こちらの写真に写っているのはセイタカシギという鳥です。六年前に多摩川河口近くで撮影しました。(かなり離れていたのでブレてますがご容赦を!)

六年前というと、丁度シャドーハウスが連載開始した年ですね。

この写真のセイタカシギも羽色から若鳥と思われますが、当時のシャドーハウスも知る人ぞ知る漫画作品でありました。

今ではアニメ3期も期待されるヒット作となったシャドーハウス。このセイタカシギもきっと、今頃は立派に成長して大空を飛んでいるに違いありません。

セイタカシギ

ところでこのセイタカシギ。

上の写真だとごく普通の水鳥に見えますが、彼らが“セイタカ”(背高)と呼ばれる秘密は「水面下」にあります。

ということで、地上にいるセイタカシギの姿をどうぞ!

↓
↓
↓

セイタカシギ2

脚長っ!!

この脚の長さがセイタカシギの大きな特徴です。彼らの生息する干潟は潮の満ち引きによって水深が変わりますが、セイタカシギはこの長い脚のお陰で浅瀬から深いところまで広範囲に動き、効率的に餌をとることが可能となっています。

なお、英名のStilt(スティルト)も「竹馬」の意味だったりします。考えることはみんな変わりませんね……


さて、サブタイトルにも「水面下」とあるわけですが、これの意味は「ものごとの表面に出てこない部分」を指す言葉です。セイタカシギの脚の長さのように、水の下にあるものはなかなか認識することが出来ないのと同じですね。

今回のエピソードでは、まさにそんな「水面下」で蠢く様々な出来事が描かれました。

館で暮らす全ての者たちが、それぞれの思いを胸に動き始めます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


前回、何とか無事にルイーズとルウの奪還に成功したケイト。

ですがこれでほっと一息とはいきません。なぜなら彼女は「星つき」だからです。

奪還作戦が「水面下」だとしたら、表の部分は新人達のお披露目と言えるでしょう。その表に出た部分でもしっかりと仕事をこなさなければいけないのですから大変です。よくぞ奪還作戦も新人全員合格も成功へ導けたものです。流石ケイトとエミリコですね。(新人達に関してはキャンディの力も大きかったですが)(考えてみたら奪還作戦もキャンディ凄い貢献してますね)


でも、ここまで来たらあとひと踏ん張りです。

お披露目と言えば新成人の「お披露目」、そしてその後にあるのはお披露目パーティーです。

前回は新人という立場でステージに上がっていたケイトでありますが、今回は何とこどもたちの棟の代表として登壇しました。新しい時代を強調するケイトの演説は15巻に収録された第167話を彷彿とさせますが、以前の「今は改革の時」という公約を成し遂げたのを思えば説得力はより増していることでしょう。それもあってかお披露目パーティーはすっかり盛り上がり、ステラ達も無事にこどもたちの棟の仲間入りを果たすことができました。


ただ、それはあくまで表向きのことかも知れません。

表には出てこない「水面下」

その様相がここから明らかになっていくからです。


SNSでも多くの方が触れていたように、今回の第194話は膨大な情報量でした。

第44話では一話にまとめられていたお披露目パーティーと謁見が僅か数ページでまとめられ、「お呼ばれ」の失敗をエドワードが目撃し、ケイトが大人との戦いが近いことを察し、最後にはジョゼフがケイトの前に姿を現したかと思えば、ミラーサイドでケイトが埋めてきた鞄を見せびらかし、誰もいない場所で「キャサリン」と意味ありげに呟く。

どれもこれも、これだけで一話を費やしてもおかしくないほどの情報です。まさかここまで多くの描写が詰め込まれるとは予想だにしておりませんでした。一つ一つのコマでさえ見逃せないシーンばかりです。


しかし、その中でも個人的に衝撃的だったのが以下のミアの発言でした。


「館に入るために家族を殺した私には帰る場所なんてどこにもないんだから!!」


この爆弾発言は、ダグがミアを気遣う仕草をした際に発せられたモノローグです。

この時のダグのモノローグを見ると、これまでのダグとミアは同期ということもあり付かず離れずの関係を保っていたそうですが、流石にエドワードに傾倒するミアの主人・サラに懸念を覚えたのでしょう。それもあって忠告しようと近づいたら足を踏まれ、挙句無言で去られたわけです。ダグとしては何が何だか分からなかったことと思います。


それにしても、ミアの家庭環境がすこぶる悪かったのは第128話でも容易に想像できましたが、まさか館に入るために家族を殺さねばならないほどだったとは予想を超えていました。一体全体そうまでもせねばならない環境とはどんなだったのか考えるだけで気が滅入ります。

思い付くのは、両親から虐待を受けていたというのがありそうですが、注意せねばならないのが「親」ではなく「家族を」と言っていることです。

言葉の文面そのままに捉えるなら家族全員を手に掛けたということでしょう。

或いは、「親」ではなく「兄弟(姉妹)」というのも考えられる線です。例えば優秀な兄弟がいたため、ミアは選別会に参加できるチャンスがなかったというのもありそうです。

また、ミアの家が貧しすぎて学校にすら通えなかったために、家族を亡き者にして自ら孤児になり、里親に引き取られたとかも考えられます。それなら里親から折檻されていたことが原因で、館に来てからも躾棒を用いていた可能性も十分考えられます。

さらには、祖父母の介護に追われて学校や選別会どころではなかったといった理由も否定できません。苦しむ祖父母を見て見ぬ振りして放置し続けたとしても、意味合いとしては「家族を殺した」になりますからあり得ない話ではないでしょう。


しかし、思いつくまま書いてみても気分は沈むばかりです。

どうせなら、選別会に受からないのは家族のせいだと思い込んだミアが家族の飲み物(食べ物)に毒を仕込んでから選別会に参加したものの、実は毒だと思っていたのはただの薬で、そのまま選別会に受かったミアは家族が生きていると知らないまま館に行ってしまった……

みたいなストーリーだったら救いがあるのですが、そんな展開ないですかね?

いまいち上手くいかないサラの性格がミアを映し出したものだとしたら、それくらいのうっかりがあってもおかしくないかと思います。せめてそのくらいの救いがあって欲しいと願っています。


それにしても、当初はエミリコにとって最も親しかった存在が殺人鬼だったとは言葉もありません。

今回のエピソードを受けて第7話を読み返していますが、その度にミアが初めて姿を見せた時のワクワク感と言いますか、これからこの物語はどうなっていくんだろうと気持ちが高揚した当時の感情が蘇って複雑な気分になっています。

第7話では渡り廊下でバービーがキッとエミリコを睨むものの、第151話ではすっかりイメージの変わったバービーが同じ場所で微笑む描写がありました。

あのシーンを見た時、第7話に「別の顔」というサブタイトルが付いていた偶然に思わず唸ったものですが、ミアまでもが「別の顔」を隠してたのかも知れないと今更ながらに驚愕しています。

大阪の原画展にはメッセージボードに初代担当者様のコメントも貼ってあり、そこには「自分も知らない情報だらけでした」と書いてありましたが、果たしてどこまでを見越して第7話のサブタイトルを付けたのか。尋ねる機会は恐らくないでしょうけども、そんなことを初代担当者様に聞いてみたくなりました。


複雑といえば、マーガレットとマギーが辿り着いた運命も読んでいて悲しくなりました。

前話の感想記事ではアンソニーが棺に納めた「死体」について複数の考えを述べましたが、あの亡骸はやはりマーガレットとマギーの可能性が高くなったからです。

高くなったというよりはほぼ確定ですね。「生き人形」の亡骸の首元にある傷がその証拠です。アンソニーはケイト達が丁重に葬った彼女達の亡骸を、自身の謀略を果たすために道具として扱ったのです。

マーガレットはやや難のある性格ではあったものの、彼女の考えや境遇には同情できる点もありました。それに、あの年代の少女であればお姫様のような生活を夢見るのはよくあることでしょう。また、人間関係に苦悩する姿を見て個人的にシンパシーを感じていたキャラクターでしたので、その結末がここまで無残であることに心を痛めています。(シンパシーを感じていた理由は「第160話 マーガレット【感想】」で書いています)


もちろん、彼女達が無辜で無謬とは思いません。当然落ち度もあります。

マーガレットは独り善がりな考えで性格を歪め、その果てに「すすツタ事件」を起こしこどもたちの棟を混乱に陥れています。その過程でパトリックまで巻き込み、今に至るまで彼に心の負担を負わせてしまっています。

マギーはアンソニーに騙されたとはいえ、「恩恵の欠片」を主人に飲ませるという致命的な罪を犯しています。

いずれも償いが必要な愚行と言えましょう。


しかし、しかし。

それが命と引き換えになる罪になるとは私には思えません。

繰り返しますがマーガレットもマギーも罪を犯しました。

ですが実験台のように扱われて自身が望まない姿にさせられ、その結果命を落とさざるを得ない罪をマーガレットは犯したでしょうか?

甘い言葉ですり寄って来た男に良いように扱われ、その結果主人を裏切り、果ては理解する間もなく殺害されるような罪をマギーは犯したでしょうか?

二人とも恋心に目が眩んでしまった愚かさはあるものの考慮すべき点はありますし、何よりアンソニーの行動が悲劇の原因だったこと踏まえれば、マーガレットにもマギーにも情状酌量の余地はあると思うのです。

そしてしまいには、亡骸を掘り起こされるという尊厳の欠片もない扱われぶりです。あの棺の亡骸が、「真実の愛」を夢見たマーガレットのものだと思うと気の毒で仕方ありません。


マギーに至ってはもっと悲惨です。

惚れた相手に直接手を下された上、亡骸まで利用されてしまっているからです。

しかも彼女の亡骸を途中まで運んでいたのは同じ班だったラムです。そしてマギーの代わりに延命したのは、第123話でリッキーがバービーに蹴られた時、いち早くリッキーを介抱したルウです。

当時のマギーはルウのことを苦々しく見ていましたが、その少女の代わりになった気持ちは如何なるものか。そして同班だったラムに自らの亡骸を運ばれていたという事実をどう思うのか。

既に命落としているが故にマギーは知る由もありませんが、皮肉という言葉では足りない複雑な感情で胸が押し潰されそうです。一体なぜここまでの仕打ちを受けなくてはならないのか理解できません。


ただ、原因ははっきりしています。

直接的な犯人はアンソニーです。全ては彼の謀略がこの惨禍を引き起こしました。

そしてケイトの言葉を借りれば、「全ての元凶」はシャドーハウスという館であり、そして「偉大なるおじい様」と呼ばれる存在です。

シャドーハウスある限りこうした悲劇は続く一方です。だからこそケイトとエミリコは戦っているのです。


その「元凶」へと至る道筋が、遂に見えようというところまで来ました。

突如ケイトの前に姿を現した大人。

それも3階の重鎮。

しかも重鎮の中で筆頭ともいえる存在感を放つジョゼフ。

そんなシャドーハウスのナンバー2ともいえる彼が意味ありげにケイトに見せたのは、既にお伝えした通り「鞄」です。ケイトがモーフの森で埋めた鞄です。

“キャサリン”という名を知る彼は、確実にミラーハウス時代のことを知る重要人物なのは間違いないでしょう。

ジョゼフはモノクルの先に何を見ているのでしょうか。

少なくともこどもたちの幸せでないことだけは確かです。