、彼女はまだ年端もいかない少女です。

こどもたちの棟の最年長とは言いますが、それにしたって実年齢は16,7歳くらいでしょう。我が国なら未成年であります。

そんな女の子が「煤量」という館での権力争いを招く能力を持ってしまった上、たまたま自分よりも一個上の世代が「最高の世代」で、たまたま同期に姉のような存在がいて、たまたまその姉のような存在が「特別なモーフ」で、たまたま軽いノリで館の秘密(洗脳)を暴いてリーダーと共有したがために憧れの人が自害してしまい、それが原因で姉のような存在が心閉ざしてしまったために暴発し、暴発によって生き人形が怪我したため大人から付け込まれ、リーダーに就任するものの常に「最高の世代」と比べられてうまくいかない……

こんな偶然がいくつも重なったら幾らなんでも心折れるでしょう。やはり、一概にバーバラが悪いとは言えません。ケイトに倣えばシャドーハウスという館こそが間違っているのです。


けれども、バーバラに関して一つになるのが、あまりバービーを気にしていない点でしょうか。

一番最初に煤を暴発させた時は、バービーを怪我させてしまったことを後悔する描写がありましたが、今回は自分を運んでくれたバービーを気遣う様子が見受けられません。

漫画の表現として尺の都合上描かれていないだけかも知れませんし、瀕死の状態で他人の心配をしている場合じゃないとも考えられますが、直後に現れた一体化を装うアンソニー(バーバラ的にはクリストファー)を受け入れているということは、あまりバービーを気にかけていないのかなという気がします。

もっともそれに関しては、シャドーハウスの掟上は生き人形への態度はそれで構わないのですが、もしももっとバービーを信頼して心寄せていれば、今まで述べてきたように大人に付け込まれず、そして周りを振り回すこともなかったのかなと夢想してしまいます。


思えば、それがうまくいったのがパトリックだったのかも知れません。

パトリックも自分の弱さを内心卑下しつつも表向きは強く見せていましたが、リッキーを大切に思い、自分自身と向き合うことで「ソウルメイト」という新しい心の支えを見出していました。

やはりこう見てみると、「星つきと仲良し作戦」でのケイトの割り振りは大正解でしたね。パトリックとバーバラはよく似ています。


しかし、ということはです。

これからのバーバラも、バービーをしっかりと見つめることで現状を克服することもできるのではないでしょうか?

オリバーがオリーと向き合って洗脳から解けたように、『バービーと向き合う』という伸びしろを残しているバーバラならそれができると思いたいところです。


今回のエピソードでは、アンソニー(クリストファー?)とバーバラとのダンスシーンが美しいと話題になっておりましたが、その裏ではバーバラを救うべくケイトがすす能力を使っていました。

何とも悲しいことに、これが初めての星つき三世代の共演です。

残酷な方法でしかバーバラを救うことができないケイトは、無力感から人知れず涙を流していました。心なしか、星つきの勲章は輝くどころか酷くくすんで見えています。


しかし、ケイトとアンソニーが自ら洗脳を解いているように、バーバラも洗脳から解けたとすれば、今のケイトの涙だって無駄にはならないと思うのです。それこそ、前代にも次代にもバーバラは胸を張ることができるでしょう。

だから期待を込めて書きます。

ケイトがバーバラに見せたいと言っていた「勲章が本当に光り輝くところ」

今はまだ絵空事ですが、その決定打はバーバラが洗脳から抜け出すことで結ばれる、バービーとの「絆」がもたらすのではないでしょうか。