来客のない奇妙な館 ~シャドーハウス考察ブログ~

ヤングジャンプで連載中のソウマトウ先生作、“シャドーハウス”の考察ブログです。

各話感想

第164話 恩恵の欠片【感想・一部考察】

やりたいこと、見たいもの、叶えたい夢……。

こういった夢や願いは誰もが持っているかと思いますが、私の目下の願いは

・劇場版シャドーハウス
・黒とギリギリアウトのアニメ化
・ソウマトウ先生の短編集発売

この三つですね。

もっと他にはないのかとツッコミが入りそうですが、でも上記の三つは譲れません。先日、電子書籍サイトのゼブラックが投稿した「黒」の宣伝ツイートが2万いいねを記録していますが、この流れに乗って是非ともメディアミックス化して欲しいものです。(どうせなら今月25日は黒の連載12周年ですから、この勢いのままに発表して欲しい……)


さて、劇場版シャドーハウスについては今まで何回も願望を述べていますので、三つ目の「ソウマトウ先生の短編集発売」について解説していきます。

私がなぜ、先生の短編集を欲しているのか。

それは、「黒」「ギリギリアウト」を除いた先生の過去作は、現状読むのが非常に困難なためです。


例えば、以前の記事(ソウマトウ先生の過去作品のご紹介(ゆるコワガール))でご紹介した「ゆるコワガール」や、リボン掲載の「マジョトキノコ」といった商業誌連載作品は幾つもありますが、残念ながらこれらは掲載期間が短かったため単行本化には至っていません。読もうと思ったら当時の雑誌を探すところから始めねばならず、かなりハードルは高いのです。

ということは、同人誌なら語るまでもありません。今ではどの作品も入手困難です。


でも知れば知るほど、是非とも先生の過去作を読んでみたいのがファン心理であります。

私も「この物語には関係がない」といった数作の同人誌を入手したものの、過去のファンの方がインターネットに上げている作品を見れば見るほど、やっぱり欲しいなあと思ってしまいます。何といってもソウマトウ先生の過去作ですからね。ひょっとしたらシャドーハウスに繋がるちょっとしたヒントもあるかも知れませんし、もう10年くらい早くファンになっていればなあと後悔するばかりです。(でもメルカリとかには手出したくないなあ……)


ところで、断片的ですが過去のソウマトウ先生の同人作を見てみると、可愛らしい絵柄の中に過激な描写が見受けられる作品が結構あるようです。

なお、ここでいう「過激な描写」とはお色気系の意味ではなく、スプラッター的な意味での過激さです。

「黒」でもそういう傾向の描写はあるにはありましたがマイルドに収められていましたし、ギャグ路線の「ギリギリアウト」ではそうした描写は皆無です。

そして、シャドーハウスでもキャラクターの命が脅かされるシーンはあれど、「黒」と同じくややセーブされた描かれ方をしています。恐らくは同人誌と商業誌掲載作品の違いということでしょうか。しかし、それでもシリアスなシーンでは描写から緊迫感が伝わってくるのですからソウマトウ先生の漫画は凄いと感嘆するばかりです。


ところが、そんな一読者の想像を上回る過激な描写が、とうとうソウマトウ先生ご自身の手によって復活しました。

その主役となったのは、アンソニーです。


残虐な手口とは真反対の笑顔を輝かせる「影の主役」

彼の願望や願いは一体何なのか、ますます分からなくなってきました。続きを読む

第163話 花言葉【感想】

ピオニー・ラッパスイセン

「花言葉」


遂にこの単語がサブタイトルになる日がこようとは感慨深いものです。


シャドーハウスは近代英国風の世界観をモデルにした作品ですが、物語の中には多くの花々が登場します。そして実に印象深いシーンを演出してきました。


例えば、キャラクターでいえばケイトとマリーローズ、バーバラの薔薇。

小道具で言えば、お披露目のシロツメクサやローブ様編でのピオニー。

さらに背景には、胡蝶蘭やムスカリと思しき花が見受けられます。


他にもルイーズのガーベラやパトリックが育てているチューリップと、挙げれば幾らでも出てきます。これらの花々は文字通り作品に鮮やかな色どりを添えてきました。


そして今回。
数話に亘って繰り広げられたパニックホラー編が終焉を迎えます。

どこまでも続いていくのではないかと思うくらいに、果てなく広がるお花畑。
しかしその結末は、幸せ溢れる光景とは相反するものでした。

とある少女の悪夢は、とある少年の絶望と引き換えに終わりを告げました。続きを読む

第162話 暴走状態【感想】

石割桜

こちらのサクラは、岩手県盛岡市にある「石割桜」という木です。先週東北地方へ旅行に行った際に撮影してきました。

石割桜は日本最北級のサクラの天然記念物(国指定)として古くから知られ、毎年花の時期になるとこうしてライトアップされる観光名所となっています。

私が盛岡市内に着いたのは夜になってからでしたが、運よく入口の扉は空いており(所在地は裁判所!)、訪れた観光客が木に近づくことができるようになっていました。さすが名桜というべきでしょうか。残念ながらほとんど花は散っていましたが、ライトアップのお陰かお花見気分で眺めることができました。

ちなみに私が東北に行った理由は、喜久屋書店仙台店のディスプレイを見に行ったのと、とある湖にてブログのネタを探しに行ったからです。湖に関しては記事ができるまで時間掛かりますので、気長にお待ちいただければと思います。


さて、石割桜は名前の通り石の割れ目から枝葉を伸ばしています。一説には、元々あった岩の割れ目に種が落ちそれが成長したそうです。現在でも割れ目の幅は年々広がっているといわれており、困難な状況でも力強く生きる姿を見たならば、自然の逞しさを感じずにはいられません。


ただ、人は自然ほどは逞しくありません。予期せぬ事態に直面し、それでも平静を保つことのできる人は限られています。先ほどの石割桜ではないですが、通常と異なる環境下で健全でいられるのは並大抵では不可能です。


今回のエピソードでは、自らを取り巻く異常事態に成す術なく混乱に陥る、ある少女の苦悩が描かれました。引き続きマーガレットを中心に物語は進んでいきます。続きを読む

第161話 気高き心【感想】

日本における貴族の発祥は4世紀といわれています。

大和朝廷の成立とともに皇族・豪族を中心として形成されたそうです。その後、平安時代初期にそれらの氏族を始祖とする藤原氏・橘氏・平氏・源氏といった一族が誕生し、歴代の政権に関与していきます。以降近代に至るまで、これらの貴族は政治や経済・文化に大きな影響力を持ちました。

さて、こうした貴族がなぜ大きな権力を持ったかといいますと、政治力・経済力もさることながら、長く続いてきた系譜だったことも理由に挙げられます。

古墳時代の豪族は日本神話に出自が由来します。神話に登場する神々の末裔として、有史以来天照大御神や天皇に仕えてきたことを根拠に支配層としての正当性を誇示したのです。著名な一族だと、物部氏や大伴氏といった教科書でも馴染みのある名があります。そうして長い歴史の中で有力な一族(=貴族)は上流階級として実権を握ってきました。


こうした貴族誕生の流れは、実は欧州でも同じです。

現在の欧州貴族が形成されたのは中世ですが、その源流は古代ローマ時代に遡ります。ローマの建国神話に登場する初代王・ロームルスが創設した元老院の議員(パトリキ)がそのまま力を持ち、代々支配層として影響力を持ったのが起源だそうです。神話を起源とする統治者の側近=貴族、と捉えると日本も欧州も同じですね。


ただ、古代以降の欧州貴族の成立は我が国とは異なります。

ローマが共和制へ移行すると被支配層だった平民階級が力を付け、やがて元老院議員になる者も出てきました。そうした王政ローマから代々続いてきた家系とは違う実力者は、新貴族(ノビレス)と呼ばれます。こうして現在目にするNOBLESSE(貴族、ノブレス)という言葉が生まれました。もっとも平民といえども元老院議員になるには有力な家系との縁故関係が必要でしたので、こうした一族も世襲制に近いものだったのは致し方ないところでしょうか。


しかし、歴史的に大きな貢献をしてきた一族でも、現代においてはそれだけで特権を持つことは理解されません。ましてや怠惰な生活やスキャンダルに見舞われようなら社会が許さないのが一般的な通念です。

貴族は社会に貢献し模範として振舞うべき、とする「ノブレス・オブリージュ」という言葉は19世紀のフランスが発祥ですが、現在は大きな力を持つ家系や企業・資本家の社会的責任を意味する概念として用いられています。力を持つ者がその立場を維持するには道徳的な行動も求められるのです。


さて、シャドーハウスも貴族を標榜する一族の物語ですが、その実態は既に第1話の1ページ目で明かされています。貴族そのものではなく「貴族のまねごとをしている者たち」、それがシャドー家なのです。

ですから厳密に言えばシャドー家は貴族ではありません。貴族のような支配者、とでも言えば良いでしょうか。とにかく正当性を持たない「貴族」なのです。


但し、それでも前述の新貴族(ノビレス)の話ではないですが、代々続く血筋でなくとも貴族になることは可能です。また、たとえ貴族でなくとも、貴族のような行動と心がけを持つことは誰にも咎められるものではありません。

今回のエピソードでは、そんな崇高な精神を持った主従が描かれました。

奇しくも読者から「パトリキ」と呼称されるあのソウルメイトです。続きを読む

第160話 マーガレット【感想】

只今、桜前線が絶賛北上中ですね!

今年のサクラの開花は例年よりもずっと早く、関東地方では3月半ばには満開になっておりました。しかもその後の空模様が芳しくなかったせいか、結構長く咲いていましたね。なんだか少し得した気分でした。

今現在は東北地方に入ったところでしょうか。東北地方も関東と同じく、桜の開花は例年よりも早いようです。有名な弘前公園だと、今月の10日頃に咲くと予測されていました。

実は私、毎年東北に行っておりますので、今は桜の状態を見極めながら旅行の日程を立てているところです。今年はどんな景色が待っているのだろうと、今から楽しみで仕方ありません。


さて、花と言いますとシャドーハウスには花に関係したキャラクターが非常に多いです。

代表的なのは、バラ・ガーベラ・アザミですね。これはケイト・ルイーズ・サラのシンボルです。これ以外にも、ベンジャミン・オリバー(≒オリーブ)もそうです。彼らの名前も植物から取られています。


また、実物のお花ももちろん出てきます。

最も読者の中で取り上げられるのは、ラッパスイセンでしょうか。あの花は、パトリックとエミリコの関係性の象徴として作品内外で話題になることが多いです。その花言葉を調べてみて悶絶した方も多いかと思います。


そして、今回のエピソード。

此度のお話には、花の名を持つ少女が描かれました。

本話の主役はマーガレットです。
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