来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

各話感想

第174話 私たちの秘密【感想】

自分の知らない世界を覗き見るのって何だかワクワクしますよね。

私などは一般庶民ですから、普段見られないような高級旅館とか大きい屋敷に行ったときなどは、可能ならばあちこち回って好奇心満たしてます。(我ながら庶民根性丸出しだなあ……)


しかし現代では、栄華を誇った特権階級の暮らしを間近に見られることは珍しくありません。

例えば、美術館として知られるパリのルーブル宮殿やフェレンツェのピッティ宮殿は、観覧料を払えば誰でも立ち入ることが可能です。

また、今でも宮殿として機能しているものの、バチカンのサンピエトロ寺院やロンドンのバッキンガム宮殿も観光のため開放されています。

それだけではなく、情報化社会の現代では実際に足を踏み入れられなくとも、自らと違う暮らしを知ることは容易です。それこそパソコンやスマートフォンで検索すればそうした情報は山ほど現れます。

サンピエトロ寺院
サンピエトロ寺院2
↑上の写真は10年ほど前に行ったサンピエトロ寺院です。豪華絢爛の極み。


ただ、それはあくまで現実世界の話です。

そうでない世界、つまりシャドーハウスの作中では、一般庶民が貴族の生活を垣間見ることなど不可能です。第110話でとある男性は、シャドーハウスを見学したいと話す少女に対し「それは無理だ領主様だぞ?そうそう会えるはずがない」と返していました。これが普通なのです。


ところが、そうした常識をものともしない、大きな野心を胸に秘めた人物が登場しました。

「面白いじゃないか」

真っ直ぐな視線を向けた少女の瞳の先には、「決して叛意は許されない」あの館がありました。続きを読む

第173話 結束【感想】

「結束」と聞くと仕事柄「結束バンド」を思い浮かべてしまうのですが(ぼっち・ざ・ろっく!の方じゃないですよ!)、もちろんサブタイトルとは関係ありません。

というかそんな便利なもの、そもそもシャドーハウスにないでしょうしね。

結束バンドは1956年に米国で発明されたそうですが、当時から材質はナイロンだったそうです。ということはシャドーハウスの作中にプラスチックはなさそうなので、当然結束バンドもないでしょう。

オリバーとオリーが現実の結束バンドを見たら興奮必至だと思いますが、シャドーハウスで再現するにはナイロンの開発から始めねばなりません。まずは基礎研究からだ!頑張れオリバー&オリー!!


それと余談ですが、海外の感想記事を見ると「今回のエピソードは“THE END”というタイトル通りのストーリーが展開……」と書かれていたので何の事だろうと一晩考えていたのですが、多分これ「結束」と「結末」の見間違いかも知れませんね。

感想記事を書いた方が日本語(漢字)に精通していたからこそのミスかと存じます。日本人でも見間違えそうですし。

ただ当方全く英語分かりませんので、英語ご堪能な方はこんな風にサブタイトルを誤解している海外の読者を見かけましたら「今回は“end”じゃなくて“union”だぜ!」と是非お声掛けしていただければ幸いです。(いや“union”で合ってるのかも分かりませんが)


さて、ではこの辺で本題に入りましょう。

シャドーハウスで度々描かれる「絆」

これはサブタイトルのように「結束」と言い換えることもできるかと思います。ケイトとエミリコは論理的に、そして時には情緒的に他者と向き合い仲間を増やしてきました。そうやって皆々と理解を深めながら信頼関係を築き、遂にはこどもたちの棟のトップに上り詰めたのです。

いけ好かない男の台詞を拝借しますが「君にはリーダーの資質がある!!」としか言いようがありません。

偉大なるおじい様の覇道とは真反対の王道を歩む者、それこそがケイトです。


ですが、今回の173話ではこれまたケイトとは違う、強烈な怒気によってグループをまとめあげる人物が描かれました。

誰もが予想もし得なかった事態。

甘かったのはそのキャラクターの名ではなく、我々読者の認識でした。



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第172話 ひとつめの試験【感想】

長かった8月が終わりましたね。なんと今年の東京は観測史上初めて全日真夏日だったそうです。学生の皆様は夏休みが終わり、厳しい陽射しの下で通学していることと思います。先日、ソウマトウ先生も急病により臥せっていたとアナウンスがありましたが、まだ暑さが残っていますのでくれぐれも体調にはご注意下さい。

反面、社会人は夏休みなどとっくに終わっており、お盆が遠くに感じる方がほとんどではないでしょうか。かく言う私も8月13・14日は何か月振りかの連休でしたが、もう遠い昔です。正直、シャドーハウスの原画展がなかったらモチベーションを保てなかったに違いありません。


さて、立場の違いがあれこそすれ、夏は様々なイベントが目白押しでした。

花火や祭り、海水浴といった古くからある行楽に加えて、最近だとサブカルチャー系の催し物も盛り上がっています。コミックマーケットなんかはもう「伝統行事」に片足を突っ込んでいる感がありますね。横浜で執り行われたポケモンワールドチャンピオンシップでは日本人がゲーム部門三冠を独占したとして話題になっていました。度重なる台風によって残念ながら中止になるイベントも多々ありましたが、やはり夏の思い出は格別な感があります。


また、そうした大人数が集うイベントだけではなく、商業施設や交通機関でも夏休みならではの企画が開催されていました。

毎年夏休みになると、JRの駅々をポケモンのスタンプを求めて子供達が駆け巡る姿はもう珍しくありません。こうした企業主体のささやかなイベントも見ているだけで楽しいものです。

スタンプラリーといえば、シャドーハウスの原画展が行われた西武渋谷店でこんなコーナーを見かけました。

西武渋谷店 世界名作劇場

ネロとアロアとパトラッシュ、そしてラスカル。

言わずと知れた世界名作劇場の人気キャラクターです。西武百貨店(今は名前に「百貨店」と付かないらしいですが紛らわしいのでこう表記します)は今年の夏、世界名作劇場とのコラボで「SUMMER MEMORY~思い出に残す、夏~」という企画をしており、スタンプラリーもそのうちの一つだったそうです。

こうしたイベントを見ると、贅沢ではありますがシャドーハウスでもこんな催しがあったらなあなんて思ってしまいます。以前のアニプレックスステージ(アニメジャパン2022)で、鬼頭さんや酒井さんがファン参加型の「影踏みイベント」がしたいなんて仰っていましたが、様々なイベントが実現するようシャドーハウスをもっと盛り上げていきたいですね。


しかし。

そんな平和でのどかな催し物が、まさか作中で描かれるとは思いもしませんでした。

「お披露目」という弱肉強食の競争の場。

その舞台でエドワードが告げたのは、世界観(人物像?)にそぐわない「スタンプラリー」という言葉でした。



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第171話 キング【感想】

メインキャラクター達を差し置いて、サブタイトルに新顔シャドーの名がお目見えしました。

かつてダグラスが所属していた班の班長・キングです。

これまでサブタイトルに名前が採用されたキャラクターは数名いますが、どの回も傑作と評判の高いエピソードばかりです。記憶に新しいところだと第149話のルイス、第160話のマーガレットが挙げられましょうか。シャドーハウスにおいて、キャラ名副題回に外れはありません!


そんな名だたるキャラたちに早速肩を並べたキング。第167話の初登場から僅か5話での大抜擢です。第1話の「ケイトとエミリコ」を除けば、初登場が第116話、サブタイトル回が第149話のルイスが最短でしたから恐るべき早さですね。

フィンを除くと、キングより後に登場したのは第169話のオスカー・ロロル・ダニー・マチルダの4人だけです。彼らが残り2話でサブタイトルに抜擢されるとは思えないので、今後新キャラクターが現れない限りキングのこの記録は当分破られないでしょう。なんとも珍しい記録が生まれました。


しかし、あくまでこれは作品の外の話であって作中とは関係ありません。キングが活躍するかどうかはソウマトウ先生の胸三寸、そしてキング自身の頑張りにかかっているのですから。

その結果については、お読みになった方はもうご存じでしょう。

彼の人となりがよく分かる回ではありましたが、残念ながら「活躍」と呼べる働きはできませんでした。


サブタイトル回。


栄光が約束されたエピソードの活躍を手にしたのは、文字通り「星」を胸に付けた三対のスターです。

ケイトとエヴリン、そしてダグラスが素晴らしいチームワークを見せました。続きを読む

第170話 舞台裏【感想】

ここのところ暑い日が続いていますね。

先週は関東甲信越と東北地方で梅雨が明け、全国に夏が到来しました。きっと今年も、例年と同じく40℃に迫る猛暑日が続くことでしょう。熱中症には注意したいですね。


ところで、温度を表す「あつい」という言葉には「暑い」と「熱い」の二通りの漢字があります。

この使い分けについて、「暑い」は空気中の高温、「熱い」は物体の高温を示すと思っていたのですが、詳細を調べるとどうやら違うそうです。

厳密に言うと「暑い」は気温のみを指し、太陽光や蒸気や湿気といったものの温度は「熱い」と書くのが正しいからだそうです。こうなるともう、違いは文脈や場の状況から判断するしかなさそうですね。一つ勉強になりました。


さて。

なぜこんな初等教育の話をし始めたのかと言いますと、第170話のあるシーンでケイトが「熱っつ…」と呟き手で顔をシーンがあったからです。

この場面を見た時、一瞬「暑い」の間違いではないかと思ったのですが、思い込みは良くないと調べたらそんなことはありませんでした。この時のケイトの周りでは「顔の見えない人形」がせわしなく働き、室内には蒸気や煙が充満していたからです。

恐らくケイトはそれについてぼやいていたのでしょう。こんなちっぽけな言い回しでも、あの時のケイトの気分が良く伝わってきました。


それでは、前置きはここまでにして本題に移りましょう。

ケイトが思わず「熱い」と零すほどの室内。これほどまでに「顔の見えない人形」が動いているのは、彼ら彼女らが大量の食材を調理し運んでいるからです。

その数、ほぼ50人前。

こどもたちの棟の夕食は一同に会して摂るのが普通らしいですが(第61話と第126話参照)、今回描かれたのはそれとは違います。

ケイトが陣頭指揮を執って準備しているのは、お披露目合格後のパーティーです。

あのパーティーについては第44話で描かれていますね。シャドーハウスの主人公交代劇が鮮やかに繰り広げられた名エピソードです。この回を以て、物語の主軸はエミリコからケイトへと移りました。(そしてまた戻ったり戻らなかったり)


しかし、主人公たるケイトですが作中では違います。「新・お披露目」では新人五対が主役に決まっているからです。エドワード風に言えば、主演は新人五対で、演出はエドワードといったところでしょうか。観覧者はもちろん偉大なるおじい様と重鎮達です。

そんな「舞台」の「裏方」となったケイト。

今回の第170話では、あの華やかなパーティーの「舞台裏」が描かれました。続きを読む
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