来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

各話

第9話 すす取りの間

まるで磔にあったかのようなエミリコの姿から始まりますが、もちろん彼女への懲罰ではありません。

以前に少しだけ登場した、すす取りの間のお話です。(第3話参照)

風圧ですすを吹き飛ばす設備ですが、かなり強い風が吹くようです。
食品工場や精密機械工場の入り口にはクリーンルームというエリアがあって、身体に付いた埃などを除去したりしますが、それと同じ類のものでしょう。
(余談ですが、工場だと風圧だけでなく、粘着シートが貼ってあるコロコロで服の汚れを取ったりもします。)

その話をエミリコがケイトに話すと、ケイトは興味を持ったようです。
そもそもなぜそんな話になったのかも気になりますが、恐らくはケイトが、
「そんなにすすで汚れてエミリコの部屋も汚くならないの?」
とか、
「そういえばエミリコが部屋から出て行ったあと大きな音がするけど、あれって何?」
とか質問したのでしょう。

掃除していないから恥ずかしいというエミリコをよそに、そんなのは気にしないから見てみたいと話すケイト。
かなり興味津々なようです。

考えてみれば、一日中部屋の中で本を読むか食事をするか、すすだるまを作る毎日。そんな日常を繰り返すケイトにとって、これは数少ない好奇心を満たすチャンスです。

お気に入りのケープを羽織って、いざすす取りの間に参上です。

エミリコが重い鉄の扉を開け、そして中に入るケイト。
入り口脇の計器類を見て、心なしかテンションが上がっているように見えます。
なんだか可愛いな、ケイト様。
しかも自分もやってみたいとか言い出すし…。

思わずすすのようにケイトも吹き飛んでしまうんじゃないかと妄想を爆発させるエミリコでしたが、幸運(?)にもケイトは無事でした。
しかも「すすで出来てるわけじゃないわよ」とエミリコに的確なツッコミを入れる冷静っぷり。
シャドー家として、余裕な立ち振る舞いは既に一人前なようです。

さて、破れてしまったケープが欲しいと申し出たエミリコですが、その理由が、
“部屋に素敵なものがないので、綺麗な柄だから飾りたい”
というものでした。

それを快く承諾するケイトでしたが、このやり取りからは二人の支えあう関係性が見えて、なんだかほっとします。

足りないものを分かち合える。

シャドー家の掟ではない、毎日の生活を通じて育まれた二人の関係が、また一歩前進した回でした。

第8話 部屋の外には

いよいよ今回は、エミリコが部屋の外へとお勤めに行く回です。

連載中は扉絵に並ぶ生き人形達に心躍らせたものですが、単行本だと前回のエミリコの最後の台詞と連動した絵だということが分かり、絶妙な構成に唸らざるを得ません。

今回からエミリコ以外の生き人形が続々と登場し物語が賑やかになっていきますが、それとともに注目したいのが、屋敷の中の書き込み具合です。

まるで私たち読者も館の中に足を踏み入れたかのような描写は、素晴らしいの一言に尽きます。

さて、前回窓掃除の時に会ったミアという生き人形に導かれて広間を歩くエミリコ。
命綱をつけて掃除する生き人形や男の子の生き人形、何やら物騒なマスクを被った集団等々とすれ違って暫くすると、二人の生き人形がいました。

ローズマリーとルウという生き人形です。

どうやらこの4人で一つの班として行動をするようです。

陽気なミアに、おっとりローズ、無口なルウに、純真エミリコ…。

なかなかいい具合の構成ですね。

今回のお話にも見所がたくさんありますが、かなり長くなりますので割愛させて頂き、また別の日に改めて書きたいと思います。

これからの各生き人形達の活躍が楽しみです。

第7話 別の顔

窓を必死で拭くエミリコ。
あまりに落ちない汚れを見て、ケイトは語り掛けます。

「それ、外側の汚れじゃないかしら?」


直後の表情、「外?」という台詞、窓を開けるケイトに驚く姿…。

この様子だと、エミリコは屋敷の外に全く関心がなかったことが伺えます。

なので外の空気に触れるのは初めてだったのでしょう、興味深そうにきょろきょろするエミリコですが、上を見上げた時、別の生き人形を見つけて思わず胸が高鳴ります。


ちなみにこの場面、私は漫画を描かないので詳しいことは分かりませんが、実際に窓から上を見上げた様子が見事に再現されていてすごいなあと思います。
窓から身を乗り出して上を見ると、本当にああいった構図になるんですよね。
難しいであろう当事者の視界を、よくもここまで描写できるものだと絵心のない私はひたすら敬服してしまいます。

さて、上にいる生き人形に気を取られてか、落ちてきた窓にギロチンの如く挟まれるエミリコ。
慌てているさまを上にいる生き人形に笑われてしまいます。

それでもこんにちはと挨拶するエミリコに、上にいる生き人形も「こんにちは」と挨拶を返してくれました。どうやら優しい性格の生き人形のようです。

挟まったエミリコは結局、ケイトに担ぎ上げられて助け出されるわけですが、別の生き人形と話せて大喜びです。
ああ、本当にこの子は純真だなあ…。

その後、ケイトからそろそろ部屋の外へとお呼びがかかるだろうと言われたエミリコ。
外の世界に思いを馳せているのか、窓際に顎を載せながら屋敷を眺めています。
残念ながら、上の窓にはもうさっきの生き人形の姿は見えません。
エミリコの複雑な心境が見て取れる場面であります。

そんな時に階下の渡り廊下を通る二つの影。
シャドー家とお付きの生き人形です。
ところがさっきの生き人形と違いこちらは不愛想で、エミリコを睨みつけるとそのまま行ってしまいました。

“生き人形も色んなタイプがいるのでしょうか?”

読者と同じ疑問を抱え、次回よりエミリコは、とうとう部屋の外へと足を踏み出します。

第6話 鏡

このお話、是非ともカラーでお読み下さい。

となりのヤングジャンプで見逃したという方は、電子書籍版で第一巻がフルカラーバージョンで好評発売中ですので、購入することをお奨めします。

 

と、なんだか宣伝のようになってしまいましたが、着飾ったエミリコが見られるのは今のところこの第6話だけですので、つい興奮してしまいました。

 

話の内容は、自身の容姿に自信の持てないエミリコが、ケイトの“顔”としての役割を果たせるのか不安だと吐露したのがきっかけです。

 

「私は美しくなれますか…?」

 

おもわずそう呟くエミリコ。

 

ケイトの“顔”として立派に勤めたいと思うが故の発言でしょうが、エミリコの外見も相まって、まるで大人の女性に憧れる幼女のような甘酸っぱい感傷を想起せざるにはいられません。

 

そこでエミリコを着飾ろうとするケイト、「お人形遊びよ」と言ってエミリコの身支度を始めます。
座りなさいと言われたエミリコの姿勢がなんだかぎこちなく、初めて人形らしさが伝わるシーンでもあります。

 

さて、そんなこんなでエミリコに自分の衣装を着せたケイトですが、その姿を見てシャドー家の禁忌の理由について初めて理解したようでした。


 

「人形の方が完全な存在に見えるもの」


 

“顔”である生き人形を必要以上に着飾らせたことにより、そう思い知らされたかに見えたケイト。

 

ところが、それをエミリコは即座に否定します。


この時のエミリコの表情や仕草、台詞は作品中屈指の名場面です。



ケイトへの想い、忠誠、感謝…。



それらをこれでもかというくらい叫ぶエミリコの姿に、ケイトの心も持ち直したようです。

 

最後は結局、要らない一言でケイトを怒らせてしまうエミリコでしたが、普段と違うエミリコの姿が見られる貴重な、必見の一話です。

第5話 空腹

第2話でパンを食べることを覚えたエミリコ。

とうとう隠れ食いまで覚えてしまったようです()。

 

とはいっても、ケイトにはバレバレだったみたいですね。

「盗み見るのは得意よ」と、恐らくはシャドー家で使い回されているであろう鉄板ジョークを繰り出すケイト嬢。

エミリコの一切合切を見抜いていたようです。

 

ケイトの余ったパンを勧められて、「いじきたない生き人形にはなりたくありません」と熱弁振るうエミリコですが、自分の顔がおいしそうにパンを食べるところが見たいというケイトに押されて、とうとうパンを食べることになります。

ケイトの気遣いが見て取れるいい場面です。

それよりもエミリコ、隠れ食いも十分意地汚いと思うぞ…。

 

かくしてケイトのパンを頂戴したエミリコでしたが、どうやら生き人形用のパンとは違っているらしく、「おいしー!!!」とはしゃぎまわります。さっきまで体裁を気にしていたのが嘘のようなはしゃぎっぷりです。

しかも普段自分が食べているパンを食べても「でもおいしい」と語るエミリコ。

まるで“前向き”という感情が人の形をしているかのような姿に、思わず読んでいるこちらも微笑まざるをえません。

今回のお話の売りは、この元気いっぱいのエミリコでしょうね。

食事を運んでくる顔のない人形には話しかけなくても良いと諭すケイトに対し、お礼を言いたいと返すエミリコに至っては、まるで天使を見ているかのようです。

 

さて、この第5話ではこの館の食事事情が見えてきました。

エミリコ達生き人形には顔のない人形からパンが運ばれてきますが、ケイト達シャドー家にも顔のない人形が食事を運んでくるようです。

ただその内容は違っていて、細かいところは見えませんが、パンのほかにフルーツや調味料、何らかのメインディッシュ(魚か?)がテーブルに並べられています。

見切れているもののコップも描写されていることから、飲み物も付いてくるみたいですね。

貴族らしい豪華なメニューです。

1巻巻末には、生き人形の食事としてパン以外のものもあると記載されていますが、それにしても身分に伴う格差が、食事一つとっても見受けられます。

 

これを見ると、食事は顔のない人形が調理しているのでしょうけど、食材はどこから持ってきているのかという疑問がわいてきます。館の敷地内に農園や生簀でもあるのだろうか…

 

う~ん、分からない…。

 

この館、「何か」がある…!


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