来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

各話感想

第144話 譲れないもの【感想】

人間は、複数箇所の痛みを同時に感じることができないそうです。

公的な論文や情報源が見つからないので確証はないのですが、「痛み」「同時」「複数」とインターネットで検索してみると、結構多くのサイトやブログがヒットします。

ぱっと眺めると整体やマッサージ関係の記事が目立ちますね。病気とは言えないまでの身体の不調を診ることも多いでしょうから、ある意味外科や内科よりも「痛み」という分野について整体師の方々は詳しいのかも知れません。余談ですが、私も身体が固くしょっちゅう背中や肩が痛くなるので、今度お世話になろうかと考えています。


ところで、最初に書いた「人間は複数箇所の痛みを同時に感じない」の件ですが、私がこのことを知ったのは手塚治虫の「陽だまりの樹」でした。

「陽だまりの樹」をざっと紹介しますと、幕末を舞台とした下級武士と町医者がダブル主人公の物語です。

武士として頑固なまでに実直な伊武谷万次郎と、近所に住む医師の手塚良仙。

時代に翻弄される二人の人物を、実在する歴史上の大物達や大事件と共に描き切った本作は、まるで大河ドラマのような壮大な漫画です。氏の作品としては知名度は低いものの、晩年の代表作の一つと言えましょう。是非ともお勧めしたい傑作の一つであります。


さて、「痛み」について話を戻しましょう。

「痛みを同時に感じない」

これが描写されていたのは、手塚良仙が伊武谷万次郎を治療するシーンです。

このエピソードで刀傷を負った万次郎が良仙の元を訪れるのですが、痛みに喚き暴れる万次郎を前にして良仙は手当てができずにいました。何せ、当時は日本に蘭学が入って来たばかりでエーテルやクロロホルムといった麻酔はまだ一般的ではなかったからです。

で、そこで良仙が何をしたか。
その答えが冒頭の文です。

なんと、手に持っていたひしゃくで「カーン」と万次郎の頭をひっぱたいたのです!

その際に良仙が言ったのが「人間は同時に別々の場所の痛みを感じない」という旨の台詞でした。

私が「陽だまりの樹」を読んでいたのは中学生の時でしたが、そのことを初めて知った時は驚きました。流石は医師免許を持っていた手塚先生なだけあります。ブラックジャック以外にも、手塚作品には氏の医学知識が発揮された作品が山ほどありますので、もしも読む機会があれば探してみると面白いと思います。


そして、今回のシャドーハウス。

偶然にも、とあるシャドーが「痛み」について言及しています。

そのシャドーとは言うまでもありません。未来のシャドーハウスの王・ジョンです。

ギルバードという圧倒的実力差の相手を前に、なす術なく倒れ込んだジョン。もしもこれが格闘技であったなら、


ジョンは?ジョンはサロンで倒れている!?サロンで倒れている!!ジョンピーンチ!!
(参考:某公営競技の今春のTV実況より)


などという実況が聞こえてきそうなほどの大ピンチです。普段はやかましいジョンが無言でいることで、シリアスさが二倍にも三倍にもなっています。

ところが、絶体絶命の戦況の中でジョンを救ったのは、従者の機転と「痛みを同時に感じない」という人体の摩訶不思議な驚異でした。

ジョンらしい過程を経て、待ちわびたあの必殺技が大炸裂です!続きを読む

第143話 実力差

今月8日、英連邦君主・エリザベス女王陛下がお亡くなりになりました。

英国史上最長の70年に亘る在位。大英帝国の崩壊から新時代への変遷という困難な時代の舵取りをしながら連邦各国の君主として君臨する責務は、私のような庶民には想像も及ばない大変な人生だったかと拝察致します。
今はただ、夫のエディンバラ公とともに安らかな眠りにつかれますようお祈り申し上げます。


訃報を聞き、翌々日に半蔵門の英国大使館へ献花しに行ってまいりました。

個人的に英国に親しみを持っていたこと、10年前に行ったロンドンでの思い出が良いものばかりだったこと、そして今も悲しみにあるであろう英国民に少しでも寄り添えられればという思いで現地に赴きましたが、実際に花を手向けてみると思いのほか自身も悲しみにあることを自覚して少し驚きました。他国民に対してもこのような感情を抱かせるとは、女王陛下の存在感の大きさにただただ敬服するばかりです。
英国大使館献花

献花を終えて帰ろうとすると、二人の幼いお子さんを連れたお父様が私の後にやって来ました。

神妙な面持ちで花を手向ける父親と、すぐ脇で「女王様亡くなっちゃったねー」と呟くお嬢さん、それに構わず門の周りで歩き回る小さい男の子……。

彼らを見ながら、お父さんはどんな思いでお子さんを連れてきたのか、少女と少年は将来、この日をどんな風に振り返るのだろうかと感じながら帰路に着きました。

子供達が大人になる頃は、偉大な女王でさえも朧げな記憶にしか残っていないかも知れません。

そう考えると否応なしに時代は動いているんだなあと、当たり前のことを改めて思いました。


さて、話をシャドーハウスに切り替えると、何の因果か奇しくも「エリザベス」というキャラクターの登場が最近増えていますね。

言うまでもなく、こどもたちの棟のメンバー・エリザベスのことです。

生き人形のリズと行動を共にする彼女は、現在9班の班長です。ケイトと同じタイミングで昇格しました。つまり、ある意味班長としての同期ですね。

そんな彼女は紆余曲折あってケイトと歩調を合わせることになったわけですが、登場する機会が増えるだけではなく、今後はさらなる掘り下げも期待したいところであります。


では前置きはこの辺にして、感想にまいりましょう。

続きよりどうぞ。

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第142話 学びの成果【感想】

さあ、今週のシャドーハウスはなんと巻頭カラーです!

カラー扉は年に何回かありますが、巻頭カラーとなると2018年の新連載時と2020年10月のアニメ発表時の2回だけでした。

ということは、今回は2年ぶりの巻頭カラーとなるわけですね。どうせならアニメ2期放映後に劇場版が発表されて、2年後の2024年には映画公開と同時に4回目の巻頭カラーを飾って欲しいところです。

さあこい、劇場版シャドーハウス!


まだ見ぬ願望(私欲?)は置いておきまして、第142話の扉絵は背中合わせのケイト組とジョン組が描かれています。エミリコとショーンは主人の「顔」でいるところでしょうか?ポートレイトを着ているのできっとそうでしょうね。ショーンの表情がなかなかレア!

しかし描かれているのはこの二組だけではありません。

後ろをよく見てみると、時計回りにルイーズ組・シャーリー組・パトリック組、そしてオリバー組もいます。

これはケイトの今の味方です。似たようなイラストとして単行本4巻の表紙と第56話の扉絵がありますが、あの時背景に描かれていた人物達は敵か味方か判然としない者ばかりでした。それを思うと、今回の扉絵はなんと明るいことでしょうか!

エミリコの言葉を借りれば、これこそが仲良しリレーの成果です。当初は一人ぼっちだったケイトですが今ではこんなに仲間ができました。

ただ、それでもまだまだ先は長いです。こどもたちの棟だけでもたくさんのシャドーと生き人形がいますし、大人達との対決に至っては遥か遠くです。この扉絵にもっと多くの仲間が増えた時こそが、ケイトが本格的な反抗を始める時なのでしょう。それまでケイトにはぜひ頑張って欲しいです。


ところが、現状そのこどもたちの棟をまとめるだけでも相当難儀です。同期でさえ味方につけるのに苦労したのですから当然と言えましょう。

そして、やはりこどもたちの中にも敵対せざるをえない相手が現れました。

今回のエピソードでは、ケイトの絶対的味方・ジョンと、棟のエリート・ギルバートの決闘の火ぶたが切られました!!

(アニメ9話までのネタバレもやや含みますのでご注意下さい。)続きを読む

第141話 犯行動機【感想】

普段から、世のため人のために粛々と業務に携わる医療従事者の方々には頭が上がりません。

それはここ数年の出来事だけではなく、どの時代においても医療とは高度な知見と技術を以って社会に貢献しているのですから当然と言えましょう。

中には、その道から外れた例も散見されることから手放しで称賛するつもりはありませんが、大半の関係者の方々は自らの使命を果たさんと、常に誠実に職務を遂行しています。いつもありがとうございます。


さて、弊ツイッターのアカウントを覗いている方はご存知かと思いますが、実は私管理人は今月上旬に流行り病で二週間ほど休養しておりました。

休養と言っても体調が優れなかったのは最初の数日間だけで、後半はほぼ健康体でしたけどもね。

しかし、検査のために10年ぶりくらいに病院に行ったのですが(コンタクトの検診を除いて)、市内のどの病院も空いていないのを目の当たりにして驚きました。頭で想像していた以上に、流行り病の影響がこうまで深刻に及んでいることを初めて肌で感じました。これまでほとんど健康体だった自分の身体に感謝するとともに、改めてこのような情勢の中で「私」を押し殺して「公」のために尽力する方々にも感謝致します。


ところで、「医療」とは人の健康や体の診察・治療等の行為を指す語彙ですが、医療従事者の仕事とはそれだけではなく、残念ながら手を尽くしても救えない命に直面することも多々あるかと存じます。

私自身、時には命を奪わざるを得ない判断をしなければいけない仕事をしていますが、直接人間の生死に触れる医療従事者の心労は私の仕事の比ではないでしょう。それを思う時「医は仁術なり」とは言いますけれども、なんと過酷な世界なのだろうと感じます。だからこそ、普段から本記事の冒頭の感を抱いております。


さて、ところでシャドーハウスにも医療従事者が描かれていますね。

こどもたちの棟の特別班・救護班です。

その棟での発言力と権限は大きく、ケイトの言葉を借りるなら「エリート」です。現実社会でもこの辺は同じですね。こどもたちの招集の呼びかけをしたり、大広間での整列の際に最前列に並ぶなど、救護班員の活動は詳細に描かれてはこなかったものの、重要な役職であることはこれまでの描写からも明らかです。次期星つき候補とみて間違いはないでしょう。


しかし、「慈善活動」を目的とした救護班ですが、現実の医療従事者と同じくその仕事は実に過酷でした。いや、この過酷さは救護班というよりは、棟の実力者として担わざるをえなかった責務がもたらした悲劇です。人を救いたいと志していたはずなのに、いつの間にか真逆の「死神」呼ばわりされた彼の胸中を思うと言葉もありません。


では各話感想にまいりましょう。

今回のお話は、こどもたちの棟屈指の実力者・ギルバートの胸の内が明かされました。
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第140話 計画の穴【感想】

いつもながら記事更新遅くなり申し訳ありません!

此度は流行病で臥せっておりまして、何の事前挨拶もないままお待たせしてしまいました。ああ、せっかくのアニメ放映期間中なのになんて勿体ない!我ながら相変わらず間が悪いなあ…。(昨日アニメ5話見たばかりで6話はまだ見てません。1期から録画していたのに直近2話はその気力すらなかったです。)

しかし私が床に臥せっていようが、世間がお盆を迎えていようが、政界で内閣改造があろうが、お構いなしにケイトの闘いは続いています。

それは漫画然り、アニメも然りです。


ということで、今回も最新話公開が近いので早速参りましょう。

第140話は、名探偵ケイトの推理が炸裂です!続きを読む
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