来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

各話感想

第127話 救いの手(1)【感想】

今回の扉絵を見て「どこかで見たような…?」と感じた方は単行本4巻をご用意下さい。

お気付きの方も多いかと存じますが、実は第40話の扉絵が似た構図となっています。

似た構図、と書きましたがこれだと正確ではないですね。似てるどころか同じ構図です。世間ではこういうのを「セルフパロディ」と呼ぶことを此度初めて知りました。

当時のケイトとエミリコはお披露目中でしたが、実に25話以来の再会とあってエミリコも感極まっていました。ちなみに、第40話でケイトとエミリコが会話している見開きのシーンは、ロミオとジュリエットを意識した描写だったそうです。これは熱心なファンの方がソウマトウ先生から引き出した、今思えば貴重なコメントでした。


ただ、細かく見ていくと違う点もあります。

もっとも目に付くのは、40話ではケイトとエミリコに光が差していたのに対し、今回は雨が降り注いでいることです。この描写だけで既に、向かい合う二人の表情が40話とは異なることが想像できます。

ケイトとサラの頬をつたう水滴は、決して雨のせいだけではないのです。

そして、ケイトの手が境界線に触れているのに、サラの手が少し離れているのも気になります。まるで二人の関係を示しているかのようです。

第127話では、まさにこの扉絵を想起するエピソードが描かれていました。
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第126話 強さの秘訣【感想】

「強さ」と「美しさ」

人類。いや、生物の誕生以来、あらゆる生命が生き残りを賭けて手に入れようとしてきたのが、この二つの力です。

「強さ」は個体自身を、「美しさ」は自らの遺伝子を残すために必要だったからです。

現代社会における価値観からすれば、この意見に異を唱える方も多いかと思いますが、生物や人類の歴史を振り返ると大半の時代がそういった価値観で占められています。

それはきっと、「強さ」も「美しさ」も子孫を残すにあたって、有利になる要素を示す指標となっていたからでしょう。

ここでその是非について述べるつもりはありませんが、高度な社会性を獲得した人類が、未来では「強さ」「美しさ」に関してどんな価値観を持つのか見てみたい気もします。(その頃私はもう生きてはいませんが)


さて、小難しいことは置いておきましてシャドーハウスに戻りましょう。

シャドー家は貴族の真似事をする一族ですが、階級争いは人間の貴族も真っ青な闘争が繰り広げられています。

なんせ、敗北を喫したら待っているのは「死」ですからね。

“こどもたち”として館に存在している時点で「美しさ」は保障されているわけですから、この館で生き残るのは「強さ」が何よりも必要なのです。

敢えて加えるとすれば「したたかさ」も大事ですが、漢字だと「強かさ」と書くように、精神的な「強さ」も生き残るためには必須です。エドワードやアンソニーを見れば分かるように、単純に力持ちなだけではいけないのです。


今回のエピソードでは、力が「強い」だけでは無力だと悟った、とある一対が登場しました。

「…また何も出来なかった」

こう呟いて、己の限界を嘆いたのです。

しかしそんな彼らを励ましたのは、「強さ」と「美しさ」と「強かさ」を持った可憐な一対でした。

本編の主役は、“咲き誇るガーベラ”ルイーズ。

お披露目の首席が大活躍です!続きを読む

第125話 苦さと甘さ【感想】

今話が掲載されたヤングジャンプ15号は3月10日に発売されました。

つまり「砂糖の日」です。

シャドーハウスといえば、作中で「珈琲」が描かれていますね。昨年秋に開催されたシャドーハウスのコラボカフェでも人気を集めたのは「おじい様の煤入り珈琲」でした。シャドーハウスにはお菓子やパンやサンドウィッチも登場しますが、やはり本作の飲食物といえば珈琲で間違いないでしょう。

ちなみにソウマトウ先生はお二方とも珈琲を常飲しているらしく、珈琲豆専用の冷凍庫があるらしいです。
(先生のツイッター→趣味でめちゃくちゃ珈琲豆買う)
また、FANBOXでは第56話で割られていた珈琲瓶のモデルとなった商品を紹介していました。

第85話でオリバーとオリーが珈琲を淹れているシーンがありましたが、あの場面の描写がやけに細かかったのはソウマトウ先生のこだわりだったのかも知れませんね。


さて、無理やり繋げるわけではありませんが珈琲には砂糖が必須です。

私自身は大抵ブラックで済ませるのですが、大なり小なり砂糖やミルクを使う方が多いのではないでしょうか。(疲れてる時は滅茶苦茶砂糖混ぜてMAX珈琲みたいにすることもあり)

第60話でオリーがエミリコに砂糖をあげているシーンがありましたが、あれも恐らく珈琲用なのかなと思います。研究で疲れた頭を、甘い珈琲で回復させている様子が目に浮かびます。

あの時エミリコは砂糖を貰って喜んでいましたが、作中ではあれ以来描かれていないので、もしかしたら砂糖も星つきの特権なのかも知れませんね。


しかし、そんな希少な「砂糖」が第125話で再び登場しました。

今回はスザンナとジョンの「飲み回」です。続きを読む

第124話 誠意と本意【感想】

「天與正義神感至誠」

書き下し文にすると「天は正義に与(くみ)し、神は至誠に感ず」と読みます。

大まかに言うと「物事に誠心誠意取り組めば、天も運命も味方してくれる」といったニュアンスです。この言葉は帝国海軍の軍人・東郷平八郎の造語ですが、現代では彼の名言として知られています。

ただ、もちろん闇雲に物事に取り組むだけで神様の助けがあるわけではありません。「正義に与し」とあるように、その行動が正義かどうか、誠意があるかどうかも問われます。上記の解釈をもう少し正確に書くとすれば、“天祐も神助も、正義や誠意があればこそ起こりうる”といったところでしょうか。

東郷平八郎といえば日本海海戦での勝利が最も有名ですが、かの戦いでは用意周到に準備を重ねた日本海軍が圧倒的優位に立ちます。また、祖国防衛という「大義」を共有していた総員の士気は相当高かったそうです。

反して、地球を半周して極東に辿り着いたバルチック艦隊は、疲労困憊の上に遠く離れた地での戦いに意義を見出すことができなかったのか、なす術もなく大敗します。結局、この海戦は我が国の勝利を決定づけるとともに、冒頭の東郷平八郎の言葉を証明したと言えましょう。

横須賀港には、当時の旗艦・三笠が今も残っています。

私も6年前に訪れたことがあるのですが、度重なる苦難を乗り越えたその姿は実に力強いものでした。

現在でも艦首を北方へと向け、かつての相手国に睨みを利かせながら護国の象徴として佇んでいます。

戦艦三笠

さて、そうは言っても人間常に誠実ではいられません。

ましてや、閉鎖空間で我先にと出世争いをするシャドーハウスでは尚更です。実際に、こどもたちの棟もおじい様と共にある棟も、そして麓のミラーサイドでもそんな様子が描写されています。一歩間違えれば「死」が待ち受けているのですから当然でしょう。

この館で正直さを貫くのは、並大抵では不可能なのです。

ただ、それは常人の話です。

もしもそんな普通の考えさえ及ばない存在がいたとしたら…
そして、その人物が裏表のないまっさらな心を持っていたとしたら…

それは不可能ではないでしょう。


此度のエピソードでは、不器用ながらも誠意を最後まで貫き通したあの漢が、見事勝利を手にします。

第124話はジョンのメイン回でした。
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第123話 間違った選択【感想】

「ぼんくら」
「でしゃばり」
「お花畑」
「無能」
「面汚し」

これらは罵倒を羅列しただけのように見えますが、一つの共通点があります。

それは、星つきのリーダー・バービーが生き人形に付けたありがたい(?)渾名です。

すぐにピンときた方はシャドーハウスマニア間違いなしです!


さて、上の5つの渾名は第17話で全て登場していますが、その後もバービーが使ったのは第82話でエミリコに対して「お花畑」と言ったシーンのみです。

あとは第22話のパトリックとリッキーが談笑中に「面汚し」「無能」「お花畑」「ぼんくらローズ」、第26話のショーンが自身のことを「面汚し」、第28話のドロシーと第30話のパトリック・ドロシー・ライアンと第39話のドロシーがエミリコのことを「お花畑」、第54話のローズマリーが自分自身のことを「ぼんくら」と言っていたくらいでしょうか。エミリコ大人気!!
(ぱっと思いついたのが上記だけですので、他にもあれば教えて下さい)


しかし、今回の第123話では久しぶりにバービーが新しい渾名を名付けることとなりました。

此度のターゲットはリッキー。

第17話では見込みがあると褒められていましたが、それは大きな誤算でした。続きを読む
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