来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

各話感想

第167話 風紀班【感想】

いやあ、とうとうシャドーハウスの原画展が開催決定しましたね!

前記事を引きずるようですが、未だにこの喜びの余韻が抜けません。私はというと、先日から始まった事前予約で早速チケットを入手しました。

勝手な想像になりますが、原画展では名シーンの数々や、本来あればお目にかかれなかったお蔵入り原稿なども拝めるのではないかと予想しています。そうした資料の中には、連載では見ることのできなかったキャラクターの違う側面に触れることもあるかも知れません。早く8月がこないかなあと待ち遠しい限りです。


さて、先程『キャラクターの違う側面』と書きましたが、シャドーハウスでは物語が進めば進むほど、キャラクターの新たな一面が見えることが多いですよね。

ややネタバレになりますが、例えば最初期のミアはエミリコの良きお姉さんでしたが、今では主人のサラと共にケイトとエミリコに歪んだ感情を向けています。

対してパトリックは、登場当初は不遜で尊大な性格と思われていましたが、実は他者を思いやることのできる高潔な少年でした。

このように、読めば読むほどキャラクターの個性に深みが出る作品。それがシャドーハウスなのです。

ストーリーや設定の凄味もさることながら、こうしたキャラクターの掘り下げがあるからこそ、多くの読者がシャドーハウスに夢中になっているのではないでしょうか。いえ、絶対そうに決まっています!


今回のエピソードでも、とあるキャラクターの知られざる側面が明かされました。

第1班班長・ダグラス。

彼は過去にケイトやイザベル、ミラベルを揶揄したことがあり、とかく相手を貶める行動や言動が多いです。特に生き人形のダグの方は登場人物紹介で「利己的」「性格が悪い」と書かれています。ということは、その影響を受けているダグラスも同じようなものでしょう。ケイトは彼について「嫌い」と述べていました。(第59話)


ところが、ダグラスにも彼なりの事情があったことが此度判明します。そして彼の魅力である1班の結束力、彼の特徴であるあの髪型は、過去に起こった悲劇が大きく関わっていました。

その事情を知った後となっては、ダグラスの見方が変わることは間違いありません。

彼もまた、シャドーハウスという館でもがく一人の少年でした。続きを読む

第166話 手段と目的【感想】

「高貴さと愛くるしさの同居だ」

こんな台詞が出てきたのは、お披露目真っ最中の第32話の時でした。

発言の主はジョン。そしてこの台詞が指しているのは、彼が愛してやまないケイトのことです。

当時はジョンの一途な思いに微笑ましさが感じられたシーンでありますが、今見てみても実に絶妙な表現ですよね。直前に「ガーッ バン ドカンだよ」なんていう語彙力皆無の台詞を放っていた人物の発言とは到底思えません。

なぜこの語彙力が普段の発言に活かせないのか……。


まあそれについては、ケイト関連になるとジョンの知能が倍増すると仮定しておきます。なにせエミリコのことを見ながら「ケイトの顔としては少し幼さが気になる」なんてかなり鋭い発言もしていますからね。

この発言についてはネタバレになるので詳しくは触れませんが、とにかくケイトが関わった時のジョンの凄まじさと言ったらありません。それは第144話のVSギルバード戦でも遺憾なく発揮されていました。


さて、最初のジョンの発言に戻りますが、このケイト評は彼女の魅力を端的に示していますよね。

高貴さは普段の振る舞いから明らかですし、そうかと思えば煤だるまを作るなんていう可愛らしい一面もあります。第80話でちゃっかりエプロンを着て部屋掃除を手伝う姿もキュートでした。


ただ、ジョンに異を唱えるわけではありませんが、ケイトには他にも魅力があると思います。

例えばそうですね、作中に随所に見受けられる勇ましい姿もそうでしょうか。第50話でスザンナのすす能力を見破ったエピソードや、第57話で星つきに啖呵を切ったシーン、第67話でローブ様を論破した推理劇はとても格好良かったです。

「いつも行き当たりばっかり」「感情的だし…本当に嫌になるわ」、なんて本人は言っていますがとんでもないです。その激烈さもケイトの魅力でしょう。

時には高貴に、時には可愛らしく、時には凛々しく、時には勇ましい。

それがケイトという少女なのです。


ところで、ケイトは星つきに啖呵を切ったシーンでテーブルを勢い良く叩いていました。アニメでも溜めに溜めて描かれていたため、印象に残っているという方も多いでしょう。ケイトの勇ましさを象徴するシーンです。

そこでケイトって机とか叩くシーンって多いよなと思って調べてみたのですが、意外や意外。


・エミリコに怒ってテーブル叩く(第15話)
・星つきに啖呵を切る(第57話)
・水路で星つきに思い出し怒りして水面を叩く(第73話)
・「シャドーの教え」を読みながら床を踏み叩く(第113話)


これだけしかありませんでした。

パトリックやローブ様やギルバードと論戦交わしている時も、議論が激しいだけで実はそこまで手を出しているわけではありません。イメージとは違ってそこまで気が短いわけではないようです。勝手に変なイメージを抱いてごめんなさいケイト嬢……。


しかし、逆に言えばケイトがこうした行動をとる時は怒り心頭と見て間違いないでしょう。煤だけではなく、彼女の怒りのバロメーターを測る指標とみて良いかも知れません。

ケイトが机を叩く時、それは彼女の心の中に怒りの炎が灯されたと同義です!!


そうした観点から見た時、此度のエピソードも興味深いです。

なぜなら、作中5度目となる本気で怒りを露わにするケイトが描かれていたからです。続きを読む

第165話 悲劇と好機【感想】

サブタイトルを要約すると、「ピンチはチャンス!」みたいなものでしょうか。(いやちょっと違うか……)

ところでピンチと言えば、私事ですが先週は再び流行り病にやられて寝込んでいました。

先週はシャドーハウスが休載だったため、本当だったら幾つか記事を上げたかったのですが、残念ながら何も手に付かず。結局はご覧の通り(いつも通り)更新ギリギリでの記事アップと相成りました。ううん、なぜいつもこうなる……。

まあ、愚痴っていても仕方ありませんね。此度の出来事をチャンスに変えられるよう“好機”を逃さないようにしていこうと思います。


さて、副題に話を戻しますが、ここでいう「悲劇」とはパニックホラー編の顛末となります。読者から見ても衝撃的なエピソードでした。

そして「好機」とは、ケイト達の運命を変えたあの一日が再びやってくることを指しています。

ケイトやエミリコ、同期の皆々が躍動した「お披露目」。

星つき就任からとかく忙しいケイトですが、今度は立場を変え見届け人としてあの儀式に挑むこととなりました。続きを読む

第164話 恩恵の欠片【感想・一部考察】

やりたいこと、見たいもの、叶えたい夢……。

こういった夢や願いは誰もが持っているかと思いますが、私の目下の願いは

・劇場版シャドーハウス
・黒とギリギリアウトのアニメ化
・ソウマトウ先生の短編集発売

この三つですね。

もっと他にはないのかとツッコミが入りそうですが、でも上記の三つは譲れません。先日、電子書籍サイトのゼブラックが投稿した「黒」の宣伝ツイートが2万いいねを記録していますが、この流れに乗って是非ともメディアミックス化して欲しいものです。(どうせなら今月25日は黒の連載12周年ですから、この勢いのままに発表して欲しい……)


さて、劇場版シャドーハウスについては今まで何回も願望を述べていますので、三つ目の「ソウマトウ先生の短編集発売」について解説していきます。

私がなぜ、先生の短編集を欲しているのか。

それは、「黒」「ギリギリアウト」を除いた先生の過去作は、現状読むのが非常に困難なためです。


例えば、以前の記事(ソウマトウ先生の過去作品のご紹介(ゆるコワガール))でご紹介した「ゆるコワガール」や、リボン掲載の「マジョトキノコ」といった商業誌連載作品は幾つもありますが、残念ながらこれらは掲載期間が短かったため単行本化には至っていません。読もうと思ったら当時の雑誌を探すところから始めねばならず、かなりハードルは高いのです。

ということは、同人誌なら語るまでもありません。今ではどの作品も入手困難です。


でも知れば知るほど、是非とも先生の過去作を読んでみたいのがファン心理であります。

私も「この物語には関係がない」といった数作の同人誌を入手したものの、過去のファンの方がインターネットに上げている作品を見れば見るほど、やっぱり欲しいなあと思ってしまいます。何といってもソウマトウ先生の過去作ですからね。ひょっとしたらシャドーハウスに繋がるちょっとしたヒントもあるかも知れませんし、もう10年くらい早くファンになっていればなあと後悔するばかりです。(でもメルカリとかには手出したくないなあ……)


ところで、断片的ですが過去のソウマトウ先生の同人作を見てみると、可愛らしい絵柄の中に過激な描写が見受けられる作品が結構あるようです。

なお、ここでいう「過激な描写」とはお色気系の意味ではなく、スプラッター的な意味での過激さです。

「黒」でもそういう傾向の描写はあるにはありましたがマイルドに収められていましたし、ギャグ路線の「ギリギリアウト」ではそうした描写は皆無です。

そして、シャドーハウスでもキャラクターの命が脅かされるシーンはあれど、「黒」と同じくややセーブされた描かれ方をしています。恐らくは同人誌と商業誌掲載作品の違いということでしょうか。しかし、それでもシリアスなシーンでは描写から緊迫感が伝わってくるのですからソウマトウ先生の漫画は凄いと感嘆するばかりです。


ところが、そんな一読者の想像を上回る過激な描写が、とうとうソウマトウ先生ご自身の手によって復活しました。

その主役となったのは、アンソニーです。


残虐な手口とは真反対の笑顔を輝かせる「影の主役」

彼の願望や願いは一体何なのか、ますます分からなくなってきました。続きを読む

第163話 花言葉【感想】

ピオニー・ラッパスイセン

「花言葉」


遂にこの単語がサブタイトルになる日がこようとは感慨深いものです。


シャドーハウスは近代英国風の世界観をモデルにした作品ですが、物語の中には多くの花々が登場します。そして実に印象深いシーンを演出してきました。


例えば、キャラクターでいえばケイトとマリーローズ、バーバラの薔薇。

小道具で言えば、お披露目のシロツメクサやローブ様編でのピオニー。

さらに背景には、胡蝶蘭やムスカリと思しき花が見受けられます。


他にもルイーズのガーベラやパトリックが育てているチューリップと、挙げれば幾らでも出てきます。これらの花々は文字通り作品に鮮やかな色どりを添えてきました。


そして今回。
数話に亘って繰り広げられたパニックホラー編が終焉を迎えます。

どこまでも続いていくのではないかと思うくらいに、果てなく広がるお花畑。
しかしその結末は、幸せ溢れる光景とは相反するものでした。

とある少女の悪夢は、とある少年の絶望と引き換えに終わりを告げました。続きを読む
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