来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

各話あらすじ

第117話 勢力図

なんと、またあの男が破格の待遇で登場しました。

作品史上21度目のカラー扉。
これまでのカラー扉は、各エピソードの顔として様々に彩られたシーンが描かれてきました。

しかし数多くのカラー扉において、単独で姿を見せたのは第9話と第36話のエミリコだけです。ケイトでさえ一人だけで登場したことはありません。
(第56話も考えようによってはエミリコ単独)

ところが、主人公のみに許された「聖域」ともいえるその領域に、初めて足を踏み入れる人物が出てきました。


その男とは、ケイトの最大の敵・エドワードです!!


TVアニメでも特殊EDが用意され、ラスボスとして描かれ、そして配信イベントでは同期組以外で唯一出演を果たしたエドワード。

それがとうとう原作でもこの扱いです。本ブログのコメント欄でも度々エドワードのスピンオフを期待する声が上がっていましたが、こうなってくると「影の主人公」と言っても過言ではないと思います。

いやはや、作中から抜け出して現実世界でも出世の階段を上がるとは、彼の欲求は留まることを知りませんね。そのバイタリティには見習うべきものがあります。

一体ここまでくるのにいくら積んだんでしょうね?
(いや、そもそもシャドーハウスに通貨の概念ってあるの…?)


さて、どんな立ち回りをすればこんな風に権力を手にすることができるのか不思議ですが、やはりエドワードには才能があるのでしょう。失敗はするしネタキャラに見られがちですが、何だかんだで頭の切れる男だと思います。
同期と共に館のために腐心する姿を見ていると、単純な悪役とは言い切れない魅力がありますよね。

実際に、作中でも偉大なるおじい様にもそれを認められています。


そして、彼は本エピソードでも見事な立ち回りで館の「勢力図」を書き換えに掛かりました。

単独カラー扉に相応しい「完璧な世界」

今回はエドワードのメイン回です。続きを読む

第116話 初めてのお遣い

「おつかい」と書くと可愛らしいですが、実は元々の意味はもっと堅苦しかったりします。

題名の「お遣い」という字を見れば分かる通り、この言葉は「使者」を表しているからです。

例えば、「遣隋使」「遣唐使」もそうですね。小学生の頃に習って今も覚えている方も多いと思います。


神道では、祭祀の際に天皇から「勅使」という遣いが現地に赴く神社を「勅祭社」と呼び、他の神社とは一線を画す存在です。また、キリスト教では神の遣いのことを「御使い」、すなわち「天使」と呼び神聖視しています。
石清水八幡宮
(上画像は勅祭社の一つ・京都市の石清水八幡宮)

このように、宗教上において「お遣い」は重要な使命を課されています。音だけを聞くと子供のお買い物を連想しますが、そんな生易しいものでは決してないのです。


もっとも、考えてみれば当然ですね。「お遣い」を出す立場といえば、高貴な存在と決まっています。そうでないなら、当該者が直接現地に行けば良いからです。

現実世界でも、大企業の社長が毎回取引先との打ち合わせに出ることはほとんどありません。それと同じです。


さて、そうするとシャドーハウスにおける「お遣い」の意味も分かろうというものです。

劇中でエドワードは「“お遣い”もまた重要な儀式」と語っていました。

ケイトが少しずつ目的を達成する中、エドワード達も順調に“3階”への階段を上っていきます。続きを読む

第115話 エミリコ

第114話をご覧になった方はご存知かと思いますが、前話は“名前”が重要なキーワードでした。ケイトの過去編のサブタイトルを振り返ると、まさにそれが示されていると言えるでしょう。

ということは、過去編を締めくくるにあたってはこれ以外のタイトルはありません。


本作品の主人公、エミリコの名が満を持してサブタイトルに登場しました!


ツイッターでは、この件についてソウマトウ先生が裏話を公開しています。
(→114話と115話のサブタイトル)

今回はソウマトウ先生自身がサブタイトルを名付けたとのことでした。
これまでのサブタイトルは担当者様が付けていたと仰っていましたが、今まで似たことってあったのでしょうかね?

もしないとすれば、今話のサブタイトルは作者自身が初めて付けたものとなります。それが主人公の名前とは何という奇遇でしょうか。ひょっとしたら作品を通じて唯一のケースとなるかも知れません。不思議なものです。


第115話では、ケイトがエミリコのことをどう見ていたのかが明かされました。

これまで秘されてきた、我らが主人公・エミリコの名前。

それはケイトの大切な、そして誰よりも近くでケイトを見守ってきた、とある女性から名付けられました。続きを読む

第114話 あなたの名前は

「パラダイムシフト」という言葉があります。

ある分野において、常識とされていたことが覆される様子を指した語句です。

例えば、科学分野ではアインシュタインの相対性理論、歴史ではフランス革命、戦術史では真珠湾攻撃、技術史では蓄音機の発明などが挙げられます。

言い換えれば「既成概念の崩壊」や「発想の転換」とも言えます。

パラダイムシフトにおいては、その発生前後で生活様式は大きく変化します。それだけではなく、パラダイムシフトを境にして物事の受け止め方も違ってきます。

コペルニクスの唱えた地動説は当時の人々の常識を根底から覆し、それが受け入れられた前と後で西洋の天文学は大きく変化しました。たった一つの発見や思想が、過去において正しいと信じられてきたことを180度転換させるきっかけになったのです。


シャドーハウスでも、似たようなことが劇中で頻発しています。読者が連載中に感じていたことが、ストーリーが進み新事実が発覚するにつれて、実は間違っていたなんてことは珍しくありません。

シャドーハウスの読者にとってみれば、何度も「パラダイムシフト」が発生していると言っても過言ではないでしょう。前記事では第113話までの情報を踏まえて1巻を読み返しましたが、連載当初に我々が見ていたものは、氷山の一角でしかありませんでした。

ちなみにシャドーハウスのストーリーを指して「パラダイムシフト」という言葉を思い付いたのは私の発想ではありません。ツイッターで今話の感想を拝見していた時に見つけたものです。

ただこの言葉を読んだ瞬間、シャドーハウスのストーリーを表すにぴったりな言葉だと膝を打ちました。簡潔に言うならその通りです。


そして今回。その集大成と呼ぶべき光景が描かれました。

第24話で描かれた、ケイトの「すべて話すわ」という独白。

その物語がとうとう結末を迎えました。続きを読む

第113話 一対の条件

個人的な話で申し訳ないですが、私は人の顔を覚えるのが苦手です。

一度会っただけではまず覚えられません。なので、以前会った人とかに街中で出くわしても、スルーすることしばしばです。後日、『あの時あの場所にいましたよね?』みたいなことを言われて初めて知ることは珍しくありません。

なので、ある人の所にどうしても訪ねに行かなければいけない、という時は絶対にその人ではない別の人(性別が違う人とか)に『~さんいらっしゃいますか?』と聞いたり、遠くから大きな声で『~さーん、例のもの持ってきましたー!』と叫ぶなどして、何とかやり過ごしてきました。

まあ、社会人になってからは大人数で過ごすこともなくなったので、最近そういったことで悩むこともなくなりましたけどね。むしろ学生の頃の方が大変だった記憶があります。地図や文章の記憶力よりも人の顔覚えたいと思っていたものですが、いざ大人になってみればなんてことはありませんでした。

それと一つ、得したと思うことがあります。

それは、初対面の時と以後のイメージが違う、と感じることがほぼない点です。

まあ当然ですよね。なぜなら相手の顔を覚えてないのですから。初対面時にどう感じたか、という印象はもちろん覚えていますが、それでもイメージの差に比較的惑わされることがないのは利点かなと思うようになりました。


ただ、それは普通の世界で普通の生活をしている人間だからこんな風に言えるのかも知れません。

例えば、通常考えられない事態に襲われ、存在意義を探すために故郷を捨て、辿り着いた先が異常な場所で、誰にも頼れないという状況下において、もしも安らぎを与えてくれる存在に出会ったとしたら、流石の私でも相手のことを忘れないと思います。

ケイトにとって、ミラーサイドで出会った少女はそんな存在でした。

その少女はケイトの姿を見て避けなかっただけではなく、笑顔で接し、大切な贈り物をしてくれました。シャドーハウスに潜入した後、館に囚われた少女と数奇な再会をしたケイトは、その少女と共に困難を乗り越えようと心寄せていました。


ところが、ケイトの純粋な好意は館の悪意に阻まれます。
少女はもう、ケイトの知っている少女ではなかったからです。

シャドーハウスの本当の恐ろしさを、ケイトと読者は思い知らされることとなりました。続きを読む
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