「お見舞い」といえば、シャドーハウスの作中でもよく描かれていますよね。


……と書こうとしたのですが、読み返したらそれが誤りであることに気がつきました。

なんとお見舞いが描かれたシーンは第58話と第146話しかありません!


作中ではしょっちゅう生き人形が「すす病」に罹っていたり、バーバラが心労で臥せっていたり、ジョンが大怪我をしたりと、何かとキャラクターが療養するエピソードが多いので「お見舞い」が行われるシチュエーションも珍しくないと思い込んでおりました。

ところがよく見てみると、それらは治療の場面だったり、或いは従者の生き人形や救護班による看病だったりと、患者の面倒を看る人物と一緒の場面ばかりなんですよね。

ということで、療養している患者の元へ親しい者が「お見舞い」に行く、というエピソードは厳密にいえば上記の2度しかありません。いやあ、まだまだシャドーハウスの読み込みが足りんなあ、精進せねば……


因みに、思い出せない方向けにどんなエピソードだったのか記述しますと、第58話は第二次亡霊事件で被災したミアをケイトとエミリコがお見舞いに行った回です。

当時のケイトは、星つきから亡霊事件の犯人と疑われていたことから、真犯人を捜すべく動いていました。その捜査の一環として、病床のミアのお見舞いに行ったのです。

あの時のミアといえば、エミリコに悪戯をするお茶目な一面がありましたね。お見舞いに来てくれたのが嬉しかったのか、エミリコのことを抱きしめてはしゃいでいました。

しかしまあ、今見ると切ないですなあ……。

あの時エミリコもとても嬉しそうにしていましたけれど、ケイトも微笑ましいと感じたのか黙ってその様子を眺めているんですよね。アニメでもこのシーンは描かれていましたが、ミアがエミリコを「うりうり~」「ぐりぐり~」みたいに抱きしめている描写がカットされていて悲しかったのを思い出しました。(いやホントにこのシーン好きなので残念で仕方なかった……!)


それともう一つの第146話は、大怪我したジョンをケイトがお見舞いに行った回です。

ギルバードとの戦いで重傷を負い、「救護の間」での療養を余儀なくされたジョン。そんなジョンの元へ、ケイトは花束を携えて様子を見に訪れていました。

当時のジョンはといえば、ケイトが来てくれたことが嬉しくてその優しさに感動していたり、ケイトが持ってきた花を近くで見たいとはしゃいで患部を痛めたりと元気いっぱいでした。

先ほどのミアもそうでしたが、親しい人物がお見舞いに来てくれるというのは何だかんだで嬉しいものなのでしょう。

「お見舞い」というシチュエーションは、何らかの形で病気や怪我を負っている患者がいなければ成り立たないわけですから手放しで喜ぶわけにはいきません。しかしながら、第58話と第146話の「お見舞い」は、殺伐としたストーリーが展開される中で描かれた、ホッとできる貴重なシーンでした。


ところが今回の第211話では、とある人物達が「お見舞い」をしようとしたものの、相手から拒絶されるというエピソードが描かれました。

拒絶されたのは、ジョンとパトリック。

そのお相手は同期のルイーズでした。
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星つきの居住塔の外観と、寂し気に窓辺に佇むルイーズのシーンから始まった第211話。

この冒頭のシーンを見てなんだか少し懐かしくなりました。


何が懐かしいのかと言いますと、シャドーハウスという館は外の世界と隔絶した場所だということを改めて感じたからです。

第9巻の頃からミラーサイドについて明かされたり、最近は新人たちのお披露目でコールマインやシャドーハウスヒルといった地名が登場したり、エドワードやアンソニー絡みで再びコールマインの様子が描かれたりと、物語が進むにつれてすす島の様子が詳細に語られるようになりました。

また、第209話ではエミリコの過去からすす島の外の世界も描写されています。

このように、館の外が謎に包まれていた初期の頃と比べて、シャドーハウスの周辺域も中々に賑やかなのが明かされてきていました。


しかし今回の1ページ目で描かれたのは、寒々しい空と孤独に聳える星つきの居住塔、そして窓辺には何をするというのではなく、ただただ漫然としたかのように外を眺めるルイーズ嬢の姿でした。

ルイーズの傍にはルウもおらず、全く表情はわかりません。また、あれだけ饒舌だった彼女は、今は寡黙な少女であり、何を考えているのか皆目見当もつきません。


外界と隔絶した館と、感情の読み取れないお影様。

それを見て、すべてが謎だった初期の頃を少しだけ重ねてしまいました。


しかし、本編の内容と言えば全然正反対でしたけどね。

ざっくりいうと、

・リッキーのルウへのプロポーズ
・エミリコが好きなことを名探偵ルウに看破されたショーン
・その話聞いて気を揉むリッキーと偶然耳にしてしまったパトリック
・急に現れてルイーズとの面会を果たすステラ
・片やルイーズに拒否されるジョンとパトリック

といったところでしょうか。


ツイッターでの事前告知でソウマトウ先生ご自身が仰っていましたが、今回は本筋とはあまり関係ない話を入れてみたそうです。

どうやら、今このチャンスを逃すと永久に描けなくなるという思いがあり、それが今回の第211話だったそうです。先生の力説が通じた結果、担当者様からOKが出てめでたく日の目を見たということでした。

新担当者様、どうもありがとうございます!


特に、ルイーズが選別会前夜にリッキーに耳打ちした約束(第157話)が判明したのが個人的には嬉しかったですね。

ツイッター(「さて、本エピソード最大の謎」)ではこの件について、ルウの台詞は「結婚しようよ」かなと予想しておりましたが、まさにその通りでした。というか前後の台詞運び、かつリッキーとルウの関係を見ていればこれ以外の台詞は考えられません。

しかもそれが明らかになっただけではなく、リッキーからのプロポーズまで見られたとあればもはや期待以上です。

お披露目の頃の二人を思うと感慨深い、いやそれだけでは名状しがたい感情が胸に去来しました。

12歳。

ルウが言うようにまだ結婚には早いかも知れませんが、作中ではアルフレッドが16歳で結婚していると思しき描写もありますし、真剣な思いに年齢など関係ありません。ぜひとも二人にはこのまま幸せでいて欲しいと願わずにはいられません。


いやあ、それにしてもこれらのエピソードが描かれないままになるなんて我が国の漫画文化の損失です。この目で見ることができて本当に良かったです。

「第206話 葛藤【感想】」でも書きましたが、担当者の違いによるいい意味での変化があったのでしょうかね。

先生も「群像劇なので重要人物以外も書きたい!」と仰っているように、個性豊かなキャラクターが織りなす物語もシャドーハウスの魅力の一つです。週刊連載を続けていく上では様々な制約があるかと存じますが、これからも本筋のストーリーの進行とともに、個々のキャラクターの活躍もますます楽しみになるくらい勢いが増してきました。


今回の記事ではショーンの恋心やジョンとパトリックの「お見舞い」については心苦しいですが省略してしまいました。(時間の都合です、申し訳ないです……)

しかしそうしたエピソードも読んでいて心動かされましたし、何より将来の作中で再び触れられる重要なシーンになる可能性だって今は秘めていると思います。

次回では、またもエヴリン絡みのエピソードが描かれそうなラストでした。

ジョンとパトリックが彼女とどう向き合うのか興味が尽きませんし、その過程で展開される物語の行方がますます楽しみです。