計画通りに行動をする。

これができる人も、そうでない人も多くいらっしゃるかと思います。

因みに私は出来ない部類の人間です。本ブログをご覧の方は何となく察してはいたかと存じますが、生来の気質と言いますかどうもスケジュール通りに行動するのが苦手です。それもあってか今もこうして最新話ギリギリに各話感想を書いております。(ホントどうにかならんかね……)


しかし、計画通りに行動できる方からすれば、私のような人間など理解できないといった気持ではないでしょうか。

シャドーハウスで言えばそうですね、エドワードなんかはその典型でしょう。彼はケイト達のお披露目の際に様々な画策を企てていました。試験官という立場を利用し、出世のため計略を張り巡らせていたのです。第36話では「私の完璧な世界に狂いは許さん」とまで言っています。



その第36話のエピソードがアニメで描かれたのは一期第8話です。サブタイトルは「手のひらの上」でした。この回では特殊エンディングとしてBGM「私の完璧な世界」が流れて話題になっていましたね。もう三年も前です。何だか懐かしいです。
(そういえば原画展のご挨拶でソウマトウ先生が触れておられた第35話の「見えないから私は想像したいんです」も第8話に収録されています)(あと福岡会場は一昨日閉幕でしたね。関係者の皆様お疲れ様でした)


ところが、そんなエドワードの謀略はイレギュラーなコンビに阻まれます。

我らが主人公・ケイトとエミリコです。

知略と人望を併せ持つ二人の少女の存在が、お披露目で大番狂わせを呼び、同期達を結束させ、やがてこどもたちの棟をまとめあげるまでになりました。そして今もエドワードの目の敵として、ケイトとエミリコは立ちはだかる壁となっているのです。

逆に、ケイトとエミリコから見れば、エドワードは大人たちを攻略するにあたっての第一関門と言えましょう。その先にいる重鎮達や偉大なるおじい様を倒し、ケイトの目的を達成するためには避けては通れない存在です。


しかし、シャドーハウスはそんな単純な二局面だけの闘いではないことが此度明かされました。

ケイトとエミリコ以上にイレギュラーな存在だった、アンソニー。

彼はエドワードとは比較にならないほど、高い計画性で暗躍していたことをケイトに告白します。

その衝撃的事実は、シャドーハウスという物語が持つ時間軸を大きく広げるものでした。

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さて、どこから話をすればいいでしょうかね。

何と言いますか、あまりの衝撃的事実に頭も心も追いつかず、正直ほとんど整理できていないというのが率直な感想です。

アンソニーに関して、前記事の最後に「一体全体彼の行動原理がどこからきているのか、知りたいような知りたくないようなそんな気分です。」と書きはしましたが、まさかその一端が早速明かされようとは想像だにしませんでした。今も若干放心状態です。

ただ、そんなことしてる場合ではないですね。未だに浮ついた感が否めませんがそろそろ感想を書いてきましょう。


此度の第197話は、アンソニーが“ご褒美”(これまた嫌な言い回しですな)としてケイトにこれまでの物語の裏側を明かしてくれています。

曰く、これまでケイトが試行錯誤しながら進めてきた出来事は、全てアンソニーの計算通りだったというのです。

そのキーとなる「恩恵の欠片」

この怪しい物質をアンソニーは手に入れたことで、モーフの爆発的成長やシャドーの一体化の促進を任意にコントロールすることが出来るようになったと述べています。


振り返れば、第14話と第55話で発生した亡霊事件はマリーローズのすす能力によるものでしたが、マリーローズは第69話にて「能力が突然開花した」と語っています。

また、本編でも描写されていましたがすすツタ事件はマギーが恩恵の欠片をマーガレットに飲ませたことが原因でした。

つまり、こどもたちの棟を脅かしたこの二つの事件はまさにアンソニーの画策によるものだったということです。

加えて、アンソニーはそれに飽き足らず無能力者狩りでも暗躍していました。

ギルバードに匿名の手紙を送りつけ、自身の仕事に疑問を抱かせて星つきを憎むよう仕向けていたと言います。

無能力者狩りを解決したことでケイトの星つき就任が決定的になったことを鑑みれば、ケイトが星つきに至るまでの道筋はアンソニーによって引かれていたも同然となります。


もっと細かく見ていけば、ケイトとエミリコがお披露目に合格したことは彼女達の力あってこそですし、無能力者狩りはトマスのボーンヘッド(こどもたちにすす能力を明かした)、旧星つきの権威失墜・総退陣は「珈琲豆すり替え」が効果的だったわけですから、何が何でもアンソニーの計算通りというわけではないでしょう。

ただ、これまでケイトが進めてきた出来事の要所要所でアンソニーが関わってきたのは紛れもない事実ですし、結果的にケイトの星つき就任という大成果に繋がり、そして前回復活した「クリストファー」がその手柄をかっさらっていったのを見れば、結局アンソニーの意のままに事が進んでしまったと言わざるを得ません。


ことここに至っては、アンソニーの「…思いもよらなかっただろう?自らの意志で選択し解決してきたこれまでの行いが全て僕のシナリオ通りだったなんて」という台詞を前にケイトは沈黙するだけです。

決して長い年月ではありませんが、自分という存在が何なのかを問い、決死の思いでシャドーハウスへと潜入し、エミリコというかけがえのないパートナーとともに仲間を集め、そして「大人たちとの戦いは近い…!!」(第194話)と決意を固め、悲願達成まであと少しというタイミングでの最悪の種明かし。

ケイトの心中察するに余りあります。

しかもケイトを星つきにするだけではなく、その過程で「クリストファー」という存在をこどもたちに印象付けた点も抜かりないです。

自分のやって来た行いがアンソニーの意思に沿っていた上に、それが彼を利する結果となっていたとあればケイトでなくとも意気消沈するのは当然であります。

これには読者という身分ではありますが、読んでいるこちらも見ていて辛くなりました。

前回のラストで少し触れた「クリストファー複製説」の答え合わせが同時に行われ、それが正解だったという事実もアンソニーから語られましたが、そんな重大な情報さえも霞むようなアンソニーの“ご褒美”でした。


しかし。

記事冒頭にて「衝撃的事実」と書きましたが、その「衝撃的事実」とはこれまで書いてきたことではありません。

アンソニーは第197話の前半でさえも消し飛ぶような秘密をケイトに暴露します。


「かつてシャドーハウスがミラーハウスと呼ばれていた頃…」


第106話にて、エミリコと読者に突如明かされた“ミラーハウス”の名。

その単語をアンソニーは突然発したのですから驚愕です。

ケイトはアンソニーが「ミラーハウス」について語り始めたのを聞いて全身を震わせていますが、私も彼の台詞を見て冗談ではなく背筋がゾッとしました。60年前に悲劇に見舞われた一族の名をなぜ彼が知っているのか。頭は混乱するばかりです。


さて、ここで情報を整理してみましょう。

アンソニーは60年前のミラーハウスについてこう語っています。


・凶暴化したモーフの襲撃に遭うまでは彼達は幸せに暮らしていた。
・アルフレッド公という男性が館の長だった。
・彼の夫人はキャサリン。
・二人は散り散りになって逃げた。
・二人が身を隠している間にシャドーハウスは島民を懐柔。
・アルフレッドは数名の仲間と復讐の機を窺っていた。
・そのためアルフレッドは新しい家族を作った。
・願いは次の世代に託された。
・アンソニーはアルフレッドの息子
・=ケイトと異母姉弟


いやいやいや、開いた口が塞がらないとはこういうことを言うんですね。

アンソニーは館について何か重大な秘密を握っているのではないかと予想はしていましたが、それがまさかシャドーハウスという館の始まりに繋がるところまで知っているとは想定の範囲外です。しかもアンソニーはその関係者、しまいにはケイトと血縁関係があるなんて考察不可能です。このブログを「考察ブログ」なんて銘打っているのが何だか恥ずかしくなってきました……


ただ、それでもシャドーハウスを読んでいるとあれやこれやと考えたくなるのも私の気質です。

ですのでとりあえず第197話の詳細は脇に置きつつ、これより性懲りもなく「考察」していこうかと思います。


前々回の「偉大なるおじい様の目的」という記事にて、私は偉大なるおじい様が60年前のミラーハウスの事件の主犯だと結論した上で、おじい様の目的について「目的はない」「子供が虫の成長を観察するが如く、モーフがシャドーへと進化する様子を興味深く見ている」とし、学者か研究者ではなかったかと書きました。近々その点に関してもアンソニーの口から語られるかも知れません。

そして、記事の最後に偉大なるおじい様と関連する人物がいると書きましたが、あの記事を書いた時点で私が考えていたのは以下のことでした。


「偉大なるおじい様が研究者だとしたら、ケイトは実の娘かも知れない(=キャサリンの夫)」


なぜこんな突拍子もないことを思いついたのかと言いますと、まだ解決していない伏線があるからです。

その伏線はケイトの「発明好き」です。

個人語りになりますが、第9話「すす取りの間」のエピソードでケイトがすす取りの間の計器類を見て「…格好いいわ」とエミリコに語り掛けるシーンが私は好きです。何というか、お上品なお嬢様が武骨な機械を格好良いと思う感性が可愛らしいなあと思ったんですよね。そのためこのシーンは強く印象付けられていました。

さらに、ケイトの機械・発明好きな性格が補強されたシーンが後にも語られています。

・研究班の隠れ家にて「もっと見せて欲しいわ」(第60話)
・第113話でシャワーを見て「なにこれすごい技術ね…!」
・第129話でシャーリーの運搬が成功して「ふふ…敵の道具をうまく利用してやったわ!」
・第133話にて「オリバーの研究にワクワクする」

簡単に挙げただけでもこれだけあります。にも関わらず、未だにケイトが機械・発明好きな理由が明かされていないのは不自然ではないでしょうか?

ということで、第9話という最初期のエピソードで語られているケイトの性格の根底にはアッと驚く事実が隠されているのではないかと思い、上記の偉大なるおじい様の目的を基に「偉大なるおじい様=ケイトの父親」と導き出していたのです。

なお、ではなぜエミリーが第107話の回想でケイトの父親に言及していなかったのかと言いますと、恐らくエミリーは「信頼できない語り手」的な存在だったのかなと思います。

この「信頼できない語り手」というのはソウマトウ先生がよく使われる手法なのですが、要するに登場人物に全てを語らせない、というものです。確か「黒」でも主人公のココについてこう仰っていた記憶があります。読者に謎を抱かせて物語に引き込むという、ソウマトウ先生のテクニックの一つと言えましょうか。(すみませんがどこで言及していたか思い出せないので、分かり次第追記します)

よって、こんな考察もあり得るだろうと先々週までは考えていました。


ところが、ここにきて「アルフレッド公」なるミラーハウスの長が明かされたかと思えば、アルフレッドがキャサリンの夫で、かつケイトの実父という重大な事実が判明しました。

加えて、アルフレッド公はその後すす島に潜伏し、他の女性との間にアンソニーが生まれたという過去まで明かされます。

こうなっては上記の私の考察は間違っていたことになりますね。

「偉大なるおじい様=ケイトの父親」

この仮説は没にしたいと思います。


ですがこうなるとケイトのあの発明好きはどこからやって来たのでしょうか? 少なくともエミリー由来ではなさそうですが……

もうこの際、髪色も癖毛の感じも似てるので「アンソニーとオリーは実の兄弟」「オリーとケイトも異母兄妹」「だからケイトも発明好き!」なんていう、破れかぶれな考えさえもが浮かぶ今日この頃です。


此度の第197話では次回煽りに「次号、秘められた過去…。」とありました。

恐らくそこで語られるのは、かつてのミラーハウスやアンソニーの生い立ちといったエピソードでしょう。黒煙の中に佇む「シャドーハウス」という館の始まりが明かされる、その瞬間まであともう少しです。