来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

各話感想

第148話 本心【感想】

ここのところ、だいぶ寒くなってきましたね。

先日のことですが、仕事から帰る途中に夜空を見上げると、オリオン座が南天高くに浮かんでおりました。つい此間おとめ座に変わったと思っていたのに、いつの間にか季節を3つ跨いでいたようです。

オリオン座と言えば、個人的に思い出すのが藤井フミヤの「Another Orion」です。

氏の2枚目のオリジナルシングルで、前作の「TRUE LOVE」に続いて大ヒットしました。幼い頃の私はこの歌が一番好きで何度も聞いていたのですが、知らないという方は公式動画が公開されておりますので是非聞いてみて下さい。今の時代でも名曲だと思います。




ところで、シャドーハウスにも「星」という言葉が頻繁に登場しますね。特に、第62話「夜の空」や第105話の「約束の星空」で描かれた夜空のシーンを覚えている方も多いと存じます。

しかし、シャドーハウスにおいて“星”という単語が一番用いられているのは「星つき」で間違いないでしょう。

こどもたちのリーダーの胸に輝く勲章。

「星つき」という称号の意味合いは時代によって異なるとはいえ、彼ら彼女らはこどもたちにとって憧れの存在であることは共通しています。サラやパトリックも、初期の頃はそのことを口にしていました。

その「星つき」という単語が初めて登場したのは第17話でした。今回は、当時の扉絵をご紹介したいと思います。

ヤングジャンプ第17話

やや画像が荒いのはご容赦下さい。

平成31年1月31日に発売されたヤングジャンプの煽り文には、バービーのものと思しき「この『星』こそが お影様を輝かせるのだ」という台詞が載っていました。今更語るまでもないですが、まさにこれまでのバービーの行動を表すのに相応しい言葉です。


しかし、そんな風に主人のために駆けてきたバービーには誰にも言えない葛藤がありました。

今回のエピソードでは彼女の「顔」の下に隠されてきた「本心」が、遂に読者だけでなくケイト達の目の前に晒されることとなります。
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第147話 癒えぬ傷跡【感想】

儚く願うことも憚られる冀望(きぼう)がある―――。

これは、今回の扉絵に書かれていた煽り文です。

扉絵にはバーバラとバービーが描かれていますね。第150話を目前にして、こどもたちの棟のリーダーがとうとう単独主従でカラー扉を飾りました。一対のみの主従がカラー扉となったのは、第100話のシャーリーとラム以来でしょうか。それより前だと、第68話のジョンとショーンまで遡ります。

確か、第68話の時は
「眷属ではないけれど、常にその声が届く距離に、俺は―――。」
なんていう、今のショーンが見たら恥ずかしがるであろう台詞が並んでいました。あ、でも第144話の涙や第145話の絶望的な表情を思うと、この煽り文もショーンの本音かも知れませんね。(絶対ジョンの前では言わないだろうけど)


さて、漫画の煽り文は大抵担当編集者が考えるそうですが、シャドーハウスもサブタイトルと煽り文は担当者の方が考案しているとのことです。(第116話のサブタイトルのみ例外)

これまでもご紹介してきましたが、どのタイトルも煽り文も工夫凝らされていますよね。


エピソードのテーマを表現したもの、読み終えて初めて理解できるもの、故事から取ったもの等々……


お気に入りをそれぞれ一つ上げるとするならば、タイトルは第68話の「破鏡不照」、煽り文は第41話の「覆い隠される、誰何の視線―――。」が好きですね。どちらも普段使わない語句が用いられていることで、謎多きシャドーハウスの世界観がこれでもかと表現されています。

それと、最終ページの柱に書いてある煽り文としては、第24話の「ここでは、口が裂けても言えないけれど―――。」も見逃せません。10巻まで読んだ方ならお判りでしょうが、私も改めて読み返して唸りました。この頃から最新話に至るまでのストーリーが練られていたのでしょう。シャドーハウスの構成には本当に驚かせられますね。


そして、今回の煽り文にも「冀望」なんていう難しい感じが使われています。

調べてみると「冀」は「こいねがう」という意味だそうです。
おおっ!?扉絵のバーバラとバービーにぴったりです!

バーバラは憧れの人物との再会を願い、バービーは主人の願いを叶えようと奮闘しています。

彼女達を一言で、いや一字で表すにこれ以上の言葉はないでしょう。さすがシャドーハウスの担当者です!


ところが、実は先日ソウマトウ先生からツイッターでアナウンスがありました。

なんと担当者の方が最近変わったそうです!
(該当ツイート→気付いたひとは気付いてそうですが)

ツイートにて先生は、勘づいている読者もいると推察しておりますが、恥ずかしながら私は全然気付きませんでした。不覚っ!

しかし裏を返せば、新しい担当者の方もこれまでの歴代担当者と同じく、シャドーハウスを深く理解しサポートして下さる心強いエキスパートということでしょう。これからの煽り文もサブタイトルも楽しみになってきました。


さて、長くなりましたね。本題に入りましょう。

バーバラとバービーの願い。

冒頭の煽り文の如く、未だ思い出すことすら許されない深い傷と共に、それは隠されていました。続きを読む

第146話 告白【感想】

女性の涙は美しいものです。
とりわけ、純粋無垢な少女の涙ほど、人の心を動かすに勝るものはありません。

…と書くと、昨今のご時世何を言っているんだと思われてしまうかも知れませんね。

しかし、そうは言っても長い歴史の中で育まれた人の心緒とは、早々簡単に変わりません。それこそ多くの史実において、また歌や詩や舞台の中でも、女性の涙が人の心を動かす例はいくらだって見つかります。具体的には思い出せなくとも、事実・フィクション問わずそんなエピソードを聞いたことがある方は多いでしょう。


私が女性の涙と聞いて思い出すのは、尾崎豊の「傷つけた人々へ」です。

氏のファーストシングル「十五の夜」はあまりにも有名ですが、そのカップリング曲として収録されていたのが「傷つけた人々へ」でした。

歌詞の内容は、自身のことを不甲斐ないと思い込んだ主人公が恋人への申し訳なさから別れを切り出すものの、恋人が流す涙を見たことで自分の浅はかさと本心に気付いて改心する、という曲です。

文章にすると至ってシンプルですが、もしも楽曲を聞く機会があれば聴いてみて下さい。

聞いた人の数だけ様々な解釈ができる作品です。私は初めて聞いた時、早世した天才の純粋さに驚き、暫く何度も繰り返し聴いていました。


さて、余談になりますが私の祖父のお墓がある霊園には、尾崎氏のお墓があります。(もっともここには納骨されていないそうですが)

下の写真は今年のGWにお墓参りに行った時に撮ったものですが、毎年命日の時期になるとご覧の通りファンの方々が持参したお花が多く手向けられています。(撮影時はお参りしている方がいらっしゃったので写真は遠目&加工しております)

尾崎豊墓所(ブログ用)

さらに余談ですが、亡くなった直後の数年間は命日になるともっと多くの花で溢れておりました。

祖母から有名な歌手のお墓だと聞いてはいましたが、当時の私は「尾崎豊」という存在に興味がなく、ようやく彼のことを知り始めた20代になってからカリスマの墓所だということに気付きました。

無知とは恐ろしいものです。関心がなければ今も気に留めずにいたことでしょう。

最初にそのことを教えてくれた祖母は、令和元年12月にシャドーハウスが大ブレイクした数日後に永眠しました。今は天国で、半世紀前に旅立った祖父と仲睦まじく過ごしているのかな、と孫としては思っています。


ところで、尾崎氏の墓所には遺作のアルバム「放熱への証」の冒頭に書かれていた「生きること。それは日々を告白していくことだろう」という詩句が刻まれています。

この言葉がどのような意図で書かれたのか今となっては知る由はありません。

ただ、生粋のアーティストであった彼にとって、毎日を過ごす中で起こった出来事や感情を言葉にして伝えていくことは、生きることと同義だったのかも知れないなあと、そう捉えています。


しかし、それは彼がアーティストだからこそです。

庶民にとって日々自分の身の周りで起こった全てを言葉にする意味などありませんし、それこそ言語化しない出来事の方が遥かに多いことでしょう。大抵の事象は、言葉にするまでもないものばかりです。


ですが、それは時として必要な言葉さえも心の奥に秘めてしまうことになりかねません。そんな過ちも、悲しいかな現実世界で多く散見されます。

そして、それはシャドーハウスでももちろん例外ではありませんでした。


此度のエピソードでは、「告白」をないがしろにしてしまったが故にすれ違い、そして少女の涙によってようやく誤解が解けた救護班の様子が描かれました。続きを読む

第145話 決闘の代償【感想】

少し前の話題になるのですが、となりのヤングジャンプの開設10周年を記念して、シャドーハウスと黒のコラボ読切が発表されておりました。

まだ読んでいないという方は、となりのヤングジャンプのサイトで公開中ですので是非読んでみて下さい!
→10周年記念10Pショート読切【66】シャドーハウス×黒
(アプリの無料公開は終了してるのに、なぜこちらはまだ公開中なんだろう?)

私はといえば、ヤングジャンプ本誌ではかねてよりシャドーハウスと黒の読切が掲載されると告知されていましたので、発表までの間ずっと期待に胸膨らませておりました。エミリコとココのやり取りがソウマトウ先生の手で、しかもイラストではなく雑誌で拝める日が来るなんて見間違えかと思いましたよ当時は。(ちなみに過去にあったシャドーハウス×黒のイラストはこちら→という訳でコラボイラスト!)

私でさえ心待ちにしていたのですから、シャドーハウスよりも前からソウマトウ先生を応援して下さっている大先輩の方々の感動も一入だったかと存じます。

先生は内輪ネタと仰っていましたが、作品の内容は「黒」の頃から読んでいた方にとって懐かしさと切なさを感じさせるラストだったことでしょう。もしかしたら、10年前から応援している方々へのちょっとした先生からのサプライズだったのかも知れませんね。

なお余談ですが、ギリギリアウトの第10話にはココに似た女の子が一コマだけ登場しています。この少女がココかどうかは定かではないですが、もしもカメオ出演だとしたらココは川谷町とシャドーハウスを訪れたことのある唯一の人物ということになります。ココさん凄い!
(さらに余談すると、イラストでは名取さなさんもシャドーハウスに来たことあるし、ケイトとエミリコはバーチャルサナトリウムに行ったことがあります。)
→シャドーハウス、名取さなちゃんに紹介していただいた
→🎉名取さなちゃんお誕生日おめでとうございます🎉

出版社の垣根を超えることは難しいとは思いますが、いつかエミリコが川谷町へ、あるいはハナがシャドーハウスに来るエピソードも読んでみたいですね。


さて、話が大幅にズレましたが此度のエピソードに話を戻しましょう。

今回なぜ「黒」の話をしたのかと言いますと、実は「黒」の作中でココが風邪をひいた際、クロが触手を用いて彼女の病気を治したシーンがあったのを思い出したからです。

こどもたちの棟No.1美少女のエヴリンが持つすす能力も、それに引けを取らない「第三」の能力でした。



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第144話 譲れないもの【感想】

人間は、複数箇所の痛みを同時に感じることができないそうです。

公的な論文や情報源が見つからないので確証はないのですが、「痛み」「同時」「複数」とインターネットで検索してみると、結構多くのサイトやブログがヒットします。

ぱっと眺めると整体やマッサージ関係の記事が目立ちますね。病気とは言えないまでの身体の不調を診ることも多いでしょうから、ある意味外科や内科よりも「痛み」という分野について整体師の方々は詳しいのかも知れません。余談ですが、私も身体が固くしょっちゅう背中や肩が痛くなるので、今度お世話になろうかと考えています。


ところで、最初に書いた「人間は複数箇所の痛みを同時に感じない」の件ですが、私がこのことを知ったのは手塚治虫の「陽だまりの樹」でした。

「陽だまりの樹」をざっと紹介しますと、幕末を舞台とした下級武士と町医者がダブル主人公の物語です。

武士として頑固なまでに実直な伊武谷万次郎と、近所に住む医師の手塚良仙。

時代に翻弄される二人の人物を、実在する歴史上の大物達や大事件と共に描き切った本作は、まるで大河ドラマのような壮大な漫画です。氏の作品としては知名度は低いものの、晩年の代表作の一つと言えましょう。是非ともお勧めしたい傑作の一つであります。


さて、「痛み」について話を戻しましょう。

「痛みを同時に感じない」

これが描写されていたのは、手塚良仙が伊武谷万次郎を治療するシーンです。

このエピソードで刀傷を負った万次郎が良仙の元を訪れるのですが、痛みに喚き暴れる万次郎を前にして良仙は手当てができずにいました。何せ、当時は日本に蘭学が入って来たばかりでエーテルやクロロホルムといった麻酔はまだ一般的ではなかったからです。

で、そこで良仙が何をしたか。
その答えが冒頭の文です。

なんと、手に持っていたひしゃくで「カーン」と万次郎の頭をひっぱたいたのです!

その際に良仙が言ったのが「人間は同時に別々の場所の痛みを感じない」という旨の台詞でした。

私が「陽だまりの樹」を読んでいたのは中学生の時でしたが、そのことを初めて知った時は驚きました。流石は医師免許を持っていた手塚先生なだけあります。ブラックジャック以外にも、手塚作品には氏の医学知識が発揮された作品が山ほどありますので、もしも読む機会があれば探してみると面白いと思います。


そして、今回のシャドーハウス。

偶然にも、とあるシャドーが「痛み」について言及しています。

そのシャドーとは言うまでもありません。未来のシャドーハウスの王・ジョンです。

ギルバードという圧倒的実力差の相手を前に、なす術なく倒れ込んだジョン。もしもこれが格闘技であったなら、


ジョンは?ジョンはサロンで倒れている!?サロンで倒れている!!ジョンピーンチ!!
(参考:某公営競技の今春のTV実況より)


などという実況が聞こえてきそうなほどの大ピンチです。普段はやかましいジョンが無言でいることで、シリアスさが二倍にも三倍にもなっています。

ところが、絶体絶命の戦況の中でジョンを救ったのは、従者の機転と「痛みを同時に感じない」という人体の摩訶不思議な驚異でした。

ジョンらしい過程を経て、待ちわびたあの必殺技が大炸裂です!続きを読む
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