やりたいこと、見たいもの、叶えたい夢……。

こういった夢や願いは誰もが持っているかと思いますが、私の目下の願いは

・劇場版シャドーハウス
・黒とギリギリアウトのアニメ化
・ソウマトウ先生の短編集発売

この三つですね。

もっと他にはないのかとツッコミが入りそうですが、でも上記の三つは譲れません。先日、電子書籍サイトのゼブラックが投稿した「黒」の宣伝ツイートが2万いいねを記録していますが、この流れに乗って是非ともメディアミックス化して欲しいものです。(どうせなら今月25日は黒の連載12周年ですから、この勢いのままに発表して欲しい……)


さて、劇場版シャドーハウスについては今まで何回も願望を述べていますので、三つ目の「ソウマトウ先生の短編集発売」について解説していきます。

私がなぜ、先生の短編集を欲しているのか。

それは、「黒」「ギリギリアウト」を除いた先生の過去作は、現状読むのが非常に困難なためです。


例えば、以前の記事(ソウマトウ先生の過去作品のご紹介(ゆるコワガール))でご紹介した「ゆるコワガール」や、リボン掲載の「マジョトキノコ」といった商業誌連載作品は幾つもありますが、残念ながらこれらは掲載期間が短かったため単行本化には至っていません。読もうと思ったら当時の雑誌を探すところから始めねばならず、かなりハードルは高いのです。

ということは、同人誌なら語るまでもありません。今ではどの作品も入手困難です。


でも知れば知るほど、是非とも先生の過去作を読んでみたいのがファン心理であります。

私も「この物語には関係がない」といった数作の同人誌を入手したものの、過去のファンの方がインターネットに上げている作品を見れば見るほど、やっぱり欲しいなあと思ってしまいます。何といってもソウマトウ先生の過去作ですからね。ひょっとしたらシャドーハウスに繋がるちょっとしたヒントもあるかも知れませんし、もう10年くらい早くファンになっていればなあと後悔するばかりです。(でもメルカリとかには手出したくないなあ……)


ところで、断片的ですが過去のソウマトウ先生の同人作を見てみると、可愛らしい絵柄の中に過激な描写が見受けられる作品が結構あるようです。

なお、ここでいう「過激な描写」とはお色気系の意味ではなく、スプラッター的な意味での過激さです。

「黒」でもそういう傾向の描写はあるにはありましたがマイルドに収められていましたし、ギャグ路線の「ギリギリアウト」ではそうした描写は皆無です。

そして、シャドーハウスでもキャラクターの命が脅かされるシーンはあれど、「黒」と同じくややセーブされた描かれ方をしています。恐らくは同人誌と商業誌掲載作品の違いということでしょうか。しかし、それでもシリアスなシーンでは描写から緊迫感が伝わってくるのですからソウマトウ先生の漫画は凄いと感嘆するばかりです。


ところが、そんな一読者の想像を上回る過激な描写が、とうとうソウマトウ先生ご自身の手によって復活しました。

その主役となったのは、アンソニーです。


残虐な手口とは真反対の笑顔を輝かせる「影の主役」

彼の願望や願いは一体何なのか、ますます分からなくなってきました。
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“パニックホラー編”の終焉となった此度の回。

事の顛末を聞き衝撃を受けるケイトとエミリコ、マーガレットを悼むパトリックとピーター、露骨に主人に嫌悪感を催すマギー……。


そんな中登場したのがあの胡散臭い男、アンソニーです。


まさか、と言うべきか。やっぱり、と言うべきか。

でも今までのエピソードを振り返ると、この男ならそれくらいしていてもおかしくないと思わせられますよね。マーガレットの暴走にアンソニーが関わっていたとしても驚きは感じられませんし、巧みにマギーを操るなんて造作もないことだろうと、すとんと納得しました。むしろ、これにてパニックホラー編の経緯の辻褄が合い、合点しました。

例えば、ケイトが不在という彼女に責任を負わせられない状況下で事件を起こしたのも、タイミング的にアンソニーの目論見でしょう。

また、ケイトとルイーズ不在・ジョン入院・犯人(マーガレット)の想い人がパトリック、とケイトの仲間が被害を受けにくい状況だったのもアンソニーの計算通りだったのかも知れません。アンソニーとしてもケイト陣営の戦力を削りたくないという意図があったとすれば、これ以上ない絶好のチャンスだったかと思います。


そして何よりも、煤量の少ないマーガレットがなぜ大量の煤を出したかという謎に説明が付きます。

「恩恵の欠片」

アンソニーの供述によれば、この錠剤のような物体はシャドーの能力を増幅させる作用があるとのことです。唐突に出てきた感のあるアイテムですが、それならマーガレットのすす能力が強力、かつ煤量が膨大だった理由が分かろうものです。

つまり、「すすツタ事件」の真相はアンソニーの壮大な実験の場だったということです。


シャドーの命さえをも顧みない試みを躊躇なく行うとは、まったく恐ろしいばかりです。オリバーが可愛く見えるほどのマッドサイエンティストです。

そういえば第45話でエドワードは重鎮に「シャドーの死をショーに仕立てた」と言っていましたが、それに匹敵する残酷さです。彼も、お披露目をすす能力開花を促す実験場にしたとして偉大なるおじい様から評価されていましたが、アンソニーも似た試みをしたと考えると流石は同期というべきでしょうか。

でも「実験」を平時のこどもたちの棟で行うのは、エドワードよりも先鋭化した行動ですよね。こればかりは管理人のエドワード、落伍者のアンソニー、という対比で眺めてみると面白い図式だなあと感じました。


しかし、それでも理解できないのがラストのシーンです。

言うまでもなく、アンソニーが躊躇なくナイフで切り付け、マギーを亡き者にした場面です。


夢のような光景の中で命を落とした主人マーガレットに比べて、なんと凄惨でしょうか。

せめて苦しまずにと願いたいところですが、彼女の表情を見るからにそれさえも叶わなかったようです。あったのはただただ絶望だけでしょう。

強いて言えば、マギーもマーガレットの暴走に加担した罪があるのが主人との違いかも知れませんが。しかし、それにしてもと思うばかりです。

正直私は、苦しむマーガレットに水を持って来ていたシーンを見た時、マギーも主人の心配をしているんだとホッとしていました。ところが、あの場面で主人を死に至らしめる決定打を打っていたとは暗澹たる気分です。残念でなりません。


しかし、だからといってアンソニーにはそんなことは関係ないでしょう。

直前の会話を見ると、マギーはアンソニーを妄信しているように見えます。マーガレットがパトリックを王子様だと夢想していたように、マギーも“主人の素”として相応しい言行動をしていることが一連のシーンから見て取れます。

結局のところは、嫌悪していた主人と全く同じだったと言っても過言ではありません。

だとしたらアンソニーにはどう映ったか。

恐らくは、彼の口癖である「生徒」に相応しくないと思ったのは間違いないでしょう。ケイトには到底及びません。ルイスもクリストファーに心酔しているといえば心酔していますが、一応彼は「大人」でそれなりの地位にいます。

つまり、もう今回の時点でマギーは利用価値はありません。だからアンソニーはあそこでマギーを消したのです。


ただ、マギーに手をかけた尤もらしい理由を並べてみるものの、疑問は尽きません。

特に私が腑に落ちないのが、第79話でアンソニーが語っていた「目的」です。

あの時ケイトはアンソニーに「貴方の目的は何?」と問われて「一緒のはずだよ」と返していました。普通に受け取るなら、ケイトの掲げる「こどもたちを救いたい」という目的と同じ、と考えるべきかと思います。

なのにアンソニーがマギーに対して行った行為は全くそれと相容れません。一体こんなことをしておいて何が「一緒」というのでしょうか。考えれば考えるほどアンソニーのやりたいことが分からなくなってきました。


しかし、ケイトの掲げる目的をもっと押し広げてみると、何となくアンソニーのしたいことが見えてきた気がします。

第79話公開時にはまだ明かされていませんでしたが、ケイトのそもそもの目的は「ミラーハウスを取り戻す」ことだからです。

とすれば、アンソニーの言う「一緒」の目的とは、シャドーハウスの解放と同時に「館」を手に入れることなのではないでしょうか?

あくまで「こどもたちを救いたい」というのは手段と目標であって、ケイトの根本的な目的はシャドーハウスの支配権の「奪還」です。こう考えるとアンソニーは、支配権の「奪取」を目論んでいると考えても良いかも知れません。

そして、両者に共通するのは「シャドーハウスの解体」という途中の過程です。そこに関してはどうれあれ、共闘せざるを得ない状況が今後出てくる可能性は非常に高いでしょう。


ですが、そうなると懸念されるのは「元凶」である偉大なるおじい様を倒した後のことです。アンソニーと利害が対立した時こそが最大のピンチになるかも知れないからです。

以前に、本ブログのコメント欄にて「マリーローズの『アンソニーの洗脳を解くべきではなかった』という発言はアンソニーが危険人物だから」と仰っていた方がいらっしゃいました。今回のお話を読むと、アンソニーという人物はまさにそういう類の存在かも知れないなと思えてきます。


いよいよ次回からは「お披露目」が始まるようです。

前回の「お披露目」によって「実験の場」という側面を持ち始めてしまったあの儀式で、エドワードは、アンソニーは何を企んでいるのか。

そしてケイトはどう対峙するのか。

ケイトの正念場は長く続きそうです。